FXチャート分析に使えるインジケーターは、実に様々なタイプがあって、意外とあまり知られていないものに優れものがあったりもします。投資手法や通貨ペアとの相性もあると思いますので、それぞれにとって最適なインジケーターも変わってきますよね。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「アルティメットオシレーター」です。
まだ使ったことがない方のために、「アルティメットオシレーター」の見方や基礎知識、使い方や勝つためのトレード手法を解説していきます。ぜひ参考にして下さい。
FXテクニカル アルティメットオシレーター
「アルティメットオシレーター」は、メインチャートの下部に挿入されるオシレーター系のインジケーターで、オシレーター系でよくある「買われすぎ」「売られすぎ」のタイミングを教えてくれます。RSIと使い方はほとんど同じです。
最初に、「アルティメットオシレーター」の概要を簡単に見ていきましょう。
アルティメットオシレーターとは
アルティメットオシレーターとは、
Ultimateを日本語に訳すると、「究極の」「決定的な」「最終的な」「最高の」などという意味で「究極のオシレーター」と呼ばれることもあります。
一般的に、インジケーターで計測する期間は例えば14や12などと限られた期間が対象となっていました。例えば、短期で設定するとサインが多くなりすぎたり、かといって長期で設定すると動きが緩慢すぎてサインが得られないなど限界がありますよね。
アルティメットオシレーターでは、高値と安値の価格差を3つの期間から算出することで、これまでのオシレーター系の欠点を補います。より正確なサインが得られるといわれています。
アルティメットオシレーターの開発者
アルティメットオシレーターは、1985年にラリー・ウイリアムズによって発表されたインジケーターです。ラリー・ウイリアムズは他にも、数々のインジケーターを開発していて、書籍も多数出版しています。
まだ、ラリーウイリアムズの最高記録は破られていません。
ウイリアムズのインジケーター
Williamsのインジケーターは、
- Williams A/D
- Williams Percent Range Indicator
- Williams Ultimate Oscillator
- Greatest Swing Value Indicator
- Blast Off Indicator
- Williams %R
などがあります。
著作物
- ラリー・ウイリアムズの短期売買法
- ラリー・ウイリアムズの相場で儲ける方法
- ラリー・ウイリアムズのマーケットタイミングの追求
- トレーダーのメンタルエッジ
など
アルティメットオシレーターの基礎知識
アルティメットオシレーターは、従来のインジケーターとは異なり、3つの期間における高値・安値の価格差から、市場の「買い圧力」と「売り圧力」の強さが算出されます。
ここでは、アルティメットオシレーターの計算方法や基本的な仕組みを解説していきます。
アルティメットオシレーターの計算方法
アルティメットオシレーターは、異なる3つの期間が対象となります。
1.TRの数値を求める
TRとは、True Range(トゥルーレンジ)と呼ばれる数値で、現在の相場を以下の3つから数値が大きいものを採用します。
- 当日高値 - 当日安値
- 当日高値 - 前日安値
- 前日終値 - 当日安値
2.BPの数値を求める
TRの数値が出たら、次に、BP(買い圧力)を算出します。
当日のBP (買い圧力)= 当日の終値 - (当日安値か前日終値の低い方)
3.3期間の基本値を算出
TR、BPの数値が出たら、アルティメットオシレーターの基本値を算出します。
アルティメットオシレーターの基本値 =
4 ×(7日間のBPの合計÷7日間のTRの合計)+
2 ×(14日間のBPの合計÷14日間のTRの合計)+
1 ×(28日間のBPの合計÷28日間のTRの合計)
4.アルティメットオシレーター
そして最終的にアルティメットオシレーターの数値が計算されます。
アルティメットオシレーターの基本的な仕組み
アルティメットオシレーターは「0~100」の間で表示されます。
- 0~30% → 売られすぎ
- 50% → ニュートラル
- 70~100% → 買われすぎ
と判断するために使います。ラインの数値や動きから上昇・下降のタイミングを計っていきます。
ダイバージェンス
さらに、アルティメットオシレーターが他のオシレーターと大きく異なるのは、おもにダイバージェンスというサインを重視している点です。
基本的に、アルティメットオシレーターは相場の価格変動に連動して動くのですが、時に全く反対の動きを見せることがあります。
アルティメットオシレーターの見方
アルティメットオシレーターは、1本のラインで「0~100」の範囲で表示されるオシレーター系インジケーターです。30と70を目安に「買われすぎ」「売られすぎ」のサインを得ることができます。
アルティメットオシレーターの数値
まずは、アルティメットオシレーターの数値を確認しておきましょう。
- 最高値100 → 「買われすぎ」の最高値で、この数値に触れることはありません。
- 70 → 「買われすぎ/売りのサイン」
- 30 → 「売られすぎ/買いのサイン」
- 最低値0 → 「売られすぎ」の最高値で、この数値に触れることはありません。
70前後~70以上にラインが触れたら、相場は「買われすぎ」の状態、「売りのサイン」と判断します。
30前後~30以下にラインが触れたら、相場は「売られすぎ」の状態、「買いのサイン」と判断します。
期間の設定
基本的に70~100が「買われすぎエリア」、30~0が「売られすぎエリア」となるのですが、期間が7、14、28のデフォルトの設定だと、70や30を超えることはほとんどありません。期間を5、12、26と若干短めにした方がサインがわかりやすいかもしれません。
通貨ペアや時間足によっても変わると思いますので、アルティメットオシレーターをチャートに挿入してみて、調整してみて下さい。
アルティメットオシレーターのダイバージェンス
ダイバージェンスは、
- 上昇ダイバージェンス
- 下降ダイバージェンス
の2種類があります。
アルティメットオシレーターは、短期・中期・長期と3つの期間を対象に算出されています。RSIやストキャスティックスよりも敏感に反応する傾向にあり、ダイバージェンスが比較的に出やすいことが注目されています。
上昇ダイバージェンス
メインチャートの方では、相場は急下降のトレンドが下に向かっています。しかし、アルティメットオシレーターは逆行してやや上昇に向かっています。上昇ダイバージョンです。
上昇ダイバージョンが現れたら、ラインが「売られすぎ」30のラインに触れるのを待ちます。上昇ダイバージョンが出たら、アルティメットオシレーターが大きく上昇し始めたタイミングで「買い」です。
下降ダイバージョン
相場は上昇トレンドで推移しています。高値の位置はどんどん高くなっているものの、アルティメットオシレーターは逆行して下降に向かっています。下降ダイバージョンです。
下降ダイバージョンが現れたら、アルティメットオシレーターが大きく下がり始めるタイミングで「売り」です。
アルティメットオシレーターの使い方
30と70でエントリー・エグジット
ダイバージェンスでエントリー・エグジット
メインチャートでは高値の位置が上に上がっている局面で、アルティメットオシレーターでは高値の位置が下がっています。下降ダイバージョンです。
下降ダイバージョンの後で、70の「買われすぎ」ラインに達したタイミングで「売り」エントリーです。
予想どおりに相場は下降トレンドに切り替わりました。次に、上昇のサインを待ちます。30に届いていませんが、近況の動きでは最も低い位置にアルティメットオシレーターが下がっています。30の「売られすぎ」ラインに近づいた時点で「買い」エグジットで利確します。
勝つためのアルティメットオシレーター トレード手法
FXでは、インジケーターを使ったチャート分析が欠かせませんが、1つのインジケーターだけでは限界があります。
トレンドラインとRSI
- 下降トレンドが継続する中、アルティメットオシレーターでダイバージェンスが確認されました。RSIは「売られすぎ」のラインで推移中です。トレンドラインを引いてブレイクのタイミングを待ちます。
- アルティメットオシレーターは「売られすぎ」ラインに近づきましたが弱いサインなのでRSIを見ます。RSIは30のラインを大きく下に抜けて、強い「上昇のサイン」を出しています。ちょうどトレンドラインをブレイクしたので上昇の可能性が高まりました。ここで「買い」エントリーします。
- 予想どおりに相場は上昇トレンドに向かいました。上昇トレンドにトレンドラインを引いておきます。アルティメットオシレーターは再びダイバージェンスで「下降のサイン」を出しています。エグジットのタイミングを待ちます。
- アルティメットオシレーターは70に届いていませんが、RSIでは70を突き抜けて「買われすぎ」を表しています。相場がトレンドラインを下にブレイクしました。下降トレンドに切り替わるサインです。ここで、「売り」エグジットで確実に利益を得ます。
RSIの見方・使い方を詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい。
トレンドラインの引き方や見方をこちらの記事で詳しく解説しています。合わせて参考にして下さい。
まとめ
アルティメットオシレーターは、「買われすぎ」「売られすぎ」のタイミングを「0~100」の数値で教えてくれるインジケーターです。特定の期間だけでなく、3つの期間における「買い圧力」「売り圧力」を算出する点が、その他オシレーター系とは異なります。より敏感でより正確なサインが得られるといわれています。
- 70前後~70以上 → 「買われすぎ:売りのサイン」
- 中央 → ニュートラル
- 30前後~30以下 → 「売られすぎ:買いのサイン」
さらに、ダイバージェンスで強い「売買サイン」を得られることが大きな特徴です。
- 上昇ダイバージョン → 上昇・買いのサイン
- 下降ダイバージョン → 下降・売りのサイン
数多くのインジケーターがある中、それぞれの投資スタイルや手法によって、効果的に使えるインジケーターも変わってきます。まずは色んな種類のインジケーターをチャートに挿入して試してみるのが自分に合ったものを探すコツです。