FXトレードで的確なシグナルが得られるインジケーターは?と探している投資家は多いのではないでしょうか。色々なインジケーターを試してみても、何だかしっくりこないという方はまだ、使ったことがないインジケーターを試してみましょう。
それぞれの投資スタイル・手法、さらには通貨ペアや時間足などから相性のいいインジケーターも異なり、時には、全く無名のインジケーターが最大の効力を発揮することもあります。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回ご紹介するのは「バランスオブパワー」です。
FXテクニカル バランスオブパワー
「バランスオブパワー」は相場の強気度・弱気度がわかるテクニカルインジケーターで、トレンドの勢いや方向性を計ることができます。
まずは最初に、「バランスオブパワー」の概要を簡単に見ていきましょう。
バランスオブパワーとは
バランスオブパワーとは、
「買い」の勢いが強い時には、当然ながら価格はどんどん上昇していき、しばらくは上昇トレンドが継続します。このような相場では、「買い」でトレンドの波に乗りますよね。
一方、「売り」の勢いが強ければ、価格はどこまでも下がり続けていきます。下降トレンドでは「売り」から入って利益を狙います。
- 「買い」の勢いが強い → 「ブル/Bull」
- 「売り」の勢いが強い → 「ベア/Bear」
と表現して、よく今は「買い」なのか「売り」なのかが議論されています。
「買い」や「売り」の勢い、今が「Bull」なのか「Bear」なのかがわかれば、最適なタイミングでエントリー・エグジットを計ることができますよね。
バランスオブパワーの開発者
バランスオブパワーは比較的に新しいインジケーターで、2001年にイゴール・リブシン/Igor Livshinによって開発されました。
バランスオブパワーがまだそこまで知られていないのは、まだ新しいインジケーターだからなのかもしれません。これまでに多くの強力なインジケーターが開発されてきた中、近年になって開発されたバランスオブパワーは、従来のインジケーターでは表示できない要素が含まれていると判断できるでしょう。
バランスオブパワーの基礎知識
バランスオブパワーは「買い」と「売り」の勢いを、中央値0とプラスマイナスの数値で表示します。どのように計算されているのでしょうか。どのような仕組みになっているのでしょうか。
ここでは、バランスオブパワーの計算方法や基本的な仕組みを解説していきます。
バランスオブパワーの計算方法
バランスオブパワーの計算式は以下のとおりです。
バランスオブパワー = (終値 - 始値)÷(高値 - 安値)
最初にバランスオブパワーの数値が算出され、そしてバランスオブパワーの数値から一定期間におけるEMA(移動平均線)が算出されます。
※期間は任意で設定できます。デフォルトでは期間14が使われていて、開発者であるイゴール・リブシンは14を推奨しています。
バランスオブパワーの基本的な仕組み
バランスオブパワーは、中央値0を基準にプラスマイナス0.2~0.5あたりの数値が棒グラフで表示されます。
バランスオブパワーの基本的な仕組みは、中央値0より上にあるか、下にあるかで売買の勢いを判断していきます。
0とプラスマイナスの数値
- 中央値0 → 売買の勢いはニュートラル
- プラスの数値 → 買いの勢い (数値が高いほどBull)
- マイナスの数値 → 売りの勢い (数値が低いほどBear)
基本的にはこの3つの項目を目安に、相場の状況、トレンドの勢い・強さを分析することができます。
陽線と陰線
- 中央値0から上に向かう線 → 陽線(プラスの数値)
- 中央値0から下に向かう線 → 陰線(マイナスの数値)
- 陽線が長いほど → 買いの勢いが強い(Bull)
- 陰線が長いほど → 売りの勢いが強い(Bear)
バランスオブパワーの見方
数値の見方
中央値0を基準に上下にプラスマイナスの数値が表示されます。
- 中央値0より上 → 買いの数値 (Bullの強さ)
- 中央値0より下 → 売りの数値 (売り・Bearの強さ)
陰線と陽線の見方
バランスオブパワーの数値は棒グラフで表示されます。ラインがどちらの方向に向いているかを見ていきます。
- 上向きのライン → 陽線(Bull線)
- 下向きのライン → 陰線(Bear線)
ラインの長さを見る
ラインの長さから「買い/Bull」と「売り/Bear」の強さを計ることができます。
- 陽線が長くなるほど → 買い/Bullが優勢
- 陰線が長くなるほど → 売り/Bearが優勢
陽線が長いということは、「買い」が優勢で強いBull相場にあることを意味しています。逆に、陰線が長いということは「売り」が優勢で強い「Bear相場」にあると判断できます。
ラインの色を見る
陽線も陰線も2色の色で表示されています。色の違いには意味があって、価格が上昇した時と下降した時とを区別しています。
2色の陽線
陽線は黄緑と緑の2色で表示されています。
黄緑は価格が上昇したことを意味していて、緑は価格が下降したことを意味しています。つまり、Bull相場にありながらも価格が下降する局面もあるということですね。
2色の陰線
陰線は赤と紫で表示されています。
赤は価格が下降したことを意味していて、紫は価格が上昇したことを表しています。Bear相場にある時でも上昇線が出てきて価格が上がる局面もあるわけです。
上昇・下降のタイミングを見る
陽線 上昇から下降
陽線が山を作って下降し始めるタイミングで価格は上昇から下降へと切り替わります。
陰線 下降から上昇
陰線が山を作って上に向かい始めるタイミングで価格は下降から上昇へと切り替わります。
トレンドの切り替わりを見る
下向きの山は下降トレンド、上向きの山は上昇トレンドを表しています。
下向きの山が終わって、上向きの山ができ始めると下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるサインです。
上向きの山が終わって、下向きの山ができ始めると上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるサインです。
バランスオブパワーの使い方
ラインの長さ・色でエントリー・エグジット
下降トレンドにあった相場は陰線から陽線に切り替わり、上昇に向かう気配を見せています。ラインの色が変わり陽線の一番短いラインが出現するタイミングで「買い」エントリーします。
予想どおりに上昇に向かったら、今度は陽線が上昇のピークを表す一番長いラインが出てくるのを待ちます。長いラインができて、次のラインが低い位置で始まった時は、価格が下がり始めるサインです。このタイミングで「売り」エグジットして利確します。
売りから入る場合は、一番長いラインができて、次のラインが低い位置で始めった時に「売り」エントリーします。そして、今度はラインの色がかわり一番短くなったタイミングで「買い」エグジットで利確です。
陰線と陽線の山の向きでエントリー・エグジット
相場は下降トレンドにあり、下向きの山が小さくなってきました。そろそろ上向きのラインが出てきて上昇トレンドに切り替わるサインです。
下向きの山が終わって、上向きのラインが出てきたタイミングで「買い」エントリーします。予想どおりに上昇トレンドが始まり、バランスオブパワーも上向きの山に切り替わりました。しばらく様子を見て下降トレンドのサインを待ちます。
上向きの山が小さくなってきて、下向きのラインが出てきたら今度は下降トレンドに切り替わるサインです。下降トレンドの山ができ始めたタイミングで「売り」エグジットでたっぷり利確ですね。
売りから入る場合は、上向きの山が終わって下向きの山ができ始めるタイミングで「売り」エントリーします。下降トレンドに切り替わったら、下向きの山がしばらく続きますので、今度は上向きの山が出てくるタイミングを待ちます。下向きの山が終わって、上向きの山が出てきたら「買い」エグジットで利確です。
勝つためのバランスオブパワートレード手法
FXトレードで勝つためには、1つのインジケーターに依存しないことです。
どんなに優れたインジケーターでも100%完璧ではありません。時には、誤ったサインが見られたり、サインが多すぎたり遅すぎたりと、もどかしい思いをすることもあるでしょう。
ボリンジャーバンドと組み合わせた手法
- 下降トレンドがしばらく続いた後、上昇のタイミングを待ちます。バランスオブパワーの下向きの山が終わったようです。上向きの短いラインが2本出てきています。ボリンジャーバンドを確認すると、中央線を抜けました。上昇トレンドへ切り替わる可能性を確証できたところで「買い」エントリーを決めます。
- 予想どおりに上昇に向かい、ある程度利益が出てきました。ボリンジャーバンドは4回目の上値バンド、バランスオブパワーは山が小さくなってきています。この辺で、用心して「売り」エグジットにて利確しておきます。
- 下降トレンドに向かい始めた相場は、ボリンジャーバンドの下値バンドで反発。バランスオブパワーの下向きの山はあまり形成されないまま上向きラインが出てきています。上昇トレンドはまだ終わってない可能性が高まります。ボリンジャーバンドの中央線を抜けた時点で、再度「買い」エントリーでトライします。
- 予想どおりに、上昇トレンドが継続しました。しばらく様子を見て下降トレンドのサインを待ちます。バランスオブパワーは2つの山を作った後で一気に短いラインが出てきています。上昇が弱まってきているサインです。ボリンジャーバンドを見ると上値バンドを抜け切れずに中央線に向かっています。ここで「売り」エグジットで2度目の利確です。
上図チャートの相場は大きな視野でとらえると、1つの上昇トレンドで①から④まで保有して利確することも可能でした。しかし、これは結果論であって、もしかすると③の地点で下降トレンドに切り替わっていたかもしれません。
まとめ
バランスオブパワーは、相場の「売り」と「買い」の強さ・勢いを教えてくれるインジケーターです。バランスオブパワーを使うことで、今が「Bull相場」なのか「Bear相場」なのか判断の目安にすることができます。
バランスオブパワーを見るポイントは、
- 中央値0より上にある → 陽線「買い/Bull相場」
- 中央値0より下にある → 陰線「売り/Bear相場」
- 陽線のライン → 長い/強い上昇、短い/弱い上昇
- 陰線のライン → 長い/強い下降、短い/弱い下降
- 上向きの山 → 上昇トレンド
- 下向きの山 → 下降トレンド
などを目安に売買タイミングを計ることができます。