代表的な売買シグナルに、「明けの明星」というローソク足パターンがあります。「明けの明星」とは、夜が明ける直前に遠くの空に輝く金星のことで、夜明けを告げる星のことをいいます。
「明けの明星」に例えたローソク足パターンは、その名称どおりに上昇トレンドの幕開けを知らせるシグナルとして有名です。
FXテクニカル 明けの明星
ご存知のように、相場はつねに上がったり下がったりしています。下降トレンドがある程度継続したら、今度はどこかのタイミングで上昇トレンドへと切り替わります。
もし、トレンド転換のタイミングがわかれば、有利なエントリーで大きく稼ぐことができますよね。
トレンド転換のタイミングを狙って、ありとあらゆる手法が使われているわけですが、中でも注目されているのが「明けの明星」です。
明けの明星とは
チャート分析で使われている「明けの明星」とは、酒田五法のローソク足パターンのことで有名な売買シグナルです。
「明けの明星」が出現すると、
ことで注目されているのです。
100%絶対に切り替わる保証はないものの、的中率がかなり高いため世界中で多くの投資家に使われています。
明けの明星は酒田五法の手法
明けの明星は酒田五法にて紹介されている売買シグナル。その起源は古く江戸時代にまでさかのぼります。酒田五法とは、売買シグナルとして使えるローソク足パターンのことで、当時の米商人「本間宗久氏」によって開発・考案された分析手法です。
「チャート = ローソク足」といっても過言ではなく、約300年前の江戸時代の分析手法が、時を経て現在でも使われているのは理由があるのです。
1本のローソク足には4本値、市場の流れや市場心理・投資家心理など実に多くの情報が含まれています。さらに1本1本のローソク足の組み合わせから、次の動きが読める酒田五法は国内・海外を問わず高く評価されていて、海外のFXメディアでもよく紹介されています。
酒田手法、本間宗久氏に関する本がたくさん出ています。詳しく知りたい方はオンライン通販から探すことが可能です。
明けの明星 基礎知識
実際の「明けの明星」とは、夜明けを告げる星のことをいいます。夜明けが近づき、暗い空が次第に明るくなろうとする時に「明けの明星」が輝くことで、朝が来たことを知るのです。
「明けの明星」は、上昇のタイミングでエントリーしようと構えている投資家だけでなく、下降トレンドで含み損を抱えた投資家にとっても、まさに待ち構えていた希望の星なのです。
明けの明星の特徴
最もベーシックな「明けの明星」のパターンは、
- 大陰線 → フルボティ―の長めの陰線ローソク足
- 十字線 → 小さな十字型のローソク足
- 大陰線 → フルボディ―の長めの陽線ローソク足
下降トレンドが最安値を更新した後で、この3つのパターンが出現したタイミングで上昇トレンドに切り替わることが多いのです。
「明けの明星」パターンはそれぞれ、若干ローソク足の形状が変わってきます。できるだけベーシックなパターンに近い方が強力なシグナルと見ることができます。
明けの明星を見極めるポイント
明けの明星が出てきた時に、どれくらい強力なシグナルなのかを見極めるポイントをいくつかご紹介しておきましょう。
十字線とハンマー
十字線が完全にラインの十字線の場合と、下のラインの方が長いハンマーの場合とがあります。どちらの場合でも上昇トレンドへの転換シグナルとなるのですが、完全な十字線のラインの方が強いシグナルと見ることができます。
なぜ完全の十字線の方が強いシグナルなのかというと、
一方、ハンマーの方になるとすでに上昇への観測が多少織り込まれている状態だといえます。もちろん、ハンマーも強い買いシグナルですので、こちらのケースでもトレンド展開は期待できます。
ただし、逆ハンマーの場合は若干弱いシグナルとなります。
十字線の位置
十字線の位置からも、シグナルの強さを計ることが可能です。十字線が前後のローソク足から離れるほど、強いシグナルと見なすことができます。
陰線と陽線の高さ・位置
そして、もう1つチェックしておきたいのは、陽線が陰線の半分以上まで伸びているかどうかです。半分以上の位置に陽線がきている場合はトレンド転換の可能性は高いと見れます。
十字線といえるローソク足
小さなローソク足であったとしても、十字線と呼べるかどうかを見ることが大切です。上図チャートのように、上下にラインがないローソク足はシグナルとしてはかなり弱いです。「明けの明星」として見るのは、ちょっと無理がありますよね。
宵の明星も覚えておこう
「明けの明星」とセットで覚えたいのが、「宵の明星」です。
- 明けの明星 → 上昇トレンドに転換するシグナル
- 宵の明星 → 下降トレンドに転換するシグナル
「明けの明星」がロング・買いシグナルだとすれば、「宵の明星」はショート・売りシグナルとして使うことができます。「宵の明星」も酒田五法の売買シグナルの1つとして有名です。
宵の明星とは
「宵の明星」とは、
ローソク足パターンの「宵の明星」は下降トレンドに切り替わるシグナルとして使われています。
上昇トレンドが継続した後で「宵の明星」が出現したら、ここから下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。ロングのポジションを保有している場合は利確です。あるいは、このタイミングでショートから入ることができます。
酒田五法のその他のパターン
「明けの明星」「宵の明星」以外にも、世界中でよく知られている代表的なパターン「三山・三尊」と「逆三山/逆三尊」があります。
三山(さんざん)・山尊(さんそん)
酒田五法の最も代表的なパターンが「三山」です。「三山」は「三尊」とも呼ばれているローソク足のパターンで、一般的に「トリプルトップ」「ヘッドアンドショルダー」とも呼ばれているパターンのことです。
「三山」「三尊」は、ローソク足が山を3つ作った後で、下降に向かうパターンのことです。上昇トレンドから天井をつけて、下降トレンドに切り替わる時に出現することが多いです。
「売りシグナル」として使うことができます。
逆三山(ぎゃくさんざん)/逆三尊(ぎゃくさんそん)
「三山」「三尊」とは逆に下向きの山が3つ並ぶパターンを「逆三山」「逆三尊」といいます。一般的には、「トリプルボトム」「ヘッドアンドショルダーボトム」呼ばれているパターンのことです。
「逆三山」「逆三尊」は、ローソク足が下向きに山を3つ作った後で、上昇に向かうパターンのことです。下降トレンドで底をつけて、上昇トレンドに切り替わる時に出現することが多いです。
「買いシグナル」として使うことができます。
この機会に酒田五法を簡単にチェックしておきましょう。
明けの明星の見方・使い方
それでは、具体的にチャートを使って「明けの明星」の見方や使い方を解説していきます。
明けの明星・宵の明星1
こちらのチャートでは、ちょうど「明けの明星」と「宵の流れ星」が1つの上昇トレンドに出現してます。
- 「明けの明星」が確認できたら →「買いエントリー」
- 「宵の明星(流れ星)」が確認できたら → 「売りエグジット」
「明けの明星」が形成される前に、十字線が出てきていますね。この十字線の存在が上昇への可能性を強めています。
大陰線、次にハンマーに近い十字線、そして大陽線が続いています。大陽線が大陰線よりも高い位置にきていて、ボディーも長めです。大陰線の高値を完全に超えたら「買いエントリー」です。
「宵の流れ星」の方は、かなり強い上昇トレンドで推移していて、途中でハンマーよりの十字線も出てきているので判断に迷うところです。
ただ、下降シグナルの決め手となるのが、初めて登場する大陰線で、この次の動きを念のため確認します。次の陽線は高値の位置が低くなっていますね。この後で価格が下がり始めた時に「売りエグジット」します。
明けの明星・宵の明星 2
続いて、若干判断が微妙なシグナル例を見ておきましょう。「明けの明星」の大陽線は大陰線の半分以上を超えてはいるものの短めです。「宵の明星」の方もかなり短い大陰線で終わっています。
判断に迷ったら、まず「明けの明星」の前の動きを確認します。このチャートでは、十字線が連続して出てきていますね。上昇に向かおうとする動きの表れです。
2本目の大陽線の動きを確認して、十字線の前の大陰線を2本目の大陽線が超えたら「買いエントリー」します。
この「宵の明星」の場合は、少し前に十字線・ハンマーと連続していますので判断が難しいですね。この後2,3本の動きを見てから決断したいところです。
「宵の明星」がなんとなく確認できたら、次に出てくる逆ハンマーに注目です。高値も安値も下がってきています。そして、十字線から3本目の陰線が逆ハンマーを下回った時点で「売りエグジット」しておきましょう。
勝つための明けの明星トレード手法
それでは、最後に「明けの明星」で勝つためのトレード手法をご紹介します。
まず、最初に注意しておくことは、
必ず複数の手法を用いて、シグナルの裏付けをとりながらエントリー・エグジットを決めることが大切です。
そこで、「明けの明星」と合わせて使っていきたいのが「カオス・アリゲーター」です。
明けの明星とカオスアリゲーターでエントリー
カオスアリゲーターは3本の移動平均線が表示されるインジケーターです。インジケーターに戸惑いがちな初心者でも、シンプルで使いやすいのが特徴。
カオスアリゲーターとは
カオスアリゲータは、アリゲーターとも呼ばれているインジケーターで、3本のラインをワニの口み見立てて分析を行います。
- ワニが口を開けたら → 開けた方向にエントリー
- ワニが口を閉じたら → ポジションを決済
と2つのルールがあるだけなので、とても簡単です。
ワニが口を開けた状態
ワニが上向きに口を開けているので上昇、買いエントリーです。
ワニが口を閉じた状態
ワニが口を閉じて3本のラインが収束、ポジションを決済します。
エントリー・エグジット例
「宵の明星」を確認、大陽線が一気に伸びています。しかし、ここでエントリーして価格が一気に下がることも考えられます。アリゲーターが口を開こうとしたタイミングで用心して「買いエントリー」です。
アリゲーターが上向きに口を開いている間は上昇トレンドが継続する可能性が高いです。ローソク足をチェックしながら、アリゲーターの口の動きを確認します。
アリゲータがやや下向きに向かい始めたら口を閉じる前触れです。ローソク足でも「宵の明星」らしきシグナルが出ています。アリゲータのラインが下向きに向かい始めたら「売りエグジット」で利確です。
まとめ
今回は、最も代表的な売買シグナルの1つ「明けの明星」について解説いたしました。
「明けの明星」は夜明けを告げる星、上昇トレンドの幕開けを教えてくれるローソク足パターンです。
- 大陰線
- 十字線
- 大陽線
と続くパターンをこの機会に覚えておきましょう。
似たような「明けの明星」でも、ローソク足の長さや十字線の形状、直前のローソク足の動きなどからも解釈は微妙に変わってきます。1本1本のローソク足を注意深くチェックすることで、的確な判断につながるでしょう。