欧州株に投資する方法はおもに、現物の株式かETFがありますが、最近注目されているのが欧州株ETFをCFDで取引きする方法です。
国内では、まだ欧州株が取引きできる証券会社が少ないことや、手数料が割高だったり、約定に時間がかかるなど条件的に厳しいのが現状です。
欧州株ETFがCFDで取引きできると聞いても、「CFD?でETFとはどういうこと?」とわかりづらいかもしれませんね。
CFDとは?
CFDとは、
差金決済とは、株式や株価指数、先物など金融商品の売買価格を取引するもの。将来的な値上がりや値下がりによる価格差から利益を得る方法のことです。市場に実在する金融商品の現物を取引するわけではないのがCFDの特徴です。
例えば、FXも実際に通貨を売買するわけではなく、売買価格をやり取りしますよね。FXもCFD商品の1つ。通貨ペア以外のCFD商品でも、FXと同じようにレバレッジをかけて「買い」か「売り」かでポジションが持てます。
CFDのイメージ
海外の商品に投資がしたくても、取り扱う業者が少ないうえに条件的にちょっと厳しいのが現状。
CFDであれば、業者や商品数も多くなり比較的容易に海外投資が実現できます。始めやすい投資方法として、最近注目されているのです。
CFDの種類
代表的なCFDの商品は、
- METAL/貴金属 → 金、銀、プラチナ
- ENERGY/エネルギー → WTI、Brent、天然ガス
- 株価指数 → NYダウ、日経225、DAX
- 外国株式 → 米国株式、欧州株式
- ETF → 米国、欧州などに上場するETF
などがあり、すべてのCFD商品は市場での取引価格が反映される仕組みなっています。
GMOクリック証券ではCFD取引について詳しく解説しています。こちらも参考にしてみて下さい。
欧州株ETFのCFDとは?
欧州株ETFのCFDとは、
ユーロネクストやロンドン証券取引所には様々なタイプのETFが上場していて、株式のように1株単位で売買されています。
CFDでは、実際に市場で取引されているETFの売買価格がそのまま反映される仕組みになっています。
ETFとは
ETFとは、
Exchange Traded Fund を略したもので、日本では「上場投資信託」とも呼ばれています。
株式とETFのイメージ
通常の株式だと、投資家自身で上場する銘柄の中から「A社」という銘柄を選んで取引しますよね。
ETFでは、あらかじめ運用会社が複数の銘柄を組み合わせたファンドに投資を行うことになります。運用会社はファンドの目的に沿って、定期的に組み入れ銘柄の種類や比率の見直しを行っています。
ETFは株式型、債券型、通貨型、コモディティ型、総合バランス型など様々なジャンルがあり投資目的に合わせて選ぶことができます。
欧州株ETF投資とは
欧州株ETFは、1つのファンドを購入することで複数の欧州株に投資ができる商品です。
ETFは投資家それぞれの目的やレベルに合わせて、臨機応変に活用することができます。
- どの銘柄を選べばよいかわからない時
- プロに銘柄選びや運用を任せたい時
- 特定の業種・テーマに沿って総合的に投資がしたい時
- 複数の銘柄に分散投資がしたい時
- 複数の銘柄を購入したいが資金が足りない時
というように、ETFは初心者~上級者・プロまで幅広く取引されているのです。
欧州株ETFの特徴
欧州株ETFは、世界中で取引されている人気の金融商品の1つです。
欧州株ETFで抑えておきたい運用会社
では、実際にどんな運用会社が欧州株ETFを提供しているのか見ておきましょう。
UBS
欧州株ETFを代表する運用会社の1つがUBSです。UBSはスイス銀行、クレディ・スイス、スイスユニオン銀行が合併して設立された欧州最大規模の金融機関です。スイスを本拠地にグローバルに展開しています。投資信託運用の実績は30年以上、株式、債券、コモデティなど幅広いETFを提供しています。
BLACKROCK
BLACKROCKは世界最大の投資機関。世界で約4割のETFシェア率を誇り人気ナンバーワンのETF運用会社です。中でも多彩な種類のETFを取りそろえた「iShares」シリーズが有名で、ETF純資産総額は約1兆円を超える規模です。国内でも取り扱う証券会社が多いです。
VANGUARD (バンガード)
バンガードも世界トップクラスの運用会社で、低コストで安定性が高いことで人気があります。目標型、バランス型、低コスト型、規律型と要望に合わせたファンドを選ぶことができます。
など欧州株ETFだけでなく、世界中の商品を扱ったETFを発行しています。
上記3社以外でも、
など、世界的によく知られているETFの運用会社です。
代表的な欧州株ETF
- UBS ETF MSCI Europe
- UBS Euro Stoxx 50 UCITS
- SPDR MSCI Europe
- Xtracker MSCI Europe
- Germany All Cap UCTIS
- iShare MSCI Germany
- iShare MSCI United Kingdom
とくに、欧州の株価指数連動型のETFが人気があります。
中級者以上になると、将来性のあるテーマを絞ってETFを選ぶ方も多いようです。テーマ型は、欧州株だけでなくグローバルに複数の国の銘柄が組み合わせたものが多くなります。
最近注目されている業種やテーマからファンドを探すことが可能です。
欧州株ETFの魅力
知名度が高い欧州株の場合、単価は100ユーロ~300ユーロあたりが一般的で、高成長を遂げている銘柄になると1000ユーロ近くの値をつけている銘柄もあります。1つ1つの銘柄を個別で購入しようとすれば、まとまった資金が必要です。
しかしETFなら、ハイブランド企業が数多く組み入れられていますので、1つのファンドの購入代金だけで済みます。
欧州株ETFの注意点
株式取引のリスクを理解したうえで取り組むようにしましょう。
もう1つ注意したいのは、欧州株ETFの情報は英語となる場合が多いことです。日本語のみで入手できる情報は限られてしまいます。Googleの翻訳機能を使ったり、日本語で表示可能な欧州株ETFのみを取引きするなどの工夫が必要です。
欧州株ETF CFDの買い方
欧州株ETFが取引きできる業者はあまり多くはないのですが、一部の業者にて豊富なETFを取り扱っています。
欧州株ETFをCFD買う方法・始める手順を見ておきましょう。
- 海外ETFのCFDが取引できる業者・証券会社を調べる
- 条件に合った業者・証券会社を選ぶ
- 総合口座(メイン口座)を開設する
- CFD口座を開設する
- 取引計画に合わせて資金を入金する
- 取引機会を待つ・見つける
- 最初のポジションを買う
- 利益が出たら決済して利確
CFDの取引ツール
業者が提供する専用の取引ツールを使って売買します。
CFDの注文方法
CFDの注文方法は、その業者が提供するFXと同じ機能が使えるのが一般的です。成行、指値・逆指値、トレール、IFD、OCOなど。「買い」と「売り」とどちらからでも入れます。
欧州株ETF CFDを始める際の注意点
選ぶ業者によってCFDの取引条件が異なります。
公式サイトでは確認できないケースもありますので、問い合わせなどで聞いておきましょう。
- 最大レバレッジ → 5倍(レバレッジ規制にて一律)
- 手数料 → 1取引あたり/11.0ユーロ/11.0ポンド~(要確認)
- スプレッド → 比較的に広め
- 配当金 → 保有期間に応じて配当金がもらえる場合がある
- 取引単位 → 1単元、または0.01ロット~が平均的
欧州株ETFのCFD・ETF比較
欧州株ETFは、CFD以外でも現物のETFで投資する方法もあります。CFDとETFではどちらの方が取引しやすいのでしょうか。
まずは、欧州株ETFの現物にはどのような商品があるのかをご紹介しておきましょう。
欧州株ETF(現物)
国内ETF
- UBS ETF 欧州株(1386)
- UBS ETF ユーロ圏株(1387)
- UBS ETF ユーロ圏大型株50(1385)
- UBS ETF 英国株(1392)
- UBS英国大型株100(国内ETF/1389)
海外ETF
- シェアーズDJユーロ・ストックス50(EUE)
- バンカード・ヨーロピアンETF(VGK)
- iシェアーズ・コア FTSE100 UCITS ETF(ISFU)
- iシェアーズMSCI英国小型株ETF(EWUS)
- iシェアーズMSCIオランダETF(EWN)
CFD・ETF 比較一覧
欧州株ETF投資をCFDとETF現物で比較してみました。
CFD | 国内ETF | 海外ETF | |
---|---|---|---|
取引業者 | 業者の数は少ない | ほとんどの証券会社で可能 | 海外ETFを扱う業者のみ |
取引時間 | 米国市場の時間 | 東証のオープン時間 | 米国市場のオープン時間 |
ポジション | ロング ショート | ロング ショート (信用取引のみ) |
ロング ショート (信用取引のみ) |
レバレッジ | 最大5倍 | 最大3.3倍 (信用取引のみ) |
最大3.3倍 (信用取引のみ) |
取引単位 | 1単位~ | 1株~ | 1株から可能 |
手数料 | 11.0ユーロ~ | 業者による 信託・管理報酬がかかる |
業者による 信託・管理報酬がかかる |
スプレッド | 広め | 広め | 広め |
スワップ | あり | なし | なし |
配当金 | 配当金あり | 配当金あり | 配当金あり |
備考 | 種類が豊富 市場価格が反映 |
数は少ない 現物・市場価格で取引 |
数は少ない 現物・市場価格で取引 |
欧州株ETF CFDのメリット・デメリット
欧州株CFDのメリットは、実際に欧州市場のETFの売買価格でリアルに取引できることです。豊富な銘柄が、手数料も格安でレバレッジが最大5倍と初心者でも少額でも始めやすいのが魅力です。
デメリットは、取り扱う業者が少ないこと。ポジションを持ち越した時にスワップや調整額が差し引かれるケースがあること。事前の確認が必要です。
欧州株ETF(現物)のメリット・デメリット
国内ETF(現物)では、UBSのETFが東証に上場していることがメリット。株式口座で容易にUBSのETFが取引できます。ただし、UBS以外の銘柄が選べないことがデメリット。
海外ETF(現物)のメリットは、欧州市場に上場する現物のETFが取引できることです。しかし、信託・管理報酬がかかり、事前の外貨への両替や約定が即時で決済されないなど不便です。
銘柄の種類や手数料など、トータル的な取引条件を比較すると、CFDの方が投資家には有利だといえます。
欧州株ETF投資の攻略法
では次に、欧州株ETF投資で成功するためのコツ・攻略法を解説していきます。
攻略法1.取引時間を確認しておこう!
欧州株ETFは、基本的に欧州の証券取引所(ユーロネクスト)がオープンしている時間帯に取引できます。ただ、欧州といってもイギリスのETFはロンドン証券取引所の時間帯となります。
※世界のFX会社によっても、若干時間帯が異なる場合がありますので注意して下さい。
欧州・イギリスの取引時間
ユーロネクスト パリ(現地時間: 9時~17時30分)
日本時間: 冬時間/17時~翌1時30分 夏時間/16時~翌0時30分
ロンドン証券取引所(現地時間: 8時00分~16時30分)
日本時間: 冬時間/17時00分~翌1時30分 夏時間/16時00分~翌0時30分
米国の証券取引所の時間帯(現地時間: 9時30分~16時)
日本時間: 冬時間/23時30分~翌6:00 夏時間/22時30分~翌5:00
攻略法2.欧州株ETFの詳細をチェックしてみよう!
欧州株ETFはファンドごとに構成銘柄や価格、値動きも様々です。
ファンドの詳細を調べる方法
- ファンド名で検索してみる
- 運用会社のサイトを見てみる
- ファンドの基本情報をチェックする
- 構成銘柄・構成比率をチェックする
- 構成比率が高い銘柄を調べてみる
例えば、Vanguard European Stock Indexで調べてみると、Bloombergのサイトで日本語で情報が検索できました。
ファンド基本情報の例
構成銘柄の例
攻略法3.情報ツールをゲットしよう!
欧州株ETFで最も困難となるのが情報収集です。
欧州の情報は米国ほど多くはありません。国内・日本語で検索できる情報に限りがあります。どのサイトなら情報が得られるのか準備しておく必要があります。
※簡単な英語が分かる方は、英語版なら圧倒的に情報量が多くなりますので、この機会にチャレンジしてみて下さい。
役に立つ情報サイト・ツール
日本語版
上記のサイトは完全日本語版で利用できます。
英語版になると、欧州株ETFの情報も豊富です。英語が苦手な方でも、数字やファンド名や銘柄名が読めれば、意外と理解できる情報も多いです。
英語版
リサーチには十分に時間をかけることが大切。気になるファンドの情報を比較検討して、それぞれの目的に合ったファンドを選ぶようにしましょう。
欧州株ETF CFDでおすすめの証券会社
それでは、最後に欧州株ETFのCFDでおすすめの証券会社をご紹介します。
CFDが圧倒的に多い!「IG証券」
- 米国株式ETFの最大レバレッジ:5倍
- 手数料:11.0ユーロ・11.0ポンド~/1取引
- 17,000以上のCFD商品
IG証券では、世界中のETFの銘柄が2,000種類以上と圧倒的な多さです。多彩な種類のETFから選ぶことができます。IG証券は、ロンドン証券取引所にも上場している大手外資系で、世界中のCFD商品が17,000以上、海外でもCFDの数ではトップクラスにあります。
欧州以外でも、米国はもちろんのこと、香港や上海、インド、シンガポール、南アフリカ、ブラジルなど他社では取引できない商品が豊富です。様々なCFDを取引したい方には大満足の証券会社です。
海外投資を本格的に!「サクソバンク証券」
- 株式CFDの最大レバレッジ:5倍
- 手数料:取引金額 × 0.25%/1取引
- 世界中の株価指数・株式が豊富
サクソバンク証券では世界中のETFや株式がCFDで取引できることに加えて、現物の外国株式の取り扱いが充実していることが魅力です。ETFは約820種類、米国株式・欧州株式、他にも不動産、債券、原油などのETFも取引できます。
世界15か所の取引所に上場する商品があり、株式・ETFのCFDは8,000銘柄、現物の海外株式は12,000銘柄を扱っています。現物の海外商品は国内最多で、本格的にCFD以外でも海外投資を展開していきたい方におすすめです。
まとめ
ETFは、個別株の銘柄を覚えるためにも役に立ちます。
米国株に比べると欧州株と聞いても具体的な銘柄が思い浮かばないものです。しかし実際には、意外と日本人でもよく知っている企業が多いのです。
欧州株ETFを取引することで、世界トップクラスの投資機関が注目している銘柄を覚える機会になりますよね。ETFから始めて、株式取引に進むことも可能。