FXでは、手持ちの資金にレバレッジをかけて数倍の取引ができることが大きな魅力です。国内のFX会社の場合、最大で25倍のレバレッジが適用されます。FX初心者がここで注意しておきたいのは、25倍のレバレッジが可能でも極力小さめのレバレッジから始めることです。
FXのレバレッジにて大きな利益が狙えると同時に、大きな損失を出す可能性があります。レバレッジを上手に活用してリスクを抑えていくことが大切です。
今回は、FX初心者のために正しいレバレッジのかけ方、レバレッジの設定方法について解説していきます。合わせてFX初心者のレバレッジは何倍がいいのか設定のポイントもご紹介いたします。ぜひ、初めてのトレードにお役立て下さい。
FX初心者の基礎用語
FXでは、FXならではの専門用語がたくさん出てきます。レバレッジもその1つです。
これだけは抑えておきたい用語
レバレッジ
FXの代表的な基礎用語がまさにレバレッジです。
レバレッジとは手持ちの資金を証拠金として、国内では最大25倍の金額にて取引が可能になります。海外では、100倍以上つけれるFX会社がほとんどで中級以上のトレーダーはあえて海外のFX会社を選ぶことも多いです。
証拠金
証拠金とは、実際に使う資金(現金)のことで、取引金額の元手になる担保のことです。証拠金にはいくつか種類があります。
預託証拠金
預託証拠金はFX口座に入金してあるトータルの金額のことです。
有効証拠金
有効証拠金は発注可能な金額、取引に使えるお金・余力のことです。有効証拠金の金額にレバレッジをかけて取引ができます。
必要証拠金
必要証拠金とは実際の取引に必要な証拠金のことです。発注が約定した時、ポジションを保有している時には必要証拠金が拘束されます。この分を新たな取引の証拠金にすることはできません。
証拠金維持率
証拠金維持率とは現在保有しているポジションの損益状況が、口座の残高全体で占める割合のことです。この割合は大きいほど安全性が高く、小さくなるほどにリスクが高い状態だといえます。
証拠金維持率の計算方法
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
ロスカット
ロスカットとは、含み損が大きくなりすぎて証拠金がマイナスになることを避けるためのFX会社の損切りシステムです。ほとんどのFX会社にて適用されています。
証拠金維持率が何%になればロスカットされるのかはFX会社によって異なりますが、概ね50%~100%です。ロスカットが執行される前にはマージンコールというアラーム機能による忠告があります。
スプレッド
スプレッドは、買値と売値の差がどれくらいなのかを表示したものです。スプレッドは小さい程リスクが低くなり、利益が出しやすいといえます。
スワップ
スワップは2つの通貨の金利差のことです。円は世界でも有数の低金利通貨であるため、他国の通貨を購入した際にスワップによる利益を狙うことが可能です。
ただ、反対に外貨から円を購入する際のスワップはマイナスとなりがちです。
pips(ピップス)
pipsはFX特有の用語で、小数点以下の最小の値幅がどれくらいなのかを表示したものです。
円の1pipsは0.01円(1銭)で、米ドルの1pipsは0.0001ドル(0.01セント)です。pipsが小さく細かいいほど、利益が出しやすくなります。
レバレッジの基礎知識
レバレッジの仕組み
FXでは、ほとんどのトレーダーがレバレッジを利用して取引を行っています。FX=レバレッジで取引、といっても過言ではなく、数倍の取引ができることがFXの最大の魅力となるのです。
従来の資金よりも多額の取引ができるため、大きな利益が狙いやすいと同時に思った以上の大きな損失を出すリスクがあります。FX初心者はリスクを抑えていくために、レバレッジの正しい知識を得ておくことが大切です。
レバレッジをかけるといくらで取引できる?
少ない証拠金(資金)でもレバレッジをかけることで、どれくらいの金額が取引可能なのかを見ていきましょう。
証拠金1万円の場合
証拠金が1万円程度であっても2倍で2万円、3倍で3万円、10倍で10万円、25倍で25万円の取引ができます。
証拠金5万円の場合
5万円の証拠金があれば、2倍で10万円、3倍で15万円、10倍で50万円、25倍で125万円にもなります。
証拠金10万円の場合
10万円の元手があれば、かなり大きな金額の取引が可能です。2倍で20万円、3倍で30万円、10倍で100万円、25倍で250万円です。
レバレッジの効果
レバレッジのメリット
投資資金=10万円
米ドルの価格が1ドル/100円から102円に上昇した場合にレバレッジによる利益はどのように変わるでしょうか。
取引額 | 2円上昇 | 利益 | |
---|---|---|---|
レバレッジ1倍 | 1,000ドル(10万円) | 2円×1,000通貨 | 2,000円 |
レバレッジ2倍 | 2,000ドル(20万円) | 2円×2,000通貨 | 4,000円 |
レバレッジ5倍 | 5,000ドル(50万円) | 2円×5,000通貨 | 10,000円 |
レバレッジ10倍 | 10,000ドル(100万円) | 2円×10,000通貨 | 20,000円 |
レバレッジ25倍 | 25,000ドル(250万円) | 2円×25,000通貨 | 50,000円 |
投資資金10万円であっても、レバレッジがつけれるだけで結果は大きく異なります。最大で利益率は50%まで高くなります。
レバレッジのデメリット
投資資金=10万円
では次に米ドルの価格が1ドル/100円から98円に下がった場合の損失を確認しておきましょう。
取引額 | 2円下落 | 損失 | |
---|---|---|---|
レバレッジ1倍 | 1,000ドル(10万円) | 2円×1,000通貨 | -2,000円 |
レバレッジ2倍 | 2,000ドル(20万円) | 2円×2,000通貨 | -4,000円 |
レバレッジ5倍 | 5,000ドル(50万円) | 2円×5,000通貨 | -10,000円 |
レバレッジ10倍 | 10,000ドル(100万円) | 2円×10,000通貨 | -20,000円 |
レバレッジ25倍 | 25,000ドル(250万円) | 2円×25,000通貨 | -50,000円 |
以上のように、損失が出た場合には最大で投資資金の半額を失うリスクが潜んでいるのです。
レバレッジとロスカット
FXは最大で25倍のレバレッジがかけれます。しかし、だからといって安易に高レバレッジで取引をしてしまう思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
それはロスカットです。
レバレッジを上手に活用していくには、ロスカットの仕組みを理解しておくことが欠かせません。
ロスカットの基礎知識
ロスカットとは、
証拠金の50%~100%でロスカット
FX会社によって規定は異なりますが、通常は含み損によって証拠金維持率が50%~100%に達した時点でロスカットの対象となります。
証拠金維持率は、
有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100% で計算されます。証拠金維持率は、FX口座の残高照会にて自動的に表示されています。
ロスカットがあるおかげで、かろうじて投資資金がマイナスになるのを避けることができます。もしロスカットが行われなければ、証拠金を超える損失が発生し、トレーダーはFX会社に借金を負ってしまうことになります。
ロスカットはメリットだけではない
ロスカットはトレーダーを大きな損失から守るためのシステムになり、FX初心者にしてみれば、ロスカットはメリットだけのように映ります。そこで、ロスカットがあるから大丈夫と安易に取引をしてしまうと、ロスカットで痛い思いをする羽目になります。
わずかな損失でもロスカットに!?
証拠金が少額で高レバレッジをかけた際には、わずかな損失でもロスカットの対象になってしまうのです。少額とはいえども強制的に決済されてしまえば、手元の資金は最悪ゼロです。十分に注意する必要があります。
FX初心者のレバレッジは何倍がいい?
リバレッジにて少額から取引ができることがFXの最大の魅了です。しかし、初心者は損失が数倍と大きくなることや、ロスカットにて投資資金の大半を失う可能性があることを考慮しておくことが大切です。
リスクを抑えた取引を始めるために、FX初心者のレバレッジは何倍くらいが比較的に安全だといえるのでしょうか。
ロスカットの例
レバレッジ1倍
ロスカットのリスクが最も小さいのはレバレッジ1倍です。投資資金10万円で1,000ドルをレバレッジは1倍(なし)で購入しました。1,000ドルを購入する場合に、レバレッジ25倍まで可能だとして最低必要証拠金は4,000円です。有効証拠金は10万円です。
100,000 ÷ 4,000 × 100% = 2,500%
証拠金維持率は2,500%となります。2,500%から100%に低下するのは、1ドルが4円になった時で完全にあり得ないことです。
レバレッジ2~5倍
1,000ドルをレバレッジ2倍で購入する場合は5万円の投資資金が必要です。必要証拠金は4,000円。
50,000 ÷ 4,000 × 100% = 1,250%
証拠金維持率は1,250%です。有効証拠金が4,000円に下がるということは、46,000円の損失が出ていることになります。1,000通貨で割ると1通貨あたり46円下がって、56円になった時にロスカットされます。
同様に計算していくと、レバレッジ3倍の場合で有効証拠金は約3400円、為替レートで約34円下がった時にロスカットです。
レバレッジ4倍は20円下がった時、レバレッジ5倍は10円下がった時となります。
レバレッジ10倍
1,000ドルをレバレッジ10倍で購入する場合、投資資金・証拠金は1万円です。証拠金維持率は購入時点で250%です。6000円の損失が出た時点でロスカットされます。1,000通貨で6,000円の損失が出るということは1通貨で6円下がっていることになります。
1ドル/100円で購入していた場合は、94円に下がった時点でロスカットを受けるということです。
レバレッジ25倍
レバレッジ25倍で1,000ドル購入するには4,000円の証拠金が必要です。1,000ドルを取引する必要証拠金が4000円となるため、4000円だけを入金して全額を証拠金に使った場合は、購入した時点で証拠金維持率はほぼ100%です。わずかな損失でもロスカットされる可能性が高く非常に危険です。
レバレッジの設定方法
FXでは確かに25倍までのレバレッジがつけれますが、FX初心者はリスクを抑えていくために5倍以下に抑えておくことが理想的です。
FX初心者が勘違いしがちなレバレッジ
おそらく多くのFX初心者がレバレッジとは、入金さえしておけば、購入するたびに何倍にでも自由自在に設定できると思っているでしょう。
実効レバレッジで自動的に倍率が決まる
しかし、実際には購入する通貨の取引量に対して、いくらの証拠金を使うのかでレバレッジが自動的に決まります。証拠金の金額に応じて取引金額となるように倍率が調整されるイメージです。このようにレバレッジが自動的に決まることを実効レバレッジといいます。
レバレッジの上限が設定できるFX口座もある
SBIトレードやDMM FX、YJFX!など1部のFX口座では、レバレッジの上限が設定・選択できる場合もあります。レバレッジの上限を低めに定めておけば、過剰なレバレッジにて取引してしまうことを避けることができます。
それぞれのFX口座の設定画面から、上限やコースの選択ができます。
実効レバレッジが決まる仕組み
実効レバレッジは、
取引額 ÷ 有効証拠金 = レバレッジの正確な倍率
が決まる仕組みになっています。
レバレッジの倍率を、3倍、4倍程度に抑えていくためには口座に入金している金額を増やすか、取引量を減らすかによって自分で調整することができます。
有効証拠金を計算する流れ
取引にあてる有効証拠金をいくらにするか決めることで、概ねのレバレッジが調整できます。有効証拠金を計算する流れを見ていきましょう。
1.取引に必要な金額を確認する
最初に取引きに必要な金額がトータルでいくらなのかを確認します。100通貨、1,000通貨、5,000通貨など取引量と為替レートによって総額が異なります。
2.目標の倍率で計算
取引総額が算出できたら、目標の倍率で有効証拠金がいくらなのか確認します。
例えば、1ドル/105円のポジションで1,000ドルを保有したい場合には取引総額で105,000円必要です。レバレッジを3倍に抑えたい場合、この取引総額を3で割ります。
105,000円 ÷ 3(倍)= 35,000円
有効証拠金が3万5千円あれば、レバレッジを3倍にできます。
有効証拠金が多いほどレバレッジを低くできる
有効証拠金を増やすことで、必然的にレバレッジも低く設定されます。
取引量を調整してレバレッジを低くできる
通貨の取引量を10,000通貨から5,000通貨、5,000通貨から1,000通貨と減らすことでもレバレッジを低く設定できます。
レバレッジは為替変動とともに変わる
また、為替変動とともに証拠金も減ったり増えたりしていきます。つまり、一旦決まったレバレッジはその時の為替レートによって倍率も変化していくことになるのです。
まとめ
取引単位は何通貨か、為替レートはいくらなのかによって、最低限必要な証拠金も違ってきます。必要証拠金とは、あくまでも最大25倍のレバレッジをかけた場合の金額です。たったの少額からでも取引ができると安易に25倍のレバレッジで取引しないように注意して下さい。少額×25倍の取引はロスカットの危険性が高いことを覚えておきましょう。
理想的なレバレッジにて取引を行うには、取引単位は何通貨なのか、狙うポジションはいくらなのかによって、自分で計算してみる必要があります。それぞれ取引に使える金額や背負えるリスクも異なりますので、失ったとしてもあきらめがつく金額から始めてみるといいでしょう。