FXの分析手法にはテクニカル分析とファンダメンタル分析と2つの方法があります。FX長期投資は高度なスキルがなくともコツさえつかめば初心者でも勝てるトレード手法ですが、最低でも基礎的な分析手法は抑えておきたいものです。
ファンダメンタル分析はニュースメディアやFX業者の情報配信を駆使することで、何とか自分なりに情報収集ができたとしても、テクニカル分析はなんだか苦手だと戸惑っている方もいるのではないでしょうか。
テクニカル分析の基本を抑えておけば、FX長期投資だけに限らず、スイングトレードやデイトレードなど様々な場面で大いに役に立ちます。長期投資は時間をかけてじっくりと分析手法を学びながら取り組めるのが大きなメリットです。
FX長期投資でおすすめテクニカル分析
FX長期投資は、あまり小さな値動きにとらわれずにざっくりとトレードしていきますので、スイングやデイトレードほどテクニカル分析を使いこなす必要はありません。しかし、だからといって全く知らなくても良いというわけではありません。
今は上昇に向かっているのか、下降に向かっているのかを判断したり、上昇はいつまで続くのか、下降はいつ止まるのかなどを判断する際にテクニカル分析が役に立ちます。
原則としてFX長期投資は文字通り投資になりますので、「買い」から入って「売り」で利益を得るのが定番のスタイルです。稼ぐコツは、まさに「安く買って高く売る」です。
テクニカル分析の基本
テクニカル分析と聞けば、聞きなれない用語も多いので、難しく考えてしまう方もいるかもしれません。テクニカル分析とは簡単にいえば、今が買い時なのか売り時なのか、そしてこれから上がるのか下がるのかをチャートを見て判断していくことなのです。
FX長期投資でおすすめのテクニカル分析は、まずは基本をしっかりと覚えていくことです。長期投資ではテクニカル分析の基本さえ押さえておけば、初心者でも十分に勝つことは可能です。
中には、基本を学ばずにインジケータへと急ぐ初心者もいますが、何事も土台が大切です。土台さえしっかりと築いていれば、後の応用的なスキルは簡単にしかも確実に身に付けていけます。
今回ご紹介するのは、
- チャートとは
- ローソク足分析
- トレンドの見方
- インジケーター
FXテクニカル分析1.チャートとは
FXトレードでは、チャートの活用が欠かせません。チャートを分析して今後の相場動向を予測したり、売買を判断したりすることをテクニカル分析といいます。
そもそもFXのチャートとはどのような種類があって、どのように使うものなのでしょうか。まずはチャートの基礎知識から解説していきます。
チャートの基礎知識
チャートとは
FXチャート
なぜチャートを見るのか
ここで、なぜFXはチャートを見て取引するのか、と疑問に思う方もいるでしょう。現在の売買価格がいくらなのかを見るだけではだめなのでしょうか。
FX会社の取引ツールやFXの情報サイトでは、現在の通貨ペアの為替レードが表示されています。
為替レート一覧
しかし、現在の為替レートだけを見ても、その価格が相対的に安いのか高いのか判断ができないですよね。また、その価格がこの後でもっと安くなるのか、それとも値上がりしていくのか予測することができません。
FXテクニカル分析2.ローソク足チャート
チャートにはラインチャートやエリアチャート、ローソク足チャート(キャンドルスティックチャート)など表示方法が色々あります。チャートの設定から使いやすいチャートを選ぶことができます。
エリアチャート・ラインチャート
ローソク足チャート(キャンドルスティックチャート)
ローソク足チャートとは
FXだけに限らず、株式やCFDなどあらゆる金融商品の相場分析で最も使われているのが「ローソク足チャート」です。ローソク足は一定の時間内で価格がどう動いたのかを1本のローソクのような形状で表したものものです。上や下にラインがついていてローソクの形に似ていることから「ローソク足チャート」という名称がつけられました。
キャンドルスティックチャートとも呼ばれているチャートの表示方法です。
ローソク足の4本値
1本のローソクには、4本値といって以下の4つの価格が記録されています。
終値 → 価格はいくらで動いたのか
高値 → 価格はいくらまで上昇したのか
安値 → 価格はくらまで下がったのか
一定の時間内に上記4つの価格がどのように動いたのかが一目でわかるように考案されたのがローソク足チャートです。仮に、リアルタイムで市場をチェックしていないかったとしても、概ねの市場の動きがローソク足チャートを見ることでわかるのです。
陽線と陰線
陽線とは
陰線とは
大陽線と大陰線
上下に伸びる線がほとんどなく、ローソクのボディだけのものを大陽線・大陰線といいます。
大陽線は価格が安値で始まって高値で終わったことを意味していて、売りの勢いが非常に強かった時に現れるローソク足です。
大陰線は価格が高値で始まって安値で終わったことを意味しています。一気に売りが加速した時に現れるローソク足です。
下影線と上影線
ローソクのボディが小さく、上下に長い線ができているローソク足を下影線・上影線といいます。下影線や上影線からも相場動向を読み取ることができます。
下影線は一旦売られた後で、買いが多く入ったことを意味しています。これは何かの要因で売られたにもかかわらず、下がるのを待っていた投資家が多いことを意味しています。下から押し上げる力が強くこの後の上昇が見込めるローソク足です。
上影線は一時的に買われた後で、売りが多く入ったことを意味しています。価格が上がったため利益確定売りが出た時や、上がると思って買ったけれど熱がすぐに冷めてしまった時などに現れます。上昇への期待が続かなかかったことを意味しており、この後で下降の可能性があるローソク足です。
クロス型・T字型
ローソク足には上記のように全くボディがないものもあります。代表的なものに、クロス型、T字型、逆T字型があります。
クロス型は売りと買いの勢いが等しいことを意味しています。これから上に行こうか下に行こうか迷っている時に見られます。下降トレンドが続いた後で出現すると上昇へのサイン、上昇トレンドにて出現すると下降へのサインとして見なされています。
T字型も強い上昇のサインです。価格が下がりきった後で一気に上昇へ向かおうとする時に見られます。買いの勢いが非常に強いことを意味しています。
逆T字型は強い下降のサインです。上昇に向かっている時に逆T字型が出てくると天井が近いことを意味しており、売りのサインとして見なされています。
ローソク足の分析例
では、具体的にチャートを見てローソク足で分析してみましょう。解釈方法は投資家によって様々です。1つの例として参考にしてみて下さい。
上記のチャートでは前半が小さなローソク足が多く、レンジ相場となっていて動きが鈍いようです。これは相場が売買の材料に欠けることを意味しています。何かのきっかけで上か下かにブレイクする可能性があると見れます。
①一旦はポジティブな要因によって相場は上昇に向かおうとしたようですが、市場に対する不安や迷いが大きいことがわかります。大陰線に近いローソク足が3本続けて出現しています。これを下降へ向かうサインとして見れます。その後も大陰線が続いていることから、これは急落へと向かうな、と予測して長期投資の準備をしておきます。
②どこまで下がるのか見極めている段階ですね。これでもかと急激に下がりきった大陰線の時点で購入するのも1つの方法です。あるいは、上昇のサインとなる大陽線が出現した時点で購入する方法もあります。さらにT字型ローソクが出現しています。下げが止まったかなと判断して手堅く「買い」エントリーできます。
③ここで上影線が数本出てきています。まだ買いの勢いがあることを意味していますが、高値の位置がほとんど動いていません。上昇が止まったかなと様子を見ていると、クロス型と大陰線が出てきました。下降し始めるサインです。スイングならここで一旦利確しておきますが、長期投資ではまだ値幅が足りないため様子見です。
ローソク足の時間を設定する
1本のローソクは、時間足の設定が可能です。
- 月足 → 1本のローソクで1か月間の価格動向がわかる
- 週足 → 1本のローソクで1週間の価格動向がわかる
- 日足 → 1本のローソクで1日の価格動向がわかる
- 4時間足 → 1本のローソクで4時間の価格動向がわかる
- 1時間足 → 1本のローソクで1時間の価格動向がわかる
長期投資では月足~4時間足チャートを使って相場分析を行います。細かい値動きを見たい場合には1時間足や30分チャートを確認すると良いでしょう。
FXテクニカル分析3.トレンドライン
FX長期投資で抑えておきたい、もう1つのテクニカル分析はトレンドラインを引いてトレンドの方向性を確認することです。現在が上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのかがわかれば、売買のタイミングが検討しやすくなります。
トレンドラインの基礎知識
相場は一般的に上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンドの3つのトレンドを繰り返して動いていきます。まずはチャートを見て大づかみにトレンドの流れを把握しておきます。上記のチャートは下降トレンドに2本の赤線、上昇トレンドに2本の青線を書き入れたものです。
トレンドラインの引き方
上昇、下降と大きな流れを見つけたら、高値と安値のラインを線で結んでいきます。
高値のラインが上値トレンドラインで、レジスタンスラインともいいます。この線にくると価格が折り返して下がり始める傾向にあります。
安値のラインが下値トレンドラインで、サポートラインともいいます。この線にくると価格が反発して上がり始める傾向にあります。
この2本のトレンドラインが引ければ、トレンドが切り替わるサインを見つけることができます。
トレンドライン 上昇トレンドに向かうサイン
高値のラインに引いた上値トレンドライン(レジスタンスライン)を価格がブレイクしたら、上昇トレンドへと切り替わるサインです。ブレイクを確認したら「買い」エントリーします。
トレンドライン 下降トレンドに向かうサイン
上昇トレンドの高値の位置があまり動かなくなってきたら、下降トレンドへ切り替わるサインです。ポジションを保有している場合はここで利確です。あるいは下降トレンドに引いた下値トレンドラインを価格が下回ってブレイクした時に売るのも1つの方法です。
もし、この時点でポジションを保有していなければ、これから下降トレンドが始まることになりますので「買い」の準備をしておきます。
FXテクニカル分析4.移動平均線
ほとんどのチャートソフトではインジケーター機能がついていて、挿入したいインジケーターを選択すると自動的にチャートに表示することができます。
長期投資で覚えておくと便利なインジケーターは以下の3種類です。
- 移動平均線
- ボリンジャーバント゛
- RSI
ここでは最もポピュラーな移動平均線の使い方を解説しておきます。
移動平均線の基礎知識
移動平均線は一定の期間における価格の平均値を算出して1本の線で結んだものです。移動平均線は長期、中期、短期と3本の線を表示させて分析に活用します。長期と短期の2本を使う投資家もいます。
- 長期移動平均線 200日前後
- 中期移動平均線 75日前後
- 短期移動平均線 25日前後
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは、短期(赤)が中期(黄)と長期(青)を上に抜けようとする時をいいます。ゴールデンクロスが形成されると、相場は上に突き抜けて上昇に向かう確率が高くなります。突き抜けようとする時、あるいは完全に突き抜けてから「買い」エントリーします。
デッドクロス
一方、デッドクロスは短期(赤)が中期(黄)と長期(青)を下に抜けようとする時をいいます。デッドクロスが形成されると、上昇トレンドは終わりを告げ下降トレンドに向かう傾向にあります。抜けようとし始めた時、あるいは完全に下に抜けてから「売り」エグジットします。
移動平均線の設定方法
それそれ利用しているチャートソフトによって、設定方法は若干異なりますが、概ね以下の方法で設定が可能です。
チャートの設定メニューから「テクニカル分析」「テクニカル指標」「インジケーター」などの項目を探します。移動平均線はインジケータの中でも「トレンド系」に分類されます。「オシレーター/トレンド」と表示がある場合は「トレンド」の中にあります。インジケーターの一覧が出てきたら、「移動平均線」を選択します。
すると、移動平均線の設定画面にいきます。
- 使いたい本数をチェック(2本か3本)
- 色を指定する(短期が目立つ色がおすすめ)
- 日数・週を指定する(長期、中期、短期)
- 保存/確定する
設定しておけば自動でチャートに移動平均線が表示されますので、初心者でも簡単に使いこなせます。
まとめ
今回はFX長期投資に適したテクニカル分析4選をご紹介いたしました。
長期投資では、今回ご紹介した基本的なテクニカル分析だけでも十分に勝つことができます。長期投資で最も大切なのは、長期的な視野でどれくらいが安値でどれくらいが高値なのかを把握しておくことです。そしていかに将来性がある通貨ペアを選べるか、いかに安値で購入できるかにかかっています。
長期投資は時間に余裕をもって取り組めますので、長期投資をしながら、まずはじっくりとチャートの基礎を学んでおくことをおすすめします!