プロのFXチャート分析実践講座「ROCの見方と勝つための活用法」

チャート分析をする上でテクニカルインジケーターの利用が欠かせません。どのインジケータが効果的なのか、使いやすいのかは、それぞれの投資スタイルや手法によって異なり、どれを使うべきか悩みますよね。

「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。

今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「ROC」です。

「ROC」はトレンドの強弱やトレンドの切り替わりを読むのに使われているインジケーターです。
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ROCの見方や基礎知識使い方や勝つためのトレード手法をわかりやすく解説していきいます。ぜひ、参考にして下さい。

FXテクニカル ROC

「ROC」は、オシレーター系のインジケーターでトレンドの強弱やトレンドが切り替わるポイントを読むのに適したインジケーターです。使い方はRSIやCCIなどと似ていますが、割と緩やかな線を描くので大まかなトレンドの流れを見たい時におすすめです。

まずは、ROCの概要を簡単に見ていきましょう。

ROCとは

ROCとは

ROCとは、

Rate Of Changeのことで、正確にはThe Price Rate of Changeというインジケーターのことです。日本語で簡単にいうと、価格の変化率を数値で表したものです。

ROCでは現在の価格が過去の価格からどれくらい変化しているのかを算出します。ROCを使うことで、トレンドが強い勢いにあるのか、弱まってきているのか、トレンドが切り替わるポイントなどのサインを得ることができます。

中央値0を基準に上下にプラスマイナスの数値が表示されます。

  • 0より上に向かう時は上昇のサイン
  • 0より下に向かう時は下降のサイン
  • 最上部に達すると下降トレンドに切り替わるサイン
  • 最下部に達すると上昇トレンドに切り替わるサイン

また、ROCの角度がからトレンドの勢いや強さを測ることができます。

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ROCは、細かい値動きに敏感に反応するインジケーターではないので、大きなトレンドの流れを掴みたい時に役に立ちます。

ROCの開発者

ROCはもともとは物理学の「Rate of Change」の法則がそのままテクニカルインジケーターとして使われるようになったのが始まりです。

物理学でいう「Rate of Change」の法則を開発したのは、アイザック・ニュートン。このアイザック・ニュートンの「Rate of Change」の考え方から多くのテクニカルインジケーターが誕生しています。

ウェルス・ワイルダーの移動平均線やRSI、Momentumなども「Rate of Change」が基盤になっています。おそらく、テクニカル分析ROCとして「Rate of Change」を使いだしたのはワイルダーではないかと思われます。

ROCの基礎知識

ROCの基礎知識

ROCはメインチャートの下部に挿入されるオシレーター系インジケーターです。

ROCの計算式はニュートンの「Rate of Change」が採用されていてとてもシンプルです。

ROCの計算方法

現在の価格が、過去の価格とどれくらい変化しているのかを、

ROC = 現在の価格 ÷ 過去の価格 × 100

で比率を算出します。どれくらい過去に遡るかは、任意で設定可能です。

デフォルトでは「12期間」に設定されていますので、

  • 1分足 → 12分前の価格
  • 1H足 → 12時間前の価格
  • 日足 → 12日前の価格
  • 週足 → 12週間前の価格
  • 月足 → 12か月前の価格

と、現在の価格の変化率がROCチャートに表示されます。

ROCの仕組み

ROCの数値は、

  • 過去の価格から上昇するほど高くなる
  • 過去の価格から下降するほど低くなる

仕組みになっています。

つまり、

  • 過去の価格から大きく上昇するほど → 「ROCの数値が高くなる」
  • 過去の価格から大きく下降するほど → 「ROCの数値が低くなる」

という仕組みなっています。

ROCの数値が高い

ROCの数値が高いということは、強い上昇トレンドに向かっていると見ることができます。上限はありませんので、ROCの最高値が50ぐらいに留まることもあれば、100を超えることもあります。

最高値に達したあとで下がり始める時

ROCの数値が最高値に達した後で下がり始めた場合は、価格の変化率が減少し始めていることを表しています。上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる確率が高くなります。

ROCの数値が低い

ROCの数値が低いということは、0以下のマイナス数値で表示されます。ROCがマイナスになっている時は、強い下降トレンドに向かっていることを意味しています。最低値には下限はありませんのでマイナス30ぐらいの時もあれば、マイナス100以下に下がることもあります。

最低値に達したあとで上がり始める時

ROCの数値が最低値に達した後で上がり始める場合は、価格の変化率がプラスに向かっていることを意味しています。下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。

中央値0を基準にしたROCの数値や方向性から、トレンドの強弱・トレンドの切り替わりを読むことができるのです。

ROCの見方

ROCの見方
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ROCの基礎的な仕組みが分かったところで、ROCチャートを見ながら詳しくラインの見方を解説していきます。

ROCチャート 数値の見方

ROCチャート 数値の見方

ROCチャートは上から、

  1. ROCの一定期間の最高値
  2. ROCの中央値0
  3. ROCの一定期間の最低値

となります。

時間足が日足・週足など大きくなると期間が長くなるため、ROC数値も大きくなる傾向にあります。

数値自体はそこまで気にする必要はありませんが、数値が高い(低い)ほど変化率が高い = 強い上昇(強い下降)と判断することができます。

ROC ラインの見方

ROCラインを見るポイントを解説していきます。

上に向かっているか、下に向かっているか

ROCラインを見るポイントは、まず単純に上に向かっているか下に向かっているかを見ることです。

上に向かっているか、下に向かっているか
  • ROCラインが上に向かう → 上昇
  • ROCラインが下に向かう → 下降
ROCラインが上向きに進む時は相場が上昇、ROCラインが下向きに進む時は相場が下降するサインです。

ラインの角度

次に見るポイントは、ラインの角度です。

ラインの角度

90度に近い角度でラインが上昇する時は、価格が一気にジャンプして急上昇する可能性があります。反対に90度に近い角度でラインが下降する時は、価格が急落するサインです。

ラインの角度

一方では、緩やかにラインが動く時は価格変動も緩やかになりがちです。緩やかに上に向かう時は弱い上昇トレンド、緩やかに横に動くときは値動きが少ない横ばいトレンド、緩やかに下に向かう時は弱い下降トレンドと見ることができます。

ROCラインが緩やかに傾いているのか、90度に近い角度で鋭く動いているかによって、上昇トレンドや下降トレンドの強弱がわかります。

中央値0

中央値0の位置は必ずしも中央にくるわけではありません。強い上昇トレンドのある時は「0」の位置が下の方にきて、強い下降トレンドにある時は「0」の位置が上の方にきます。

中央値0
  • 「0」の位置が上にある時 → 下降トレンド内で価格が推移することが多い
  • 「0」の位置が下にある時 → 上昇トレンド内で価格が推移することが多い
ROC分析では、ラインが「0」より上で動いているか下で動いているかを見ることが大切です。

「0」より上でラインが動く

「0」より上でラインが動く

中央値「0」から上にROCラインがある時は上昇トレンドにあることを表しています。

ROCラインが「0」を超えて最高値に向かう時は強い上昇トレンドとなり、ROCが最高値に触れて下に降りてくる時は、一旦下降に向かうサインです。一旦下降に向かったとしても「0」を下に抜けずに反転する時は上昇トレンドが継続して上昇トレンド内で価格が動くことが多いです。

上図のROCチャートのように最高値から下に向かった場合でも、「0」より上でラインが動いている場合はまだ上昇トレンドにあると見れます。

「0」より下でラインが動く

「0」より下でラインが動く

中央値「0」にROCラインがある時は下降トレンドにあることを表しています。

ROCラインが「0」を下に抜けて最低値に向かう時は強い下降トレンドとなり、ROCが最低値に触れて上に向かう時は、一旦上昇に向かうサインです。一旦上昇に向かったとしても「0」を上に抜けずに反転する時は下降トレンドが継続して下降トレンド内で価格が動くことが多いです。

上図のROCチャートのように最低値から上に向かった場合でも、「0」より下でラインが動いている場合はまだ下降トレンドにあると見れます。

上から下に「0」を抜ける

上から下に「0」を抜ける
「0」から上で推移してたROCラインが「0」を完全に下回って下がる時は、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるサインです。

完全に「0」を下回っていくかどうかが下降トレンドに切り替わる重要なポイントとなります。

下から上に「0」を抜ける

下から上に「0」を抜ける
「0」から下で推移してたROCラインが「0」を完全に突き抜けて上昇する時は、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるサインです。

完全に「0」を突き抜けて上に向かうかどうかが上昇トレンドに切り替わる重要なポイントとなります。

ROCの使い方

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それでは、実際にROCを使ってトレードする方法を解説していきます。

トレンドの反転サインで売買

トレンドの反転サインで売買
まずROCのトレード例として、トレンドが切り替わるサインが出た時に合わせて売買する方法があります。
ROCが「0」を上に抜ける

ROCラインが下降エリアから「0」を抜けて上昇エリアに向かう時は、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるサインです。上に抜けるのを確認してから「買い」です。

ROCが「0」を下に抜ける

上昇エリアで推移していたROCラインが「0」を下に抜けて下がる時は、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるサインです。下に確実に抜けるのを確認してから「売り」です。

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上記は上昇から下降、下降から上昇と大きなトレンドごとに、より確実に取引する方法です。

また、全く同じチャートでも、もっと効率よく稼ぎたい方はROCラインの動きから最適な売買ポイントを読むことも可能です。

ROCラインの動きに合わせて売買

ROCラインの動きに合わせて売買
基本的にROCラインが上に向けば価格が上昇、下に向けば価格が下降となる傾向にありますので、ラインの上下の波に合わせて取引するアプローチもあります。
ROCが最低値の近くで反転

ROCラインが下に向かっている時に、最低値の近くで反転した時は価格が上昇に向かうサインです。ラインが上がり始めるタイミングで「買い」です。

ROCが最高値の近くで反転

ROCラインが上に向かっている時に、最高値の近くで反転した時は価格が下降に向かうサインです。ラインが下がり始めるタイミングで「売り」です。

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ただ、このサインだけに頼ると、判断がやや微妙な局面も結構多いので注意が必要です。どの辺りが最高値なのか最低値なのかを見ることが重要なポイントになります。その他のインジケーターや分析手法と併用するようにしましょう。

勝つためのROCトレード手法

どんなインジケーターでも100%完璧ではありません。勝つためには、複数のインジケーターやライン、ローソク足分析などを同時に使っていくことが大切です。

ROCで売買のサインが出た時は、

  • その他のインジケーターではどうなのか
  • トレンドラインやレジスタンス・サポートはどうなのか
  • ローソク足はどうなのか

というように裏付けをとってからエントリー・エグジットすることで勝率を上げることができます。

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最後に、ROCで勝つためのトレード手法を、その他インジケーターやラインと組み合わせて解説していきます。

移動平均線とROC

移動平均線とROC
最もポピュラーでわかりやすいインジケーター移動平均線を使って、ROCのサインを活用することができます。

移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロス

移動平均線の代表的な分析手法に「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」があります。

「ゴールデンクロス」

移動平均線のゴールデンクロスとは、短期線が中期線・長期線を下から上に抜けることをいいます。ゴールデンクロスが形成されると、トレンドが下降から上昇に切り替わるサインとなります。

「デッドクロス」

デッドクロスは、短期線が中期線・長期線を上から下に抜けることをいいます。デッドクロスが形成されると、トレンドが上昇から下降に切り替わるサインとなります。

移動平均線のサインは若干相場の動きよりも遅れる傾向にあります。ゴールデンクロス・デッドクロスが形成された後では、ちょっと出遅れてしまうことが多々あるのです。
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移動平均線の出遅れがちなデメリットをカバーするのがROCで、ROCの反転サインが出た時に、ゴールデンクロス・デッドクロスが形成されようとしている時を狙うことができます。

ROCで反転サインが出たら、

  • 移動平均線の短期線が中期線・長期線の方に向かっている(ゴールデンクロスに向かっている)
  • 移動平均線の短期戦が中期線・長期線の方に向かっている(デッドクロスに向かっている)

といった状態であればエントリー・エグジットのタイミングだと見る方法があります。

レジスタンス・サポートとROC

レジスタンス・サポートとROC
レジスタンス・サポートラインを引いておけば、ブレイクポイントとROCのサインからエントリー・エグジット判断の目安にすることができます。
  1. ROCラインが下に向かい始めた時は下降のサインです。レジスタンスラインで確認すると、ちょうどブレイクポイントを抜けきれずに下がり始めています。ここで「売り」エントリーです。
  2. サポートラインで相場は反転せずに、ブレイクポイントを下に抜けました。まだ下がる可能性があります。ROCでは「0」を抜けて下に向かっています。下降トレンドのサインです。下がりきるのを待ちます。
  3. ROCラインは最低値で反転、サポートラインでも反転しているので上昇トレンドに切り替わるサインです。「買い」エグジットで利確です。
  4. 上昇し始めた相場がレジスタンスラインを超えてブレイクしました。ROCでもちょうど「0」を上に抜けて上昇トレンドに切り替わるサインを見せています。2つのサインを確認して「買い」エントリーします。
  5. ROCでは一旦下がり始めた相場が反転、レジスタンスラインではブレイクポイントを抜けています。まだ上昇するな、と判断できます。
  6. ROCが最高値あたりで下に向かい始めました。相場はレジスタンスラインを超えましたが、次のレジスタンスラインに届く前に下がり始めています。次のレベルの価格帯には進まない可能性が高いです。相場が下に向かい始めた時に「売り」エグジットで利確です。
  7. ⑥の地点で「売り」エントリーしたすれば、⑦のサポートラインで反転・ROCで反転した時に「買い」エグジットすることができます。あるいは、サポートラインで反転した時点で「買い」エントリーして次のサインを待つ方法もあります。
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以下の記事では、移動平均線EMAについて解説しています。通常使う移動平均線はSMAで、EMAはSMAよりも敏感に反応するといわれています。こちらも合わせて参考にしてみて下さい。

まとめ

ROCは、トレンドの強弱や方向性、トレンドの切り替わりを読むのに適したインジケーターです。

ROCを見るポイントは、

  • ROCラインが上に向かっているか下に向かっているか
  • ROCが「0」の上で動いているか下で動いているか
  • ROCが「0」を完全に突き抜けて流れを変えたかどうか
  • 最低値・最高値にROCが近づいているか

などを確認することで、最適なエントリー・エグジットのサインを得ることができます。

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ROCに限らず、1つのインジケーターだけに依存するのは危険です。今回ご紹介したように、移動平均線やレジスタンス・サポートラインなど、他の分析手法も活用しながら、しっかりと利益を獲得していきましょう!

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