FXのチャート分析にテクニカル・インジケーターを使うトレーダーは多いですよね。使えるインジケーターは多ければ多いほどトレードには有利です。複数のインジケーターにてサインが出ていれば勝率が高いトレードが実現します。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「CCI」です。
FXテクニカル CCI
「CCI」は、もともと商品取引おいて開発されたインジケーターで、近年になってFXや株式などでも使われるようになりました。
まずは最初に、「CCI」の概要を簡単に見ておきましょう。
CCIとは
CCI(シーシーアイ)は、
Commodityは、原油、ガス、小麦、大豆、コーヒー、砂糖などの商品先物取引の商品のことです。
Channnelは、経路や通り道、ゾーンのことを意味していて、金融用語では1つのトレンドの流れのことをいいます。
CCIは、最初は商品先物の相場のトレンドの転換地点を知るために使われていましたが、商品先物だけでなく株式やFXなどでも通用することが確認され、現在は幅広い金融商品に使われています。オシレーター系となり中央値0を基準の上下に±100の数値が表示されるインジケーターです。
数値が+100を超えると「強い上昇トレンド」、−100を超えると「強い下降トレンド」と見ることができ、インジケーターの中でも比較的にシンプルでわかりやすいのが特徴です。
CCIをわかりやすく一言でいうと、
CCIの開発者
CCIは、ドナルド・M・ランバートによって開発され、商品取引の情報誌にて公開されたインジケーターです。CCIが公開された後、多くの投資家から好評を呼びオシレーターを代表するインジケーターの1つとなりました。ランバート氏によると、相場は一定のサイクルに基づいて動いているため、そのサイクルから離れすぎると元に戻ろうとする動きが見られる、とのことです。
CCIの基礎知識
CCIのコンセプトは、
CCIでは、相場のサイクルを見出すために算出には移動平均線が使われています。ここではCCIの基礎知識として、どのようにCCIの数値が計算されているのかを確認していきます。インジケーターの計算方法などは別に知らなくても使えるのですが、大まかにでもわかっていた方が、それぞれ独自のアプローチを開拓するのに役に立ちます。
CCIの計算方法
CCIは、
で計算されている数値です。
TPとは
TPとはTypical Priceのことで、ある期間における概ねの相場の平均価格を指しています。
TP = (高値 + 安値 + 終値)÷ 3
で求められています。
MAとは
MAとはSimple Moving Averageのことで、皆さんもよくご存知の単純移動平均線のことです。
TP − MA
にて、より現実的な相場の標準値・基準値が計算されいます。
0.015とは
CCIの計算方法で出てくる、0.015とは最小単位の値動き幅のことです。
0.015 = 値動きの最小単位
この0.015にMAをかけた数値が計算され、平均価格からの乖離値が算出されます。
MDとは
MDとはMean Deviation(平均偏差)のことです。
MD = 一定期間における(TP − MA)の平均値
0.015 × MD にて平均偏差が算出されます。平均偏差の期間は任意で設定できますが、一般的に14日か20日程度が使われています。
CCIの特徴
移動平均線・平均価格からの乖離率を算出するインジケーターが多い中、CCIの特徴は「相場の値動きに敏感に反応する」という点です。その他の類似したインジケーターにに比べると、グラフも小刻みにかつ大きく上下する傾向にあります。
CCIの見方
CCIは、メインチャートの下部にサブチャートとして挿入されるオシレーター系のインジケーターです。
表示されるラインは1本のみ。数値も+100と−100が基準となるためシンプルでわかりやすいです。
- CCIが+100を超えている → 上昇トレンドに向かう可能性
- CCIが200~300を超えている → 数値が高いほど「買われすぎ・過熱しすぎ」であると判断できます。
- CCIがゼロに達している → トレンドが切り替わる可能性
- CCIが−100を超えている → 下降トレンドに向かう可能性
- CCIが−200~300を超えている → 数値が低いほど「売られすぎ・パニック売り」であると判断できます。
チャートで見るCCI
上図の緑枠で囲んだ部分がCCIです。相場の上下の波に細かく連動しているのがわかりますね。大まかには価格が上昇するとCCIも上昇する傾向にあります。
CCIのチャートを拡大して見ていきましょう。
CCIの数値
CCIは「中央値0と±100」の数値が基盤となります。
- 現在のCCIの数値
- 一定期間内でのCCIの高い数値
- 中央値0と上下に+100、−100
- 一定期間内でのCCIの低い数値
また、CCIはパーセンテージ(比率)で表示されますので、時間足や期間を変えても数値の基準は同じです。
CCIの重要ポイント「+100」と「−100」
CCIチャートの中央値は「0」です。CCIが「0」にある時は相場の標準値・平均値から価格がずれていないことを意味しています。
CCIで見るべきポイント
CCIで見るべきポイントは、
- 「+100」のラインを超えている → 上昇トレンドで動く
- 「−100」のラインを超えている → 下降トレンドで動く
CCIが「+100」を超えている
CCIが「+100」を超えて動く時は、相場が標準値・平均値よりも大きく上昇していることを表しています。強い上昇トレンドとなるサインです。
CCIチャートの上部に余白がある時は300以上の数値(天井近く)まで上がることもあるので注意が必要です。CCIチャートの天井近くまで上昇した時は一旦価格が下がりはじめる「売り」のサインです。
買われすぎた相場は、利確売りが始まったり過熱感が冷めてしまうことから売りが入り、下降に向かう確率が高くなります。
「+100」を割り込んだ時
CCIが「+200~+300」あたりで推移していて、「+100」を割り込んだ時は大きな値動きがあったり流れが変わる傾向にあります。0に近づくほど、下降トレンドへと切り替わる可能性が強くなります。
CCIが0に触れたら
0に触れたら、新しいトレンドが形成されるサインです。ここで、0を下回るか反発するかを確認します。
0でCCIが反発すれば新たな上昇トレンドをつくります。0を下回っていけば下降トレンドへと向かっていきます。
CCIが「−100」を超えた時
CCIが「−100」を超えて動く時は、相場が標準値・平均値よりも大きく下降していることを表しています。強い下降トレンドとなるサインです。どこまで下がるのか底を確認することが大切です。CCIチャートの底まで下がりきった時が「買い」のサインで、そこから相場が反発する可能性があります。
パニック売りや一時的な衝撃から売られすぎた相場は、やがて割安感から買いが入り始め、上昇に向かう確率が高くなるのです。
「−100」を割り込んだ時
CCIが「−200~−300」あたりで推移していて、「−100」を割り込んだ時は大きな値動きやトレンドの流れが変わる傾向にあります。0に近づくほど、上昇トレンドへと切り替わる可能性が強まります。
CCIが0に触れたら
0に触れたら、新しいトレンドが形成されるサインです。 ここで新たに下降トレンドをつくるか、上昇トレンドへと転換していきます。
CCIの使い方
CCIで相場の動きを読む
米ドル/円の1分足チャートのスキャルピングトレードにCCIを使ってみます。
上図のチャートのように、相場が上下する波とほぼ連動してCCIが動いているのがわかりますね。
- CCIが「−100エリアから」上に向かう時は相場が上昇 →「買い」
- CCIが「+100エリアから」下に向かう時は相場が下降 →「売り」
- 売買タイミングを測る目安としてCCIが「−100エリアまたは+100エリア」から折り返す地点
数分おきに、上下する相場に合わせてエントリー・エグジットを繰り返していけます。
エントリー・エグジット方法
- CCIが「−100」以下のエリアから上に向かい始めました。この時点でエントリー、または「−100」「0」を抜けるのを確認してから「買い」エントリーです。CCIは「0」「+100」を抜けて高く上昇していきます。
- 相場はCCIの急激な上昇とともに価格がジャンプしています。ここで、CCIが天井につくまで待ちます。CCIが天井付近で折り返し始めた時点で「売り」エグジットで利確です。あるいは、このポイントで「売り」エントリーする方法もあります。
- CCIは今度は「0」「−100」を抜けて下降に向かっていますね。②の地点でエントリーした場合は底付近にCCIがきて折り返し始めった時点「買い」エグジットですね。もし、ポジションを保有しなかった場合は、ここで「買い」エントリーです。
- CCIは「−100」「0」を抜けて上昇に向かいました。大きく相場が上昇するかどうか「+100」を超えるのを待ちます。しかし「+100」の時点でCCIは下に向かい始めていますので、一旦ここで「売り」エグジットで利確です。
以上のように、CCIは相場の上下する細かい値動きにも敏感に反応するため、小刻みにトレードを繰り返すスキャルピングに最適なインジケーターだといえます。
デイトレード、スイング、長期トレードでも相場の上下やトレンドの上下に合わせてCCIを見ながらトレードしていけます。
勝つためのCCIトレード手法
最後に、CCIで勝つためのトレード手法をご紹介しておきたいと思います。
CCIを見ながら最適なエントリー・エグジットを測るために、おすすめのインジケーターは移動平均線とACオシレーターです。どのようにCCI、移動平均線、ACオシレーターでトレードすればよいのか解説していきます。
移動平均線とACオシレーター
移動平均線
短期、中期、長期の3本の移動平均線から形成されるゴールデンクロス・デッドクロスを使うことで、CCIが示唆するエントリー・エグジットのサインをより正確に確認することができます。
ゴールデンクロス
短期線が中期・長期線を上に抜ける時にゴールデンクロスが形成されます。ゴールデンクロスは上昇のサインです。
デッドクロス
短期線が中期・長期戦を下に抜ける時にデッドクロスが形成されます。デッドクロスは下降のサインです。
ACオシレーター
ACオシレーターはオシレーター系のインジケーターで、上図のように「下向きの山」と「上向きの山」で相場の下降の強さと上昇の強さを表示してくれます。
- 下向きの山がピークに達した時 →「買い」のサイン
- 上向きの山がピークに達した時 →「売り」のサイン
確実なエントリーのポイントは、新しい山が形成され始めた時です。そして、山がピークに達した時にエグジットします。
ACオシレーターも相場の上下に合わせて敏感に反応するため、スキャルピングなど繰り返して小幅でトレードする手法に抜擢です。
CCIのサインを移動平均線とACオシレーターで確認
CCIのサインだけに依存せずに、CCIのサインが出た時に、移動平均線やACオシレーターではどうなのかを確認してエントリー・エグジットを実行します。
3つのインジケーターでサインが見られた時のみエントリー・エグジットを決めれば、より勝率が高いトレードが実現できます。もし、CCIにサインが出ていても移動平均線・ACオシレーターにサインが出ていなければ様子を見るようにすれば、負けるリスクが低減できますよね。
まとめ
今回のFXプロ・チャート分析実践講座では「CCI」の見方、使い方を解説していきました。「CCI」は相場が上下する動きに敏感に連動して、価格が下がる局面と上がる局面をラインで教えてくれます。
「CCI」を使ううえで重要なポイントは、
- 「+100」を超えているか → 「+100」を超える時は強い上昇
- 「−100」を超えているか → 「−100」を超える時は強い下降
- 「0」をどちらの方向に抜けるか → トレンドが切り替わるサイン
- 天井・底をついているか → トレンドが切り替わるサイン
以上の4つです。