代表的なチャートパターンの1つにABCDパターンがあります。ABCDパターンは、ハーモニックパターンとも呼ばれている欧米で人気の分析手法です。
日本でもABCDパターンを使う投資家も結構いて、気になっている方もいるでしょう。使いこなせる売買シグナルは多い方がトレードには有利です。この機会に覚えておきたいですよね。
FXテクニカル ABCDパターン
ABCDパターンは、ハーモニックパターンと呼ばれるチャートパターンの基本形で、数多くあるハーモニックパターンはすべてABCDパターンが基盤となっています。チャートが特定のABCDパターンを作った時に、上昇か下降かの判断材料にすることができます。
欧米で人気のABCDパターンは、的中率が高いことから日本の投資家にも注目されていて、使い始める方も多いようです。
まずは簡単にABCDパターンの概要を見ておきましょう。
ABCDパターンとは
ABCDパターンは、アルファベットのNのような形状を作るチャートパターンです。基本パターンは上昇パターンと下降パターンと2つのパターンがあります。
上昇パターンでも下降パターンでも共通して、
「BからC」の長さは「ABとCD」よりも短いことが条件となります。
上昇ABCDパターン
上昇ABCDパターンは、チャートがアルファベットNが反対向きになったようなラインを描きます。下降トレンドから上昇トレンドに転換するシグナルとして使います。
下降ABCDパターン
下降ABCDパターンは、チャートがアルファベットNのようなラインをつくります。上昇トレンドから下降トレンドに転換するシグナルとして使います。
ハーモニックパターン(ABCD)の発見者
ABCDパターン、ハーモニックパターンを発見したのは、H.M.ガートレー。1935年に「Profits in the Stock Market」という本を出版して売買シグナルとして使えるチャートパターンを紹介しました。ガートレーが発表したハーモニックパターンは、ガートレーパターンとも呼ばれています。
ハーモニックパターンではABCDを基盤としつつ、「ガートレー」「バタフライ」「バット」「クラブ」と大きく4つのパターンがあるとしています。
ガートレーのパターンはすべて、黄金比率のチャート分析で有名なフィボナッチリトレースメントが基盤となっています。理数学や科学的根拠に基づいた信頼性が高いチャートパターンなのです。
また、そもそもフォボナッチ・リトレースメントとは何かを知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
ABCDパターンの基礎知識
それでは、ABCDパターンの基本的な仕組み・特徴を抑えていきましょう。
ABCDの基本パターン
ABCDパターンの基本形は、
- 上昇ABCDパターン
- 下降ABCDパターン
と2つ種類があります。
上昇ABCDパターン
- AB = CD
- C = ABの61.8%~78.6%
- D = BCの127.2%~161.8%
上昇ABCDパターンは上昇シグナルとして使います。上昇ABCDパターンがチャートに出現したら、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる傾向にあります。パターンが確認できたら「買い」です。
まず、ABの長さとCDの長さが等しいことがABCDパターンの最低条件です。長さを計るのは難しいですから概ねで等しい長さにあることが必要です。
次に確認したいのがCの位置です。Cの価格は、ABを起点にしたフィボナッチ・リトレースメントの61.8%~78.6%の位置にあることが条件です。
さらに、Dの位置を確認します。Dの価格は、BCを起点にしたフィボナッチ・リトレースメントの127.2%~161.8%の位置にあることが条件となります。
上昇エクステンションパターン
上昇パターンにはエクステンションパターンがあります。Dの位置がフィボナッチの161.8%以上を超えて伸びている場合は、上昇エクステンションパターンとなり、上昇ABCDパターンと同じように使うことができます。
上昇ABCDパターンを見極めるコツ・注意点
上昇ABCDパターンを見極めるコツと注意点を見ておきましょう。
ABを見るポイント
- Aは最高値となる
- Bは最安値となる
- AB間では、Aよりも高値・Bよりも安値は存在しない
BCを見るポイント
- CはAよりも安値となる
- BC間では、Bよりも安値・Cよりも高値は存在しない
- Cの価格は、ABのフィボナッチ61.8%か78.6%が的中率は高い
- Cの価格は稀に38.2%~50.0%になることもある
CDを見るポイント
- DはBよりも安値となる
- CD間では、Cよりも高値・Dよりも安値は存在しない
- Dのラインが127.2%~161.8に近くなったら注意深く動きを見る
下降ABCDパターン
- AB = CD
- B = ABの61.8%~78.6%
- D = BCの127.2%~161.8%
下降ABCDパターンは下降シグナルとして使います。下降ABCDパターンがチャートに出現したら、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる傾向にあります。パターンが確認できたら「売り」です。
まず、ABの長さとCDの長さが等しいという点は上昇パターンと同じで、概ねで等しい長さにあることが必要です。下降パターンの場合はアルファベットのN字型に上に伸びているのが特徴です。
下降パターンでも次に確認したいのがCの位置です。Cの価格は、ABを起点にしたフィボナッチ・リトレースメントの61.8%~78.6%の位置にあることが条件です。
さらに、同様にDの位置も確認します。Dの価格は、BCを起点にしたフィボナッチ・リトレースメントの127.2%~161.8%の位置にあることが条件となります。
下降エクステンションパターン
下降パターンにもエクステンションパターンがあります。Dの位置がフィボナッチの161.8%以上を超えて伸びている場合は、下降エクステンションパターンとなり、下降ABCDパターンと同じように使うことができます。
下降ABCDパターンを見極めるコツ・注意点
下降ABCDパターンを見極めるコツと注意点は以下のとおりです。
ABを見るポイント
- Aは最安値となる
- Bは最高値となる
- AB間では、Aよりも安値・Bよりも高値は存在しない
BCを見るポイント
- CはAよりも高値となる
- BC間では、Bよりも高値・Cよりも安値は存在しない
- Cの価格は、ABのフィボナッチ61.8%か78.6%が的中率は高い
- Cの価格は稀に38.2%~50.0%になることもある
CDを見るポイント
- DはBよりも高値となる
- CD間では、Cよりも安値・Dよりも高値は存在しない
- Dのラインが127.2%~161.8%に近くなったら注意深く動きを見る
ABCDパターンの見方・使い方
では実際に、チャートを見ながらABCDパターンの使い方・トレード方法を解説していきます。
上昇ABCDパターンでトレードする方法
1.AB間にフィボナッチを挿入
ABCDパターンができそうなチャートを見つけたら、最初にAB間にフィボナッチを挿入します。
Bの地点はフィボナッチを0、Aの地点に100で数値を合わせます。Cのラインが上に反転し始めたら、フィボナッチ数値のどの辺りまで伸びるかを確認します。
Cが下に反転する数値を確認
Cが下に反転したら、BCラインが形成されますよね。CはABのフィボナッチ61.8%~78.6%なので、該当するかどうかを見ます。
2.BCラインができたら、BC間にフィボナッチを挿入
BCラインができたら、今度はBC間にフィボナッチを挿入します。
Cの地点が0、Bの地点が100になるようにフィボナッチの数値を合わせます。ここからDがどこまで伸びるかを見る必要があります。
Dが127.2%~161.8%あたりで、上に反転し始めるのが理想ですが、上図チャートの場合は161.8%を少し超えていてエクステンションパターンとなります。
3.Dが上に反転し始めたら「買い」
ABCDパターンがチャートに形成されたのを確認したら、Dが反転し始めるタイミングで「買いエントリー」です。
ショートのポジションを保有している場合は、このタイミングで「売りエグジット」となります。
下降ABCDパターンでトレードする方法
下降ABCDパターンはフィボナッチを挿入する方向が変わってきますが、やり方は全く上昇パターンと同じです。
AB間に挿入するフィボナッチは、Aの地点が100、Bの地点が0になるように合わせます。Bから価格が下に反転し始めたら、フィボナッチの数値のどこで今度は上に反転するかを見ます。
Cのラインが下の伸びていき、フィボナッチのどこで反転するかを見ます。
BCラインが形成されて、今度はDが上に伸び始めたらどのあたりで反転するかを見ます。
ABCDパターンがチャートに形成されたのを確認したら、Dが反転し始めるタイミングで「買いエントリー」です。
ショートのポジションを保有している場合は、このタイミングで「売りエグジット」となります。
勝つためABCDパターントレード手法
ABCDパターンは的中率が高いことで人気を集めている分析手法なのですが、FXで勝つためには1つの分析手法のみに依存してはいけません。どんなに優れた分析手法でも100%完璧ではないからです。
時には、間違ったシグナルが出現することもあれば、判断が微妙なパターンをつくることもあります。
ABCDパターンはフィボナッチを挿入するのでオシレーター系と合わせるのがおすすめです。そこで、最後にABCDパターンと合わせて使いたい、インジケーターCCIをご紹介したいと思います。
ABCDパターンとCCIを使ったトレード手法
CCIの使い方
CCIはメインチャートの下に、サブチャートとして挿入されるインジケーターなので、フィボナッチを使った分析に適しています。CCIの特徴は値動きに敏感に早めに反応するのが特徴で、ABCDパターンのシグナルを十分に補足する役割を果たしてくれます。
CCIの数値
CCIの数値は中央にゼロをはさんで、上下に±100と最高値・最低値が表示されます。
- 中央値0と上下に±100の数値
- 一定期間の最高値(プラス)
- 一定期間の最低値(マイナス)
CCIの売買シグナルを簡単にまとめると・・・
CCIの買いシグナル
- ゼロから上に向かう
- +100を超える
- 数値が最低値に触れる
CCIの売りシグナル
- ゼロから下に向かう
- -100を超える
- 数値が最高値に触れる
分析・トレード例
- BCラインが下に向かっているところで、CCIは最低値に触れて上に向かい始めています。ローソク足でもハンマーや十字線が出ていて強い上昇シグナルを発していますね。慎重にABCDパターンのシグナルを待ちます。
- ABCDパターンが完成、Dから価格が上に向かい始めました。CCIはゼロから上に向かっています。上昇への確証が強まります。このタイミングで「買いエントリー」します。
- 大きく上昇した後で価格が一旦下がり始めています。損切りすべきかどうか迷う場面です。CCIを見ながら価格が反発するかどうか様子を見ます。CCIは-100の手前で反転、安値はCDラインの最安値を下回っていません。ここで反発すると判断します。
- 予想通りに、価格は再び上昇に向かいました。上昇の波に乗って上がりきるのを待ちます。CCIは最高値に触れて下がり始めました。100に近づくタイミングで「売りエグジット」でしっかり利確です。
まとめ
ABCDパターンはH.M.ガートレーによって発見された売買シグナル。黄金比率のフィボナッチや、理数学・物理学の根拠に沿った信頼性が高いチャートパターンで、欧米ではよく使われている分析手法です。
売買シグナルの基本パターンは、
- 上昇ABCDパターン → 買いシグナル
- 下降ABCDパターン → 売りシグナル
と大きく2つの種類があります。
ABの値幅と、BCの値幅にフィボナッチ・リトレースメントを挿入して、ABCDパターンの条件に該当するかどうかを確認する必要があります。パターンの条件に該当する場合は、高い確率で上昇・下降に向かう可能性があります。
とくにCCIは値動きに敏感で相場に先行する傾向にあるので、パターンの検出に時間がかかるABCDとは相性抜群です。ぜひ、試しに使ってみて下さい。