ローソク足分析はチャート分析の基本中の基本。重要なシグナルを覚えておくことで、判断が微妙な局面にて大いに役に立ちます。
チャート分析では最も初歩的なスキルとなるため、ともするとローソク足分析をなおざりにしてしまうこともあります。
ローソク足パターン「ハンマー」
プロの投資家の中には、ローソク足だけでも十分にチャート分析はできるという方もいるくらい、「ローソク足パターン」は実に優れた分析手法の1つです。初心者からプロまで世界中で幅広く使われています。
重要だとされるローソク足パターンはいくつかありますが、中でも一番に覚えておきたいのが「ハンマー」です。まずはローソク足ハンマーの概要を簡単に見ていきます。
ローソク足のハンマーとは
相場がとことん下降に向かった後、あるいは相場がどこまでも上昇に向かった後、「ハンマーの出現はトレンド転換のまえぶれ」と見ることができるのです。
- 上昇トレンドで出現するハンマー → 下降シグナル
- 下降トレンドで出現するハンマー → 上昇シグナル
ハンマーが上向きで出現した場合、下向きで出現した場合、あるいはどのような局面にて出現したのかによって、解釈の仕方も変わってきます。
ハンマーは、ハンギングマン、トンカチ、カラカサ、シューティングスター、T字型など様々な名称で呼ばれ、トレンド転換の合図として多くの投資家の間で重要視されているのです。
ハンマーが重要だとされる理由
ハンマーが重要だとされる理由は、
売り・買い、強気・弱気、上昇・下降の強さが逆転するローソク足だからです。ハンマーは価格が大きく動いて高値や安値をつけた後で、価格が一気に元に戻る様子を表しています。
ハンマーの動きの背景には、
- 下がると思ったけれど、やっぱり買いだ
- 上がると思ったけれど、やっぱり売りだ
と全く反対向きに方向転換した投資家が多い事実があるのです。
本来なら上がろうとする場面、本来なら下がろうとする場面にて、逆向きの力が表面に出るためには物凄く大きな力・勢いを必要とします。
ですから、ハンマーが出現すると劇的なトレンド転換が起こることが多いというわけです。この瞬間を多くの投資家が狙っているのです。
ローソク足パターンは誰が考案・開発したのか?
ローソク足を開発・考案したのは江戸時代の米商人、本間宗久氏です。本間宗久氏は、1724年に山形県酒田市(出羽庄内)の日本有数の大富豪商人「本間家/新潟屋」の三男として生まれました。時は徳川吉宗将軍の時代。16歳の時に江戸に上京し、米相場に関する見聞を得たとのこと。
その後、多くの商人・相場師からローソク足の分析手法が注目されるようになり、200年以上の時を経て受け継がれてきました。
現在では、世界中でその優れた分析手法は高く称賛され、海外の投資メディアでもよく紹介されています。ちなみに酒田五法も本間宗久氏が考案したといわれています。
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ローソク足パターン「ハンマー」の基礎知識
ローソク足パターン「ハンマー」は、
を教えてくれる非常に重要なシグナルです。
ハンマーの特徴
ハンマーはトレンド転換のサインとして、上向きのハンマーと、下向きの逆ハンマーがあります。
出現する場所によって若干の意味合いは変わってくるのですが、基本的に、
- ハンマー(上向き)→ ブル相場・買いのサイン
- 逆ハンマー(下向き)→ ベア相場・売りのサイン
ハンマーの基本パターン
ハンマー(上向き)
- 終値と始値がほとんど変わらない
- 高値と安値の位置が大きく離れている
- 終値・始値が高値の位置にある
ハンマーは、一旦価格が大きく下がった後で、元の高値まで戻っていることを表すローソク足です。この現象には、市場動向的に深い意味があって、「下がろうとしていたところ、買い圧力の勢いがかかった」ことを意味しています。
例えば、ネガティブなニュースやテクニカル上のタイミングから価格は本来なら下がるべき場面だとします。しかし、価格が大きく下がったことによって、「ここまで下がるのを待っていた」「これはかなり割安だ」「やっぱり売るべきではなかった」「まだ、上昇の余地はある」などと反対に動く投資家の圧力の方が大きいことを意味しているのです。
下がる場面にて一気に価格が戻るということは、かなり強気の買い圧力が存在することの表れです。ハンマーは、まさに下から押し上げる力が強いことを表しているのです。
逆ハンマー(下向き)
- 終値と始値がほとんど変わらない
- 高値と安値の位置が大きく離れている
- 終値・始値が安値の位置にある
逆ハンマーは、一旦価格が大きく上がった後で、元の安値まで戻っていることを表すローソク足です。この現象は「上がろうとしていたところ、売り圧力の勢いがかかった」ことを意味しています。
例えば、ポジティブなニュースやテクニカル上のタイミングから本来なら上昇に向かう場面だとします。しかし、価格が大きく上がった時点で、「買うつもりではなかった」「ちょっと早まったかもしれない」「ここまで上がれば限界だろう」「また、下がり始めるかもしれない」などと反対に動く投資家の方が多いことを意味しているのです。
上がる場面にて一気に価格が戻るということは、上昇への材料が少ないことの表れです。逆ハンマーは、まさに上昇への期待が薄いことを表しているのです。
ハンマーの種類
ハンマーと見なすことができるローソク足にはいくつか種類があります。ハンマーと逆ハンマーの種類をまとめて見ておきましょう。
ハンマー(上向き)
- ローソクのボディが少し残っている陰線・陽線のハンマー
- ローソクのボディがほとんどない陰線・陽線のハンマー
- 高値の位置に始値・終値がきているT字型のハンマー
色々なタイプのハンマーがありますが、上図のように「下影線が長い・上影線がほとんどない・ローソクのボディが短い」タイプはハンマーに分類できます。シグナルの意味はすべて同じです。
下影線が長くなるほど強力なハンマーと見なすことができます。
逆ハンマー(下向き)
- ローソクのボディが少し残っている陰線・陽線の逆ハンマー
- ローソクのボディがほとんどない陰線・陽線の逆ハンマー
- 安値の位置に始値・終値がきている逆T字型の逆ハンマー
上図のように「上影線が長い・下影線がほとんどない・ローソクのボディが短い」タイプは逆ハンマーに分類できます。これらの逆ハンマーもシグナルの意味はすべて同じです。
上影線が長くなるほど強力な逆ハンマーと見なすことができます。
ちなみに、ローソク足パターンの十字線について以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にして下さい。
ハンマーの重要パターン
では、次にハンマーで強力なシグナルである2つのパターンをご紹介します。
上昇シューティングスター
上昇シューティングスターは、
最安値をつけた時点で、「ここが底」だと判断する投資家が多いために買いが加速したと見ることができます。このシューティングスターをきっかけに買いがさらに勢いを増して上昇トレンドへと向かう可能性が高いのです。
下降シューティングスター
下降シューティングスターは、
最高値をつけた時点で、「ここが天井」だと判断する投資家が多いために売りが加速したと見ることができます。このシューティングスターをきっかけに売りがさらに加速して下降トレンドへと向かう可能性が高いのです。
ローソク足パターン「ハンマー」の見方・使い方
では次に、ハンマーの見方や使い方を実際にチャート上で解説していきます。
ハンマーでエントリー・エグジット
エントリー
下降トレンドが継続した後で下向きのハンマーと、下向きのハンマーの後で、上向きのハンマーが連続で出てきていますね。ただ、短いハンマーなので様子を見る必要があり、もうすぐ上昇トレンドに切り替わるかもしれないと構える段階です。
そして、価格が一旦下がった後で上向きの長いハンマーが出てきています。ここで、上昇への確証を高めます。ハンマーの次のローソク足がハンマーの高値を超えたら「買いエントリー」です。
エグジット
大きく上昇した後で、長い逆のハンマーが出現しました。下がる可能性があると見ることができます。次のローソク足がハンマーの安値を下回った時点で下降トレンドに向かう可能性が高まります。しかし、逆ハンマーの前に下影線が長いローソクが続いているので上昇が継続するとの読みも捨てれないところですね。
そこで、2本目の逆ハンマーが出現した時に、下降トレンドへ転換すると判断します。1本前のローソクの安値を下回った時点で「売りエグジット」です。
以下の記事では酒田五法のローソク足パターンをご紹介していますので、合わせて参考にしてみて下さい。
勝つためのローソク足パターン「ハンマー」トレード手法
それでは最後に、ローソク足パターン「ハンマー」で勝つためのトレード手法をご紹介したいと思います。
ローソク足パターンをシグナルとして使う時に注意したいのは、ローソク足だけに依存しないことです。
必ず、ファンダメンタルズを考慮しつつも、複数の分析手法を用いるようにするのが成功のコツです。
そこで、ローソク足パターンと一緒に使いやすい、オシレーター系のインジケーターRSIをご紹介します。
ハンマーとRSIで強力なシグナルを得る!
RSIの売買シグナル
RSIは、メインチャートの下に挿入されるオシレーター系のインジケーターです。RSIの仕組みはとてもシンプルでわかりやすいので、ローソク足を見ながらでも一緒に併用することができます。
- RSIが70に触れたら「買われすぎ」 → 売りシグナル
- RSIが30に触れたら「売られすぎ」 → 買いシグナル
と見ることができます。
ハンマーとRSIでエントリー・エグジット
エントリー
下降トレンド継続した後、RSIは30に触れていて「売られすぎ」のシグナルを発しています。そろそろ上昇トレンドに切り替わる可能性が高いです。ローソク足のシグナルを待ちます。強力な上昇シグナルのハンマーが2本続けて出現、次のローソク足の陽線が上に抜けたところで「買い」です。
エグジット
予想どおりに上昇に向かいました。すぐにRSIが70に触れて逆ハンマーに近いローソクが出てきていますが、長いフルボディのローソクが2本続いているので、上昇の勢いは強いと読み様子を見ます。2回目のRSIシグナルとローソク足ハンマーが一致するタイミングで満足の「売り」です。
ローソク足パターン「ハンマー」まとめ
ハンマーは、数あるローソク足パターンの中でも最も重要視されているパターンの1つで、強力なトレンド転換のシグナルだといわれています。
- ハンマー → 下影線が長く、ボディが短いほど強い上昇シグナル
- 逆ハンマー → 上影線が長く、ボディが短いほど強い下降シグナル
と見ることができます。