FXの取引手法を調べていると、スイングトレードという言葉がよく出てきます。FXのスイングトレードはどんな取引手法なのか、気になる初心者の方は多いでしょう。
FXの取引手法は大きく4つのタイプがあります。長期トレード、スイングトレード、デイトレード、スキャルピングとある中、大まかには取引する期間によって区別されています。スイングトレードは数日~数週間程度で利益を狙う取引手法で、デイトレードよりは長く、長期トレードよりは短い期間で取引を行い、中期トレードと呼ばれたりもします。
比較的に短い期間でも大き目の利益が狙えて、頻繁にチャートや経済ニュースをチェックする必要がないため、比較的に時間に余裕を持った取引が可能です。これからFX取引を始める初心者にもおすすめの取引手法だといえます。
FXのトレード手法
スイングトレードの特徴を掴んでいくために、まずはFXの4つのトレード手法を簡単に確認しておきましょう。
長期トレード
長期トレードは数週間~数か月、あるいは数年以上に渡ってポジションを保有するトレード手法です。
長い時間をかけて為替差益とスワップポイントによって大きな利益が狙えます。多少の価格変動を気にせずに相場が大きく動いていくのを待ちます。含み損が利益に転換できることもあれば、損切りしそびれて塩漬け状態となりがちな取引手法でもあります。時間に余裕を持って、じっくりと売買を決断していけるので初心者には最もおすすめの方法です。
スイングトレード
スイングトレードは数日から数週間でポジションを決済するトレード手法です。
長い期間に相場が上下する動きを利用して、上昇トレンド、下降トレンドと1つのトレンドの動きを狙って利益を得ていきます。早ければ1,2日程度、遅くとも3,4週間程度で決済するのが一般的です。トレンドに勢いがつく旬のタイミングを狙って取引しますので、効率よく短い期間でも稼げるかわりに、予想が外れると損失が大きくなる可能性があります。稼ぎ時にあるトレンドを転々とすることからスイングと呼ばれています。
デイトレード
デイトレードは数十分~数時間と1日で取引を完了させるトレード手法です。
1日の相場の動きを利用して利益を狙います。長期やスイングに比べると狙う値幅は一気に小さくなりますが、確実にその日のうちに収益が出せるメリットがあります。勝率が安定してくれば、副業として毎月の収入源とすることも可能です。ただ、損益もその日のうちに確定させていくため、負けが続くと大きな損失となるリスクがあります。
スキャルピング
スキャルピングはデイトレードがさらに短くなったもので、数秒~数分の取引を重ねていくトレード手法です。
分単位で変わっていく相場の動きを狙って利益を出していきます。ごく短い時間で瞬発的に分析・決断していかねばならないので、一定レベルの分析力や判断力が必要となります。デイトレードからスキャルピングへと展開するのが一般的で、最も難易度が高くなる手法でもあります。小さな値幅にて損切り・利確を行いますので損失のリスクを低減させることが可能です。
FXスイングトレードとは
スイングトレードは、数日~数週間の値動きにて利益を狙っていきます。取引を始めたばかりの初心者からテクニカル分析に長けた上級者まで、最も幅広く使われているトレード手法です。
FXスイングトレードの特徴
- 数日~数週間で取引する
- 長期トレードよりは短い期間で取引する
- デイトレードよりは長い期間で取引する
- 中期トレードとも呼ばれている
- 上昇トレンド、下降トレンドの流れに沿って売買する
- 一定方向に動くトレンドを狙う
- 勢いのあるトレンドを狙う
- 大きな値幅が期待できる
スイングトレードの仕組み
相場は基本的に、上昇、下降、横ばいの3パターンを繰り返して動いていきます。大きな1つのトレンドの中にも、上昇、下降、横ばいの期間があります。そして、どんな相場でも上昇や下降に勢いがつく局面があります。
1つのトレンドの動きに集中して取引をしていくので、長期のように長い期間待つ必要がないのです。また、デイトレードよりは長い時間をかけますので、ある程度の値幅が期待できるのです。
チャートで見るスイングトレード
具体的にどのように取引するのかをチャートで見ておきたいと思います。
米ドル/円 1時間足チャート
これまで下降トレンドにあったドル円相場は4月2日に上昇に向かう気配を見せ始めていました。そこで107.25円の時に「買い」エントリーしておきます。予想通りに上昇に向かったのでしばらく保有することにします。
上昇トレンドに入ったドル円相場は4月6日には、109.28円の高値をつけました。4日間で約2円上昇したので、これは一旦売られる可能性があるな、ということで「売り」で利益を確定します。
この場合、4日間で2円分の利益が獲得できます。
- 1,000通貨 × 2円 = 2,000円
- 10,000通貨 × 2円 = 20,000円
- 100,000通貨 × 2円 = 200,000円
2円の値動きで得られる利益は、取引ロットに応じて以上のようになります。上記の利益にプラスわずかではありますが、スワップポイントも加算されます。通貨ペアによっては1日のスワップポイントが高くなる場合もあります。
スイングトレードのメリット
それでは、スイングトレードのメリットをご紹介していきます。
1.初心者でも取引しやすい
取引経験が全くない初心者の方でも、長期的なスパンでスイングトレードに取り組むことが可能です。スイングトレードは中期トレードになりますが、中期・長期の目安は人によって様々です。スイングでも長くなると1,2か月以上保有する場合もあります。長期的な視野で無理をせずに時間的に余裕を持って売買タイミングを検討していけます。
テクニカル、ファンダメンタルズとFXの勉強を進めながら、それぞれのペースに合わせて取引を進めていけるのがスイングトレードのメリットです。予想通りに相場が動いてくれたら、わずか数日でもまとまった利益を出すことが可能です。含み損が出た場合でも数日後には利益に変わる場合もあります。ある程度時間がかけれる点が初心者におすすめです。
2.頻繁に相場をチェックする必要がない
スイングトレードはデイトレードやスキャルピングのように小さな値動きは気にする必要がありません。トレンドが切り替わるような動きがあった場合には注意する必要がありますが、注文のスピードやタイミングは短期トレードよりも大まかに決めていける気安さがあります。
「今日上がっていなければ、明日まで待ってみよう。」といった感じで1日に数回程度相場をチェックするだけでも、スイングトレードは可能です。チャート分析や経済ニュースのチェックもそう頻繁に行う必要がなく、会社員、主婦や学生など本業がある方でも各自のライフスタイルに合わせて無理なく進めていけます。
3.心に余裕を持った取引が可能
スイングトレードはデイトレードやスキャルピングとは異なり、ある程度時間をかけて価格が動くのを待ちます。数分で決断、数時間以内で利確、といったプレッシャーに追われることがありません。
証拠金とレバレッジのバランスにさえ気をつけて、一定の証拠金維持率さえキープしていれば、ゆったりと構えて取引ができるメリットがあります。早めに利確できればラッキーぐらいの心持ちで半分放置しておくトレーダーもいるくらいです。心に余裕を持って取り組めるので、ポジティブにコツコツとFXを継続していくことが可能です。
4.リスク管理がしやすい
スイングトレードは慌てて決済する必要がありませんので、その時の市場の動きに合わせて損切り・利確のポイントを計画していけます。証拠金維持率が低下してきたら逆指値注文(損切り値)を入れておいたり、利益がある程度増えてきたら指値注文(利確値)を設定しておいたりと資金をコントロールしていけます。 リアルタイムでチャートが確認できる時は成り行きで対応する方法もあります。
また、長めに保有するスイングトレードでは投資計画に合わせて、ポジションの追加や、一部決済にて資産全体を調整しやすいのもメリットです。資金のコントロールやリスク管理が容易だとえいます。
5.短期間でもまとまった利益が狙える
スイングトレードは、上昇トレンドや下降トレンドの波に乗ることで、短期間でもある程度の値幅が狙える取引手法です。ちょうど勢いが出始めたタイミングを狙えば数日でも大きな値動きが期待できます。
早ければ1日2日でまとまった利益が出せる場合もあります。基本的にトレンドが切り替わる前に利確していきますので、長期トレードのようにトレンドが変わる局面でも無駄に待つことがなくなります。スイングトレードは短期間でもまとまった利益が狙える取引手法となります。
スイングトレードのデメリット
スイングトレードは、マイペースの取引で初心者でも短期間で利益が狙える一方、中期トレード特有のデメリットもいくつかあります。スイングトレードのデメリットを確認しておきましょう。
1.長く保有すれば為替変動リスクが高くなる
スイングトレードは数日~数週間と取引期間が曖昧です。ポジションを保有する期間が長くなればなるほど、急激な為替変動によるリスクが高くなる傾向にあります。テロや災害、新型コロナウイルスなど、誰にも予測できない事態が突如訪れることも度々あります。市場に大きな影響を与える出来事があった場合、一旦相場が反転し始めると、価格が戻ってくるのに数日~数週間かかることもあります。
スイングトレードでは比較的に短い期間でも大きな値幅が狙える反面、ポジションを数日以上持ち越すことによって、常に為替変動のリスクがつきまといます。
2.ロスカットのリスク
スイングトレードは一定期間に渡ってポジションを保有する方法で、デイトレードやスキャルピングのようにチャートにつきっきりで監視するわけではありません。証拠金維持率に余裕がない場合は、知らない間に相場に急変があってロスカットされる可能性があります。従って、チャートを見ていない時の値動きを考慮した証拠金対策が欠かせません。
まず避けたいのは少額資金でのハイレバレッジ取引です。少額資金でハイレバレッジをかけた場合、わずかな含み損でもロスカットに合ってしまう危険性があります。スイングトレードではいざ相場が急落した時に備えて十分な証拠金維持率を確保しておくことが大切です。余裕のある資金、低めのレバレッジで安全な取引を心がけましょう。
3.スワップポイントで損することも
スイングトレードは基本的に為替差益で利益を得る方法になりますので、スワップポイントが軽視される傾向にあります。しかし、1日以上ポジションを持ち越す場合には、スワップポイントによって損することもあるので注意が必要です。
- 低金利通貨で高金利通貨を「買う」時はスワップポイントが利益となります。
- 高金利通貨から低金利通貨を「買う」時はスワップポイントが損益となります。
例えば、高金利通貨のトルコリラや南アフリカランドなどはスワップポイントの金額が大きくなります。「売り」「買い」のポジションによってプラスになることもあれば損失になることもあります。日数が重なれば、スワップポイントだけでも無視できない金額になってしまいます。保有した場合のスワップポイントを必ず確認するようにしましょう。
初心者におすすめのスイングトレードのやり方
それでは、最後に初心者におすすめのスイングトレードのやり方を簡単にご紹介しておきます。
ポイント1.トレンドの切り替わりを狙う
相場は上がったり下がったりと上下しながら動いていくもので、上昇トレンドは下降トレンドへ、下降トレンドは上昇トレンドへと一定の期間を過ぎると転換する傾向にあります。スイングトレードではこのトレンドの切り替わりを目安に売買していきます。
とくに、トレンドが切り替わってすぐは一気に価格が動くことも多いので大きなな値幅が狙いやすくなります。
トレンドが転換するタイミングを狙ってスイングトレードを始めることができるのですが、実際には、いつどのタイミングでトレンドが切り替わるか判断するのが難しくもあります。
ポイント2.トレンドが切り替わるサインを見つける
トレンドが切り替わる際には、実はチャート上にサインが出ていることも多いのです。トレンドが切り替わるサインを見つける方法として様々なテクニカル分析が役に立ちます。
スイングトレードを始めるにあたって、テクニカル分析をしっかり学んでいきましょう。テクニカル分析を学びながらスイングトレードに取り組んでいけます。
学んでおきたいテクニカル分析の基礎
- ローソク足チャート
- レジスタンス・サポートライン
- トレンド・チャネルライン
- チャートパターン
- 移動平均線
- ボリンジャーバント゛
など・・・すべてを使いこなす必要はありませんが基礎的なことはわかっておいた方が良いです。使いやすい分析方法を1つか2つ選んでスキルを身に付けていきましょう。得意な分析方法が1つでもあると、FX取引では強力な武器になります。
ポイント3.経済ニュースできっかけを見つける
また、何か重要な経済ニュースや経済指標が、トレンドの流れを変えるきっかけとなることもあります。毎日こまめにニュースを確認しなくてもスイングトレードは可能ですが、定期的に重要なニュースや発表がなかったかどうかチェックするようにして下さい。
その時々でメディアで注目されている国の通貨を選ぶのも1つの方法です。世界中で話題になっているような国・テーマあれば、関係する通貨に売買が集中するため効率よく稼げることもあります。
スイングトレートの注意点
初心者の方は、最初は取引量が多いメジャーな通貨ペアを選ぶようにしましょう。米ドル、ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、豪ドルなどの主要通貨であれば比較的に安全性が高く、どんなに急落したとしても価値自体がなくなるリスクは低いといえます。
取引経験が全くない超初心者の方は、低レバレッジにて数か月~数年保有するぐらいの視点でエントリーを決めるのが成功のコツです。まずは一番わかりやすい米ドル/円を、できるだけ円高の時に買いから始めるのがおすすめです。
取引をする時には、いくらまで下がったら損切りするのか、必ず損切りラインを明確にしておくようにして下さい。利益も欲を出しすぎると取り損ねる可能性があります。ほどほどの利益にて利確するよう注意して下さい。
長期的な視野を考慮しないエントリーは、ポジションによっては損切りしそびれた時のリスクが非常に高いケースもあります。万が一の時は長期トレードへと変更可能なポジションを意識するようにしましょう。
まとめ
今回はFXスイングトレードについて、仕組みやメリット・デメリットなどを解説していきました。FXでは、長期トレード、スイングトレード、デイトレード、スキャルピングと大きく4つの取引手法がある中、スイングトレードの特徴が大まかにイメージして頂けたのではないでしょうか。
ポジションを長く保有するFXトレードでは、ロスカットのリスクを考慮しておくことが欠かせません。余裕のある資金、十分な証拠金維持率が必要です。まずは取引のコツを覚えるために、少額 × 低レバレッジの取引から試していくようにして下さい。