FXチャート変動の要因になる投資家の心理とは?

FXチャートはいつも変動していて、上がったり下がったりしています。為替レートは一体どんな要因から動いているのでしょうか。

まず最も重要となるのがその通貨の需要と供給のバランスです。その通貨を買いたい人が売りたり人よりも多くなると為替レートは上昇、売りたい人の方が多くなると為替レートは下降します。そして、他にも為替変動の要因として考慮しておきたいのが投資家心理・市場心理です。

「これから上がる」と予測する投資家が増えると「買い」が進み相場は為替レートは上昇します。一方では、「これから下がる」と判断する投資家が多くなることで「売り」が加速してレートは下がっていきます。今、市場では投資家たちはどのような心理でいるのかを知ることで、より的確な相場予想が可能となります。

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今回は、FXチャート変動の要因になる投資家の心理について解説していきます。

FX為替変動の要因

FX為替変動の要因

上昇したかと思えば下がり始めたり、下降したかと思えば突然価格が急騰したり、FXチャートはつねに動き続けています。

為替レートが同じ価格でずっと推移することはあり得ません。様々な要因から為替レートは休みなく変動し続けています。だからこそ上がったり下がったりでFXで稼ぐことができるわけですが、ここで為替変動の要因をいくつか挙げていきたいと思います。

通貨の需要と供給のバランス

為替レートを左右する最大の要因は需要と供給のバランスです。

  • 通貨を買いたい人が多い(需要が供給よりも多い) → 価格は上昇
  • 通貨を売りたい人が多い(供給が需要よりも多い) → 価格は下降

では、どんな理由・状況から「通貨を買いたい = 需要」「通貨を売りたい = 供給」が発生するのでしょうか。

貿易による需要と供給

通貨の需要・供給が発生する状況の1つが、まずは各国の貿易です。

ある国が貿易にて何かを輸入する際には、原則として輸入する国の通貨が必要になります。また、金や原油など特定の商品は米ドルで取引されるなど、貿易上で自国以外の通貨への需要が生まれます。

各国の輸出と輸入の関係から、「自国の通貨を売って → 供給」「他国の通貨を買う → 需要」が行われるため、為替レートが変動していきます。

投資による需要と供給

それぞれの国に、株や債券などの投資商品があります。各国の投資商品の売買によって特定の国の通貨への需要と供給が発生します。

  • 米国の株式・債券を買う人が多い → 米ドルが買われる(需要)
  • 日本の株式・債券を売る人が多い → 日本円が売られる(供給)

というように為替レートに影響を与えています。

経済動向による需要と供給

各国の経済動向も為替レートに大きな影響を与えています。

  • 雇用統計など景気がよくなる → その国の通貨が買われる(需要)
  • 雇用統計など景気が悪化する → その国の通貨が売られる(供給)

その他の需要と供給

その他にも、

  • 金利
  • 物価
  • 金融政策
  • 政治
  • テロや自然災害

など様々な要因から需要・供給が左右され、為替レートが変動していきます。

需要と供給のバランスは投資家心理に左右される

為替レートを左右する「通貨への需要と供給のバランス」は投資家心理によってダイレクトに左右されます。

ある特定の通貨に対して、需要が高いと投資家が判断すれば市場は「強気モード = 買い相場」となります。

ある特定の通貨に対して、需要が低いと投資家が判断すれば市場は「弱気モード = 売り相場」となります。

市場の投資家心理を読むことで、各通貨の需要と供給のバランスがどうなのか、強気なのか弱気なのか、売りなのか買いなのか判断の目安となるのです。

投資家心理とは

投資家心理とは

市場には数え切れないほどの投資家が取引に参加しています。とくに為替市場は24時間(土日を除く)毎日動いていいるため、世界で最も取引されている市場といわれています。

市場参加者となる投資家心理がどう動いているのかによって、通貨の需要と供給のバランスを計り相場を予測していくことができます。

投資家心理はファンダメンタルやテクニカル上の観測から「強気モード = 買い」になったり、「弱気モード = 売り」になったりしていますが、人の心理は非常に複雑で説明できない「感情」に左右されることもあります。

複雑に揺れ動く投資家心理は、「行動ファイナンス」と呼ばれる心理学の研究分野にもなっています。

「行動ファイナンスの理論」によると、

「人は常に合理的に行動するとは限らない」という前提に立って、投資家心理を読み市場分析する必要があるとしています。

行動ファインナンス

投資家心理を読むにあたって、「行動ファイナンス」でいうところの人の心理とはどのように動くものなのか、5つの代表的な理論を見ておきましょう。

1.プロスペクト理論

プロスペクト理論は、人は余裕がある時にはリスクをとりたがらないが、余裕がなくなってくるとリスクをとって損失を回避する傾向にあるという理論です。

投資でいうと、利益はなるべく早めに確定し、損失はいつまでも長く待ってしまうという投資家の心理状態を指しています。利確はできても損切りしそびれてしまうのは、人として自然な現象なのです。

2.アンカリング効果

アンカリング効果とは、人は過去のデータを基準に判断する傾向にあることを指しています。

FXチャート分析でよく使われているレジンスタンス・サポートラインなども、このアンカリング効果によるものです。投資家は過去のチャートを目安に判断してしまう傾向にあるということですね。

3.ハーディング現象

ハーディング現象とは、人は自分で判断するよりも、安心感を求めて多数派に流れてしまうことをいいます。

上昇し始めた相場に買いが集中して、さらに上昇していくのはファンダメンタルズやテクニカル的な要素がありつつも、このハーディング現象によるところも大きいとこと。パニック売りや価格急騰もハーディング現象からきていると見れるでしょう。

4.スノッブ効果

スノッブ効果とは、ハーディング効果とは全く逆のパターンで、あえて多数派とは違う方向にいきたがる心理状態のことです。

買いがピークを迎えると今度は売りが入り始めたり、売りがピークを迎えると逆に買いが入り始めたりするのは、スノッブ効果の1つだといえます。

5.ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)

ギャンブラーの誤謬とは、確率で先を予測してしまいがちな人の心理状態のことをいいます。

価格の上昇が続くと確率の問題から今後は下がると思う投資家が多くなり、同様に価格の下降が続くと確率から今度は上がると思う投資家が増える傾向にあるとのこと。上昇トレンドと下降トレンドを繰り替えすのは、このような投資家心理があるからなのですね。

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というように、理屈ではなく感情で動いてしまう投資家は多いとのことです。複雑で微妙な人としての心理が投資家を動かしていることを踏まえて投資家心理を読む必要があるのです。
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投資家心理を読む方法

投資家心理を読む方法
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では、実際に市場参加者の心理状態、投資家心理を読むにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、投資家心理が読めるグラフやインジケーターをご紹介していきます。

IMM通貨先物ポジション

IMM通貨先物ポジションは、シカゴ・マーカンタイル取引所/CMEが提供している通貨先物取引のポジション情報です。

CMEの通貨デリバティブ市場は世界最大の為替市場で、世界の大手金融機関・投資機関が参加する市場です。一日平均で約5兆ドルに及ぶ通貨が取引されています。世界の為替取引は1日約6兆ドルとなり、その大半がCMEで取引されていることになります。

CMEが公開している通貨先物ポジションが国内の複数の証券会社にて公開されています。世界最大の為替市場となるCMEのポジション状況を見ることで、投資家心理がどのように動いているのかヒントになります。

セントラル短資でIMM通貨先物ポジションが確認できる

セントラル短資でIMM通貨先物ポジションが確認できる

確認できる通貨ぺアは、円/米ドル、カナダドル/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル、NZドル/米ドル、スイスフラン/米ドル、ユーロ/米ドルの6種類。

為替市場に大きな影響を与えている投機筋のポジション状況から、需要と供給のバランス、投資家心理を見ることができます。(データは一週間遅れ)

例えば、上図のグラフでは日本円の売りが圧倒的に優勢で、市場では「円が下がる」との見方が強いようです。しかし、後半では円買いが増えてきています。しばらく円売りが続いたことから、投資家心理は「ドル安円高」に傾きかけていると想定できます。

OANDAオーダーブック

OANDAオーダーブックでは、OANDAの顧客のポジション状況とオーダー状況が確認できます。ポジション状況とオーダー状況を投資家心理の目安にすることができます。

口座開設をしなくても、誰でも無料で公式サイトから利用することが可能です。口座開設なしのデータは1時間遅れ、口座開設すると20分遅れのデータが見れます。

OANDAは世界有数の大手FX業者で、規模が大きく顧客数が圧倒的に多いのが特徴です。OANDAの顧客は世界中の個人投資家、さらに銀行や証券会社など金融機関系が多いため信頼性が高い情報だといえます。

オープンオーダー・オープンポジション

オープンオーダー・オープンポジション

オープンオーダーは指値・逆指値注文の状況、オープンポジションは未決済のポジションの状況をグラフにしたものです。無料版でも14通貨ペアが表示できます。

どの価格にオーダーやポジション数が集中しているのかを見ることで、投資家心理を計る目安となります。

例えば、上図は円/米ドルで売りの注文が110.50~111.0円に集中しています。110.50~111.0円あたりまでは上昇するとの見る投資家が多いことがわかります。またポジションでは圧倒的のロングが優勢で、109.90あたりでショートの数が増えています。109.90あたりで相場が下降に向かうと判断する投資家が多いようです。

もし、価格が上昇すれば109.90あたりのショートポジションから損切りが出る可能性があります。反対に価格が下降すればロングポジションからの損切りが予想されますが、指値買い注文もかなり入っているので、下げは限定的と見る投資家が多いことがわかります。

ブル相場・ベア相場

ブル相場・ベア相場

投資家心理を表現するのに「ブル・ベア」「ブル相場・ベア相場」という経済用語が使われることがあります。為替情報・ニュースなどでブルやベアという言葉をヒントに投資家心理を読むことができます。

ブルとは

経済用語「ブル/ブル相場」とは、闘牛ブルが攻撃的に角を下から上に振り上げる様子を上昇相場に例えたものです。チャートが下から上に大きく上昇する局面を意味していて、投資家心理が強気でリスクオンの状態であることを表しています。

投資家の強気な心理状態からリスクをとり、「買い」が進む相場となります。

「ブル/ブル相場」 = 投資家心理が強気、リスクオン、買いが優勢
ベアとは

経済用語「ベア/ベア相場」とは、熊が攻撃する時に腕を上から下に振り下げる様子を下降相場に例えたものです。チャートが上から下に大きく下降する局面を意味していて、投資家心理が弱気でリスクオフの状態であることを表しています。

投資家の弱気な心理状態から守りに入り、「売り」が進む相場となります。

「ベア/ベア相場」 = 投資家心理が弱気、リスクオフ、売りが優勢

インジケーター/ブルパワー・ベアパワー

投資家心理を表すブル相場・ベア相場を判断する方法として、インジケーター「ブルパワー」「ベアパワー」を使う方法があります。

  • 「ブルパワー」→ ブル相場の強さ
  • 「ベアパワー」→ ベア相場の強さ

を表したものです。

ブルパワーの見方・使い方

ブルパワーの見方・使い方

ブルパワーはブル相場の強さを計るオシレータ系インジケーターです。

ブルの力が強いほど棒グラフのラインが上に長く伸びていきます。下向きのラインが上に向かい始めたら上昇のサインで買いエントリー、上向きの長いラインが天井に近づいたら下降に切り替わるサインで売りエグジットします。

ベアパワーの見方・使い方

ベアパワーの見方・使い方

ベアパワーはベア相場の強さを計るオシレーター系インジケーターです。

ベアの力が強いほど棒グラフのラインが下に長く伸びていきます。上向きのラインが下に向かい始めたら下降のサインで売りエントリー、下向きの長いラインが底に近づいたら上昇に切り替わるサインで買いエグジットします。

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プルパワー・ベアパワーについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。

ボラティリティ

ボラティリティからも投資家心理を計ることができます。

ボラティリティは、価格変動の大きさを表した指標で、市場心理・投資家心理を表す時によく使われています。

リーマンショックやコロナウイルスショックなど、ネガティブな出来事から価格が大きく変動した時に、ボラティリティは大きくなります。反対に、経済が良好な状態で価格が安定して動いている時はボラティリティは小さくなります。

  • ボラティリティが高い → リスクが高い → 投資家は不安な状態・弱気・ベア
  • ボラティティが低い → リスクが低い → 投資家は前向きな状態・強気・ブル

恐怖指数/VIX

ボラティリティを計る指標はいくつかあって、最も代表的な指標が「volatility Index/ボラティリティ・インデックス」です。

「volatility Index/ボラティリティ・インデックス」は「VIX」または「恐怖指数」と呼ばれることもあります。米国主要株式指数の「S&P 500」の値動きから算出されていて、市場全体の心理動向を計る指数として使われています。

各FX業者のチャートツールによっては表示できるものもあります。無料リアルチャートツールのTrading Viewからもチェックすることができます。

恐怖指数/VIXの見方・使い方

恐怖指数/VIXの見方・使い方
  • VIXが上昇 → 投資家心理が悪化
  • VIXが下降 → 投資家心理が好転

VIXが上昇している時は、投資家心理が悪化して市場全体が売りモードとなる傾向にあります。為替市場もVIXの影響から米ドルを始めとする主要通貨ペアが「弱気相場/売り相場」となることが多いです。

VIXが下降している時は、投資家心理が好転して市場全体が買いモードとなる傾向にあります。為替市場も「強気相場/買い相場」となることが想定されます。

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以下の記事では、オシレーター系インジケーター「ヒストリカル・ボラティリティ」について解説しています。こちらも合わせて参考にしてみて下さい。

まとめ

FXチャートの変動は、

各通貨の需要と供給のバランス
が最も大きな要因となり、通貨の需要と供給のバランスは投資家心理によって大きく変わってきます。
  • 投資家が需要が高いと判断 → 強気/ブル → 価格は上昇
  • 投資家が需要が低いと判断 → 弱気/ベア → 価格は下降

投資家心理は単にファンダメンタルやテクニカル的な材料だけでは図れない部分があります。複雑で微妙な人として感情からも左右されていきますので、今、市場がどのような心理状態にあるのかを読むのは難しくもあります。

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そこで、今回ご紹介したような各種データやインジケーターを使うことで、市場の投資心理を計る目安にすることができます。投資家心理を知ることで、ではこれから「売り」なのか「買い」なのか判断しやすくなるのです。ぜひ、判断材料の1つとして参考にしてみて下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人投資家、ライター、アナリスト。海外メディアを駆使した市場リサーチが強み。副業トレーダーを経て、フリーランスとして独立。 株式投資、FX、金プラチナ、債券、外貨預金、ETF・投資信託、不動産などの分散投資を得意とする。