パラジウムは産業用として今後の需要が期待されている注目の貴金属です。近年になって価格が高騰して、現在は貴金属の王道である金よりも高い値がついています。パラジウムに投資したいと興味を持つ投資家は多いでしょう。
パラジウムに投資する方法はETFや先物などいくつかありますが、ぜひチャレンジしてみたいのがCFDのパラジウムです。
CFDが気にはなっていても、実際にどんな金融商品なのか疑問に思う方もいるでしょう。
CFDとは
最初にCFDの仕組みを簡単に見ておきましょう。
CFDとは
差金決済は、証拠金取引とも呼ばれていて、証拠金として担保を入れることでレバレッジをかけて資金以上の取引ができる仕組みになっています。
FXと同じように、レバレッジをかけて「買い」か「売り」かどちらからでもポジションを持つことが可能です。売買差益から利益を得ることができます。
CFDのイメージ
海外投資を始めたくてもなかなか機会がないのが現状。CFDでは、原油、金、銀、株価指数など世界中の金融商品に投資できることで人気なのです。
CFDの種類
CFDの代表的な商品は、
- METAL/貴金属 → 金、銀、プラチナ
- ENERGY/エネルギー → WTI、Brent、天然ガス
- 株価指数 → NYダウ、日経225、DAX
- 外国株式 → 米国株式、欧州株式)
- ETF → 米国、欧州などに上場するETF
などがあり、すべてのCFD商品は市場での取引価格が反映される仕組みなっています。取引できる商品は業者によって異なります。
GMOクリック証券ではCFD取引について詳しく解説していますので見てみて下さい。
CFDのパラジウムとは
CFDのパラジウムとは、
パラジウムの価格の決まり方
パラジウムはスポットまたは先物にて、FXのように24時間世界中の市場で取引されています。
海外のパラジウム価格は、1オウンス/約31gが1単位となります。パラジウムなどの貴金属系の代表的な取引所は米国NYのNYMEXです。
NYMEX パラジウム先物 30分足チャート
CFDでは、リアルタイムで取引価格がそのまま反映される仕組みになっています。
CFD パラジウム 30分足チャート
パラジウム投資とは
パラジウムは、1802年に英国の物理学者ウォラストンによって発見されました。ちょうどこの年に、「小惑星パラス/Pallas」が発見されたことから、「パラジウム/Palladium」という名称がつけられました。
産業用への需要が急速に高まったパラジウムは、古代からの歴史を持つ金や銀とはちょっと異なる存在です。どんな貴金属なのかパラジウムの特徴を見ていきましょう。
パラジウムの特徴
パラジウムの色は銀白色で、プラチナや銀と似ています。発見されたのは19世紀ですが、プラチナも昔は銀と混同されていたため、パラジウムも銀として古代から利用されていたかもしれません。
パラジウムの大きな特徴は、
これまでは、ホワイトゴールドやその他金属の合金として使われたり、ジュエリーのメッキとして使われるのが一般的でした。
産業用として急速に需要が高まったのは、
- 加工しやすい
- 水素を吸収する
- 耐食性に優れている
ことが改めて注目されたからです。
パラジウムは近年になって価格高騰
もともとパラジウムは、単体ではあまり使われることがなかったので、以前は比較的安価な貴金属でした。
2010年以前は、1オウンスあたり150ドル前後で高くても250ドル前後で取引されていました。
ところが、2000年代に入ってから、再エネ・クリーンエネルギーの開発が進むととともにパラジムの耐食性・水素吸収率が脚光を浴び始めました。
2008年に初めて500ドルを超え575ドルの高値をつけます。そこで終わらず2011年には800ドルを突破。その後しばらくは500ドル~800ドルあたりで推移していきます。
電子部材としての需要が高まるにつれ、2018年には1000ドル台に突入、そして、2020年に2500ドル、2021年3月にはとうとう2950ドルまで高騰したのです。
パラジウムと金の比較チャート
2019年にパラジウムは金の価格を追い越しています。ここ数年では金の高値が約2000ドル、パラジウムの高値は約3000ドル。パラジウムと金とでは1000ドルもの開きがあります。
パラジウムの強み
パラジウムは主に再エネ設備などの電子部材や自動車の排ガス触媒に使われていて、約93%が工業需要を占めます。
2015年のパリ協定以来、世界では深刻な地球温暖化が討議されています。とくに2020年以降は、相次ぐ水害や気候異変に対応すべく、クリーンエネルギーへのシフトが急展開で進められています。
パリ協定の目標は、地球の温度上昇を2.0%から1.5%n低下させること。そのためには2050年にはカーボンニュートラルの実現、その中間目標として2030年には約半分のCO₂排出の削減が目指されています。
パラジウム投資の注意点
パラジウムは、一般的には金や銀のような安全資産としての知名度はあまり高くありません。工業の需要が大半を占める貴金属であり、経済動向や景気に左右されやすい弱点があります。
また、市場規模が小さいことから価格変動が激しく不安定になりやすいのがパラジウムのデメリットです。
CFD パラジウムの買い方
CFDパラジウムは、取り扱いがある証券会社のCFD口座で取引することができます。
最大10~20倍のレバレッジをかけて「買い」か「売り」かでポジションが持てます。
CFDパラジウムの買い方・始める手順は以下の流れです。
- CFDパラジウムが取引できる業者・証券会社を調べる
- 条件に合った業者・証券会社を選ぶ
- 総合口座(メイン口座)を開設する
- CFD口座を開設する
- 取引計画に合わせて資金を入金する
- 取引機会を待つ・見つける
- 最初のポジションを買う
- 利益が出たら決済して利確
CFDの取引ツール
業者が提供する取引ツールを使って売買します。
CFDの注文方法
CFDの注文方法は、その業者が提供するFXと同じ機能が使えるのが一般的です。成行、指値・逆指値、トレール、IFD、OCOなど。「買い」と「売り」とどちらからでも入れます。
CFDパラジウムを始める際の注意点
業者によって同じCFDパラジウムの取引条件が異なります。
公式サイトでは確認できないケースもありますので、問い合わせなどで聞いておきましょう。
- 最大レバレッジ → 10倍~20倍(レバレッジ規制にて一律)
- 手数料 → 無料の場合が多い(要確認)
- スプレッド → 2.0~6.0
- スワップ → 先物CFDはなし、現物CFDはスワップがある
- 配当金 → 保有期間に応じて配当金がもらえる場合がある
- 取引単位 → 1単元、または0.01ロット~が平均的
パラジウム投資 CFD・ETF比較
比較的に容易に取り組めるパラジウムの投資方法として、ETFを購入する方法もあります。CFDとETFなら、どちらの方がおすすめなのでしょうか。両者の違いを比較していきたいと思います。
まずは、ETFにはどんな種類があるのかをご紹介します。
パラジウムのETF
メジャーなETFは国内・海外で3種類あります。
CFD・ETF 比較一覧
パラジウム投資をCFDとETFで比較してみましょう。
CFD | 国内ETF | 海外ETF | |
---|---|---|---|
取引業者 | 少ない | ほとんどの証券会社で可能 | 海外ETFを扱う業者 |
取引時間 | 業者ごとに異なる | 東証のオープン時間 | 海外市場のオープン時間 |
ポジション | ロング ショート | ロング ショート (信用取引のみ) |
ロング ショート (信用取引のみ) |
レバレッジ | 最大20倍 | 最大3.3倍 (信用取引のみ) |
最大3.3倍 (信用取引のみ) |
取引単位 | 1単位~ | 1株~ | 少額から可能 |
手数料 | 無料の場合が多い | 業者による 信託報酬がかかる |
業者による 信託報酬がかかる |
スプレッド | 比較的に狭め | 広め | 広め |
スワップ | 現物のみスワップ | なし | なし |
配当金 | 配当金はない | 配当金あり | 配当金あり |
備考 | 市場価格が反映 | 連動型 価格は商品ごとに異なる |
連動型 価格は商品ごとに異なる |
CFDパラジウムのメリット・デメリット
CFDパラジウムの魅力は、市場のスポット・先物の価格がダイレクトに反映されることで、リアルな取引ができます。さらに手数料無料・レバレッジとトレードに有利です。
デメリットは、ETFのような配当金は支給されないこと。また、ポジションを持ち越した時にスワップや調整額が差し引かれるケースがあるので注意が必要です。
ETFのメリット・デメリット
ETFのメリットは株式口座で株式のように簡単に売買できることです。配当金がもらえるのもETFならではのメリット。
しかし、ETFはあくまでも連動型であって実際の市場価格がそのまま取引できるわけではありません。ファンドの運用状況によるところが大きいため、物足りない投資方法だといえます。
せっかくなら、リアルに有利に始められるCFDの方がやりがいがありますよね。
CFDパラジウムの攻略法
CFDパラジウム取引の成功のポイントは?
ここではCFDパラジウムの攻略法を解説していきます。
攻略法1.NYダウの動きを抑えておく!
パラジウム相場は株式などの世界経済の動きに左右されやすくなります。株式、世界経済の動きを見るのに、目安となるのがNYダウ平均です。
パラジウムとNYダウ 比較チャート
上記はパラジウムとNYダウの値動き率の比較チャートです。大まかに、ダウが上がる局面にてパラジウムは激しく上昇、ダウが下がる局面にて大きな下降を繰り返す傾向にあります。
ただ最近の動きに関しては、6月以降はNYダウ下落をきっかけに、パラジウムの価格は急落。ダウ回復後も持ち直していません。
景気や工業用需要のみがパラジウム相場の要因とはならないため、判断材料の1つとして捉えることが大切です。
攻略法2.プラチナの価格動向を考慮する!
2021年8月以降は、パラジウムは下降一路をまっすぐに維持しています。というのも、パラジウムの価格が高騰しすぎてしまったからだと考えられています。割高感から、触媒素材をプラチナへとシフトする動きが見られているため、価格が下がり始めてしまったのです。
パラジウムの工業向けの需要はプラチナとほとんど同じです。もともとはパラジウムがプラチナよりも安かったから、急速に需要が拡大したのです。
ほとんど同レベルの触媒力を持つのであれば、安い方に需要がシフトされるのは当然かもしれません。パラジウムへの過熱感が収まってきたところだといえます。
しかし、プラチナの割高感が強まれば、またパラジウム需要が高まるでしょう。パラジウム取引では、双方の価格のバランスを考慮することが欠かせません。
攻略法3.自動車産業の動向を見極めよう!
今後のパラジウムの需要は、自動車産業の動向に左右されます。大手自動車メーカーの支店拡大や工場新設、順調な新車売り上げ高などのポジティブなニュースがあれば、今後のパラジウムの需要向上が期待できます。
逆に、自動車産業の業績悪化が懸念された時は、パラジウムの需要も低下すると判断できます。
チェックしておきたいの動車メーカー
- フォルクスワーゲン/Volkswagen
- トヨタ/Toyota
- ダイムラー/Dimler
- フォード/Ford
- ジェネラルモーター/General Motor
- ホンダ/Honda
- ビーエムダブリュー/BMW
- テスラ/Tesla
- 上海汽車/SAIC
- ヒュンダイ/Hyundai
など、とくにFCV・水素に関するニュースは要チェックです。
CFDパラジウム おすすめの証券会社
それでは最後に、CFDパラジウムでおすすめの証券会社をご紹介します。
17,000種類のCFDが取引できる「IG証券」
- CFDパラジウムの最大レバレッジ:20倍
- 手数料無料
- 17,000以上のCFD商品
IG証券では世界中のCFD商品が17,000以上取引できます。外資系の大手で本社はロンドン。ロンドン証券取引所に上場していて実績も長く安心して使える証券会社です。手数料無料、現物と先物が選択可能、オーバーナイト金利が現物のショートで課されます。
パラジウムの他には、金・銀・プラチナなど10種類と豊富です。他にも、原油・天然ガス・ガソリン・灯油・軽油などエネルギー商品も充実しています。世界中の株価指数や個別株も取引き可能で、CFDの数では国内ナンバーワンです。
海外商品が現物でも取引できる「サクソバンク証券」
- CFDプラチナの最大レバレッジ:20倍
- 手数料無料
- 株式やETFなど現物もあり
サクソバンク証券では、CFD商品だけでなく、世界中の株式・ETF・先物も取り扱っています。本社はデンマーク、170カ国で展開する欧州銀行系の大手証券会社です。手数料無料、先物期限ありでスワップはなし。ポジションが日をまたぐとキャリングコストが課される場合があります。
CFDは9,000銘柄、他にもFXや株式、ETFと国内外の商品が揃っています。世界15か所の取引所にアクセス可能です。マルチモニタ―対応の高性能ツールまたはMT4も利用できます。オートチャーティストなど他社にはないトレーディングツールにも注目です。
まとめ
世界では水素関連の大規模なプロジェクトが200以上あり、総額3,000億ドルを超えるとのこと。
産業ガス大手のエアープロダクツ/Air Productsは2020年7月にサウジアラビアに世界最大の水素プラントを総額70億ドルで建設開始しています。製造された水素は、各国で普及し始めている水素ステーションの燃料として補充されます。
国内では2021年2月にフランス大手のエアリキードと伊藤忠エネクスが、国内最大級の水素プラントを協業で建設することを発表。水素開発に本格的に力を入れている欧州をはじめ、米国、英国、中国など各国で着々と水素プラント・水素ステーションの建設が進んでいます。
パラジウムの需要はほぼ間違えなく拡大していくことが期待できますが、ここで問題となるのがプラチナの存在です。すでに、高騰しすぎてしまったパラジウムからプラチナへと移行する動きが見られていて、再びプラチナがパラジウムの価格を超えることを指摘する声も少なくありません。