FXでは損切りが大切だとよくいわれています。とくにスキャルピングは損切り・利確ルールを徹底することが必要不可欠です。
FXスキャルピングは1回の取引で得る利益額よりも取引回数で勝負するトレード手法です。他の中長期やスイング・デイトレなどとは全く異なる手法になります。
もし、損切り・利確しそびれた場合は、資金がそこで止まってしまいます。次のトレードに進むことができず、スキャルピングの継続が難しくなってしまうのです。
FXスキャルピングで勝てない理由
FXスキャルピングを始めてから、なかなか勝てないと悩むトレードも多いのではないでしょうか。
スキャルピングでは超短時間で高速取引を行い、小さな利益を狙う手法で、取引回数を重ねることで1日に大きな収益につなげることが可能です。
基本的に数秒・数分で10pips程度を狙って、数十回~100回以上の取引を行います。
瞬時に分析・決断しなければならない
数秒・数分単位の取引を繰り返すということは、相場分析や売買の決断も数秒・数分単位で行わなければならないわけです。
損切り・利確を徹底するのは難しい
これは多くのトレーダーが実感しているように、損切り・利確ルールを仮に定めていたとしてもルールに従うのは非常に難しいものです。
ここで、売るべきだとわかっていても、ルール通りに売買できるトレーダーは一体何人いるでしょうか。
- 上昇の局面では、まだ上がるかもしれないと売るのが勿体ない気がしてしまいます。
- 下降の局面では、いやこれから反発するに違いないと期待してしまいます。
このように思うことは、人として健全な心理ですから、そこであえてルールを実行するには非常に堅い意志と、決断力・経験が必要になってくるのです。
2pipsを惜しんだばかりに多大な損失を抱えることも!
あと2pips待ちたい、と思ったばかりに相場が急変し、見る見るうちに30pips、50pips、100pipsと損失を拡大させる恐れがあります。
例えば、30pips以下の損益であれば損切りも割と容易にできます。
ところが含み損が拡大すればするほど、下がり続ける相場を見ながら茫然となってしまい手も足も出なくなるのが現実です。今さら、もう損切りできない!とここでFXの恐さを知るのが普通です。
結局、損切りするにはあまりにも大きな額になってしまい、そのまま塩漬け状態へと切り替わってしまいます。これが、もし高値圏で起きた事象だとすれば、その高値圏に相場が戻ってくるには数年かかることもあります。
損切り・利確のスキルは鍛えることが可能
損切り・利確ルールに従えない・・・と落ち込みがちなトレーダーでも、この能力はトレード回数を重ねながら鍛えていけます。
もともと、ルールに従うのが苦手な方でも、訓練して身に付けていけるスキルです。ただし、今すぐ、明日から100%完全に別人になることはできません。
損切り・利確ルールが守れるように努力していくことで、きっと近い将来ルールを徹底するスキルを身に付けることができるでしょう。
勝つための損切・利確ルール
ではFXスキャルピングで、最も重要視されている損切り・利確ルールについて改めて解説していきます。
損切りルールとは
損切りルールとは、
損切りルールを設定することによって、含み損が拡大するのを避けることができます。同時にスキャルピングの場合は、次のトレードに進むために、常に身動きできる状態にしておくためでもあります。
中長期、スイングなどの場合は数日から数週間、数か月と相場の流れがかわるまで待つことができます。スキャルピングが他のトレード手法と大きく異なるのは、小さな取引を繰り返して確実にその日に利益を得る点にあります。
ですから、スキャルピングの損切りルールはごく小さな値幅で設定する必要があります。
理想は予想に反した時点で即損切り
スキャルピングでは数十分、1時間とポジションを保有したまま待つことはありません。待っている間に、数十回分のトレードができるからで、待っている時間が勿体ないからです。
トレンドの方向性を想定してエントリーするわけですが、もちろん読みが外れることも多々あります。
スキャルピングでは、読みが外れたとわかった時点で即損切りするのが理想です。読みが外れることも多いですが、読みが当たることも多いからです。損切りしても稼ぐチャンスはいくらでもあります。
上に行くか、下に行くか
エントリーする際には、上に行くか下に行くかによって「買い」か「売り」かを決めます。
損切り後にしまったと思うこともあるでしょうが、これは安全にスキャルピングを継続していくために徹底する必要があります。冒頭で説明したように、わずかなpipsを惜しんだばかりに大きな痛手を受けることもあり得るのです。
気持ちをどんどん切り替えて、常に新しいトレンドで勝負することが大切です。
損切りルールはオーバーするのを前提に
慣れてきたら、5~7pipsあたり、10pips以下で損切りルールを設定して実行できるかどうか試してみましょう。おそらく設定した損切りルールを上回ってから損切りしてしまうトレーダーが多いと思います。
ロット数が大きい時は5pips以下で損切り
ロット数が大きい時は、わずか10pips程度でも大きな損失となる場合もあります。
例えば、
- 1,000通貨 1pip = 0.01ドル
- 10,000通貨 1pip = 0.1ドル
- 100,000通貨 1pip = 1ドル
- 1,000,000通貨 1pip = 10ドル
100,000通貨のロットで取引した場合、10pipsで5ドル、これが10回続けば50ドルの損失です。
スキャルピングに慣れてきたら、ロット数を大きくして大きく稼ぐトレーダも多いと思います。仮に1,000,000通貨で取引した場合、10pipsで100ドル、これが10回続けば1,000ドル!の損失になるのです。
利確ルールとは
予想に反した動きをした時のルールが損切りルール。一方、予想通りに相場が動いた時にもいくらで利益確定をするのか決めておかねばなりません。
繰り返すようですが、スキャルピングは小さな利益を確実に重ねることで収益を得るトレード手法になります。ですから、10pips程度で十分なのです。それ以上の値幅を狙うと危険で、相場の流れが変わり損失を出す恐れがあります。
通常、メジャーな通貨の場合1%前後でしか価格は動きませんが、スキャルピング手法では繰り返して小さな取引をしますので、想像以上に大きな収益が狙えるのです。
もっと上昇しそうでも利確することが大切
積極的なトレーダーなら、高値ぎりぎりまで価格が上昇するのを待ちたいと思うでしょう。
しかし、スキャルピングは刻々と変化し続ける1分足チャートを基本に売買を繰り返すため、ほんのわずかなpipsを待ったがために流れが変わってしまうので注意しなければなりません。
スキャルピングではもっと上昇しそうでも、確実に10pipsを手にすることの方が大切なのです。1 回の取引では値幅の大きさはほとんど重視しません。値幅ではなく、回数をこなして稼ぎます。
10pipsに触れたら即利確する
スキャルピングの初心者は、10pipsに触れたら即決済するように気をつけて下さい。ほんのちょっとしたスキで利益を取り損ねることも多々あります。
最初のうちは、10pips以下で利確するようにしてもいいでしょう。
相場予測や売買タイミングに慣れてきたら、15~20pips単位で利確することもできます。ただ、利確幅は広げても損切り幅は厳しく限定しておくことが身を守るコツです。
下記の記事では、スキャルピングで負ける理由と対策について解説しています。参考までにご覧下さい。
スキャルピングのエントリーとエグジット
FXスキャルピングでは、数秒・数分単位でエントリーとエグジットを繰り返していきます。どこでエントリー・エグジットすべきか瞬間的に判断するのは、とても難しいことです。
成功しやすいポイント
スキャルピングの上級者であれば、トレーダーそれぞれの独自のアプローチ法が確立され、多少難しいエントリーでも勝率を挙げていけます。
しかし、これからスキャルピングを始めるトレーダーは、成功しやすいエントリー・エグジットのみ実行する方が確実です。では、成功しやすいエントリーとはどんな局面なのか見ていきましょう。
わかりやすいトレンドを狙う
トレンドは大きく3つのタイプがあります。
- 上昇に向かう上昇トレンド
- 横ばいで動く横ばいトレンド
- 下降に向かう下降トレンド
いずれのケースでも、ほぼ一定の高値・安値を上下して動く局面があります。そこで、まずわかりやすいトレンドを狙うことで、高値・安値の目安がつけやすくなります。
わかりやすい上昇トレンドの例
以下のチャートはわかいやすい上昇トレンドの例です。
青〇が「買い」、赤〇が「売り」のポイントになります。
上昇トレンドの流れに沿って、サポートライン(下値トレンドライン)に来るたびに「買い」でエントリーして、レジスタンスライン(上値トレンドライン)に来るたびに「売り」で利確できます。
リアルタイムでトレンドを読むのは難しい
ただ、すでに形成されたトレンドを見て上昇・下降などと方向性を定めるのは簡単ですが、実際にリアルタイムで動いている相場が今どのようなトレンドの過程にあるのか見極めるのが難しくもあります。
トレンドの方向性を予測するには時間足を変えて分析してみるとわかりやすいです。
1分足チャートで売買する際に、1時間足・30分足チャートから大まかなトレンドの流れを確認することができます。
1時間チャートでトレンドを確認する例
例えば、1時間足で見ると現在のドル円は104.90円で、上昇トレンドの真っ最中にあることがわかります。おそらくしばらくは上昇トレンドが継続するだろうと見ることができます。
チャネルラインを引いて高値と安値の位置を確認しておきます。そして、1分足チャートを見てみましょう。
1分足チャートでエントリーポイントを確認
現在上昇トレンドにあるドル円相場は、1分足でも上昇トレンドの過程にあり、おろらく上記のような流れで上昇していく可能性が高いと思われます。
この相場におけるエントリー・エグジットの4つのポイントを解説します。
①ちょうど今反発したところなのでこのまま高値まで上昇する可能性が高いと予測します。ここで「買い」エントリーです。
②一旦は、赤線のレジスタンスラインに来たところで「売り」エグジットで、利益を得ておきます。もし、この時点でレジスタンスラインをブレイクしたならば、1時間足のレジスタンスラインまで上昇に向かう可能性が高いので、再度「買い」エントリーします。
③赤線のレジスタンスラインで降りてきた相場はサポートラインにて反発する可能性があります。もし、③で反発したら「買い」エントリーします。ここで、もし赤色のサポートラインを下回ってしまった場合は、青色のサポートラインまで価格が下がる可能性があり「売り」エグジットで損切りします。
④価格が下がったとしても、1時間足でみた上昇トレンド内で上昇に向かう可能性は高いです。1時間足のサポートラインまで価格が落ちてきたら「買い」で上昇を狙います。予想通りに上昇した場合は③のポイントで「売り」エグジットします。
以上のような流れで、エントリー・エグジットを想定していくことができます。
下記からはボリンジャーバンドの活用方法がご覧になれます。
ブレイクポイントを狙うのも手堅い
為替相場に限らず、様々な金融商品の相場は以上3つのトレンドの組み合わせで動いていきます。横ばいトレンドでは一定の価格帯で動いていきますが、基本的に相場は上がったら下がる下がったら上がるを繰り返していきます。
つまり・・・
ちょうど、上昇から下降、下降から上昇、横ばいから上昇・下降とトレンドが切り替わるブレイクポイントのみに集中して取引を行う方法もあります。
ブレイクポイントで注意する点
ただ、以下のチャートのように、ブレイクしたかのように見えても価格が戻ってくるケースもあります。
スキャルピングでブレイクポイントを活用する際には、必ずブレイクして2,3分は様子を見てみることです。とくに取引量が多い時間帯には巨額の資金が逆張りにて投じられるため、想定外に相場が動いてしまうことがあるようです。
まとめ
今回は、スキャルピングで勝つための損切・利確ルールについて解説していきました。
スキャルピングで損切・利確のルールが守れるならば、毎日手堅く利益を手にしていけます。もし、守れないならばスキャルピングから中長期トレードへと逆戻りです。あるいは、損失を抱えすぎて退場です。