FXチャート分析のインジケーターの中には、まだ使ったことがないものも多いのではないでしょうか。インジケーターと聞くと、ちょっと難しそうだなと思いがちですが、挿入するだけで自動的にラインが表示されますので、使い方のコツさえつかめば初心者の方でもすぐに使えるようになります。
確かに、インジケーターの中には仕組みが複雑なものもありますので、シンプルなものから使っていくのがおすすめです。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回は、シンプルで使いやすい「ジグザグチャート」をご紹介したいと思います。
FXテクニカル ジグザグチャート
「ジグザグチャート」はトレンドの大まかな流れを線で結んでくれるインジケータです。一定期間の高値と安値の位置や方向性がわかるため、自分でラインを上手く引けない初心者の方や、ラインを引く手間を省きたい中級者以上の方まで、あらゆるレベルの方におすすめです。
まずは、「ジグザグチャート」の概要を簡単に見ていきましょう。
ジグザグチャートとは
ジグザグチャートとは、
ジグザグチャートを見ることで、小さなトレンドの動きが掴みやすくなります。1つの大きなトレンドの中で相場が上下していく動きがわかるので、上昇と下降のタイミングを読むのに便利です。
自動的に一定期間内の高値の位置と安値の位置にラインを引いてくれますので、レジスタンス・サポートやトレンド・チャネルラインを引く時の目安になります。ラインを引くのが苦手な初心者の方は、ジグザグチャートを使うことでラインを引く位置がわかりやすくなります。
また、エリオット波動やピッチフォークなどを使いたい場合でも、自分でラインを引いて確認する必要がなくなるので手間や時間を省くことができます。
ジグザグチャートの開発者
ジグザグチャートの開発者はアーサー・メリル/Arther A Merill。1977年に「Filtered Wave」という本で分析手法として紹介されたインジケーターです。ジグザグチャートを使ったアーサー・メリルの分析手法はメリルパターンとも呼ばれています。
おそらくチャート分析のための描画ツールの一環として、インジケータとして挿入できるようになったのだと思われます。ジグザグチャートの使い方は色々とあるので、本やサイトでも使い方や分析方法がたくさん紹介されています。とくにエリオット波動分析に使えるツールとして紹介されるケースが多いようです。
ジグザグチャートの基礎知識
ジグザグチャートは挿入してみるとわかるように、相場の動きを一定期間の高値と安値にラインを引いてくれるインジケーターです。基本的に相場は上がったり下がったりしながら1つの方向に動いていきますよね。ラインの見た目がジグザグになることからジグザグチャートを呼ばれています。
ジグザグチャートの計算方法
ジグザグチャートのラインは、その名の通りジグザグになるように、一定期間内の最高値・最安値がルールに基づいて計算されています。
- Depth → 一定以上の値幅を更新していること
- Backstep → 一定以上の期間を超えていること
- Deviation → 折り返した値幅が、直前ラインの一定以上の割合であること
この3つのルールに沿った上で最高値・最安値の位置が決定されます。
暫定最高値
安値が確定した日から高値が確定する期間の終値の最高値
暫定最安値
高値が確定した日から安値が確定する期間の終値の最安値
高値
暫定最高値から終値がN%以上下落した時に高値の位置が決定
安値
暫定最安値から終値がN%以上上昇した時に安値の位置が決定
パラメーターの設定
ジグザグラインの3つのルールは、各自で任意の数値を設定することができます。
「Depth」→ ジグザグの最小期間が設定できます。この数値が大きくするとジグザグも大きくなり、小さくすると細かいジグザグで表示されます。デフォルトでは12、7あたりが多いです。
「Deviation」→ ジグザグの転換タイミングが設定できます。この数値が大きくなるとジグザグも大きくなり、小さくすると細かいジグザグになります。デフォルトでは7、5、3あたりです。
「Backstep」→ どのくらいの値幅で反転させるのかを設定します。この数値が大きいと動きが鈍くなり、小さいと敏感になります。デフォルトでは12、7、5、あたりです。
ジグザグチャートの基本的な仕組み
- トレンドの流れが一目でわかる
- 上昇・下降のタイミングがわかる
- レジスタンス・サポートラインがわかる
- トレンド・チャネルラインが引きやすくなる
などを見ることができます。
売買タイミングを計る基本的な仕組みは、
- ラインが高値から下に向かったら「売り」
- ラインが安値から上に向かったら「買い」
とシンプルです。
中級・上級編
また中級・上級編として、
- メリルパターンを使う(ラインのパターン)
- エリオット波動に応用する
などの方法もあります。
ジグザグチャートの見方
トレンドの流れを見る
とくに初心者の方は、どこからどこまでが上昇トレンドで、どこからが下降トレンドなのか、なかなか判断するのが難しいものです。ジグザグラインを挿入することで、チャートをぱっと見た時にトレンドの流れを掴むことができます。
ジグザグラインを目安にして、自分でもトレンドが簡単に読めるようになります。
- 下から上に向かうライン → 上昇トレンド
- 上から下に向かうライン → 下降トレンド
というように、とても簡単でわかりやすくなりますよね。
トレンドの切り替わりを読む
また、ジグザグラインではトレンドの流れが読めると同時に、どのポイントでトレンドが切り替わるのかヒントを得ることができます。
- 高値からラインが下に転換 → 上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるサイン
- 安値からラインが上に転換 → 下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるサイン
ジグザグラインの転換ポイントが、売買タイミングを見るのに役に立つのです。
サポート・レジスタンスラインがわかる
そして、ライン描画が苦手な方に嬉しいのが、ジグザグの転換ポイントからレジスタンス・サポートラインがわかりやすくなるのがメリットの1つです。
- ジグザグの頂点(上向き・下向き)にラインを水平に引く
- 概ねで高値のポイントにラインを水平引く
- 概ねで安値のポイントにラインを水平に引く
レジスタンス・サポートのポイントが分かれば、相場が反転するタイミングやブレイクするタイミングを計ることができますね。
トレンド・チャネルラインがわかる
トレンドラインやチャネルラインを引くのが苦手な方でも、ジグザグがトレンドの流れを教えてくれますので、どこにラインを引けばよいのか目安にすることができます。
- ジグザグの転換ポイントから下値・上値ラインをひく
- ジグザグの方向性を目安にトレンドラインを引く
というように、ジグザグチャートがあればライン描画も簡単です。
メリルパターンを見る
M型メリルパターン
M型メリルパターンは、ジグザグがM型を形成するパターンで、16種類あります。M型メリルパターンが形成されると、大きく下降に向かう可能性が高くなります。M型メリルパターンは強い「売りのサイン」です。
W型メリルパターン
Wの文字を形成するW型メリルパターンも16種類あります。W型メリルパターンが形成されると大きく上昇に向かう可能性が高くなります。W型メリルパターンは強い「上昇のサイン」です。
エリオット波動を見る
すでにエリオット波動を使っている投資家なら、ジグザグチャートをエリオット波動分析に使う方法もあります。エリオット波動分析にジグザグチャートを使う投資家は多いようです。こちらの方法は中級・上級者向けのジグザグチャートの活用方法となります。
ジグザグチャートの使い方
ジグザグの転換ポイントでエントリー・エグジット
下に向かっていたジグザグラインが上に転換し始めると、上昇トレンドが始まるサインです。ジグザグが上に向かうのを確認したら、ここで「買いエントリー」します。
予想通りに上昇トレンドへと切り替わったら、あとはジグザグが転換するポイントを待ちます。上昇トレンドがしばらく続いた後で、ジグザグラインが転換して下に向かい始めました。下降トレンドが始まるサインです。ここで「売り」エグジットで利確します。
- ジグザグの下向きの頂点 → 「買い」
- ジグザグの上向きの頂点 → 「売り」
ちょうどジグザグに頂点ができて転換し始める時が売買のタイミングです。
ショートの場合は、上に向かっていたジグザグラインが下に転換し始めたら「売りエントリー」です。そして、今後は下に向かったいたジグザグラインが上に転換し始めたら「買いエグジット」で利確できます。
1つ1つのトレンドは長い時もあれば短い時もあります。エントリーをじっくり待ってしまうと、短いトレンドの時にはスプレッドの関係から利益が出づらくなるので注意しましょう。
メリルパターンでエントリー・エグジット
ジグザグがW3型を作りました。大きく上昇に向かうサインです。まだまだ上向きのラインが続くことが予想されます。W3が判明できた時点で「買いエントリー」で上昇トレンドの波にのります。そして、頂点ができるのを待ちます。次の頂点が出てきた時に「売りエグジット」して利確です。
ジグザグがM型を形成する時は大きく下降に向かうサインです。M15型のメリルパターンが確認できたら、「買いエントリー」で下降トレンドの波にのります。次の頂点が出てきて上に向かい始めた時に「売りエグジット」でたっぷり利確です。
勝つためのジグザグチャートトレード手法
シンプルでわかりやすく、ダマシが少ないジグザグチャートは初心者でも簡単に使いことなすことができます。
移動平均線と組み合わせたトレード手法
長い下降トレンドが形成された後で、ジグザグが下向きの頂点をつくり上に転換し始めました。移動平均線を確認すると、ちょうど短期線が中期・長期線に向かっています。ゴールデンクロスの前触れです。ここで、上昇トレンドへ切り替わるのを予測して「買いエントリー」することができます。
あるいは、完全に上昇に向かうと確定したい場合は、短期線が長期線にさしかかったあたりで「買いエントリー」する方法もあります。
上昇トレンドに向かったら、次のジグザグの頂点を待ちます。ジグザグに上向きの頂点ができて、下に転換しはじめました。下降トレンドに切り替わるサインです。確実に下降に向かうかどうかを移動平均線で確認します。
移動平均線はちょうど短期線が上から中期・長期線を下に抜けようとしています。デッドクロスです。下降トレンドに切り替わることを確証して、「売りエグジット」で利確を決めます。
まとめ
ジグザグチャートは、
- トレンドの流れが一目でわかる
- 上昇・下降のタイミングがわかる
- レジスタンス・サポートラインがわかる
- トレンド・チャネルラインが引きやすくなる
などに使えることが大きな特徴で、メリルパターンやエリオット波動で分析することも可能です。
基本的に、
- ジグザグの下向きの頂点 → 「買い」
- ジグザグの上向きの頂点 → 「売り」
といく仕組みになっているので、シンプルでわかりやすいインジケーターです。初心者から上級者まで、それぞれの用途に合わせて幅広く使って頂けます。
今回ご紹介した移動平均線は、ジグザグチャートが教えてくれるサインを厳選する役割を果たしてくれるのでおすすめです。ぜひ、試してみて下さい。