と疑問を感じたことのあるFX初心者の方もいるかも知れません。今回は「世界の為替市場の取引時間とFXトレード・為替レート変動の傾向」について解説します。
FXは24時間取引可能
FX会社のウェブサイトには、必ずと言っていいほど
FXは24時間取引可能
というようなうたい文句が並んでいます。
FX初心者の方は、これを見れば
「15時に終わってしまう株式市場よりも、頑張っているんだな。」
と、思ってしまうかもしれませんが、これは間違えです。
- 東京の株式取引市場(東京証券取引所):9時~15時
- 東京の外国為替取引市場:9時~17時
です。
若干、外国為替取引市場の方が終わるのが遅いのですが、それでも「9時5時」しか取引は行われないのです。
日本株の売買は、日本の取引所「東京証券取引所」でなければ売買することはできません。
しかし、外国為替、つまり通貨の売買は、日本であっても、アメリカであっても、同じようにできるのです。
日本人から見た日本円も、
アメリカ人から見た日本円も、
インド人から見た日本円も、
まったく同じものです。
さまざまな国において
その国の生活時間に応じて
さまざまな市場参加者が
外国為替取引市場で通貨の売買をしている
ので、時差を追いかけていけば
世界の為替取引市場
日付変更線をまたいで
- ニュージーランド/ウェリントン市場
↓ - 豪州/シドニー市場
↓ - 日本/東京市場
↓ - 中国/香港市場
↓ - シンガポール市場
↓ - 中東/バーレーン市場
↓ - ロシア市場
↓ - ドイツ/フランクフルト市場
↓ - スイス/チューリッヒ市場
↓ - フランス/パリ市場
↓ - 英国/ロンドン市場
↓ - 米国/ニューヨーク市場
↓
(次の日)
↓
- ニュージーランド/ウェリントン市場
と続いていくため
月曜日5時(夏時間:4時)のニュージーランド/ウェリントン市場から
土曜日7時(夏時間:6時)の米国/ニューヨーク市場まで
続けてFXトレードができるのです。
月曜日朝4時から取引できるFX会社は少ない
この流れで言えば、本来は月曜日4時(夏時間:5時)からFXトレードができるはずなのですが、日本のFX会社は営業時間が「朝7時~」というところがほとんどです。
一部外資系の証券会社のみ
- サクソバンク証券:「朝4時~」取引可能
- IG証券:「朝5時~」取引可能
となっていますが
- ほとんどのFX会社が「朝7時~」取引可能
- 一部のFX会社が「朝6時~」取引可能
になっています。
もし、「朝4時から取引をして、流動性の低い時間帯を逆手にとって儲けたい」という方の場合は
をおすすめします。
初心者の方や月曜日朝一で取引をする必要がない方は、7時から営業開始のFX会社を選んでも問題ありません。
主要な外国為替取引市場の取引時間
冬時間
夏時間(サマータイム)
夏時間(サマータイム)とは
ヨーロッパ大陸、カナダ、オーストラリアなどで採用されています。
- ニュージーランド:10月第1日曜日~3月第3日曜日
- 豪州:10月最終日曜日~3月最終日曜日
- 欧州、ロシア:3月最終日曜日~10月最終日曜日
- 米国:4月第1日曜日午前2時~10月最終日曜日午前2時
FXトレード・為替レート変動の傾向
24時間FX取引が可能と言っても、前述した通りで、1日の中で10回以上は取引する市場(国)が移動していくのです。
FX会社のトレード画面の中では24時間違いはないのですが、中身は
- 1日で取引市場は10回以上変わる
- 取引市場が変われば市場参加者も変わる
- 市場参加者が変われば為替レートの動きも変わる
と、大きく違いが出ているのです。
- 日本時間:5時にFXトレードをするとき
- 日本時間:12時にFXトレードをするとき
- 日本時間:22時にFXトレードをするとき
とでは、市場が違うのですから、市場参加者も変わってしまい、為替レートの動きの傾向も変わってしまうのです。
当然、
ということを意味しています。
で済ましてはいけないのです。
オセアニア市場の傾向と対策
傾向
月曜日の朝は、まずウェリントン市場から取引が始まることになります。世界で最も早く為替取引がはじまるのですから、まだ市場参加者の数は少なく、取引が活発ではないのです。
取引が活発でないからこそ、為替レートは少しの取引でも、大きく動くことを意味します。
とくに取引がない土日に大きな事件や経済的なニュースがリリースされていたら
大きな窓が空き、為替レートが大きく飛ぶことになります。
しかし、火曜日から金曜日の平日の朝の場合は、ニューヨーク市場の終了時間と重なっているため、取引も通常の流動性を保持したまま推移するので、それほど大きな特徴はありません。
対策
週またぎでポジションを持ち越すのは危険
前述した通りで、月曜日の朝は流動性が低い為、大きく為替レートが動く可能性があります。とくに土日に主要な経済ニュースや事件があれば、さらに大きく為替レートが動くのです。
土曜日に持ったポジションがあった場合など、月曜日朝の大きな為替変動のせいで、ストップロスなどが狩られてし合うケースも多いからです。
デイトレード、スキャルピングトレードであれば、週またぎでポジションを持ち越すのは避けた方が安全です。
「窓埋め」を狙う
月曜日朝の流動性の低い状態で、大きくレートが飛ぶと、徐々に市場参加者が増えるにつれて、流動性は取り戻され、次第に以前のレートに戻る傾向があります。
これを利用したトレード手法に「窓埋め」というものがあります。
土曜日の朝の為替レートと月曜日朝のはじまり時点の為替レートに大きな差「窓」が発生していた場合、「窓」が閉まる方向に為替レートが動く可能性が高いことを利用したトレード手法です。
アジア市場の傾向と対策
傾向
アジア市場というのは、東京市場、香港市場、シンガポール市場が該当します。
東京市場は、世界の金融業界の中では、あまり重視されていないのが現状です。
なぜならば、ヘッジファンドや外国銀行などは
東京ではなく、シンガポールにアジア市場開拓の拠点を設けることが多いからです。
東京は物価も高いし
シンガポールは英語が通じるし
フラットに見たときには、東京よりも、シンガポールの方がビジネスとして成立させやすいと考える外国の金融機関が多いということを意味しています。
市場参加者は
- 東京市場:「円」関連の取引が多い
- 香港市場:個人投資家が多い
- シンガポール市場:大口取引が多い
という特徴があります。
アジア市場の場合は、欧米の市場とは違って、大きな仕掛けをしてくる猛者がいないため
特徴があります。
とも言えます。
これは、東京のニュースが世界の為替レートを動かす影響力が低いことも要因と言えます。
東京、日本の存在感が急速になくなっていることに危機感は感じてしまうものの、初心者のFX投資家にはトレードがしやすい時間帯と考えて良いでしょう。
ただし、急激な為替変動も起こりにくいのでボラティリティはおさえめになります。
対策
テクニカル分析で素直にトレード
テクニカル分析が通用しやすい相場です。
素直に採用しているテクニカル手法をそのまま利用すれば、大きく外すことは少ない時間帯なのです。
変わったことをせず、通常のトレード手法を着実に実行しましょう。
ヨーロッパ市場の傾向と対策
傾向
ヨーロッパ市場というのは
- ロシア市場
- ドイツ/フランクフルト市場
- スイス/チューリッヒ市場
- フランス/パリ市場
- 英国/ロンドン市場
などのグループが該当しますが
ほとんど「英国/ロンドン市場」の一強と考えて構いません。
ロンドン市場が強いので
- 「対ユーロ」
- 「対ポンド」
の取引が活発に行われる時間帯なのです。
日本時間:17時(冬時間)
にヨーロッパ市場がはじまるため、
ここからは「対ユーロ」「対ポンド」が主役になり、取引の傾向も一気に変わる可能性があります。
- アジア市場の市場参加者のストップ狩りを狙う取引
- ヨーロッパの主要経済ニュースに応じた取引
が行われるため、大きく流れが変わるのです。
対策
潮目が変わるタイミングなので一旦様子見
アジア市場の素直な流れでポジションを持っているのであれば、ポジションを一旦解消するのも一つの方法です。
他の方のポジション状況などもチェックしながら、ポジションを崩す方向に為替レートが動いたら、それに乗っかるような動きも一つの方法と言えます。
また、ヨーロッパの主要経済ニュースにも目を光らせておく必要があります。
ニューヨーク市場の傾向と対策
傾向
ニューヨーク市場の午前中、日本時間:23時~午前3時(冬時間)は
「ニューヨーク市場」「ロンドン市場」の営業時間が重なるタイミングです。
FXトレードの中で最も、流動性が高くなる時間帯と言っていいでしょう。
先ほど、
- ヨーロッパの市場参加者「ファンド筋」はアジアの市場参加者のロスカット注文を狩る
と言いましたが、今度はさらに強者である
- ニューヨーク市場の市場参加者「ファンド筋」がヨーロッパの市場参加者のロスカット注文を狩る
動きがあります。
また、米国の経済ニュース、経済指標は世界的に注目されているため、これに左右されて大きく為替レートが動くタイミングでもあります。
初心者ほど波に乗るのが時間帯となってしまうのです。
対策
ファンド筋などの大口投資家の心理を読む
先ほど
「ファンド筋」は市場参加者のロスカット注文を狩る
と言いましたが
「ファンド筋」は市場参加者のロスカット注文を狩るとは
どういうことかというと
個人投資家などがポジションを持つときには、多くの方がストップロス注文を入れて、損失を限定することが多いのです。
多くの投資家が「買い」ポジションを持っていて、50pips下にストップロス注文を入れていたら
ファンド筋は、大金を投入して「売り」エントリーをし、無理やり50pips下げる動きを取るのです。多くの投資家の50pips下のストップロス注文に実勢レートを引き下げることに成功したら、ストップロス注文が発動し、「売られる」のでさらに為替レートは下降します。
ここでファンド筋は一旦儲けを出して、今度はその資金を「買い」に入れて、元に戻す動きに出るのです。
大金を動かせるファンド筋だからできる鉄板のトレード戦略ですが、市場が変わったときに前の市場参加者のポジションが狙われることが多いのです。
- ヨーロッパのファンド筋 → アジア市場参加者のストップロスを狩る
- ニューヨークのファンド筋 → ヨーロッパ市場参加者のストップロスを狩る
となるので、ゲームで例えれば
- アジア:村人
- ヨーロッパ市場:中ボス
- ニューヨーク市場:ラスボス
のような関係になってしまうのです。
まとめ
FXは24時間取引可能
なのは間違えありませんが
FX会社のトレード画面には何の違いもないのですが、その中身は
- ニュージーランド/ウェリントン
- 豪州/シドニー
- 日本/東京
- 中国/香港
- シンガポール
- 中東/バーレーン
- ロシア
- ドイツ/フランクフルト
- スイス/チューリッヒ
- フランス/パリ
- 英国/ロンドン
- 米国/ニューヨーク
と取引している市場が移動していくのです。
ただ、市場が変わるだけということではなく
- 市場が変われば市場参加者が変わる
- 市場参加者が変われば為替レートの動きも変わる
ので
- 取引時間
- 今どこの取引市場でトレードが行われているのか?
- その取引市場の市場参加者は誰なのか?
- その取引市場の市場参加者のトレードの傾向はどうなのか?
を抑えることで、FXトレードの勝率も上げることができるのです。