売買シグナルとなるチャートパターンには様々なタイプがありますが、ちょっとレベルアップしたい方におすすめなのがガートレーパターンです。
ちょっと、わかりづらいパターンでもあるので、一般的なチャートパターンの基礎知識がある方向けのパターンでもあります。
今回のFXプロのチャート分析実践講座では、ワンランク上のスキルを身に付けたい投資家のために、ガートレーパターンをご紹介していきます。どうぞ最後までお付き合い下さい。
FXテクニカル ガートレー買いパターン/売りパターン
ガートレーパターンは、ハーモニックパターンの基本形の1つ。
欧米では人気がある分析手法で、フィボナッチリトレースメントを活用した売買シグナルです。日本では、まだそこまで知られていませんが、勝率が高いことで一部の投資家に注目されています。
代表的なチャートパターンには、ダブルトップ・ダブルボトム、トリプルトップ・トリプルボトム、ヘッドアンドショルダーにトライアングルなどがあり、普段から使っている投資家は多いですよね。
勝率は80%以上だと評価する投資家もいて、使えるようになると頼もしい手法だといえます。
まずは簡単に、ガートレーパターンの概要を見ておきましょう。
ガートレー買いパターン/売りパターンとは
ガートレーパターンには、
- 上昇シグナルとなるガートレー買いパターン
- 下降シグナルとなるガートレー売りパターン
の2種類があります。
- X = チャートパターンの起点
- A → B → C → D
とジグザグに動いて、上図のような形状を作った時にシグナルとして使うことができます。
しかし、ガートレーパターンがダブルトップやダブルボトムと異なるのは、いくつか数学的な条件があることです。一見、ダブルトップやダブルボトムのように思えても、実は全く反対に動くガートレーパターンだったと、ということもあり得るわけなのです。
この後で、じっくりとガートレーパターンの基本的な仕組み、ガートレーパターンの条件などを詳しく見ていきます。
ガートレーパターンの開発者
ガートレーパターン、いわゆるハーモニックパターンを発見したのは、H.M.ガートレー。1935年に「Profits in the Stock Market」という本を出版して売買シグナルとして使えるチャートパターンを紹介しました。ガートレーが発表したハーモニックパターンは、ABCDパターンとも呼ばれています。
ハーモニックパターンではABCDを基盤としつつ、「ガートレー」「バタフライ」「バット」「クラブ」と大きく4つのパターンがあるとしています。
ガートレーのパターンはすべて、黄金比率のチャート分析で有名なフィボナッチリトレースメントが基盤となっています。理数学や科学的根拠に基づいた信頼性が高いチャートパターンなのです。
ガートレー買いパターン/売りパターンの基礎知識
ガートレーパターンは、ハーモニックパターンの基本パターンの1つで、ハーモニックパターンは以下の4つのパターンがあります。
- ガートレー
- クラブ(蟹)
- バタフライ(蝶)
- バット(コウモリ)
ガートレーパターンには「買いパターン」と「売りパターン」があります。
- 買いパターン → 上昇シグナルで「買い」
- 売りパターン → 下降シグナルで「売り」
売買タイミングを計る時に大いに役に立つのですが、若干難しいのがガートレーパターンの仕組みと条件です。
ガートレー買いパターンの仕組みと条件
フィボナッチレトレースメントを、XA、ABを基準に2か所挿入します。挿入したフィボナッチの数値をチェックしながら、ガートレーにマッチするかどうかを見ます。
ガートレー買いパターンの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2~88.6%
- Dの価格はXAのフィボナッチ78.6%、ABの113%~161.8%
- Aの価格が最高値となる
- Xの価格が最安値となる
以上の条件にマッチした場合は、「ガートレー買いパターン」と見なすことができます。
Dから価格が反転し始めたら「買い」です。
ガートレー売りパターン/仕組みと条件
フィボナッチレトレースメントを、XA、ABを基準に2か所挿入します。挿入したフィボナッチの数値をチェックしながら、ガートレーにマッチするかどうかを見ます。
ガートレー買いパターンの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2~88.6%
- Dの価格はXAのフィボナッチ78.6%、ABの113%~161.8%
- Aの価格が最安値となる
- Xの価格が最高値となる
以上の条件にマッチした場合は、「ガートレー買いパターン」と見なすことができます。
Dから価格が反転し始めたら「売り」です。
ハーモニックパターン/クラブ
クラブは英語のclab/蟹のことです。蟹のハサミのようにDのラインが長く伸びるのが特徴です。
クラブの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ38.2%~61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2%~88.6%
- Dの価格はXAの161.8%、またはABの224.0%~361.8%
ハーモニックパターン/バタフライ
バタフライは英語のButterfly/蝶のことです。2つの三角の山がほぼ均等に蝶の羽根のように見えるのが特徴です。
クラブの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ78.6%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2%~88.6%
- Dの価格はXAの127.0~161.8%、またはABの161.8%~261.8%
ハーモニックパターン/バット
バットは英語のbat/コウモリのことです。三角のとがったコウモリの羽根のように見えるのが特徴です。
コウモリの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ38.2%~50.0%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2%~88.6%
- Dの価格はXAの88.6%、ABの161.8%~261.8%
ちなみに、ハーモニックのベーシックとなるABCDパターンについて以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にして下さい。
ガートレーパターンの見方・使い方
それでは、実際にチャートを見ながらガートレーパターンの使い方・トレード方法をわかりやすく解説していきます。
描画ツールからガートレーを挿入する
ABCのラインが決定、Dのラインが伸び始めてチャートの形状がダブルトップ・ダブルボトムに近くなってきたら、描画ツールからガートレーを挿入します。
参考までに、ガートレーのチャート分析用に利用したいのがTradingviewのチャートツールです。Tradingviewのチャートツールでは、フィボナッチを挿入しなくても数値が自動表示されますので、とても便利です。
Tradeingviewでガートレーを挿入する方法
左端にあるツールバーから「XABCDパターン」を選択します。
カーソルをチャートの上でクリックすると、丸いドットがXから順番にA、B、C、Dと出てきますので、最初は大まかなところで配置しておきます。
ABCDのそれぞれのドットを、ガートレーのフィボナッチの条件に合うかどうか細かく動かして調整します。
- Bの価格はXAのフィボナッチ61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2~88.6%
- Dの価格はXAのフィボナッチ78.6%、ABの113%~161.8%
規定の数値から大きく外れるようだと、ガートレーパターンには該当しないとなります。
フィボナッチを別で挿入する方法
ガートレーを挿入しても、フィボナッチ数値が表示されない描画ツールが多いと思います。
こちらの記事では、ABCDパターンにフィボナッチを挿入する方法を解説していますので、どうぞ参考にして下さい。
ガートレー買いパターンのトレード方法
ガートレー買いパターンが確認できたら、Dの地点から反発して上に向かうかどうかを注意して様子を見ます。
このタイミングがロングの「買いエントリー」または、ショートポジションの「売りエグジット」のポイントとなります。
ガートレー売りパターンのトレード方法
ガートレー売りパターンが確認できたら、Dの地点から価格が下に向かうかどうかを注意して様子を見ます。
このタイミングがショートの「売りエントリー」または、ロングポジションの「買いエグジット」のポイントとなります。
勝つためのガートレーパターントレード手法
ガートレーパターンはフィボナッチ数値の条件があるため、そう頻繁に見かけるパターンではありません。ガートレーに該当するかどうかをチェックするのに時間がかかるため、普段からダブルトップ・ダブルボトムに近い形状はないか気にかけておく必要があります。
時間足を変えることでガートレーが見つかることもあるのですが、すべての時間足をこまめにチェックするのは限界がありますよね。
そこで、最後にガートレーパターンの検出に役にたつトレード手法をご紹介しておきたいと思います。
ZigZagチャートを挿入しておく!
あらかじめチャートにZigZagチャートを挿入しておくと、ジグザグのラインを自動で引いてくれるインジケーターなので、ガートレーらしきチャートパターンが一目で探しやすくなります。
ZigZagの強みは、絶対にジグザグにラインが引かれることです。
つまり・・・
- 下向きの線に頂点ができたら線は必ず上に向かう
- 上向きの線に頂点ができたら線は必ず下に向かう
ものなので、ガートレーのDからZigZagも下に向かっていれば強力な売買シグナルとなり得ます。
ガートレーの検出ができなかったとしても、トレンドの方向性が掴みやすくなりダブルトップやダブルボトム、ヘッドアンドショルダーなど各種パターンの検出に役に立ちます。
ZigZagチャートは、エリオット波動分析にもよく使われているインジケーターです。
ついでにエリオット波動も覚えておく!
エリオット波動の基本パターンは、
- 上昇トレンド → 5つの上昇波 + 3つの下降波
- 下降トレンド → 5つの下降波 + 3つの上昇波
があります。
基本パターンを覚えておけば、後は様々なタイプのパターンからトレンドを読むヒントを得ることができます。
ZigZagを挿入しておいて、ガートレーが見つからなかった場合でもエリオット波動の売買シグナルが見つかることも多々あります。
チャートパターンの自動検出ツールを使う!
そして、ガートレーで勝つための極めつけのトレード手法は、チャートパターンの自動検出ツールでダブルトップとダブルボトムを探してもらう方法です。
チャートパターンの自動検出ツールに「オートチャーティスト」というソフトがあります。
一部の外資系証券会社で提供しています。世界のFX会社でも3社ぐらい提供しています。
オートチャーティストで検出できるパターン
- ヘッドアンドショルダー
- トリプルトップ
- トリプルボトム
- ダブルトップ
- ダブルボトム
- 上昇トライアングル
- 下降トライアングル
などの代表的な16種類のチャートパターンを自動検出してくれます。
さらに6種類のフィボナッチパターンとレジスタンス・サポートなどの4つのラインを検出してくれる凄いツールなのです。自分でチャートをチェックしなくても、ダブルボトム・ダブルトップができそうになったらオートチャーティストが知らせてくれます。
オートチャートティストを提供している業者
などがあります。
※基本的に最低入金額を満たせば無料で使うことができます。
まとめ
ガートレーパターンで使われているフィボナッチ・リトレースメントは、黄金比率が基盤となっています。黄金比率は古代から物理学的に実証されている、自然の法則でかつ永久不変・絶対的な法則です。
今回ご紹介したように、その他の手法やツールと併用しながら、じっくりと分析したい時に活用してみて下さい。
また、そもそもフォボナッチ・リトレースメントとは何かを知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。