【FX予想】南アフリカランドの2020年の為替相場見通しとFXトレードの攻略ポイントを解説

南アフリカランドは高い金利で名高い新興国通貨です。保有しているだけでもスワップポイントで稼げるため、日本でも人気がある通貨の1つです。近年では下落傾向にありリスクが高い通貨でもあります。

2020年の幕開けはイランと米国の対立で始まったものの、米中貿易交渉が1歩前進したり、ユーロがやや回復の兆しを見せていたり、さらに日本は東京オリンピックを迎えるなど、世界経済に対する明るい展望が見え隠れしている状態です。

南アフリカランドの今後は上昇していくでしょうか。それとも下落し続けるのでしょうか。

今回は2020年の南アフリカランド相場為替予想と注目トピックを解説していきます。南アフリカランド取引のFX攻略ポイントも最後にまとめていきます。ぜひ、参考にしてみて下さい。

【2020年】南アフリカランドの価値はどうなる?

【2020年】南アフリカランドの価値はどうなる?
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今後の南アフリカランドの価値がどう動いていくのか予測するにあたって、まずは世界主要通貨の価値がどのように変動しているのかを確認していきます。

1つの通貨は、対象となる通貨が何なのかによって価値が異なります。主要通貨それぞの価値の変動を見ていくには通貨インデックスが参考になります。

通貨インデックスとは

その国の通貨が、世界の様々な通貨の中でどれくらいの価値があるのかを相対的に表したものです。通貨単体の価値の動きを見ることができます。価値が減少傾向にあるのか、それとも上昇しているのかがわかります。

世界主要通貨インデックス

上記のインデックスは、主要5通貨2016年度の通貨全体の相対的な価格を100として2020年1月までの価格変動を比較したものです。

約4年間で見ていくと、英ポンド(緑)の価値が最も減少しています。スイスフラン(黄)と米ドル(赤)は2016年度の価格からあまり変動がなく数値100を小幅で前後しているのがわかります。ユーロ(青)の価値は上昇の範疇にありますが、約2年間価値が減少し続けています。変動が激しいながらも4年間で最も価値が上昇しているのが日本円(紫)です。

それぞれの通貨の相関性を分析すると、米ドルとスイスフラン・ユーロは互いに小幅で相反する動きが強く、英ポンドと日本円は大きな値幅で全く反対の動きを見せています。

対円・対ドルでの南アフリカランド相場

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主要通貨の概ねの価値の動きが分かったところで、次に南アフリカランド相場を対円・対ドルで見ていきいましょう。
2019年南アフリカランド(対円・対ドル)

南アフリカランドは、対円・対ドルでは全く同じように連動して動いているのが大きな特徴です。

対円での南アフリカランド相場は2018年2月に9.26円の高値から8月の7.24円まで下がりました。その後12月には8.06円と上昇に向かい2019年には価格はやや持ち直しましたが、8月には6.79円の底値をつけて現在は7.5円前後で推移し回復に向かっているところです。

対ドルでも下値・高値を付ける局面はほぼ同じタイミングです。2018年2月に1ドル/11.5ランドのランド高から8月には15.4ランドまでランド安が進みます。2019年は2月に1ドル/13.3ランドの高値、下値は15.4ランドのレンジで推移し、現在は14ランド台で上昇トレンドにあります。

通貨インデックスでは円の価値が上昇しているにもかかわらず、対円・対ドルでの値動きが全く変わらないのは米ドル/円の動きに左右されやすいと見ることができるでしょう。

【2020年】南アフリカランドの注目トピック

【2020年】南アフリカランドの注目トピック

今後の南アフリカランドを左右するのは一体どのような要素になるでしょうか。ランド相場はその他通貨と同じように米国経済を中心とする世界経済の展望に大きく左右されます。

南アフリカランドのような新興国はまだ経済発展の途上にあり、政治や財政面で不安定な部分があることが否めません。米国、中国、EUなどの経済大国におけるネガティブな要因から打撃を受けやすい状況にあるのです。

ランド相場の上昇には、世界主要国の経済の見通しが上向きであることが大切な要素になりますが、南アフリカの国内情勢によっても値動きが変わってきます。南アフリカランドが将来性のある通貨なのかどうかは、最終的には南アフリカの経済状況次第だといえます。

ファンダメンタル分析

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ここでは、南アフリカの経済情勢や注目トピックをファンダメンタル分析にて解説していきます。

南アフリカの経済状況

南アフリカ(南アフリカ共和国)は、BRICSに属する国でアフリカで唯一G20に参加する新興国の1つとして注目されている国でもあります。

BRICSとは

Brazil、Russia、India、China、South Africa、の頭文字をとった造語で2001年に米国の大手証券会社ゴールドマンサックスのアナリストによって使われ始めました。

この5か国は、広大な国土にて巨大な人口と豊富な天然資源を有していることから21世紀以降に高い成長が期待されています。すでに中国はGDPでは日本を抜いて2位とその頭角をあらわしたように、いずれはこの5か国がGDPでは上位にランクインするとの見解です。

南アフリカランドのGDP

南アフリカのGDPは2018年度は3,680億円、世界で34位でした。GDP成長率は2010~2013年に一旦ピークを迎え、その後はマイナス成長を記録するなど弱まりを見せています。2019年の第1四半期では-3.2%、過去10年来の数値となり急激に落ち込みました。

3~6月期は3%と鋭い回復を見せた後、7~9月期のGDPは-0.6%と南アフリカの情勢が不安定であることがわかります。

成長率低下の主な要因

南アフリカの成長が低下している主な要因は、まず米中貿易戦争やイギリスのBrexitなどからリスク回避姿勢が強まり、新興国への資金流入が低下している点が挙げられます。

南アフリカ国内の要因を挙げると、

  • 政策金利の利上げによる個人消費力の低下
  • インフレ率が大きく上昇したため利上げが重なった
  • 重なる利上げによって一段と景気が悪化した
  • ズマ大統領の汚職など政治的な不安が高い
  • 失業率が高い(2018年度 27.3% 世界2位)
  • 労働ストライキによる鉱山閉鎖が続いた
  • 主要産業であるプラチナ・鉄鉱石の価格の低下
  • 国営電力会社の不安定な電力供給

など、数多いネガティブ要因が重なった結果だといえます。

南アフリカの主要経済指標

南アフリカランド相場においてチェックしておきたい主要経済指標は、

  • 名目GDP・GDP成長率
  • 南ア中央銀行の政策金利
  • 小売売上高
  • 製造業生産
  • 鉱業生産
  • 消費者物価指数
  • 貿易収支
  • 電力事情・エネルギー政策

など・・・ 他にも他国の金融機関、企業による事業開発や投資の動向からも南アフリカの経済成長の予測が可能となるでしょう。

南アフリカの最大の貿易輸出国は中国です。米中貿易交渉が合意に向かってからは南アフリカランドは上昇基調に好転しています。国内の消費者マインドも改善されつつあります。

財政赤字が続いてはいるものの、経営赤字対GDP率は高く外貨準備金も増加しています、ネット資本流入では黒字を維持しており、市場では深刻な状態ではないとの見方です。

南アフリカの主要産業

それでは次に南アフリカ経済を支える主要産業を見ていきます。

広大な南アフリカの国土では鉱物が豊富なため、19世紀以降にイギリスをはじめヨーロッパ諸国のダイヤモンド・金の鉱山開発にて大きく成長してきました。鉱業主導で高成長を果たし、蓄積された資本を原資に製造業・金融業が発展しました。

近年のGDP産業別内訳では、概ねで農業などの第1次産業が約10%、鉱物など第2次産業が約21%、観光・金融などのサービス業が約69%の比率です。鉱物の需要の低下や価格低迷が見られる中、南アフリカの成長の原動力はやはり鉱業です。依然として鉱物資源輸出産業への依存度は非常に高い状態にあります。

1981年にはGDP比率で23.7%を占めていた鉱業は、2015年には8%程度にまで縮小しています。一方では、保険・金融などのサービス業が14.6%~21%へ拡大するなど、産業構造に変化を見せ始めています。
南アフリカの鉱業

南アフリカは世界の主要鉱物産出国です。

南アフリカで摂れる鉱物資源は金、プラチナ、ダイヤモンド、クロム、マンガン、鉄鉱石、鉛、コバルト、ウラン、銅、アンチモン、ニッケル、チタン、石炭など、南アフリカで摂れない鉱物はないといわれるほど豊富です。

とくにプラチナに関しては、世界の産出量の約8割、埋蔵量の約9割を南アフリカが占めています。

近年でプラチナの需要が最も高かったのはディーゼル車のエンジン部材です。しかし、CO2排出規制によってディーゼル車の需要が低下し、今後は廃止される方向に進んでいます。ディーゼル車の需要低下からプラチナの価格は一時50%近く下がりました。このプラチナ需要の低下による南アフリカ経済への打撃は相当大きかったと見れるでしょう。

ただし、プラチナはディーゼル車以外にも、今後は電池、医療機器、通信機器、繊維素材などで様々な需要があり、貴金属本体の価値もあります。おそらく、プラチナの需要低下は一時的な現象だといえます。

他にも、南アフリカではニッケル、コバルトなど電池に欠かせないその他の鉱物が摂れることや、太陽光発電、地熱発電など再生エネルギー開発が進められている点が今後は南アフリカの最強の武器となるでしょう。

南アフリカの金融政策

続いてチェックしておきたいランド相場の注目トピックは、南アフリカ中央銀行が発表する金融政策です。南アフリカでは、過度なインフレを抑制するために度重なる利上げが行われてきました。

おそらくスワップポイントを目当てで南アフリカランドを購入するトレーダーも多いでしょう。しかし、高金利通貨の危険性は通貨の価値が大幅に減少し、大損する可能性があることです。

インフレを引き起こす要因は大きく2種類あります。

  1. 景気拡大で物価が上昇することによって、通貨の価値が下がるパターン
  2. 景気低迷によって消費が縮小することによって、通貨の価値が下がるパターン

1のパターンで利上げが行われた場合は、為替相場でもプラス要因となるケースは度々あります。必ずしも利下げされれば、通貨の価値が上がるとはいえない事例も多く、利上げと利下げとどちらが経済効果が高いのかは一概にいえないことです。

2のパターンで利上げが続く場合は、ますます通貨の価値を下げる結果となり、結局のところ利上げが繰り返されることで経済はマイナス成長の深みにはまってしまう恐れがあります。

南アフリカ政策金利

南アフリカの金融政策において、目標の消費者物価指数は3~6%と高めです。物価の上昇から2014~2016年の約2年間で2.25ポイントの利上げが行われました。その2年間でランド相場は対円で3円以上も下がりました。

2017年に入ってからランド相場は回復に向かい、消費者物価指数は6%以下に低下。ようやく4月には利下げに踏み切り、現在の金利は6.25~6.50%で推移しています。6.50%の据え置きが市場にランド相場の底堅さを見せ、金属価格の上昇ともにランド相場は強さを取り戻そうとしています。

2020年の南アフリカランドに関しては、次の利下げのタイミングが堅調な成長回復のサインだと見てもいいでしょう。ただ、高金利通貨であることから南アフリカの債券投資を促進させていることも考慮しておきたい点ではあります。

【2020年】南アフリカランド相場の見通し

【2020年】南アフリカランド相場の見通し

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それでは、2020年南アフリカランドの為替相場は上がるでしょうか、下がるでしょうか。南アフリカランドが上昇するシナリオと下落するシナリオを見ていきましょう。

2020年 南アフリカランドは上昇?

南アフリカランドが上昇するシナリオを対円と対ドルで検証していきます。

対円・対ドル

対円、対ドルで南アフリカランドが上昇するためには、南アフリカの主要輸出国である中国市場の回復が前提となります。中国市場が回復することで、その他EU諸国やアジア圏の財政が改善し輸出が拡大することが期待できます。米中貿易交渉も含め、米国経済が堅調であることがランド上昇の基盤となります。

次にランド上昇に必要なシナリオは、鉱物資源の価格の上昇他国からの再生エネルギーへの投資です。

2019年12月には、金やパラジウムなどの金属価格の上昇がランド相場は約5カ月振りの高値へと押し上げました。また、鉱物だけでなくサハラ砂漠が生み出す太陽熱も南アフリカの資産で、莫大なエネルギー源となり得ます。2020年以降は設備投資を行う国や企業も増えてくるでしょう。

さらに、南アフリカで期待したいのが、失業率を改善する人材教育や新たな産業への政策です。南アフリカでは貧困層と高所得層との格差が激しいことが課題になっています。

国際協力機構では、南アフリカにおける技術教育・職業訓練・人材育成プログラムなどを掲げ南アフリカの人材開発を推進しています。南アフリカ政府もIT通信・テクノロジーを活用した第4次産業を加速させており、巨大な人口と高いネット普及率から経済力の向上が見込まれています。

2020年の南アフリカランドは対円で7.3~8.0円、対ドルでは1ドル13.5~14.5ランドの相場レンジで推移すると予測します。

2020年 南アフリカランドは下落?

では、南アフリカランドが下落するシナリオとはどのような状況でしょうか。対円・対ドルで検証していきます。

対円・対ドル

南アフリカランドが下落する最悪のシナリオは、米経済が低迷、すなわち世界経済の低迷です。米経済の低迷につながる最大の要因は米中貿易交渉の悪化です。

米国自身も中国市場に依存する国の1つです。行き過ぎた保護主義は最終的には、米国の首を絞めることになります。米国経済が低迷、中国市場の弱体化、米国への失望感から世界経済への懸念が拡大します。世界は歴史的な低迷期、経済恐慌へと突入し安全資産の日本円に資金が向かいます。

このような状況になれば、真っ先に売られるのが主要国の経済動向に左右されやすい新興国通貨です。

経済の低迷期においては各国の貿易の規模が制限されるため南アフリカの輸出産業も大きく低下します。また、主要国における南アフリカへの投資や開発事業が御制され他国からの資金流入が減少し南アフリカ経済が落ち込みます。

ドル高円安の相場が基調となり、ランド相場はもとの下落トレンドへと方向転換することになるでしょう。

この最悪のシナリオにおいて、2020年の南アフリカランド相場は対円で6.1~7.1円の相場レンジ、対ドルでは1ドル/5.5~6.5ランドの相場レンジで下値を更新して推移する可能性があります。

【2020年】南アフリカランドの攻略ポイント

では、最後に南アフリカランドのFX攻略ポイントをまとめておきます。

  • 米国経済が堅調であることが基盤
  • 米中貿易交渉の過程に大きく左右される
  • 南アフリカは成長の過程にあり高い成長率が期待できる
  • 鉱物資源のニーズの上昇と価格向上
  • 他国との再生エネルギー開発の提携
  • 失業率の改善と第4次産業の推進
  • 消費者物価指数の低下と国内消費に向上
  • 政策金利の据え置きと利下げ

など・・・

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新興国であるため、米国やその他主要国の影響をとくに受けやすいのが南アフリカランド相場の弱点ですが、広大な国土と豊富な資源、巨大な人口、さらに高い金利が魅力の通貨だといえます。長期的な視野で取り組むことが新興国通貨の成功のポイントとなるでしょう。

まとめ

まとめ

これまでは経済の発展・成長といえば、自然破壊・環境破壊に結びつくものとのイメージがありました。工業が栄え、インフラ建設が進み、都市開発が行われることで、森林は伐採され農地は減少し、鳥や動物、植物や昆虫などは生息地を失い姿を消していきます。

経済的に成長することが、自然破壊や環境破壊をもたらすとするならば、美しい大自然の中で多数の動植物が生息する南アフリカは今のままががいいような気がしてしまいます。

しかし、近年になって過去の過ちから学んだ多くの国々では、自然環境を考慮した商品やサービスが著しい成長を見せ始めています。廃棄物のリサイクル、核燃料に頼らない再生エネルギー開発、排気ガスを出さない電気自動車など、エコロジー・SDGsが企業の成長において欠かせないテーマとなりつつあります。

もし、自然環境や動植物を守ることがそのまま経済の発展へとつながるならば・・・そのような経済の構図が実現すれば、今私達が世界で抱える深刻な環境問題は、経済成長を遂げながらも解決することができるでしょう。

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南アフリカのサファリでは、野生の動物たちを保護するクルーガ国立公園があります。広大な自然の中でライオンがハンティング、水浴びをするゾウの群れが見れたりと、野生動物公園が国営の観光事業となっています。

今後の南アフリカは人や企業、経済がいかに自然と共存していくかが成長のキーワードとなるのではないでしょうか。

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