FX長期投資とは?初心者におすすめできるFX長期投資の手法・仕組み・メリットデメリット

FXのトレード法には大きく長期と短期があります。投資スタイルや目的によって長期投資と短期投資のどちらが良いのか、どちらが向いているのかそれぞれです。分散投資でリスクを抑えるために、長期と短期で振り分けて投資を行う人もいます。

長期のFXトレードは相場分析や売買タイミングの検討など時間的に余裕を持って取り組めるのが大きな特徴です。デイトレードなどの短期に比べれば難易度は低く、リスクが低減できるメリットがあります。頻繁に経済ニュースやチャート分析を行う必要もないので、FXトレードに多くの時間をかけれない方でも容易に始めることが可能です。

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今回はFX長期投資とはどのようなトレード法になるのか、手法や仕組み、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。

FXのトレード手法

FXのトレード手法

FXトレードはどれくらいの期間で売買していくかによって、4つのトレード手法があります。

  1. 長期トレード (長期投資)
  2. スイングトレード(短期~中期)
  3. デイトレード(短期)
  4. スキャルピング(超短期)

4つのトレード手法

FXの4つのトレード手法の大まかな特徴を見ておきましょう。

1.長期トレード(長期投資)

長期トレードは数週間~数か月、数年にわたってポジションを保有するトレード手法です。売買を繰り返すトレードというよりは将来的な値上がりを期待する投資の要素が大きくなり、長期投資とも呼ばれています。

長期的に保有することで大きな為替差益とスワップポイントが狙えるのが特徴です。

2.スイングトレード(短期~中期)

スイングトレードは数日程度の短期から数週間程度の中期、さらに数か月の長期へとも展開できるトレード手法で、その時の相場動向によって調整していけるメリットがあります。

一定の利益を長期よりも短い期間で狙います。長めに保有した場合はスワップポイントも得られるのが特徴です。

3.デイトレード(短期)

デイトレードは、文字通り1日で取引を完結させる手法で、次の日の為替レートを気にする必要がなく、急激な為替変動のリスクが低減するのが大きな特徴です。

毎日一定の利益が狙える一方、あまり大きな値幅は期待できないのがデメリットです。

4.スキャルピング(超短期)

スキャルピングは数秒~数分で決済を繰り返していくトレード手法です。数時間に間に100回以上の取引をすることもあり、まさに投資というよりはトレードで、小さな利益を積み重ねて1日の利益とします。

瞬発的に売買を決断していくため、高度な分析力や判断力を必要とします。

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というように、どれくらいの期間でポジションを保有するのかによって、狙う利益や必要なスキルなどが異なってきます。一般的に、期間が長くなればそれだけ分析や判断に時間がかけれるため、余裕を持って取引を行うことが可能です。期間が短くなるほどに、分析や情報取集もまめに行う必要があるため難易度が高くなっていきます。

FX長期投資はどんな手法?

FX長期投資はどんな手法?

それではFXの長期投資とはどのようなトレード手法になるのか、さらに詳しく解説していきます。

FX長期投資の特徴

FX長期投資とは

数か月~数年単位で大きな為替差益とスワップポイントを狙うトレード手法で、為替取引というよりは将来的に値上がりすると予想した通貨に投資を行うイメージで外貨預金に近い手法となります。

一般的に長期投資は為替レートが下がりきった時に「買い」でエントリーして、価格が大きく上がるのを待ちます。為替レートが上がりきった時に、「売り」で決済して利益を得ます。数週間、数か月、数年と長く保有することで大きな為替差益が狙えると同時に、毎日付与されるスワップポイントでも稼ぐことができます。

FX長期投資の利益

FX長期投資の利益は

  • 為替差益
  • スワップポイント

と2つの利益にて大きく稼ぐことが可能です。

為替差益

FX長期投資の基本は「安い時に買って、高い時に売る」ことです。FX長期投資で最も一般的な通貨ペアが米ドル/円で、「円高の時に買って、円安が進んだら売り」で利益を得る方法です。

長期的な視野で大きな値幅を狙いますので、数年来、数か月来の円高が訪れた時が「買い」のチャンスです。例えばリーマンショックや米中貿易、最近でいえば新型コロナウイルスなどネガティブな要因によって、ドル円が下がりきってしまう局面があります。

相場が下がりきった局面を狙って「買い」でエントリーしておけば、あとはレートが上がるのを待つだけです。数週間~数か月、あるいは数年と放置しておく投資家も多いです。そのかわり、米ドルのようにほぼ100%値上がりが期待できる、安定性・将来性がある通貨を選ぶ必要があります。

為替差益で利益を狙うイメージ

では、長期投資で為替差益を狙うイメージをチャートで見てみましょう。

米ドル/円 週足チャート
米ドル/円 週足チャート

6月にドル円相場は1ドル/100円まで円高が進みます。ドル円が下がり始めた時に、下がりきるのを待ち構えておいて、100円に下がりきったところでドル円を購入しておきます。

そして、5か月後の11月にはドル円相場は118円まで上昇します。118円といえば数年間の円安価格帯なので、ここで売却して利益を得ます。

ドル円の5か月間の値幅は

118円 - 100円 = 18円

1ドルの価格は18円(1,800pips)上昇したことになります。

いくらぐらいの利益?

取引通貨数によって、18円の値上がりでもトータルの利益は大きく異なります。

  • 1,000通貨 × 18円 = 18,000円
  • 10,000通貨 × 18円 = 180,000円
  • 100,000通貨 × 18円 = 1,800,000円

以上のように、長期投資の場合は大きな利益を期待することができます。

スワップポイント

さらに、長期投資の場合はスワップポイントによる利益も期待できるのが特徴です。スワップポイントとは各通貨の金利差のことで、低金利の通貨から高金利の通貨を購入した場合に付与される利息のことです。

高金利通貨から低金利通貨を購入すると、マイナスのスワップポイントが差し引かれるので長期投資では注意しなければなりません。スワップポイントは利用するFX業者によって数値が変わり、通貨によっては買いでも売りでもスワップがマイナスとなる場合もあります。

基本的に日本円は低金利通貨ですので、相対的に円よりも高金利の通貨が多いためスワップポイントがプラスで付与されるケースが多いです。(一概にはいえないので確認が必要)

1万通貨あたりのスワップポインント
1万通貨あたりのスワップポインント

https://www.gaitame.com/

スワップポイントには固定と変動があります。上記の表は「外貨どっとコム」の1万通貨あたりの変動スワップポイントの例です。

例えばドル円の場合で1日平均5円のスワップポイントがついたとして、長期でポジションを保有することでどれくらいの利益になるでしょうか。

  • 30日 × 5円 = 150円
  • 60日 × 5円 = 300円
  • 120日 × 5円 = 600円
  • 360日 × 5円 = 1800円

以上のように保有しているだけでも、スワップポイントがどんどん貯まる仕組みになっているのです。

高金利通貨のスワップポイント
高金利通貨のスワップポイント

https://info.monex.co.jp/news/2020/20200109_03.html

トルコリラや南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨の場合、スワップポイントだけでもかなり大きい金額が期待できます。上記は「マネックス証券」の1万通貨あたりのスワップポイント一覧です。

ただし高金利通貨の場合、財政面で不安定なため為替差損による損失が大きくなるリスクがあるので注意しましょう。

FX長期投資のメリット

FX長期投資のメリット
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長期投資の最大のメリットは長い期間待つことによって為替差益とスワップポイントで大きな利益が狙えることです。

頻繁にチャートや経済ニュースをチェックする必要もなく、半ば放置状態でも成り立つことも魅力の1つです。ここでは長期投資のメリットをご紹介します。

  • 為替差益とスワップポイントで大きな利益が狙える
  • じっくりと時間に余裕を持って取り組める
  • 相場分析に時間がかけれる
  • エントリー・エグジットの検討に時間がかけれる
  • チャート・ニュースを頻繁にチェックする必要がない
  • エントリーさえ適切なら半ば放置しておける
  • 含み損が含み益に変わることも多い
  • 損切りを急ぐ必要がない
  • 過去のデータから最適な買い時・売り時が設定しやすい
  • 初心者でも取り組みやすい投資方法
長期投資では、メジャーな通貨を対象に、エントリーさえ慎重に判断しておけば比較的に利益を出しやすいトレード手法だといえます。要は、値上がりすると信じた通貨が実際に値上がりするまで気長に待てばいいだけなのです。
半分放置しておいても、リスクを最小限に抑え大きな利益を得ていくためには、どこでエントリーするのかが最も重要なポイントとなります。最適なエントリーのタイミングを見るために数週間~数か月待つこともあります。

長期投資のデメリット

長期投資のデメリット
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FX長期投資では初心者にも取り組みやすいなどメリットがある反面、長期特有のデメリットもあります。ここでは、長期投資のデメリットを見ていきましょう。
  • 大きな為替変動の影響を受けやすい
  • 含み損が知らないうちに拡大することもある
  • 全く放置しておいて良いわけではない
  • エントリータイミングが頻繁にあるわけではない
  • 値上がりするのに想定以上の時間がかかることもある
  • レバレッジによるリスクが高くなる
  • マイナススワップによって損失が生じる恐れがある
長期投資の最大のデメリットは、一定以上の利益が出るまでに相応に時間がかかるということです。売り時を逃した際には、また価格が上がるまで待つことになるため数か月~1,2年と保有するケースもあります。
また、長期間で保有することによって大きな為替変動によって一気に損失を抱える恐れがあるのも長期投資のデメリットです。とくにレバレッジを高く設定している場合はロスカットのリスクが非常に高くなるので注意しましょう。

初心者におすすめの長期投資のやり方

それでは、実際にFXの長期投資のやり方をわかりやすく解説していきます。

1.長期投資の通貨の選び方

まず、FXで長期投資を始める際に大切なのが通貨ペアの選び方です。長期的なサイクルで相場予想がしやすい通貨ペアを選ぶ必要があります。

  • 安値の価格帯と高値の価格帯が分かりやすい通貨
  • 長期的に上昇と下降を繰り返している通貨
  • 安全性が高い通貨
  • 将来的な成長が期待できる通貨

上記のような要素を持つ通貨ペアであれば、一旦下がったとしてもいずれ価格が元の高値圏まで戻る確率が高くなります。従って、価格が下がりきるタイミングさえ掴めるならば、上昇の可能性が高く比較的容易に稼ぐことができます。

成功のポイントと注意点

長期投資に向いている代表的な通貨ペアは米ドル/円です。英ポンド/円、豪ドル/円などです。ユーロの場合は円よりも低金利なのでマイナスポイントになる場合が多いので注意しましょう。英ポンドはスワップはあまり期待できませんが、為替差益が大きくなりやすいのが特徴です。

2.長期投資の資金を決める

次に、どれくらいの資金をFX長期投資に使うのか決めておきます。長期投資は基本的に長い時間をかけて大きな利益を狙う方法です。できれば資金は多めの方が大きな利益が期待できます。長期投資で利益を狙うならば最低でも10~20万円程度は用意しておきたいものです。

理想は100万円~数100万円ぐらいあると、レバレッジをそんなにかけなくても大きな利益が期待できます。外貨預金のように、使わないからしばらく資金を預けておくというイメージですね。

3.エントリーのタイミングを待つ

そして、長期投資で最も大切なのがいつエントリーするかということです。長期投資に最適なエントリーポイントはそう度々あるわけでないので、長期投資用の資金を確保したら、いつでも動かせる状態にしておくことが大切です。

ここでは米ドル/円のケースでエントリーのタイミングを待つ方法を解説します。米ドル/円は、よく円高円安とニュースでも言われているように、定期的に円高基調と円安基調を繰り返している代表的な通貨です。

ドル円相場が日足・週足などで下降に向かい始めたら、そろそろエントリーの準備をしておきます。近年でいえば、米中貿易戦争、イラク問題、新型コロナウイルスなどネガティブな要因が目立ち始めた時はドル円相場が下がりきるチャンスです。

価格が下がり始めた時に、どこまで価格が下がりきるのかを待ち構えておくことが成功のポイントです。

長期的な安値と高値の価格帯を確認しておく

長期投資での買い時、最適なエントリーのタイミングを掴むためには、あらかじめ購入したい通貨ペアの安値と高値の価格帯を数か月~数年の範囲で確認しておくことが大切です。

概ねの安値・高値の価格帯がわからなければ、いつが買い時なの判断することができません。日足、週足、月足のチャートから概ねの価格帯をチェックしておきましょう。

米ドル・円/週足のチャート
米ドル・円/週足のチャート

上記のチャートは米ドル/円の週足チャートで、2016円6月~2020年6月までの4年間の相場動向がわかります。

概ねの安値圏は100円~104円、高値圏は114円~118円ぐらいです。この週足チャートの価格帯を参考にするならば、100円~104円あたりがエントリーポイント、114円~118円あたりがエグジットポイントと見るのが1つの方法です。

4.レバレッジは低めに設定

もう1つ長期投資で注意しておきたいのが、レバレッジを何倍にするかということです。レバレッジは高くなればなるほど、ロスカットの許容範囲となる価格帯が狭くなっていきます。通常は証拠金維持率の50%~100%で強制ロスカットを受けます。

FXに限らず、投資では「絶対」という言葉はありません。どんなに高度なスキルを有するプロの投資家でも、100%正確に相場を予想することは不可能です。誰にも、先のことはわからないのです。従って、どんなに自信があるエントリーでも価格が逆行するかもしれないことを考慮しておく必要があります。

もし、これが外貨預金であれば含み損が出たとしても待つことで利益に変えることも選択可能です。しかし、FXの場合は強制ロスカットを受けて、大きな損失が自動的に決済されてしまう恐れがあります。とくに長期投資の場合は動く値幅が大きくなりがちです。証拠金維持率にも十分に余裕を持っておく必要があります。

長期投資の場合は5倍以下のレバレッジで抑えておくのが無難です。資金が十分に用意できる方は2,3倍に抑えておくと安全です。まめにチャートやニュースをチェックしたり、逆指値注文にて損切りを設定しておくなど工夫すれば10倍程度でもロスカットリスクを抑えることは可能です。
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下記の記事では、FXのレバレッジやスワップポイントについて詳しく解説しています。合わせて、参考にして下さい。

まとめ

まとめ

今回はFX長期トレード・長期投資について解説していきました。長期投資がどのような手法なのか、利益を得る仕組みやメリット・デメリットが大まかにイメージできたのではないでしょうか。

長期投資で成功することは、多少の値動きには動じずにじっくりと値上がりするのを待つことです。ロスカットの恐れがない範囲で半分は保有していることを忘れるくらいの感覚でちょうど良いのです。値上がりするまで気長に待つために、最も大切なのが事前のリサーチです。

「この価格がこの通貨ペアの安値圏だ」「この通貨ペアなら必ず上昇が見込める」「この通貨ならきっと値上がりする」

など、チャート分析や国の情勢など情報収集に十分な時間をかけて、「今が買い時だ!」と手応えを感じることが大切です。

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投資をするということは、単に利益を狙うだけでなく企業や国、ある商品やサービスを支援することでもあります。長期投資で選ぶ通貨ペアは興味のある国、支援したい国を選ぶことで、より意義の深い長期投資が実現するでしょう。

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