FX長期投資を始めたのはいいけれど、含み損を抱えた状態が続くとどうすればよいのか不安になってくるものです。思い切って始めた投資。手持ちの資金がどんどん少なくなってくると損切りすべきなのか、待つべきなのか悩んでしまいます。
長期投資は基本的に長い期間に渡ってポジションを保有していきますので、その時の市場動向によっては大きな為替変動の影響を受けることもあります。ただ、基本的に長期投資は相場が落ち込んだ時を狙ってエントリーするもので、エントリーのタイミングさえ慎重にしておけば大きな含み損を抱えてしまう確率は低く、長く待つことで利益が出始めるケースも多いです。
それでも通貨ペアによっては、なかなか思うように上昇に向かわないこともあり得ます。そんな時は、損失が小さいうちに思い切って損切りした方がよい場合もあります。
FX長期投資とは
FXで勝つためには損切りを徹底せよとよく言われます。ただ、長期投資はスイングやデイトレードなどその他の投資手法とは異なり、独特のスタンスで取り組む必要があります。長期投資では、極力損切りは行わない方がよいです。なぜなら相場はつねに上昇と下降を繰り返しており、どこかのタイミングで上昇に向かう可能性が高いからです。
どこでエントリーしたのか、どの通貨ペアを選んだのかによって損切りすべきかどうかの判断も異なってきます。まずは長期投資の特徴や勝つためのポイントを最初に抑えておくことが大切です。
すでにポジションを持っている方もいるでしょうが、ここで改めて長期投資の特徴や勝つためのポイントを確認していきましょう。
長期投資の特徴
長期投資とは
どれくらいの期間保有していくのかは、狙う値幅やその時の市場動向にもよるといえますが、数か月~数年程度保有していきます。タイミングよく、一気に上昇に向かった時などは数週間程度で一定以上の値幅が狙えることもあります。
例えば、米ドル/円でいえば、長期であれば最低でも10円程度の値上がりは期待したいものです。買値によっては20円近くの上昇が見込める場合もあります。
加えてスワップポイントもほぼ毎日つきますので、為替差益とスワップポイントにて大きな利益が期待できます。
長期投資で勝つためには?
長期投資で勝つためのポイントは大きく3つあります。
- できるだけ安値の時にエントリーする
- スワップポイントがプラスになる通貨ペアを選ぶ
- 将来上昇が見込める通貨ペアを選ぶ
この3つの要素があれば、長い時間をかけることで初心者でも勝てる確率が高いのが長期投資です。長期投資はじっくりと腰をすえて価格が上昇するのを待つもので、多少の含み損は気にせずに半分放置しておくぐらいでちょうどよいのです。
ただ、為替市場が将来的にどう動いていくのか、選んだ通貨ペアが上昇に向かうのか下降に向かうのか、これは誰にもわからないことです。あまりにも含み損が大きくなってきて気になるようであれば、どこかのタイミングで損切りを決意しなければなりません。
どれくらいの利益で売るべき?
また、利益が出始めた時にもどれくらいの利益で売るべきか悩む方は多いでしょう。タイミングを逃すと、また相場が下がり始める可能性があります。かといって早々に利確してしまうと、せっかくの上昇の機会を逃してしまうことになりますので、早すぎてもいけません。
じっくりと相場が上昇しきるのを待ってから、上昇トレンドから下降トレンドへと切り替わるタイミングで売却を検討していきますが、どれくらいの利益で利確するかは、投資家それぞれの投資の目的によっても変わってきます。
- どれくらいの期間で保有していくのか
- どれくらいの値幅を狙うのか
など、あらかじめ概ねのところで想定しておけば1つの目安にすることができます。
損切り・利確ルールとは
では、そもそも損切り・利確とはどのように設定していけばよいのでしょうか。まずは、損切り、利確とは何なのかからわかりやすく解説していきます。
損切りとは
損切りとは
一旦、損切りをしてもっと価格が下がってから買い直すこともあれば、その通貨ペア自体に幻滅を感じてしまうこともあります。
損切りは、先で10万円損するぐらいであれば、損失が5万円のうちに決済しておこうと決心することです。
損切りは、長期投資以外のトレード手法では確かに徹底する必要があります。デイトレードやスキャルピングのようにトレード期間が短くなればなるほど、早めに決意する必要があります。なぜなら、短い時間で小さめの値幅を狙うのが目的で、長い時間保有するつもりエントリーするわけではないからです。
長期投資の損切りは慎重に検討する
長期投資では、将来上昇すると思える通貨を慎重に選ぶことが大切で、一時的に下落するかもしれないリスクを承知の上で長く付き合っていく投資方法です。通貨を選ぶ時には、運命をともにするぐらいの気持ちで購入することが大切です。
米ドルや、豪ドルや英ポンドなどの主要通貨の場合は、安値で購入さえしておけば、上昇と下降を繰り返していますので、いずれ価格が戻り、上昇に向かう可能性は高いです。
しかし、どんなに思い入れがある通貨ペアでも上昇が見込めないこともあります。とくに新興国通貨の長期投資は注意しなければなりません。
先のことは誰にもわからない
ただ、先のことは誰にもわかりません。ある日、何年も下がり続けた新興国通貨がかつての円のように、一気に値上がりすることも考えられます。この場合は、どんなに周りで売り急がれていたとしても信じて待ち続けた投資家の勝ちです。
長期投資で損切りする場合は、どう思うのか自分自身にしっかりと問いかける必要があります。
- なぜその通貨ペアを選んだのか
- なぜ上昇すると思ったのか
- もう、将来上昇する見込みはないのか
検討した上で、やはり見切りをつけたい場合は即損切りを実行するようにしましょう。
許容範囲を超えたら迷わず損切りしましょう
あと、長期投資で損切りの目安となるのは、精神的にその損失額に耐えられるかどうかを吟味することです。投資家それぞれで、精神的に耐えられる損失額には違いがあります。
まずは現在の投資資金に対して、いくらまでの損失であれば耐えられるのか決めておきましょう。損失が10万円なんて耐えられない、と思う方は7万円程度の含み損で損切りしておきましょう。いや自分は3万円の損失は絶対に許せない、と感じたら2万円あたりで損切りするようにルールを決めておきましょう。
資金の何%かを決めておく方法もある
また、損失額ではなく比率で決めておく投資家もいます。
損失額が資金の-20%を超えたら損切り、-15%、-30%など、これも本人が許容できる範囲で設定しておくとよいでしょう。目安としては、含み損が出始めた時に夜も眠れないくらいに心配になってきたら、そこが長期投資の損切りのラインになります。不安ではあるが、まだ様子を見ようという気持ちになれるなら、その気持ちに従うのが長期投資で成功するコツです。
利確とは
利確とは
長期投資の場合、まだまだ上昇するものを早めに売却してしまったり、利確のタイミングを逃すとまたしばらく長い期間待つことになるため見極めが必要です。利確のタイミングを設定する方法をいくつかご紹介しておきましょう。
月足・週足の高値を目安にする
長期投資で利確の目安をつける方法の1つに、月足・週足での高値圏にきたら売却を検討する方法があります。例えば、米ドルや豪ドルのように一定のペースで上昇トレンドと下降トレンドを繰り返している場合、高値圏にきたら利確が集中してまた下降トレンドへと切り替わる傾向にあります。
もし、高値圏にある時にポジティブなニュースが重なったとすれば、高値を新たに更新する可能性もあるので高値圏に相場が突入した時はこまめに経済ニュースをチェックするようにしましょう。
下降に切り替わるサインを探す
また、上昇トレンドがしばらく続いている時は、チャート分析にてトレンドが切り替わるサインを見つける方法があります。下降から上昇、上昇から下降へと切り替わる時はローソク足などでチャートにサインが出ていることも多々あります。
ある程度で上昇が続いたら、日足チャートにて以下の項目をチェックしてみましょう。
- 高値の位置が下がってきている
- 売りや弱気を表す陰線ローソク足が増えてきている
- 値幅が狭くなってきている
- 横ばいの動きを見せている
などの現象が見られたら、買いの勢いが弱まっていることを表しています。
値幅や利益額を決めておく
そして、もう1つの利確方法として、あらかじめ値幅や利益額を決めておく方法があります。例えば、米ドル円の場合で10円以上値上がりしたら利確する、利益が5万円、10万円、50万円を超えたら利確するなどと決めておけます。
いくらで購入したのか、どれくらいの期間で保有していきたいのかによって、狙う値幅や利益額が変わってきます。
長期でもなるべく短い期間で利益を確定したい方は、狙う値幅や利益額も小さめにします。数年は保有していくつもりであれば、狙う値幅や利益額も大きめに設定しておきます。
損切り・利確は難しい?
為替相場がどのように動いていくのか、それは誰にもわからないことです。いかに経済学に詳しい人でも、どんなに高度な分析スキルを持っていたとしても、100%正確に相場を読むことは不可能です。
損切りと利確の設定は、すべての投資家にとって永遠の難題だといえるテーマなのです。
とくに初心者の方は、含み損が増え始めた時は損切りすべきか不安になりますし、利益が出始めれば早めに利確すべきではないかと焦ってしまうでしょう。長期投資にて損切りと利確を少しでも有効に実行していく判断基準は、どれくらいその通貨ペアに思い入れや期待があるかを自分自身に問いかけてみることです。
もし、その通貨ペアが損切り後にもっと価格が下がったとすれば購入したいですか?
答えがYESなら、損切りせずに価格が下がった時に買い増す方法があります。さらに安い価格で買い足せば、平均購入単価も下がるため値上がりした時の利益も大きくなります。もしNOなら、その通貨ペアに希望を持っていないことを意味しています。価格が上がり始める可能性もありますが下がり続けたら、不安は益々大きくなるばかりです。早めに損切りすべきです。
その通貨ペアが値上がりするまで5年、10年待てますか?
答えがYESなら利確のタイミングは余裕を持ってじっくりと待ちましょう。下がってもまた待てばいいと思えるなら上昇トレンドが天井にいきつくまで様子を見ることができます。思った以上に相場が上がり十分だと思える金額なってから売却できます。答えがNOなら、ほどほどの利益で早めに売却しておきましょう。また下がりはじめたら長い期間待たねばなりません。
適切なエントリー・エグジット
それでは、最後にFX長期投資における適切なエントリー・エグジットポイントをチャートを見ながら解説していきたいと思います。
エントリーは月足・週足の安値圏で
どれくらいの期間でどれくらいの値幅を狙うのかによって、月足か週足か重視するチャートを決めることができます。ただ、長期投資では週足を選んだ場合でも月足の安値・高値は考慮しておくことが大切です。
まず、月足と週足のチャートの高値の位置にレジスタンスライン、安値の位置にサポ―トラインを引いてみましょう。
米ドル/円 月足チャート
上記の米ドル/円のチャートは週足にレジスタンスライン、サポートラインを引いた後で月足に戻した状態です。
①月足の安値圏の価格帯は77円~88円です。2012年以来、この価格まで下がったことはないようですね。この時はちょうどリーマンショックによって相場がとことん落ち込んだ時でした。ここまで相場が下がるチャンスは滅多にないでしょう。
絶対に長期投資で失敗したくない方は①のこの価格帯をエントリーポイントのターゲットとすることができます。エントリー自体に数年かかることもあるでしょうが、先のことは誰にもわかりません。その時のために長期投資用の資金を確保しておくのも選択肢の1つです。
②は週足の安値圏で、価格帯は99円~104円あたりです。今だとこの価格帯が長期投資の最も理想的なエントリーポイントだといえるでしょう。104円に近づいてくるタイミングを待ちます。例えば米ドル/円の場合だとここ数年は104円あたりに触れる局面は年に2回程度あるようです。
エグジットも月足・週足の高値を目安にできる
エグジットポイントも月足・週足の高値を目安にすることが可能です。
①は月足の高値に引いたレジスタンスラインです。概ねの価格帯は120円~125円。この価格帯にきたら利確すると決めておく方法があります。ただ、2002年以降は124円あたりに達しているのは3回程度なので長く待つ可能性があります。じっくりと値上がりするのを待ちたい方は年月をかけて、ドル円が120円を超えるのを待っ方法もあります。
②は週足の高値圏で114円~118円あたりがエグジットポイントとなります。2015年以降はドル年の値動き幅が狭くなってきており、とくに2018年以降は米中貿易戦争、そして新型コロナウイルスと続き横ばいで推移していてあまり価格が動いていませんね。114円あたりの早めの段階で利確するか、120円あたりに近づくまで腰を据えて待つ方法があります。
トレンドラインを参考にする方法もある
過去の安値・高値を考慮しつつも、トレンドラインを使ってエントリー・エグジットポイントを決めていく方法があります。
トレンドラインを使ったエントリーポイント
下降トレンドが続いている場合は下降トレンドの高値のラインにトレンドライン(レジスタンスライン)を引いておきます。この高値のラインをブレイクしたら、上昇トレンドへと切り替わるサインです。ブレイクした時点でエントリーすることができます。
トレンドラインを使ったエグジット
上昇トレンドが継続している時は、安値のラインにトレンドライン(サポ―トライン)を引いておきます。このラインを下にブレイクしたら下降トレンドへと切り替わるサインです。ブレイクした時点で利確エグジットします。
まとめ
今回は、FX長期投資で勝つための損切り・利確ルール、適切なエントリー・エグジットポイントについて解説していきました。
長期投資の理想は、相場が下がりきった時を狙ってエントリーすることで、極力含み損を抱えることなく上昇へと向かえることです。含み損の額に悩まずに済ませるためには、できるだけ安値でエントリーしておくことが勝つためのコツです。
エントリーが安値であればあるほど、大きな値幅が期待できて利確のタイミングにも余裕が持てます。長期投資は精神的にも経済的にも余裕を持って腰を据えて取り組むことが大切です。じっくりと通貨ペアを選び、じっくりとエントリー・エグジットのタイミングを待つならば、多少の値動きに動揺することもありません。将来的に損切りや利確で悩まないためにも、長期投資では慎重な通貨ペア選びとここぞという安値のエントリーが必須です。
損切りや利確のタイミングで迷った時には、本当にこの通貨ペアでよいのか、この価格でよかったのかもう1度自分自身に問いかけるようにして下さい。きっと、それぞれにとって最適な答えを見つけることができると思います。