プロのFXチャート分析実践講座「ベアパワーの見方と勝つための活用法」

「ブル」は買い相場、「ベア」は売り相場を表す言葉で、今、市場は「ブル」なのか「ベア」なのかを判断することで、「買い」なのか「売り」なのかトレード戦略を立てることができます。

「ベアパワー」は「ベア」の強度を計れるインジケーターで、「売り相場」の勢い・市場動向を読むのに役に立ちます。

「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。

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今回は「ベアパワー」の基礎知識見方や使い方勝つためのトレード手法をわかりやすく解説していきます。ぜひ、試しに使ってみて下さい。

FXテクニカル ベアパワー

FXテクニカル ベアパワー

「ベアパワー」の「ベア」は、日本語で熊のことです。「ベア/熊」は攻撃する時に前足を上から下に大きく振り下ろすことから、価格が下がる様子をイメージさせ、売り相場を表す意味で使われています。

まずは「ベアパワー」の概要を簡単に見ていきましょう。

ベアパワーとは

ベアパワーとは

ベアパワーとは、

英語でBears Powerと書き、市場の売り相場・売りの勢いを表したインジケーターです。今が買いなのか売りなのか、市場動向を探るために使うことができます。

ベアパワーはオシレーター系のインジケーターで、メインチャートの下に棒グラフで挿入されます。中央の0を基準に上下にプラスマイナスの数値が表示され、1本1本のラインの長さや動きから市場の動向を読むことができます。

市場が弱気・リスクオフのムードになっている時は、ベアパワーのマイナスの数値が大きくなります。つまり、下向きのラインが長くて多くなるほど、売りの勢いが強いと見ることができます。

「ベアパワー」と似たようなインジケーターに「ブルパワー」があります。

ブルパワーは、ブル相場・買いの勢いを計ることができるインジケーターで、ブルパワーとベアパワーをセットで使う投資家もいます。最初はどちらか1つを使ってみて、見方・使い方に慣れたらセットで使うようにするといいでしょう。最後にブルパワーとベアパワーを組み合わせたトレード手法をご紹介していますので、参考にして下さいね。

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ちなみに「ブルパワー」の使い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。参考にして下さい。

ベアパワーの開発者

ベアパワーを開発したのは投資心理学の本で有名なアレキサンダー・エルダー/Alexander Elderで、同時にブルパワーの開発者でもあります。

アレキサンダー・エルダーは精神分析医の経歴を生かして、市場を心理的な側面から分析する独自の手法を生み出しました。プロトレーダー・分析アナリストとして、米国をはじめ世界各国でトレーダー向けのセミナーも開催しています。

アレキサンダー・エルダーの公式サイト(英語版)でも投資に関する様々な情報を得ることができます。

日本語版の本もたくさん出版していますので、興味がある方はAmazonから入手できます。

ベアパワーの開発者

Amazonでアレキサンダー・エルダーの本を探したい方はこちら

ベアパワーの基礎知識

ベアパワーの基礎知識

ベアパワーは、現在の安値が移動平均線からどれくらい乖離しているのかが算出され、売り相場の勢いを計ります。

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ここでは、ベアパワーの計算方法や基本的な仕組みを解説していきます。

ベアパワーの計算方法

ベアパワーの計算にはEMA/指数移動平均線の数値が使われています。

通常使われている移動平均線は、SMA/単純移動平均線です。EMA/指数移動平均線は、直近の価格に重点を置いて計算されるため相場の動きに敏感に反応するといわれています。

ベアパワーの計算はシンプルに、現在の安値がEMAからどれくらい乖離しているのかを算出します。

Bears Power = 現在の安値 - 現在のEMAの数値

現在の安値がEMAよりも低くなるほど、市場はベア相場・売り相場の勢いが強いことになります。

期間の設定は、デフォルトでは13になっています。それぞれの投資スタイルに合わせて、調整するとよいでしょう。どれくらいの期間がよいかわからない方は、ひとまずデフォルトで使ってみて下さい。

ベアパワーの基本的な仕組み

ベアパワーの基本的な仕組みは、

ベアパワーのマイナス数値が大きい = ベア = 「売り」= 下降

と相場を見ていきます。ベアパワーのマイナス数値が高いほど、熊が前足を大きく上から下に下げるように売りが悪化していくとの考え方が基盤になっています。

  • ベアパワーのマイナス数値が大きい → 強いベア相場
  • ベアパワーのマイナス数値がどんどん大きくなる → 下降トレンド
  • ベアパワーのマイナス数値がどんどん小さくなる → 上昇トレンド
  • ベアパワーがピークに達する → 下降のピーク「売られすぎ」
  • ベアパワーが上向きになる → 相場はブルに転換

以上の5つのポイントを目安に相場動向を読んでいきます。

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ベアパワーのグラフがどのように動いているかを見ることで、今が「買い」なのか「売り」なのか、エントリー・エグジットのタイミングを計ることができるのです。

ベアパワーの見方

ベアパワーの見方
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それでは、具体的なベアパワーの見方をチャートを見ながらわかりやすく解説していきます。

ベアパワーの数値

ベアパワーの数値は、中央値0を基準にプラスマイナスで表示されます。

ベアパワーの数値
  • 中央値0 → ニュートラルな状態
  • プラスの数値 → ブル相場・買いの勢いを表している
  • マイナスの数値 → ベア相場・売りの勢いを表している

棒グラフのラインが上下に表示されますので、ラインの方向性からブルなのかベアなのか大まかに見ることができます。

まずは、ラインが0より上にあるのか下にあるのかを見て、現在の相場動向を掴みます。
ベアパワーの数値
  • 上向きのラインが多い → ブル/上昇トレンド
  • 下向きのラインが多い → ベア/下降トレンド
上向きのラインが多い時は投資家心理は向上、リスクをとって「買い」が進む状態・ブル相場であることを表しています。下向きのラインが多い時は投資家心理は悪化、リスクを回避して「売り」が進む状態・ベア相場であることを表しています。
ベアパワーの数値・ラインの向きから、大まかに市場心理・投資家心理が「買い」に向かっているのか「売り」に向かっているのか、判断の目安になります。
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今はベア相場だなと判断すれば「売り」の方向で、今はブル相場だなと判断すれば「買い」の方向でトレード戦略が立てれます。

ベアパワーのラインの見方

ベアパワーの棒グラフのラインがどのように形成されているのかを見ることで、トレンドの方向性や強さ、上昇・下降のタイミングを計ることができます。

ラインの長さを見る

ラインの長さを見る
  • 短いライン → やや弱いベア
  • 長いライン → 強いベア
  • 短いラインが多い → やや弱いベアが継続
  • 長いラインが多い → 強いベアが継続
ラインの長さや多さから「売り」「買い」の勢い・強さがわかります。

ラインの並び方・山を見る

ラインの並び方・山を見る
  • ラインがほぼ同じ長さで推移 → 価格変動が少ない
  • ラインが一気に長く(短く)なる → 価格変動が大きい
  • 下向きラインが徐々に長くなる → 下降トレンド
  • 下向きラインが徐々に短くなる → 上昇トレンド
ラインの並び方や・山の形からトレンドの方向性や、相場動向を読むことができます。

ラインの方向が変わるタイミングを見る

ラインの方向が変わるタイミングを見る
  • 上向きのラインが下向きに変わる → 上昇トレンドから下降トレンド
  • 下向きのラインが上向きに変わる → 下降トレンドから上昇トレンド

ラインの方向が変わるということは、ブルからベア、ベアからブル、というように市場心理・投資家心理が一転した様子を表しています。市場のムードが切り替わり、トレンドが反転するシグナルとして見ることができます。

ラインの方向が変わることでトレンドが反転するポイントがわかります。

ラインの頂点を見る

ラインの頂点を見る
  • 上昇していたラインが頂点を作って下がる → 上昇から下降に向かう
  • 下降していたラインが頂点を作って上がる → 下降から上昇に向かう

上向きのラインでは、上昇していたラインが頂点を作って短いラインが出始めると、相場が上昇から下降に転換したことを意味しています。ブル相場・買い相場にあっても上昇と下降のタイミングを計ることができます。

下向きのラインでは、下降していたラインが頂点を作って短いラインが出始めると、相場が下降から上昇に転換したことを意味しています。ベア相場・売り相場の中で上昇と下降のタイミングでトレードできます。

ラインの頂点を見る
  • 下向きラインの頂点から上向きラインの頂点 → 上昇トレンドの起点と終点
  • 上向きのラインの頂点から下向きラインの頂点 → 下降トレンドの起点と終点

ラインに頂点ができてから、ベアパワーがトレンドラインに沿って動く時は次のラインの頂点まで相場は1つのトレンドを形成する傾向にあります。

  • ベア相場にある時でも頂点を起点に上昇トレンドが始まることもある → 上向きラインの頂点まで上昇トレンドが継続
  • ブル相場にある時でも頂点を起点に下降トレンドが始まることもある → 下向きラインの頂点まで下降トレンドが継続
上向き・下向きのベアパワーの頂点を見ることで、上昇・下降のタイミングやトレンドの起点と終点の目安にすることができます。
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というように、ベアパワーの方向性や長さ、頂点のでき方、山のでき方など様々な視点から相場分析が行えるのです。

ベアパワーの使い方

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それでは実際に、ベアパワーを使ってFXトレードする方法を解説していきます。

ベアパワーの向きでエントリー・エグジット

ベアパワーの向きでエントリー・エグジット
まず一番シンプルなベアパワーの使い方は、ラインの向きが変わった時にエントリー・エグジットする方法です。
上向きのラインが数本出た後で、下向きのラインへと切り替わりました。ブル相場からベア相場に転換したサインです。下向きのラインが出始めた時に下降トレンドが始まることを予想して、「売り」エントリーを決めます。
予想どおりに下降トレンドが始まり、ベアパワーも下向きのラインがたくさん出てきます。相場はベアが優勢な状態です。しばらくは下降トレンドの波に乗ってブルのサインが出てくるのを待ちます。
ベアパワーは長いラインを作ったあとで向きが変わりました。ベア相場からブル相場に転換したサインです。上向きのラインが出始めた時に、満足の「買い」エグジットで利確ですね。

ラインの頂点を目安にエントリー・エグジット

ラインの頂点を目安にエントリー・エグジット
ベアパワーの下向き・上向きラインの頂点を目安にエントリー・エグジットを決めていけます。
下向きラインが徐々に長くなって下降トレンドが始まりました。頂点ができて上昇に向かうタイミングを待ちます。長い下向きラインが出た後、次に短めのラインが出てきて頂点ができました。「売り」の勢いが弱まってきたサインです。ここで「買い」エントリーにて上昇トレンドに変わることを期待します。
予想通りに相場は上昇に向かい始め、下向きラインは徐々に短くなっていき上昇トレンドがしばらく継続します。ベアパワーは上向きのラインに切り替わり、山をつくり始めました。ブル相場に転換したことを意味しています。しばらくは上昇トレンドの波に乗って上向きの山の頂点ができるのを待ちます。
長めの上向きラインが数本出た後で、ラインが一気に短くなります。「買い」が弱まってきているサインです。そろそろ下降トレンドに切り替わる可能性があるので、ここで手堅く「売り」エグジットで利確です。

ラインの波・動きに合わせてエントリー・エグジット

ラインの波・動きに合わせてエントリー・エグジット
ベアパワーは基本的に山形の波を作りながら動いていきます。ラインの波・動きに合わせてこまめにエントリー・エグジットする方法もあります。
  • 下向きの山が出来始める短いラインで「売り」
  • 下向きの山の頂点で「買い」
  • 下向きの山の終わりで「売り」
  • 上向きの山の始まりで「買い」
  • 上向きの山の頂点で「売り」
  • 上向きの山の終わりで「買い」
というように、ブルパワーの1つ1つの波に合わせてエントリー・エグジットを繰り返していけます。この方法は、比較的に細かい値動きでトレードを重ねていきたい方に適したトレード手法です。

勝つためのベアパワートレード手法

FXトレードではインジケーターの利用が欠かせません。しかし、どのインジケーターも100%完璧ではありません。

FXトレードで勝つためには、ファンダメンタルズを考慮しながら複数のインジケーター・分析手法を組み合わせることが成功のコツです。
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そこで、最後にベアパワーと相性のいいブルパワーを併用したトレード手法をご紹介したいと思います。

ブルパワーとベアパワーを組みわせたトレード手法

ブルパワーは

ブル相場、買いの勢いを表すインジケーターで、使い方はベアパワーと全く同じです。

ブルパワーとベアパワーで何が違うかというと、

  • ブルパワーは高値を基準に算出されている
  • ベアパワーは安値を基準に算出されている

となりますので、ベア相場の時はベアパワーの数値を重視して、ブル相場の時はブルパワーを重視して見るようにします。

また、ブル相場の時でもベアパワーがどうなのかを見ることで、売り圧力の強さを計ることができます。ベア相場の時も同様にブルパワーで、買い圧力の強さを読むことが可能です。

エントリー・エグジット 分析例

エントリー・エグジット 分析例
オシレーターの上の段がベアパワー、下の段がブルパワーです。
  1. ベアパワーは下向きラインが短くなり上向きラインが出始めました。ブルパワーを見るとすでに3本の上向きラインが出ています。上昇トレンドに切り替わるサインです。ここで「買い」エントリーです。
  2. 一旦大きく上昇した後で、ブルパワーは大きく減退して利確を迷うところですが、ベアパワーを見ると長い上向きラインが3本続いています。まだ売り圧力はそこまで出ていないと判断し様子を見ます。
  3. 価格が下がり始め下降の気配があります。ベアパワーは下向きの短いラインが続いているものの、かろうじてブルパワーはまだ下向きラインは出ていません。上昇トレンドが継続すると判断して保有します。
  4. 再度、利確を迷うポイントが来ました。ベアパワーは下向きラインが2本で出始めていますが、すぐに上向きラインに転換。ブルパワーは上向きラインが伸びてきています。もう少し上がるなと明確な下降のサインを待ちます。
  5. ベアパワーは大きく下向きラインを出し始めました。売り圧力が強くなっているサインです。ブルパワーも下向きラインが出始めました。ブル相場からベア相場に切り替わる可能性があります。ここで、「売り」エグジットでたっぷり利確です。
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ちなみに、ブルパワーの見方や使い方を詳しく見ておきたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。
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また、こちらの記事ではシンプルでわかりやすいトレンド系インジケーター、アリゲーターについて解説しています。合わせて参考にしてみて下さい。

まとめ

ベアパワーは、ベア相場・売り相場の強さを計るインジケーターです。今は買いなのか売りなのか判断の目安にすることができます。

ベアパワーの基本的な仕組みは、

  • ベアパワーのマイナス数値が大きい → 強いベア相場
  • ベアパワーのマイナス数値がどんどん大きくなる → 下降トレンド
  • ベアパワーのマイナス数値がどんどん小さくなる → 上昇トレンド
  • ベアパワーがピークに達する → 下降のピーク「売られすぎ」
  • ベアパワーが上向きになる → 相場はブルに転換

となり、ベアパワーのラインの方向性や長さ、山や波の形、ラインの動きなどから市場心理・相場動向を読むことが可能です。

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今回ご紹介したように、ベアパワーとブルパワーを組み合わせて使うことで、判断が微妙な時でもより厳密な分析が可能となります。ぜひ、試しに使ってみて下さい。

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