海外株式を取り扱う業者が増えている中、イギリス株はどうなのか、国内でも投資できるのかと気になっている方は結構多いのではないでしょうか。
イギリスは、米国・中国・EUと並んで何かと話題になることが多い経済大国の1つです。もし、可能であればチャレンジしたいですよね。
正直なところ、国内では現物のイギリス株への投資は条件的に難しいのが現状です。ごく一部の証券会社で取引可能ですが手数料が高く、オンラインでは取引できないケースもあります。
CFDでイギリス株が取引きできるとはどういうことなのでしょうか。
CFDとは?
CFDとは
CFDとは、
差金決済とは、株式や株価指数、先物など金融商品の売買価格を取引するもの。将来的な値上がりや値下がりによる価格差から利益を得る方法のことです。市場に実在する金融商品の現物を取引するわけではないのがCFDの特徴です。
例えば、FXも実際に通貨を売買するわけではなく、売買価格をやり取りしますよね。FXもCFD商品の1つ。通貨ペア以外のCFD商品でも、FXと同じようにレバレッジをかけて「買い」か「売り」かでポジションが持てます。
CFDのイメージ
海外の商品に投資がしたくても、国内では限界があります。CFDであれば世界中の金融商品が比較的容易に取引できるようになります。海外投資をする方法として最近注目されているのです。
CFDの種類
代表的なCFDの商品は、
- METAL/貴金属 → 金、銀、プラチナ
- ENERGY/エネルギー → WTI、Brent、天然ガス
- 株価指数 → NYダウ、日経225、DAX
- 外国株式 → 米国株式、欧州株式
- ETF → 米国、欧州などに上場するETF
などがあり、すべてのCFD商品は市場での取引価格が反映される仕組みなっています。
GMOクリック証券ではCFD取引について詳しく解説しています。こちらも合わせて参考にしてみて下さい。
イギリス株CFDとは?
イギリス株CFDとは、
ロンドン証券取引所
イギリスの株式は、世界最大規模の金融市場ロンドンにあるロンドン証券取引所にて売買されています。
ロンドン証券取引所は、NY証券取引所、東京証券取引所と並ぶ世界三大証券取引所の1つです。ロンドン証券取引所の歴史は古く、1698年に「ジョナサンのコーヒーハウス」として始まりました。
小さなコーヒーハウスにロンドンやヨーロッパの投資家・資産家たちが集まるようになり、当時始まったばかりの株式や保険などの証券が売買されるようになったのです。
CFDではロンドン証券取引所での売買価格がそのまま反映される仕組みになっています。
イギリス株投資とは
EU離脱を実現し、独立した国として独り立ちしたイギリス。一時は、Brexitによるイギリス経済の低迷が懸念されていましたが、むしろ今後のよりグローバルな展開が期待されています。
イギリスの経済規模・GDPは世界5位。産業革命発祥の国として18世紀から20世紀にかけて世界産業をリードしてきたことで有名です。現代社会の基盤となっている、大生産システム、鉄道、航空機、通信技術などがイギリスから生まれたのです。
現在のイギリスは、産業よりも長い歴史と実績を誇る投資・資産運用などの金融サービスが経済の重要な位置を占めていて、金融セクターの規模はNYと世界トップを競う規模にあります。FXが最も取引されているのもイギリスです。
イギリス株の特徴
まずイギリスの企業と聞いも具体的にイメージしづらいかもしれませんが、意外と日本人でも知っている企業があるのです。
一般的に国内で認知度が高いイギリス企業は、
- BURBERRY/バーバリー(BRBY)
- VODAFONE/ボーダフォン(VOD)
- ROLLS ROYCE/ロールス・ロイス(RR.)
ビジネススーツやトレンチコートのBURBERRY、スマホのVODAFONE、重厚な高級クラシックカーのロールス・ロイスなどがよく知られています。
他にも意外と日本人でも馴染みのある企業がありますので、代表的なイギリス株をいくつか見てみましょう。
銘柄 | 企業名 | 時価総額(GBP/Billion) | 業種 |
---|---|---|---|
AZN | ASTRAZENECA/アストラゼネカ | 1372,99 | 医薬品 |
ULVR | UNIRIVER/ユニリーバ | 995,39 | 日用品 |
HSBA | HSBC HD/エイチエスビーシーHD | 88,804 | 金融・銀行 |
DGE | DIAGEO/ディアジオ | 84,071 | 飲料 |
RDSA | ROYAL DUTCH SHELL A /ロイヤル・ダッチ・シェルA |
72,025 | 石油・ガス |
BP | BP/ビー・ピー | 71,130 | 石油・ガス |
GSK | GLAXOSMITHKLINE /グラクソスミスクライン |
70,987 | 化学 |
RDSB | ROYAL DUTCH SHELL B /ロイヤル・ダッチ・シェル B |
64,509 | 石油・ガス |
BATS | BRITISH AMERICAN TOBACCO /ブリティッシュアメリカンタバコ |
59,638 | タバコ |
RIO | RIO TINTO/リオティント | 58,014 | 鉱業 |
GLEN | GLENCORE/グレンコア | 48,877 | 鉱山・商品取引 |
REL | RELX /レックス | 43,525 | 通信・サービス |
LSEG | LONDON STOCK EXCHANGE G /ロンドン証券取引所 |
40,919 | 金融 |
BHP | BHP GROUP/ビーエイチピー・グループ | 40,729 | 鉱業 |
PRU | PRUDENTIAL/プルデンシャル | 39,836 | 保険 |
ユニリーバのシャンプーやボディウォッシュのDOVEシリーズ、ブリティッシュアメリカンタバコのダンヒル・ケント・ラッキーストライクなどは国内でも普段よく目にする商品ですね。
貴金属のリオ・ティント、昭和シェルでお馴染みのロイヤル・ダッチ・シェル、石油・ガス大手のBPなどはコモディティ関連を取引する方はよく知っている企業でしょう。
イギリス株には、鉱業、資源・エネルギー、金融などの景気に敏感なセクターが多いことが特徴です。コモディティー・金融系のトレーダーが集まりやすいので、ある意味イギリス株式市場は、市場のリスクオンの状況を知るバロメーターになるといわれています。
イギリス株の強み1.バックに王室がついている
イギリスといえば、エレガントなテイラー仕立てのイギリス紳士をイメージさせるように、イギリスには昔ながらの地主貴族・資産家が多いことが経済の強みです。
多くの資産家の財産は、主にタックスヘイブンで名高いイギリス領のオフショアに資金が流れているので実質の資産高は謎に包まれているとのこと。
例えば、退役大尉が集めたコロナウイルス開発寄付金はあっという間に47億円。エリザベス女王陛下はイギリス国内外の風力発電をはじめとするクリーンエネルギー開発に大型投資を行っています。
イギリス株の強み2.イギリス連邦(コーマンウェルス)の存在がある
もう1つのイギリス株の強みは、イギリスは大英帝国時代からの巨大なイギリス連邦のネットワークを有していることです。
イギリス連邦の加盟国は、
カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インド、バハマ、バルバドス、ベリーズ、ジャマイカ、グレナダ、ケニア、ザンビア、マレーシア、シンガポールなどの54か国です。
COP26では、おもに新興国への国・企業の投資が推進されていて、イギリス企業の連邦国での展開が期待できます。
イギリス株の強み3.金融・投資のゆるぎない基盤がある
国際金融都市として、イギリス・ロンドンは17世紀からの長い歴史を有しています。2020年度の国際金融センターランキングでは2位、世界の主要市場としてはNYにトップの座を譲りつつあるものの、EU離脱やコロナのダメージから回復した金融セクターの底堅さを見せています。
経済のデジタル化が進む中、イギリスは2010年からすでに行政を巻き込んだ金融サービスのデジタル化が促進されていて、FCAとロンドンさらにイングランド銀行も一環となって、企業における金融システムのデジタル化を支援しています。
大手企業はもちろんのこと、中小規模の企業においてもよりイノベーティブな金融システムへと移行する動きが見られています。時代を先導する、国際的な商品・サービスが期待できるでしょう。
イギリス株投資の注意点
イギリスのEU離脱はPost Brexitといって、まだ北アイルランド問題やフランスとの漁業海域問題などで課題が残っています。
今後のEUとの交渉次第では、イギリス経済の低迷が懸念されイギリス株の急落・暴落が見られる局面もあるかもしれません。
イギリス株CFDの買い方
海外投資が難しい日本ですが、一部の証券会社にてかろうじてイギリス株がCFDで購入できます。
イギリス株CFDの買い方・始める手順を見ておきましょう。
- イギリス株CFDが取引できる業者・証券会社を調べる(実際のところ2社程度)
- 条件に合った業者・証券会社を選ぶ
- 総合口座(メイン口座)を開設する
- CFD口座を開設する
- 取引計画に合わせて資金を入金する
- 取引機会を待つ・見つける
- 最初のポジションを買う
- 利益が出たら決済して利確
CFDの取引ツール
業者が提供する専用の取引ツールを使って売買します。
CFDの注文方法
CFDの注文方法は、その業者が提供するFXと同じ機能が使えるのが一般的です。成行、指値・逆指値、トレール、IFD、OCOなど。「買い」と「売り」とどちらからでも入れます。
イギリス株CFDを始める際の注意点
選ぶ業者によってイギリス株CFDの取引条件が異なります。
公式サイトでは確認できないケースもありますので、問い合わせなどで聞いておきましょう。
- 最大レバレッジ → 5倍(レバレッジ規制にて一律)
- 手数料 → 8.0~11.0ポンド/1取引、(要確認)
- スプレッド → 比較的に広め
- 配当金 → 保有期間に応じて配当金がもらえる場合がある
- 取引単位 → 1単元、または0.01ロット~が平均的
イギリス株 CFD・ETF比較
イギリス株はETFでも比較的容易に購入できます。ETFとCFDはどちらの方がおすすめなのでしょうか。
まずは簡単にイギリス株ETFにはどんな種類があるか見てみましょう。
イギリス株ETF
国内ETF
海外ETF
CFD・ETF 比較一覧
イギリス株投資をCFDとETFで比較してみましょう。
CFD | 国内ETF | 海外ETF | |
---|---|---|---|
取引業者 | 業者の数は少ない | ほとんどの証券会社で可能 | 海外ETFを扱う業者のみ |
取引時間 | 米国市場の時間 | 東証のオープン時間 | 海外市場のオープン時間 |
ポジション | ロング ショート | ロング ショート (信用取引のみ) |
ロング ショート (信用取引のみ) |
レバレッジ | 最大5倍 | 最大3.3倍 (信用取引のみ) |
最大3.3倍 (信用取引のみ) |
取引単位 | 1単位~ | 1株~ | 1株から可能 |
手数料 | 2000円前後 | 業者による 信託報酬がかかる |
業者による 信託報酬がかかる |
スプレッド | 広め | 広め | 広め |
スワップ | あり | なし | なし |
配当金 | 配当金あり | 配当金あり | 配当金あり |
価格 | 市場価格が反映 | 連動型 価格は商品ごとに異なる |
連動型 価格は商品ごとに異なる |
イギリス株CFDのメリット・デメリット
イギリス株CFDのメリットは、特定の銘柄が市場価格で取引できる点です。手数料も比較的に安価で、レバレッジ最大5倍と少額からでも始めやすい条件になっています。
一方、デメリットはポジションを持ち越した場合に、スワップや調整額が差し引かれるケースがあること。事前の確認が欠かせません。
イギリス株ETFのメリット・デメリット
イギリス株ETFのメリットは株式口座で株式のように容易に売買できることです。さらに、複数の株式にまとめて投資できる点でも便利です。
しかしETFはあくまでも複数の株式を組み合わせたファンドです。価格もファンドごとに様々で、運用会社任せる部分も多く株式とはちょっと異なる方法となります。
イギリス株の攻略法
イギリス株CFDで勝つためのコツは何でしょうか。
ここでは、イギリス株投資の攻略法を解説していきます。
攻略法1.イギリス株の取引き時間を確認しよう!
株式の場合はFXとは異なり、その銘柄が上場している取引所がオープンしている時にしか取引できません。また、業者ごとに取引時間が若干異なる場合があります。
ロンドン証券取引所の時間帯
- 現地時間: 8時00分~16時30分
- 日本時間: 冬時間/17時00分~翌1時30分 夏時間/16時00分~翌0時30分
NYSE・米国取引所の時間帯(現地時間: 9時30分~16時)
日本時間: 冬時間/23時30分~翌6:00 夏時間/22時30分~翌5:00
攻略法2.イギリスの経済動向をチェックしよう!
イギリス株を取引きするなら、イギリスの経済動向を把握しておくことが大切。
イギリスは金融セクターの影響を受けやすいので、とくにサービス・不動産、金融政策などの情報は要チェックです。
抑えておきたいイギリスの経済指標
サービス業GDP
住宅価格指数
政策金利
- GDP成長率
- 雇用率・失業率
- 消費者物価指数CPI
- インフレ率
- 消費者信頼感指数
- 景況感指数
など
イギリスFTSE
イギリス株価指数について、以下で詳しく解説していますので、合わせてこちらも覧下さい。
攻略法3.イギリス株関連の情報ツールをゲットしよう!
イギリス株関連の情報をいかに手早く入手するかによって、勝負も左右されていきます。
欧州関連のニュースにて、英国の情報を得ることもできます。
イギリス株関連の情報サイト・ツール
など活用してみて下さい。
また、この機会に英語版に挑戦してみてもいいですよね。
- News Explorer(London Stock Exchanges)
- Top UK Shares(interactive investor)
- United Kingdom (Market Watch)
イギリス株CFDでおすすめの証券会社
イギリス株が3000銘柄以上!「IG証券」
- 株式CFDの最大レバレッジ:5倍
- 手数料:11.0ポンド~/1取引
- 17,000以上のCFD商品
IG証券では、イギリス株の銘柄が3000種類とかなり豊富です。大型株だけでなく中小型の銘柄も選ぶことができます。IG証券は、ロンドン証券取引所にも上場している大手外資系、世界中のCFD商品が17,000以上も取引できます。
欧州株はドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、スペイン、スイス、デンマーク、オーストリア、アイルランドなど一通り揃っています。他にも、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど他社では探せない商品が豊富です。株式CFDを取引したい方には大満足ですね。
現物株式や先物も取引可能!「サクソバンク証券」
- 株式CFDの最大レバレッジ:5倍
- 手数料:8.0ポンド~/1取引
- 世界中の株価指数・株式が豊富
サクソバンク証券では世界中の豊富なCFD商品に加えて、現物の外国株式の取り扱いが充実しているのが大きな特徴。デンマークに本社を構える銀行系の大手オンライン証券です。プロ仕様の高度な取引ツールが利用できます。
世界15か所の取引所に上場する商品があり、株式CFDは8,000銘柄、現物の海外株式は12,000銘柄が取引できます。海外ETFもCFDと現物の取引き可能。本格的にCFD以外でも海外投資を展開していきたい方におすすめです。
まとめ
イギリス株を代表する銘柄の1つにHSBCという銀行株があり、名前を知っていいる方は多いと思います。HSBCはFTSE100の構成銘柄でもある世界的に有名な国際銀行です。世界87か国に約7500か所に支店を構えています。
HSBCは正式名称を「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited/香港上海銀行」といって、本社拠点は英国となりますが、もともとはスコットランド人が1864年に香港に設立した銀行なのです。
設立者である、Thomas Sutherland/トーマス・サザーランドはヨーロッパとアジア間で拡大する貿易・取引に着目して、グローバルに資金移動が可能な国際銀行の需要が高まることを予見。とくに香港周辺のアジア諸国での事業開拓に注力してきました。
これから、イギリス株の物色を始めるにあたって、ぜひ参考にしてみて下さい。