というFX初心者の方も多いかと思います。実はレバレッジは色々と誤解されている側面が多いのです。今回はFX初心者が勘違いしているレバレッジの仕組みについて解説します。
レバレッジとは?
レバレッジとは
を言います。「てこの原理」のことをレバレッジ(leverage)と言い、FXだけではなく、ビジネスでも頻繁に利用される言葉です。
FXにおけるレバレッジの仕組み
外貨預金も、FXも、「米ドルを購入する」という行為自体は全く同じものです。
しかし
- 外貨預金:レバレッジ1倍(投資金額と購入するドルは同じ)
- FX:レバレッジ25倍(投資金額の25倍のドルを購入できる)
ことを意味します。
FXは、レバレッジがあるからこそ、少ない投資資金しか持たない個人投資家(学生、主婦、サラリーマン)であっても、億単位の儲けを出す人が登場しているのです。
現状の国内FX会社のレバレッジ設定
2010年に金融庁主導のもとレバレッジ規制が導入されたため
日本国内のFX会社は
- 個人:最大25倍のレバレッジ
- 法人:最大200倍のレバレッジ
までしかレバレッジの設定はできないようになっています。
なぜ、FXにはレバレッジというものが存在するの?
差金決済とは
です。
噛み砕いて言えば
ただし、10万円分損失が出たら、90万円で米ドルを売ってしまうので注意してね。」
という仕組みなのです。
だからこそ、FXでは
損失 > 証拠金 → 取引は継続できない(退場)
という関係になっています。
FX初心者の勘違い「レバレッジを先に決めてからトレードするもの??」
と考える方も多いかと思います。
レバレッジの計算式
で決まってきます。
1ドル = 100円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
1ドル = 100円
口座残高 = 10万円
2万通貨(2万ドル)の「買い」の取引をした場合
1ドル = 100円
口座残高 = 10万円
2万5000通貨(2万5000ドル)の「買い」の取引をした場合
となるのです。
- レバレッジを決めてから、FXトレードをする = 間違い
- 口座残高(投資資金)と取引金額の関係でレバレッジが自動的に決まる = 正しい
のです。
国内のFX会社における個人投資家のレバレッジは最大25倍までですから
- 1ドル = 100円
- 口座残高 = 10万円
の個人投資家の場合は、取引できる金額は「2万5000通貨(2万5000ドル)」までということになります。
FX初心者の勘違い「レバレッジって一回トレードしたらずっと同じ??」
レバレッジの計算式
1ドル = 100円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
為替レートが1ドル100円から、1ドル98円に変動
1ドル = 98円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
為替レートが1ドル100円から、1ドル95円に変動
1ドル = 95円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
となるのです。
為替レートが予想した「買い」とは逆に推移してしまったら
- 口座残高が減る
- 購入している取引金額が減る
ということになるため
の計算式で考えると
結果として「レバレッジが大きくなってしまう」のです。
レバレッジトレードで理解しておくべき「強制ロスカット」とは?
強制ロスカットとは
を言います。
前述した通りでFXは「差金決済」ですから
損失 > 証拠金 → 取引は継続できない(退場)
となります。
「10万円の投資資金だけど100万円分の米ドル買ってあげるよ。
ただし、10万円分損失が出たら、90万円で米ドルを売ってしまうので注意してね。」
と「差金決済」を説明しましたが
この「ここまで負けたら売ってしまうよ。」というのが強制ロスカットの部分です。
レバレッジは最大25倍が国内のFX会社のルールですから
と言い換えることができます。
はじめはレバレッジ10倍の取引でも、為替レートが予想と逆に推移し続けたら
1ドル = 100円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
為替レートが1ドル100円から、1ドル98円に変動
1ドル = 98円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
為替レートが1ドル100円から、1ドル95円に変動
1ドル = 95円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
為替レートが1ドル100円から、1ドル93.7円に変動
1ドル = 93.7円
口座残高 = 10万円
1万通貨(1万ドル)の「買い」の取引をした場合
となってしまい、1ドル = 93.7円になる直前でFX会社は取引を終了させる(ポジションを解消される)ことになるのです。
投資資金(証拠金)は0円になってしまって終了です。
注意点
投資家の資金がマイナスになる前に0円ギリギリで強制的に決済してしまうのが強制ロスカットです。しかし、前述の例のように1ドル93.7円になる前にFX会社が売ろうとしても、買い手がいなかったり、売買が成立している間に1ドル93.7円以下になってしまっていた場合は、一時的に投資家の口座残高はマイナス残高になってしまいます。
国内のFX会社の場合はこのマイナス分は「追証(おいしょう)」として、後から投資家に請求するのです。それほど多いケースではありませんが、入金している金額以上に損をする可能性もあることは頭に入れておきましょう。「追証(おいしょう)」を防ぐためには、レバレッジを下げるために取引金額を小さくする必要があります。
FXトレードの適正なレバレッジとは?
「差金決済」の原理を思い出してもらえると
損失 > 証拠金 → 取引は継続できない(退場)
ですから、
例えば
- レバレッジ100倍で、投資資金が1万円しかないのに100万円の取引をしていたら、100万円が99万円になったときに「退場(強制ロスカット)」となります。
- レバレッジ25倍で、投資資金が4万円しかないのに100万円の取引をしていたら、100万円が96万円になったときに「退場(強制ロスカット)」となります。
- レバレッジ10倍で、投資資金が10万円しかないのに100万円の取引をしていたら、100万円が90万円になったときに「退場(強制ロスカット)」となります。
- レバレッジ5倍で、投資資金が20万円しかないのに100万円の取引をしていたら、100万円が80万円になったときに「退場(強制ロスカット)」となります。
のです。
仕方がないことなのですが、為替相場というのは波を描いて上下動を繰り返すものです。
退場(強制ロスカット)にさえならなければ、いつの間にか為替レートが負ける前の状態に戻る可能性が高いのです。
だとすれば、「退場(強制ロスカット)を避ける」こともFXトレードで勝つための重要な要素と言えます。
米ドル/円 2005年12月~2017年7月の推移
高値:122.431
安値:78.159
です、直近12年間はこの為替レートの範囲内に収まっていると言えます。
1ドル100円でエントリーしたのであれば、下は22%、上も22%ですから、
ということを意味しています。
長期投資のトレードスタイルであれば
と考えて良いのです。
米ドル/円 2017年1月~2017年7月の推移
高値:116.639
安値:108.893
中間の112.766を基準とするのであれば、上下9.65%の範囲内に収まっています。
ということを意味しています。
短期取引(デイトレード、スイングトレード)のトレードスタイルであれば
と考えて良いのです。
米ドル/円 2017年7月14日~2017年7月21日の推移
高値:113.477
安値:111.735
中間の112.606を基準とするのであれば、上下1.00%の範囲内に収まっています。
ということを意味しています。
数分単位の取引(スキャルピングトレード)のトレードスタイルであれば
と考えて良いのです。
これらは過去のデータの結果なので、将来も同じ変動幅に収束するかはわかりません。また、米ドル/円とポンド/円など通貨ペアによっても、変動幅は変わってくるので一概には言えませんが・・・
FXトレードの適正なレバレッジは「退場しない水準」と考えれば良いので
- 長期取引(年単位のトレード) → レバレッジ3倍~4倍が適正
- スイングトレード(週単位のトレード) → レバレッジ5倍~10倍が適正
- デイトレード(日単位のトレード) → レバレッジ10倍が適正
- スキャルピングトレード(分単位のトレード) → レバレッジ25倍が適正
と考えて良いでしょう。
適正なレバレッジがわかったら、取引量を計算する
前述した通りで、「レバレッジ3倍~4倍に設定したい」としても、レバレッジを設定するものではないので
から、自分の投資資金の場合、どのくらいの取引量であれば、レバレッジが3倍~4倍に収まるのか?自分で計算する必要があります。
例えば
証拠金(投資資金):20万円
長期投資
レバレッジ:4倍を目安に
米ドル/円:1ドル=100円
1ドル=100円ですから
FXトレードでは「8000通貨を目安にポジションを持てば良い」となるのです。
為替レートの変動によってレバレッジも変わってしまうので
- 安全策を取るのであれば5000通貨までにしておこう
- もうリターンを増やしたいのであれば1万通貨にしよう
と自分で微調整をかければ良いのです。
まとめ
FXのレバレッジとは
- 自分の投資資金の何倍もの取引ができる仕組み
FXでは「差金決済」を導入しているため
- レバレッジをかけた取引ができる
一方で、「差金決済」を導入しているため
- 取引金額の損失よりも、資金が少なくなってしまったら退場(強制ロスカット)しなければならない
適正なレバレッジ設定は
- 長期取引(年単位のトレード) → レバレッジ3倍~4倍が適正
- スイングトレード(週単位のトレード) → レバレッジ5倍~10倍が適正
- デイトレード(日単位のトレード) → レバレッジ10倍が適正
- スキャルピングトレード(分単位のトレード) → レバレッジ25倍が適正
です。
この適正レバレッジの目安から、自分の投資資金額やトレードスタイルに応じて微調整を加えることで「自分の資金額ならどのくらいの取引量でポジションを持って良いのか?」判断しましょう。
レバレッジを決めるのではなく、目安のレバレッジが決まったら、そのレバレッジになる取引量を決めるのです。
「レバレッジは高い方がいいんでしょ?」