アンドリューズ・ピッチフォークは、トレンドライン・チャネルラインを使った分析手法です。複数の平行ラインを挿入して、トレンドの方向性や転換ポイントを読むのに使われています。
通常、アンドリューズ・ピッチフォークは描画ツールに搭載されています。フィボナッチのように各自でチャートに挿入する必要があるため、中級者以上の投資家におすすめです。
あまり知られてはいないものの、アンドリューズ・ピッチフォークは一部の投資家の間で人気があり、気になっている方も結構多いのではないでしょうか。
FXテクニカル アンドリューズ・ピッチフォーク
FXトレードでは、各種インジケーターや描画ツールを挿入してのチャート分析が欠かせません。おそらく、大抵のトレーダーは普段使う分析手法はある程度決まっていると思いますが、実は試したことがない手法の中には、思った以上に使える逸品も隠れています。
今回、ぜひ試してもらいたいのがアンドリューズ・ピッチフォークです。
アンドリューズ・ピッチフォークとは
アンドリューズ・ピッチフォークは、
それぞれで利用する取引ツールによって、表示されるラインの本数は異なるのですが、基本的に3本のラインが表示できます。
- 3本のライン → アンドリューズ・ピッチフォークのオリジナル
- 5本以上のライン → アンドリューズ・ピッチフォーク・フィボナッチ・エクステンション
アンドリューズは開発者の名前、ピッチフォークは英語の「Pitch Fork/熊手」のことです。
庭仕事や落ち葉掃除に使う熊手・長いフォークのような形状をしていることから、ピッチフォークという名称が使われています。
使い方は、フィボナッチ・リトレースメント(フィボナッチ・チャネル)や線形回帰線などと一緒です。ピッチフォークで表示されるラインをレジスタンス・サポートとして使っていきます。
各ラインをブレイクするかどうかによって、
- トレンドの値幅
- トレンドの方向性
- トレンド転換のポイント
を掴むことができるのです。
アンドリューズ・ピッチフォークの開発者
アンドリューズ・ピッチフォークは、1960年代にアラン.H.アンドリューズ博士によって開発されました。ピッチフォークの基盤となっているのは、起業家・経済学者・バブソン大学の設立者ロジャー・バブソンが開発していた、「アクション・リアクション・ライン」が基盤となっています。
※ちなみに、トヨタ自動車の現在の代表取締役である豊田章夫氏はバブソン大学の卒業生です。
アンドリューズ・ピッチフォークに関する書籍は、今のところ日本語版は見つけるのが難しいです。英語版の解説書がAmazonなどで多数出版されています。
アンドリューズ・ピッチフォーク(解説書)
ロジャー・バブソンに関する本であれば、日本語版がいくつかありますので、興味がある方は読んでみて下さい。
ロジャー・バブソン「繁栄の条件」
アンドリューズ・ピッチフォークの基礎知識
アンドリューズ・ピッチフォークはトレンド分析に徹した手法です。
- トレンドの値幅
- トレンドの方向性
- トレンドの転換ポイント
以上の3つを知るための目安にすることができます。
トレンドの値幅
ピッチフォークは、まさにトレンドライン・チャネルラインとして使うことができます。ラインをブレイクしない限りは、ピッチフォークのライン内で価格が動いていく傾向にあります。
- 高値ライン → レジスタンスのポイント「売り」
- 安値ライン → サポートのポイント「買い」
というように、どの地点で価格が反発するのか下に向かうのか目安になります。
中央線から上で動く時
ピッチフォークの範囲内でも2つの価格帯で相場が推移することもあります。
- 高値ライン → レジスタンスのポイント「売り」
- 中央線・安値ライン → サポートのポイント「買い」
中央線を下にブレイクするまでは、高値ラインと中央線の値幅で売買タイミングを計ることができます。
中央線より下で動く時
- 中央線・高値ライン → レジスタンスのポイント「売り」
- 安値ライン → サポートのポイント「買い」
というように、ピッチフォークの下2本のライン内で価格が動くと想定することができます。
中央線を上に抜けた時は、またもとの高値ラインがレジスタンスのポイントとなります。
トレンドの方向性
アンドリュー・ピッチフォークを挿入することで、ブレイクしない限りはトレンドの方向性がわかります。
このままトレンドが継続した場合の、
- 高値のターゲット価格 → 「売りのタイミング」
- 安値のターゲット価格 → 「買いのタイミング」
がどこなのか目安がつくということですね。
ピッチフォークの傾きからトレンドの強弱がわかる
トレンドの方向性がわかるとともに、ピッチフォークの傾きからトレンドの強弱を読むこともできます。
- ピッチフォークが急角度 → トレンドに勢いがある・強いトレンド
- ピッチフォークがゆるやかな・水平に近い → トレンドの勢いが弱い
トレンドの転換ポイント
そして、アンドリューズ・ピッチフォークの最も大きなメリットはトレンド転換のポイントが掴みやすくなることです。
多くのトレーダーがチャート分析に明け暮れる理由は、
- トレンドがこのまま継続するのか
- トレンドがどこで反転するのか
この2つの疑問につきるといっても過言ではありません。
トレンドが継続すると分かれば、流れにのってポジションを取りにいけますよね。トレンドが反転すると分かれば、そのタイミングを待ち構えることができます。
トレンドが継続するサイン
- 下降トレンドの安値ラインをブレイクした時 → 下降トレンドの継続
- 上昇トレンドの高値ラインをブレイクした時 → 上昇トレンドの継続
ピッチラインをブレイクしてトレンドが継続するということは、トレンドが一段下(一段上)のレベルに展開したことになります。
- 下降トレンドが継続 → 「売り」
- 上昇トレンドが継続 → 「買い」
上昇トレンドに転換するサイン
下降トレンドにて、ピッチフォーク内で価格が動く時は下降トレンドの継続を意味しています。ピッチフォークの高値ラインに価格が近づいた時は、ブレイクするかどうかを注意深く見極めます。
- 下降トレンドの高値ラインをブレイク → 「買い」
下降トレンドに転換するサイン
上昇トレンドが、ピッチフォークの範囲内で動いている時は上昇トレンドの継続を意味しています。ピッチフォークの安値ラインをブレイクするかどうかがトレンド転換のポイントとなります。
- 上昇トレンドの安値ラインをブレイク → 「売り」
起点さえ自分で設定すれば、自由自在にラインを延長したり移動したりできることが、アンドリューズ・ピッチフォークのもう1つのメリットです。
アンドリューズ・ピッチフォークの使い方・トレード方法
アンドリューズ・ピッチフォークをいざ試してみようと思っても、
- どのように挿入すればよいのか
- 具体的にどこでエントリー・エグジットすべきか
などと戸惑うことも多いでしょう。
ここでは、アンドリューズ・ピッチフォークを挿入するコツや、具体的なトレード方法を解説していきます。
アンドリューズ・ピッチフォークの挿入方法
それぞれで利用している取引ツールごとに、アンドリューズ・ピッチフォークの挿入方法は若干異なると思いますが、概ねの手順は同じですので参考にしてみて下さい。
1.描画ツールからアンドリューズ・ピッチフォークを選択
アンドリューズ・ピッチフォークは、大抵の場合、描画ツールのメニューから選択できます。稀に、インジケーターリストから選ぶ場合もあるかもしれません。
描画ツールのメニュー「ライン、トレンドライン、チャネルライン」などの項目にてアンドリューズ・ピッチフォークを探すことができます。ピッチフォークのみで表記されていることもあります。
アンドリューズ・ピッチフォークをクリックしてチャートに表示させます。
2.ドットを動かしてみる
最初は小さなドットが表示されるだけですので、ドットをマウスで適当に動かしてみます。そうするとラインが出てくるので、わかりやすいように少し拡大しておきます。
これで、ピッチフォークらしきものが出てきました。
3.中央のドットで移動させる
次に、アンドリューズ・ピッチフォークを挿入したいチャートの位置まで移動させます。ピッチフォークの移動は、中央のドットをドラッグするとそのままの形状で動かすことができます。
トレンドが開始した場所にピッチフォークの先端を合わせます。
高値と安値のラインにピッチフォークを合わせる
ピッチフォークの起点が決まったら、ドットを動かしてピッチフォークの角度や幅を調整します。
- 上下左右に動かして角度・長さを合わせる
- 全体の位置を移動・ずらす
- 高値ラインに幅を合わせる
- 安値ラインに幅を合わせる
これでピッチフォークの挿入が完了です。
新しいトレンドの動きがある度に、ピッチフォークを移動・追加していきます。
エントリー・エグジット
トレンドの流れに沿って売買
相場の動きがピッチフォークにマッチにしたら、後は上昇トレンドでも下降トレンドでもラインに沿って売買していけます。
- 高値ラインで価格が下がる → 「売り」
- 中央ラインで価格が下がる → 「売り」
- 安値ラインで価格が上昇 → 「買い」
- 中央ラインで価格が上昇 → 「買い」
ピッチフォークでブレイクを狙う
- 下降トレンドで高値ラインをブレイク → 「買いエントリー」
- 上昇トレンドで安値ラインをブレイク → 「売りエグジット」
ショートの場合は、上昇トレンドで安値ラインをブレイクしたら「売りエントリー」で、下降トレンドで高値ラインをブレイクしたら「買いエグジット」となります。
勝つためのアンドリューズ・ピッチフォークトレード手法
それでは、最後にアンドリューズ・ピッチフォークで勝つためのトレード手法をご紹介したいと思います。
アンドリュース・ピッチフォークはトレンドラインを使った分析手法ですが、実はボリンジャーバンドとも使い方が似ているので、合わせて使いやすいインジケーターです。
ピッチフォークとボリンジャーバンドは数値の算出方法が全く異なるため、双方にシグナルが出ていれば、上昇・下降への確証が強まりますよね。
ピッチフォークとボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドの見方・使い方
ボリンジャーバンドは上から順番に「高値バンド」「中央値」「安値バンド」と3本のラインがあります。ピッチフォークと同じように、それぞれのラインをレジスタンス・サポ―トの代わりに使うことができます。
買いシグナル
- 中央値から上昇
- 安値バンドから上昇
- 高値バンドをブレイク
売りシグナル
- 中央値から下降
- 高値バンドから下降
- 安値バンドをブレイク
というように、使い方や見方はピッチフォークとほとんど同じです。
エントリー・エグジット例
上昇トレンドに転換した後でピッチフォークを挿入。ピッチフォークの安値ラインで価格が上昇に向かえば、上昇トレンドが継続すると判断できます。そこで、ボリンジャーバンドの動きを見ます。
ピッチフォークの安値ラインで価格が上昇した時には、ボリンジャーバンドでも同時に中央ラインから上に向かっています。上昇トレンドが継続する可能性が強くなりますね。ここで「買いエントリー」を決めます。
ピッチフォークでもボリンジャーバンドでも中央線の上で価格は推移。強い上昇トレンドです。下降トレンドに切り替わるサインを待ちます。
しばらく上昇が続いた後、エントリー以来、価格は初めてピッチフォークの中央線を下回りました。ボリンジャーバンドの方も中央線を下にブレイク。上昇トレンドが弱っている証拠です。ここで、逃げ遅れないうちに「売りエグジット」で利確します。
まとめ
アンドリューズ・ピッチフォークは、トレンドライン・チャネルラインとして使える便利な描画機能です。起点を合わせるだけで、自動で3本のラインを挿入してくれます。
3本のラインの配置には、確固たる根拠があるわけですね。
高値と安値の位置がピッチフォークにマッチするように調整することで、トレンドの方向性やトレンド転換のポイントをピッチフォークが教えてくれます。使いこなせると心強い手法だといえます。
ぜひ、この機会にピッチフォークトレードで勝率が高いトレードを実現して下さい。