FXで多額の損失を出したという話も時に見聞きする中、FXは危険な投資方法とのイメージがあります。FXは危険だといわれるのは本当なのでしょうか。
FXを安易な気持ちで始めてしまう人もいる一方では、興味があってもFXは危険だから恐いと、1歩踏み出せずにいる初心者も多いでしょう。FXに限らず、投資には一定のリスクがつきものです。資金を投入することで稼げるかもしれないし、損失を出すかもしれない、これは誰にもわからないことです。
FXのリスクをしっかり把握しておくことで、初心者でもリスクを抑えながらトレードすることが可能です。損失のリスクを完全に0にすることは不可能ですが、100のリスクを10に減らすことはできます。FX初心者でもリスクを抑えてトレードしながら、しっかりと利益を狙っていけるのです。
FXは本当に危険?
FXが危険って本当?と聞かれれば、おそらくFXトレーダーのほとんどが「FXが危険なのは本当です」と答えることでしょう。ここで、注意しておきたいのはFXだから危険だというわけではないのです。FXだけに限らず、株式などの様々な投資商品はすべて損失を出すリスクをはらんでいます。
FX、株式などの金融商品を購入するということは、多少の金利をあてにして銀行口座に預金をするのとは全く異なります。預金も金融商品ではありますが、単にお金を預け入れるだけであって、何かに投資をするわけではありません。預金の場合はたいてい預金保険制度によって、預け入れた金額が保証されています。
投資が預金と全く異なる点は、
将来的に資金が増えるのか減るのか予測がつかない、資金がどうなるのか約束ができないということです。
投資のリスクとリターン
投資のリスクとは損失のこと、つまり現実に資金が減ることをいいます。10万円の投資資金が8万円、7万円と少なくなってしまう可能性があるということです。
投資のリターンとは利益のこと、現実に資金が増えることをいいます。10万円の投資資金が12万円、13万円に増える可能性があるということです。
実はこのリスクとリターンは表裏一体となっていて、
- リスクが低い → リターンが小さい
- リスクが高い → リターンが大きい
という関係が成り立つのです。
リスクが小さい金融商品
リスクが小さい金融商品は、ローリスク・ローリターンの投資です。
基本的に価格変動の値幅が小さいものは、損失が出たとしても少額にとどまる可能性が高くなります。そのかわり、もともと値動きが小さいために、利益になる金額も少額となるケースが多くなります。
金利で稼ぐ債券、債券の比率が多い投資信託などはリスクが小さい金融商品となり、期待できる利益も小さめです。また、少額投資の場合はどんな金融商品であっても比較的にローリスク・ローリターンの投資となります。
リスクが大きい金融商品
リスクが大きい金融商品は、ハイリスク・ハイリターンの投資です。
値動きが激しい金融商品の場合は、損失が出る場合でも大きな金額になってしまう傾向にあります。そのかわりに、大きく価格が上昇する可能性も高いため大きな利益が狙えます。
株式やFXなどが、ハイリスク・ハイリターンの投資方法になり、大きな利益が期待できるとともに常に大きな損失を出すリスクを秘めているのです。また、ローリスクな金融商品でも金額が大きくなれば、その分リスクやリターンは大きくなっていきます。
FXの何が危険なのか
FXは、皆さんもご存知のように少ない資金からでも大きく稼ぐことができる投資方法です。大きな利益が狙えると同時に、大きな損失を抱えてしまう可能性があります。
では、FXにはどのようなリスクが潜んでいるのかを確認していきましょう。
1.為替変動のリスク
FXは為替レートが変動する仕組みを利用して利益を狙う投資方法になります。為替レートは各国の政治や経済情勢、政策金利などに左右されいつも動いています。どう動いていくこのか誰にも先のことはわかりません。
ある日、何かの要因で購入した通貨の為替レートが大きく変動して、損失を出してしまうリスクがあるのです。
2.レバレッジのリスク
FX取引の大きな特徴はレバレッジにて、手持ちの資金の数倍の取引が行えることです。国内のFX業者の場合は、最大で25倍のレバレッジをつけることができます。
投資資金の数倍の利益が狙える反面、数倍の損失を出してしまうリスクがあります。
3.ロスカットのリスク
ロスカットとは急激な損失を避けるためにFX会社が設定している損切りシステムのことをいいます。基本的に証拠金の50%~100%の損失が出た時に自動的に決済される仕組みのことをいいます。何%の比率でロスカットされるのかはFX会社の規定によります。
ロスカットにて資金がマイナスになることを避けれるメリットがあるのは事実ですが、必ずしもメリットだけではありません。一瞬だけの急激な変動でも決済されてしまったり、証拠金とレバレッジのバランスによってはわずかな為替変動でもロスカットが起きて損切りされてしまう可能性があります。
4.FX業者倒産のリスク
大手で知名度のあるFX業者であれば、たいていは信託保全制度を適用しています。信託保全とは、FX業者が万が一倒産した場合でも入金している資金は安全に払い戻されるという制度です。
ただ、FX業者によってはこの信託保全が全額保証でないケースや、信託保全制度を適用していないケースがあるので注意する必要があります。
5.スワップポイントのリスク
スワップポイントのリスクとは、各国の金利差によって損失が生じてしまうリスクのことです。日本は世界でも有数の低金利国です。従って、ほとんどの国が日本よりも高い金利を設定しています。
日本円から高い金利の通貨を購入した場合、金利の差額を保有しているだけでも得ることが可能です。これを狙って、高金利通貨を購入するトレーダーもいます。しかし、逆に日本円の戻した時には金利の差額がマイナスで引かれてしまうのです。このスワップポイントによって、保有しているだけで損失が生じてしまう可能性があります。
FXの危険性をデータで検証
FX取引にて初心者が成功していくためには、FXリスクや恐さを十分に理解しておくことがとても大切なのです。
FXは90%の人が負けている?
FXでは大半の人が負けているといわれています。実際にネットでFXの情報を調べてみると、FXで億単位で稼いだ人の話と同じぐらいの比率で数千万~数百万円の損失を出した人達の話も出てきます。
FXトレーダーの約90%が負けているとよく言われていますが、具体的な統計をとることは困難なのが現状で、断片的なデータを基に判断されています。統計、調査を行う機関や時期によって統計結果には差があるようです。
FX取引で負けているトレーダーの比率
FX利益額(損失額)の統計結果
金融先物取引業協会のFX利益額(損失額)の調査統計では、利益額100万円以上を超えるトレーダーは7.5%をわずかで一番多いのが利益額20万円未満の35.6%。
損失額で最も多いのが、20万円未満で28.4%。損失額が100万円をこえるケースも3.2%見られています。上記のデータからも50万円以上の損失を抱えてしまう可能性もあるわけです。
簡単に稼げるという安易な情報に注意
近年では、FXなどの投資商品や副業にて簡単に稼げるという安易な情報が多いことが問題視されてきています。
全国の消費生活センターにおいては、「1日数分で数百万円稼げる」「数万円から数億円稼ぐ投資法」などお金儲けにのノウハウなどを提供する、インターネット情報商材への相談が急増しているとのことです。
2017年の相談件数は、2013年の7倍以上に増加しており、FX、バイナリーオプション、仮想通貨など媒体にした悪質な情報配信サイトも増えていることが報告されています。
初心者でも誰でも簡単に稼げるといったFXの情報はあふれています。
FXの本当の危険性とは
FXの本当の危険性とは、FXという投資法に潜んでいるリスクよりも、何も知らない初心者が安易な情報を鵜呑みにしてしまうことにあります。
「簡単に誰でも稼げる」「少額からでも稼げる」などの言葉から、よくわからないまま投資に手を出してしまったり、高価な商材を購入してしまったりすることがないように、十分に注意することが大切です。
FXの危険な為替相場の事例
それでは、次にFXに潜むリスクとして為替レートが急激に変動してしまう事例を挙げておきましょう。
2018年年末から年始にかけてのドル円相場
近年の為替レートで最も急激に為替レートが変動したのは2018年12月末から1月の年明けにかけてです。ドル円相場は10月に一旦114.548円の高値をつけ、12月は112円~114円代で推移していました。
2018年の4月以降は上昇トレンドで堅調に円安が進んでいたこともあり、このまま円安が進むことを期待していたトレーダーも多かったようです。
ところが、年が明けて1月4日には一気に104円代まで下落してしまいます。もし、114円代でドルを購入していたとすれば10円も下がってしまったことになります。レートが10円下がった場合、1000通貨で10,000円の損失、10,000通貨で10万円の損失です。
2019年12月25日のドル円相場
ごく最近の例を挙げるなら12月25日のドル円相場でも、レートが多きく変動しています。14時の時点で109.34円だったドルは夕方以降には一旦109.74円まで上昇しました。
109.74に上昇した時点で、これは円安が進むなと思って慌ててドルを購入したトレーダーもいたことでしょう。しかし、わずか数時間後にはまた109.35円あたりに戻ってしまいます。ほんの数時間の出来事です。
仮に0.30円の違いだったとしても、1,000通貨では300円の損失、10,000通貨では3,000円の損失です。大きく稼げるからと、レバレッジで多額の取引をしていた場合には1円以下の差額であっても大きな損失につながってしまいます。
FX初心者のリスクとは
FXは上手に取引すれば大きな利益が狙える反面、損失のリスクがあることがわかりました。とくに初心者は経験を積んだトレーダーよりも損失のリスクは高くなってしまいます。
- FX取引ツールが使いこなせない
- 為替変動の要因がよくわからない
- チャートの分析方法がよくわからない
- 為替情報の入手手段が限られている
- 売買タイミングがつかめない
など・・・
初心者だから上記のようなリスク・ハンディがあったとしても当然です。これから学んでいくわけですから。どんなに稼いでいるトレーダーでもみんな最初は初心者です。より確実に利益が獲得していけるように日々の勉強を頑張っていきましょう。
リスクを抑えることはできる!
損失のリスクが高くなってしまうFX初心者でもリスクを最小限に抑えていくことは可能です。リスクを最小限に抑えた取引で経験を積んでいくことが可能です。取引を重ねながら、リアルタイムの相場の緊張感やツールの操作に馴れていくようにしましょう。
FX初心者がリスクを抑えるポイント
少額から取引する
実際に受けるダメージを小さくするためにも、まずは少額から取引するようにしましょう。FX会社によっては1通貨、100通貨から取引ができる場合もあります。1,000通貨から取引可能なFX口座もたくさんあります。
低レバレッジを心がける
レバレッジを高くすれば大きな利益が狙えるのは事実ですが、その分損失も大きくなってしまいますので最初はレバレッジを小さめにしておきましょう。初心者は5倍以下に留めておいた方が無難です。
メジャーな通貨ペアを選ぶ
また、極端に高金利の通貨ペアやマイナーな通貨ペアは避けた方がよいです。日本人が一番取引がしやすいのは、やはり馴染みのある米ドルでしょう。米ドル/円の通貨ペアなら初心者でも情報入手が容易で相場予測がしやすい通貨ペアです。
先行きが不安な時のエントリーは控える
その時のタイミングによっては、為替相場の先行きに大きな不安が生じる時があります。例えば最近でいえば、米中貿易摩擦やイギリスのBrexitの状況です。ネガティブなニュースがあった時には、金融市場も大きな影響を受けてしまい、相場が不安定になりやすいです。ひとまずはエントリーは控えて様子を見ることが大切です。
まとめ
リスクが発生してしまうのはFXに限ったことではなく、
- どんな投資でも損失のリスクが生じる
- 大きな利益が狙える投資ほどリスクは高い
- 安易に稼げるイメージを与える情報が多い
- リスクを理解することでより確実に利益が狙えるようになる
- 初心者はとくにリスクが高くなる
- 初心者でもリスクを抑えて取引する方法はある
以上のような内容を解説していきました。
FXを始めてから、数か月~1年未満で退陣せざるを得ない人や、継続するために借金をしてしまう人の話も度々聞かれています。そうならないためにも、リスクをしっかりと把握した上でFXを始めることがとても大切です。簡単に誰でも稼げる投資ではないことだけは理解しておきましょう。
毎日コツコツと学びながら小さな取引を重ねていくことで、きっと初心者の皆様も息の長いトレーダーとして稼いでいけるに違いありません。