FXの信託保全。FX会社が倒産したら顧客資産はどうなる?FX会社選びの資産保全リスク

man
「FX会社に預託していた証拠金は、FX会社の倒産時にはどうなるの?」
「FX会社によって信託保全の仕組みは異なるの?」
・・・

初心者にも知っておいてほしいFX会社の顧客資金保全の仕組みについて解説します。

目次

分別管理と信託保全

分別管理とは?

FX会社が会社を経営する際に必要な資金の管理と顧客が証拠金として預託している資金の管理を別の銀行で管理すること

を言います。

回避できるリスクとの関係

  • FX会社が顧客資産を事業資金として流用してしまう「流用リスク」:○回避可能
  • FX会社が倒産したときに顧客資産が返済されない「倒産リスク」:×回避不可

信託保全とは?

FX会社は顧客資産を信託銀行に預託して管理します。信託銀行とは万が一FX会社が倒産した場合でも資産を保全する「信託契約」を結び、倒産時の顧客資産の返還のために第三者である「弁護士」「信託管理会社」とも契約をして、彼らが倒産時には顧客資産の返還の手続きを進めてくれるスキームでです。

回避できるリスクとの関係

  • FX会社が顧客資産を事業資金として流用してしまう「流用リスク」:○回避可能
  • FX会社が倒産したときに顧客資産が返済されない「倒産リスク」:○回避可能
concierge

つまり、「信託保全」を採用しているFX会社であれば、FX会社が倒産・経営破たんしたとしても、預託している証拠金「顧客資産」は返還されることになります。

2017年現在では、日本国内のFX会社は「信託保全」が義務付けられています。つまり、どのFX会社で取引をしても、「信託保全」が採用されているということです。

「信託保全」が義務化の背景

2007年ごろから、FX会社の経営破たんが複数発生し、「顧客資産が戻ってこない」という状況が頻発してしまいました。このころは金融商品取引法で「区分管理(分別管理)」が義務付けられていたのですが、それを確実にチェックする制度が抜け落ちていたため、「区分管理(分別管理)」も徹底されておらず、顧客資産が会社の運営費用として流用されてしまったため、倒産時にはお金が残らないことになってしまったのです。レフコジャパンやエフエックス札幌などの事案が該当します。

破綻年月業者名顧客資産主な不正・不備事項
2007年10月エフエックス札幌(札幌市)債権者配当5%顧客資産を流用
2007年11月アルファFX(東京都港区)証拠金返還ゼロ顧客資産を流用
2008年3月日本ファースト証券(東京都中央区)預かり資産が1~2割棄損顧客資産を流用
2008年4月ニッツウトレード(東京都千代田区)ほとんど弁済無し分別管理不十分
2008年4月ジェイ・エヌ・エス(名古屋市)全額弁済様々な不正

さらに2008年のリーマンショックによって、今度はカバー先である金融機関側が倒産するケースも発生しました。

「このままではまずい。FX業界に対する信用がなくなる」と考えた金融庁は

2009年7月3日に公布された「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」によって

FX取引を含めた通貨関連デリバティブ取引等における区分管理方法を金銭信託に一本化することを決定しました。

要するに

FX会社は「信託保全」で顧客資産を管理してください。

ということです。

この「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」は経過措置があり、2010年2月1日より既存のFX会社にも適用され、運用が開始されました。

金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令

どのFX会社のウェブサイトを見ても、顧客資産の保全に対しては

GMOクリック証券

外為どっとコム

外為オンライン

と、どこも似たような「信託保全」のスキームが採用されているのです。

FXの顧客資産保全の安全性の違い

FXの顧客資産の保全体制にはこのような段階があり

安全性が最も高い:全額信託保全+α

顧客資産「証拠金+評価損益+スワップ損益」に加えてプラスアルファの「当日の入金」「当日の利益」「倒産時に発生する弁護士費用」なども、考慮して上乗せして信託銀行に預金をする仕組み

安全性が高い:全額信託保全

顧客資産「証拠金+評価損益+スワップ損益」を信託銀行に預金をする仕組み

安全性がやや高い:一部信託保全

顧客資産「証拠金+評価損益+スワップ損益」の一部を信託銀行に預金をする仕組み。顧客あたりの上限や全体での上限が決まっているなど

安全性が低い:分別管理のみ

顧客資産とFX会社の運営資金を分けて管理する仕組み

安全性が著しく低い:何もなし

流用リスク、倒産リスクも高い為、海外のFX会社でも何もしていないところは詐欺業者ぐらいです。

上位2つ「全額信託保全+α」「全額信託保全」しか許されなくなったということです。

海外のFX会社や絶滅傾向ですが無免許のFX会社などは「分別管理」「一部信託保全(信託保全する資産に上限がある等)」までしか対応できていないところが多いようです。

日本国内のFX会社は最高レベルの資産保全体制が義務付けられているので安心してFXトレードができる

と言って良いのです。

義務付けられた「信託保全」のルール

2009年の金商業等府令の改正による「信託保全」には下記のようなルールがあります。

信託すベき財産

  • 実現損益
  • 評価損益
  • スワップ損益

を加減算し

  • 未払い手数料がある場合はその額を減算して

個別顧客区分管理金額及び顧客区分管理必要額を日々適切に算定し、それに見合う2営業日以内に信託銀行等(受託者)へ金銭信託すること

というものです。

信託の運用方法

信託財産の運用方法は「元本割れリスクの少ない方法」に限定されます。元本割れが起こる預金方法で顧客財産を預金していたら、信託保全の意味がありませんから、「元本割れリスクの少ない方法」で信託銀行に預けることが義務付けられているのです。

信託すベき財産の調整期限

FX取引が発生すれば顧客損益も変動しますし、新規の顧客や既存顧客の出金などもあるので信託する資金額も変動してしまいますが、2営業日以内に信託財産を調整して合わせなければならないのです。

受益者代理人の選定

「受益者」というのは顧客のことです。顧客の代理人として、万が一FX会社が倒産してしまった場合に、信託銀行の資金を顧客に返還する手続きを取るのが「受益者代理人」です。「受益者代理人」は弁護士がなるケースが多いのですが、信託管理会社を作って、信託管理会社が「受益者代理人」になるケースもあります。

日本でFX会社を運営するには「金融商品取引業」の登録が必要になるので、「金商業等府令の改正」つまり「信託保全のルール」が守れなければ「登録取り消し」になってしまうので、FX会社は「信託保全」を上記のルール通りに実行しているのです。

FX初心者が知っておいてほしい顧客資金保全の注意点

その1.日本のFX会社であれば、どのFX会社を使っても顧客資産は保全される

前述した通りで、日本のFX会社を利用するのであれば、どのFX会社と使っても、金融商品取引業の登録業者であれば「信託保全」を実行しています。

  • 安全性が最も高い:全額信託保全+α
  • 安全性が高い:全額信託保全

と多少の違いはありますが、利用していて大きな違いはないので気にする必要はありません。

FX会社を比較するときに「顧客資金保全」「運営会社の安全性」についてはほぼ考慮する必要がないということを意味しています。

経営状態が悪化しているFX会社でトレードしたとしても、倒産したらお金が戻ってくるのですから、そのお金で新しいFX会社で取引すれば良いだけなのです。従業員1万人の上場企業のFX会社でも、従業員100人の中小企業のFX会社でも、安全性に違いはなく、比較要件に入れる必要がないということです。

その2.「顧客資産保全」は「損をしない」ということではない

顧客資産保全といっても、FXトレードで損失が出ないということとイコールではありません。

元本を毀損するリスクは当然ありますし、FX会社には「追証(おいしょう)」という制度があるため、入金した証拠金以上に損失が出る可能性もあるのです。

重要なのは「顧客資産保全」ではなく、「損をしないためにどうトレードするのか?」です。

FX会社が倒産する確率は、FX投資家が強制ロスカットになる確率の数万分の1なのです。

信託保全の信託銀行が経営破たんしたら顧客資産はどうなるのか?

多くのFX情報サイトでは「信託保全先の信託銀行の信頼性」をチェックするように指南しているサイトも少なくありません。

「信託保全 = FX会社が倒産しても顧客資産が保全される」のは間違えありませんが

man
「信託保全先が倒産してしまったら、顧客保全は保全されるのか?」

という疑問が湧いてきます。

個人が銀行に資産を預けたときはペイオフによって1銀行あたり1000万円までしか資産は保全されません。

もし、1000万円しか戻ってこないのであれば顧客資金は返還されなくなってしまいます。

マネースクウェアジャパンの見解

「信託法15条により信託財産は受益者、つまり信託銀行のものではないと定められている他、16条によって信託財産への強制執行等の禁止、また、17条によって債権相殺も禁止されています。金銭信託になっているお金は、FX業者のものでもなく、預かっている信託銀行のものでもないため、FX業者が倒産しても差し押さえられることはなく、また、信託銀行のものでもないため、信託銀行が破たんしてもペイオフの対象にならない。つまり、完全に独立したお金です。」

「過去の事例に従えば、銀行の破たんによりすぐに機能が停止することは考えられません。財務当局監督下、承継金融機関が定まるまでは従来通りの取引が可能となるものと想定されます。」

とのことです。

信託銀行が経営破たんしても、ペイオフは適用されず、他の承継銀行に引き継がれるのみということです。

  • 信託保全 = FX会社が倒産しても顧客資産が保全される
  • 信託保全 = 信託銀行が倒産しても顧客資産が保全される

ということになります。

FX会社の信託保全先の信託銀行の格付けなども、FX会社を比較検討する要素にはなりえないということです。

FX会社が倒産して資金が返金されるまでにはどのくらいの時間がかかるのか?

外為どっとコム

万一、外為どっとコムが破たんした場合、資産はいつ返還されますか?

A .大変恐縮ですが、万が一の場合の返還手続きには、多少のお時間を要する見込みとなっております。
また、その時点での弊社の口座数や預かり資産の合計額、清算したポジションの数量等により、所要時間は大きく変化する可能性がございます。

万一、外為どっとコムが破たんした場合、誰に資産の返還請求をすればよいのですか?

A . 受益者代理人(乙)を通じて、信託財産の範囲内でお客様の資産の額に応じた額の返還をお受けいただけるようになっております。 なお、お客様が信託銀行に対し保証金等の支払いを直接的にご請求いただくことはできませんので、ご注意のほどお願いいたします。

JFX

当社の破綻等により返還事由が発生した場合、お問い合せの対応や返還対象となるお客様の特定等の窓口は、受益者代理人となりますので、お客様は三井住友銀行に対して、証拠金等の返還を直接請求することはできません。返還は当社にご登録されている銀行口座への振込みにより行います。なお、返還事由発生から返還業務完了までに一定の時間を要する場合があります。

つまり、「わからない。」「時間はかかる。」ということです。

FX会社が倒産したら、後は受益者代理人である「弁護士」「信託管理会社」が、顧客ごとの資産額を計算し、返金する手続きを行います。

彼ら次第ということなので、FX会社は「わからない。」「時間はかかる。」とウェブサイト上で回答しているのです。

concierge
とはいっても、それほど時間を要するものではないと想定されます。1ヶ月ぐらいで返金はされるのではないでしょうか?

本当に「信託保全」なら一切顧客資金が返還されないリスクはないの?

concierge
若干のリスクはあるようです。

JFX

当社に破産等が起こった場合で、取引のシステム障害や天災地変、政変、外貨情勢の急変等の事由により、 信託保全の金額が正しく算出できなかった場合などには、信託保全された金銭が証拠金の総額に不足する場合があり、 お客様の証拠金の一部が返還されない場合もあります。

どういうことかというと

経営破たんの理由が

  • システム傷害
  • 天変地異
  • 政変
  • 外貨情勢の急変

の場合は、信託保全されるはずの顧客資産「証拠金+評価損益+スワップ損益」が正常に計算されずに返還されない可能性があるということです。

concierge
例えば

北朝鮮が東京に核ミサイルを撃ち込んだら

FX会社も、信託銀行も、跡形もなくなくなってしまって、データも残っていなければ、返還することもできないということです。

この時点ではFXがどうという次元の話ではないので気にする必要はないでしょう。

まとめ

FX会社の資産保全方法には

  1. 分別管理
  2. 信託保全

の2種類があります。

2007年~2008年にかけてFX会社の倒産が相次ぎ、顧客資金返還の問題が表面化されてしまったため、「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」によって2009年7月からFX会社には「信託保全」が義務化されました。

信託保全であれば

信託保全 = FX会社が倒産しても顧客資産が保全される

のですから、FX会社を比較検討するときに「安全性」で比較する必要性はほぼなくなったのです。金融取引業者の登録をしているFX会社であれば、顧客資産はほぼ保全されるからです。

concierge
ただし、顧客資産が保全されるということは、FXトレードで損をしないということではありません。顧客資産保全を気にする前に、FX初心者は損をしないFXトレードのスキルを身につけることを重視しましょう。

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