FX自動売買を提供するFX業者が増える中、自動売買ソフトを個別で売る業者や個人もいます。
FX業者が提供している自動売買は手数料無料、または数十円程度で利用できるのですが、個別で販売されている自動売買ソフトには高額なものが多く、悪質な業者・個人もあるので注意が必要です。最初から詐欺を目的に自動売買ソフトを販売し、出金できない連絡とれないなどの被害にあいます。
詐欺を働く業者や個人は、思わず買いたくなるような人の心理に付けこむ手口で、巧みに誘導します。なにしろ相手はプロですから、お金を払う時にはまさか自分が詐欺に合っているとは夢にも思わないものです。ひとまずは、一般的に知られているFX業者の自動売買サービスを使う方が無難です。
しかし、自分は大丈夫と思っていてもいつ何時、そのような詐欺の手口にかかってしまうか誰にも予想はできません。
FX自動売買の詐欺に注意!
FX自動売買には、詐欺を目的にした悪質なものもあるため、「FX自動売買 = 怪しい」と勘違いする方もいるようです。自動売買そのものは、確かに損失のリスクはあるものの、上手に活用すれば本当に半ば放置しておいても、勝手にトレードして利益が増えていく仕組みになっています。
一般的に使われている自動売買
通常、FX業者が提供する自動売買なら、手数料は無料または安価な価格で誰でも気軽に利用することが可能です。
など、様々なタイプの自動売買が一般の投資家に使われています。
FX業者が提供する、身元(?)がきちんとした自動売買では、投資家によって稼げたり稼げなかったりとありますが、出金できないなどのトラブルに合うことはまずありません。
悪質・危険な自動売買もある
近年になって、自動売買を提供するFX業者が増えるとともに、全く別のルートにて個別で自動売買ソフト・サービスを販売する業者や個人も出現し始めました。中には、実際に優れたソフトやサービスもあるのですが、FX業者以外の自動売買ソフトの購入やサービスの利用にて、詐欺の被害に合った投資家が続出しているのです。
これらの悪質な自動売買では、もともと詐欺を目的としているため、ソフトを購入した途端に連絡がつかなくなったり、利益が出ていても出金できなかったりと恐ろしい目に合ったことが多数報告されています。
けっしてこれらの詐欺は他人事ではなく、これだけ情報が氾濫し便利になった今、投資家は十分に注意しなければなりません。
FX自動売買の詐欺に合った事例
では、実際にどんなFX自動売買の詐欺があるのか事例を紹介していきます。
事例1.システム停止後に残高が急激にマイナス
FX自動売買詐欺の被害者によるネットの投稿記事です。
FX自動売買が使える業者を探して、日本の運営会社と思って契約したらパナマの「VF」というFX業者だったそうです。仲介会社は日本の業者で、指示に従って契約し30万円入金。最初の1週間で20%の収益となり、追加で20万円を入金。
残高が86万円になった時点で出金しようと仲介会社に連絡すると「返金はできない、出金したいならシステムを解約して下さい。ただし、システムを止めるとポジション全決済で7割~8割ぐらい元本割れします。」といわれたそうです。
そもそも残高のみが表示されていて、取引状況は確認できなかったらしく、とにかくシステムの停止を指示したところ、翌日に86万円の残高は29万円に、その翌日にさらに5万4千円にまでマイナスになっていたとこのことです。
事例2.出金に応じてくれないFX自動売買詐欺
独立行政法人・国民生活センターでは、利益が出ているのに出金に応じてもらえないFX自動売買が報告されています。
ネットの広告にてFX自動売買が紹介されていて、「限定500人・月15%の利益」といわれて自動売買を3万円で購入し、世界のFX会社口座を開設して50万円入金。順調に利益が出ていたので、さらに入金額を増やして運用を継続したそうです。
利益が出ているので出金を依頼したところ、「取引が終了するまでは利益は出金できない」といわれたとこのこと。もともとの仲介業者に連絡をとっても、「ソフトを販売しているだけの仲介業者なので対応できない」といわれ、出金できない状況にあるとのことです。
事例3.大学生を狙ったFX自動売買詐欺
京都府の消費生活安全センターでは、大学生を狙ったFX自動売買詐欺による相談が多発したため、公式サイトにて注意喚起がなされています。
「儲かるようにサポートする」「負けたら全額返す」「自分も儲かっているとSNSで派手な生活ぶりをアピールされた」などから、FX自動売買システムをよくくわからないまま信用して契約・購入、多額の借金が残った大学生が相次ぎました。
詐欺を働いた悪質業者(男性2名)は京都府警察署によって逮捕されています。
事例4.SNSの広告から自動売買で出金できない
弁護士どっとコムでも実に多くのFX自動売買詐欺が相談されています。
SNS広告にて自動売買ソフトを5万円で購入、仲介された海外の業者に100万円を送金して自動売買の運用を開始。利益が出ていたのでバージョンアップの勧誘を受けて、さらに15万円でソフトを購入し、400万円を送金したとのこと。
もともと1年間は出金できないとの契約だったので、1年後に出金を申し込んだところ全く応じる様子がないそうです。出金に応じない業者への対処に困っているとのことです。
FX自動売買 詐欺の事例 その他
- 世界のFX会社口座と連結したFX自動売買でチャート操作で多額の損失
- 自動売買システムのモニター募集、メンテナンスに高額の費用を請求
- FX自動売買システムのモニターに当選、証拠金をだまし取られる
- 医者に紹介された自動売買口座の残高がある日突然消えた
- SNSで誘導、後日電話で勧誘された自動売買で大損
などと、FX自動売買の詐欺は実に数え切れないほどネットでも報告されています。
詐欺の手口・危険な業者の特徴
FX自動売買の詐欺の手口は実に多様ですが、1つ共通点があります。それは、必ず仲介業者のような存在があって自動売買口座を紹介されることです。そして、紹介された自動売買口座とは海外の業者である場合が多くなります。
というのも海外の業者が相手であれば、どんなに悪質で証拠があったとしても、日本の法律ではどうすることもできないからです。仲介した業者を訴える方法もありますが、仲介業者とも連絡がつかなくなったり、仲介業者も自分も詐欺とは知らなかった、自分は紹介しただけなので関係ない、といえば済むことです。
では、ここでFX自動売買の詐欺、または詐欺の疑いがある危険な業者の特徴を見ておきましょう。
勧誘から出金拒否までの流れ
- インターネット・SNSなどで募集・勧誘を行う → 資料送付や後日の電話で説明
- FX自動売買ソフトを販売する → 特定の取引口座の開設を義務づける
- 海外(稀に国内)の自動売買口座を開設 → 入金方法使い方などを指示する
- 入金後に取引・運用を開始 → 利益が出るケースが多い
- 出金依頼をする → 何らかの理由をつけて出金拒否
- 何度も出金依頼をする → 口座残高が大幅に減少、または連絡不通
FX自動売買の詐欺は、大まかに上記のような流れで行われます。
詐欺だと気づくのは、悔しいことに最後の⑥の段階です。
とくに社会経験が少ないためだましやすい10代~20代はターゲットになりやすいようで、注意が必要です。
国民生活センターの情報によると、相談数の60%~70%は10代~20代が占めているとのことです。
ただし、FX自動売買詐欺に合った方の中には、30代、40代、50代以上の方も少なくありません。年齢が高くなるほどに、運用資金も多額となるのが特徴です。
詐欺・悪徳業者を見分ける方法
それでは、最後にFX自動売買の詐欺・悪徳業者を見分ける方法を解説していきます。
自動売買の仕組みを理解しておく
まず、自動売買とは基本的にどのような仕組みになっているのか、どのように使うのかを理解しておくことで怪しい自動売買を察知することができます。
国内の自動売買の仕組み
- 利用したい自動売買サービスが使えるFX業者で口座開設する
- 自動売買を選択・設定する
- 自動売買を運用する(手数料:無料~数十円/1000通貨)
- 稼働状況を確認
- 運用が悪ければ停止・変更
- いつでも好きな時に開始・停止
手数料:無料~数十円/1000通貨
※入出金は、任意のタイミングでいつでも金融機関の営業日であれば可能です。
MT4・MT5の自動売買の仕組み
- MT4・MT5が利用できるFX口座を開設する
- MT4・MT5で利用したい自動売買EAを選択・設定する
- 自動売買EAを運用する
- 稼働状況を確認
- 運用が悪ければ停止・変更
- いつでも好きな時に開始・停止
購入費用:無料~数十万円
※入出金は、任意のタイミングでいつでも金融機関の営業日であれば可能です。
安全な自動売買の特徴
- 無料で使える自動売買もたくさんある
- 誰でも簡単に無料で口座開設はできる
- 仲介業者が間に入って利用するケースはほとんどない
- 自動売買の運用を業者に委託することはない
- 入出金が制限される自動売買はない
- MT4で使える自動売買は自分で多彩な種類から探せる
- どの自動売買も停止や変更が自由にできる
- 停止できない自動売買はない
- 安価なもので数千円程度で購入可能
- 高額なもので10万円~20万円が相場
- そもそも自動売買には元本保証はない
- 100%絶対に勝てる自動売買は存在しない
詐欺の可能性がある自動売買のチェックポイント
1.100%勝てるといわれる自動売買は疑え!
自動売買には一定の損失リスクがあります。詐欺の多くは、必ず勝てる自動売買であることをアピールしてきます。
「100%必ず勝てる」「絶対に稼げる」「損失保証」などは通常の自動売買では存在しませんので、そのような宣伝は疑わしいと判断しましょう。
2.人数限定・期間限定のものは怪しいと思え!
FX業者が期間限定などで行うキャンペーンを除いて、自動売買ソフトに人数や期限が設けてあることは滅多にありません。
「〇〇人までだから急いだ方がよい」「今だけ〇〇円だから買った方がよい」などと急かすような自動売買は買わないようにしましょう。
3.会社情報や拠点が確認できない業者は危険!
正当なサービスを提供している会社は、業種を問わず会社情報や拠点が確認できます。
会社情報や拠点が確認できない業者は、何か不当なサービスを提供している可能性が高く危険です。
4.サービスに不透明な部分が多い業者は避ける!
取引状況が確認できなかったり、入出金方法が曖昧だったり、仲介会社を介さないと連絡できないなどサービスに不透明な部分が多い業者は詐欺の可能性が高いです。
取引状況や残高、入出金方法や連絡方法など事前に確認できるかどうかチェックしておきましょう。
5.モニター募集やお試し利用などの安易な話に乗らない!
モニター募集やお試しなどで無料を装っていても、メンテナンス費用や会員費、保証金などを別途で高額に請求される自動売買も少なくありません。
美味しい話には裏がある、と疑ってかかかるのが社会人の常識です。
6.身元不明のネット・SNS広告には注意する!
通常のFX業者の自動売買でも、ネットやSNSで宣伝されることもあるので、うっかり広告の罠にはまって騙される人が多いようです。
ネットやSNS広告の運営元・運営会社を必ず確認するようにしましょう。怪しい業者のネットやSNSでは、運営元や運営会社が不明なことが多いです。
7.知人や友人の紹介は上手に断る!
FX自動売買の詐欺業者を利用した経緯として、知人や友人の紹介というケースもあるようです。本当に良い話かもしれませんが、紹介だと無防備になりやすく的確な判断ができないこともあります。
断りづらかったりでつい契約してしまうこともあるので、話を聞く前に上手に断った方が無難です。
8.ネット検索で口コミを調べるにつきる!
自動売買を利用しようと思った時に、怪しいかどうかを調べる一番手っ取り早い方法はネット検索です。
とくに問題がない自動売買で、一般的に使われているものは必ず口コミや投稿などで情報を得ることが可能です。ネガティブな口コミが多いものや全く検索にヒットしないものは要注意です。
また、こちらの記事では初心者向けの選択型自動売買をご紹介しています。興味がある方はこちらも参考にしてみて下さい。
まとめ
「こんな上手い話しがあるわけない」「何か裏があるに決まっている」「簡単に稼げるわけがない」と頭ではわかっていても、そこを巧みな言葉のトリックで丸め込むのが詐欺のプロです。自分は大丈夫だと思っていても、「本当に稼げるなら」とつい油断してしまうこともあります。
今回ご紹介してきたように、FX自動売買の詐欺に合った人はたくさんいます。数十万円程度の被害で済んだ方もいれば、数百万円以上を失った方もいます。万が一、怪しいと思った時には迷わずに「消費者ホットライン」に相談してみることをおすすめします。
海外の業者が相手であれば、日本ではどうすることもできませんが、国内の業者は取り締まることが可能です。実際に多数のFX自動売買の詐欺業者が逮捕されています。「消費者相談ホットライン」は消費者庁が運営している国のサービスです。全国規模で地域の相談所を探すことができます。