FXのトレード手法は保有する期間によって大まかに短期、中期、長期とありますが、FX長期投資は難しい投資方法なのか疑問に思う方もいるでしょう。長期投資は為替差益だけでなくスワップポイントによる利益をダブルで稼げるのが大きな特徴です。
一般的に、FXといえばスキャルピングなどの高速トレードをイメージする方も多いと思いますが、スキャルピングは一定以上のスキルを必要とするため初心者にはハードルが高い手法だといえます。短期になればなるほど、相場分析や売買の決断も急がねばならず難易度は高くなっていきます。
FX長期投資は通貨ペアの選択やエントリーさえ慎重にするならば、時間に余裕をもって取引できるため、実は初心者でも取り組みやすい手法なのです。コツさえ掴めば初心者でも大きく稼ぐことができます。
FX長期投資は難しい?
FXのトレード手法は大きく短期、中期、長期投資と3つに分けることができます。
短期投資とは?
短期投資とは、スキャルピングやデイトレードのことでごく短時間でポジションを保有して利益を狙う手法です。
スキャルピング
スキャルピングは数秒~数分程度の取引で、小さな利益を積み重ねて稼ぐ手法です。狙う値幅が小さいため、損失のリスクも小さくなる手法ですが、瞬間的な相場分析のスキルや徹底した損切りスキルを要するため難易度が高くなります。
デイトレード
デイトレードは文字通りに1日で取引を完結させる手法で、数十分~数時間で一定の値幅を狙って取引します。毎日のチャート分析や情報収集が重要となり、その日のうちに利益が期待できるかわりに時間に追われがちな手法でもあります。
中期投資とは?
中長期投資とはスイングトレードとも呼ばれていて、その時のトレンドの動きに合わせて数日~数週間程度で取引していく手法です。
スイングトレード
スイングトレードは相場動向によってはほんの2,3日程度しか保有しないこともあり短期の要素も持ち合わせています。場合によっては数か月保有することもあります。短期の場合は小さめの値幅、中長期の場合は為替差益とスワップによる利益が期待できます。
長期投資とは?
長期投資とは、長期トレードとも呼ばれる手法で、トレードというよりは投資や資産運用の要素が大きくなります。数週間~数か月以上と長く保有することで大きな値幅が期待できます。
長期トレード
長期トレードは、一般的にリーマンショックや米中貿易戦争、そして最近だと新型コロナウイルスなどで経済が落ち込んだ時が購入の好機となります。
安いうちに購入しておいて、長期間保有することで大きな為替差益とスワップポイントの双方の利益が狙えます。2,3か月程度で売却する場合もあれば、数年以上保有する場合もあります。
長期投資は初心者でも取り組みやすい
FXには短期、中期、長期と大きく3つの投資手法がある中、長期投資は時間に余裕を持って相場分析を行ったり、売買を検討したりと時間に余裕を持って取引できるため初心者でも取り組みやすい手法だといえます。
長期投資のメリット・デメリット
長期投資のメリットは、長い時間をかけて待つことで大きな為替差益とスワップポイントの双方の利益が期待できることです。多少の為替変動は気にせずに、含み損が出たとしてもじっくりと腰を据えて値上がりするまで待つのが大きな特徴です。こまめにチャートや経済ニュースをチェックする必要もなく、半ば放置しおいても取り組める投資手法です。
一方では、長期間保有することで急激な為替変動の影響を受けやすいリスクがあり、レバレッジも低めに設定しておくのが特徴です。価格が下がりきった時が長期投資の好機となるため、長期投資を始めるタイミングがそう頻繁にはないことがデメリットです。中期や短期で投資をしながら、長期投資の機会を待つ人も多いようです。
FX長期投資で稼ぐ!
FX長期投資では、実際にどれくらいの利益が期待できるでしょうか。もちろん、それぞれの投資資金やレバレッジ、取引通貨数などによって期待できる利益の額も大きく異なります。長期投資で期待できる利益の概ねの目安、稼ぐイメージをここで見ていきましょう。
為替差益で稼ぐ
長期投資は長期間ポジションを保有しますので、他の投資手法に比べると狙える値幅もかなり大きくなります。
米ドル/円 週足チャート
例えば、6月にドル円を100円で購入したとします。約5か月後にはドル円は118円に値上がりし、18円上昇したことになります。
18円の値幅で得られる利益はどれくらいか取引通貨数別で計算してみましょう。
- 1,000通貨 × 18円 = 18,000円
- 10,000通貨 × 18円 = 180,000円
- 100,000通貨 × 18円 = 1,800,000円
というように、長い時間をかけることで大きな為替差益が期待できるのです。
スワップポインントで稼ぐ
さらに長期投資では、ほぼ毎日スワップポイントを得ることができます。スワップポイントとは各通貨の金利差のことです。原則として金利が低い通貨から金利が高い通貨を購入すると、金利の差額がスワップポイントとして付与されます。
スワップポイントの例
https://www.gaitame.com/products/nextneo/swap_cal.html
仮にドル円で1日平均5円のスワップポイントがついたとすれば、1か月、2か月、半年と保有しているだけで利益になります。
30日 × 5円 = 150円
60日 × 5円 = 300円
120日 × 5円 = 600円
360日 × 5円 = 1,800円
高金利通貨はスワップポイントも高い
トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソなどの高金利通貨は50円~120円とスワップポイントが高いのが特徴です。保有しているだけでも結構な金額になります。
1日平均で70円のスワップポイントが付いた場合の利益は以下のようになります。
- 30日 × 70円 = 2,100円
- 60日 × 70円 = 4,200円
- 120日 × 70円 = 8,400円
- 360日 × 70円 = 25,200円
FX長期投資で勝つためのコツ
FX長期投資は、初心者でも取り組みやすい投資方法です。将来性がある通貨ペア選びと慎重に購入タイミングを図ることで、為替差益とスワップポイントにて大きな利益が期待できます。しかし当然ながら、損失のリスクも避けることはできません。勝つためにはどうすればよいのかポイントを抑えておくことが大切です。
1.マイナスのスワップポイントに注意
スワップポイントの設定はFX業者によって異なり、通貨ペアごとに毎日変動しています。通常、スワップポイントは1日以上保有した場合に残高に現金で入金されます。業者によっては、決済した時点でまとめて清算される場合もあります。
スワップポイントがプラスになる通貨ペア
「買い」でエントリーした場合にスワップポイントが付与される通貨ペアには以下のようなものがあります。
- 米ドル/円
- 豪ドル/円
- NZドル/円
- カナダドル/円
- 英ポンド/円
- 人民元/円
- トルコリラ/円
- 南アフリカランド/円
- メキシコペソ/円
2.長期投資でおすすめの通貨ペアは?
長期投資でおすすめの通貨ペアは、
- 安定性
- 将来性
- 流動性
この3つの要素を備えている通貨ペアを選ぶようにしましょう。
もともと米ドルは円よりも強い状態が正常で、世界経済の低迷時にはドルが売られるため、円の価格が高くなります。円高が進み切った時に購入しておけば、長く保有することで、ほぼ確実にいずれは円安のタイミングが来ると期待できるのです。
投資をしたいと思えるかどうかが大切
長期投資の場合は、デイトレードやスキャルピングのように価格が上がった途端に売却するような、短期トレードではありません。将来値上がりをすると思える通貨に長期的な視野で「投資」を行うわけです。
投資をするということは、その通貨=国を支援することでもあります。多少価格が下がったとしても、長く付き合っていける通貨を選ぶのが成功のコツです。
興味がある通貨、好きな国の通貨を選ぶことは言うまでもありませんが、加えて、その国の経済情勢や政治など基本的なことはリサーチしておくようにしましょう。
安全性を重視するならこの通貨ペア
安全性を重視するなら、米ドル/円が一番手堅い通貨ペアだとえいます。他には、豪ドル、NZドル、カナダドルあたりが暴落の可能性が低く安定しています。
英ポンドも米ドルと並んで強いうえ大きな値幅が狙える通貨です。ただ、金利が低いためマイナススワップの可能性が若干生じてしまうことやBrexitで不透明な部分が多いなど、リスクはやや高くなる通貨ペアです。
将来的な値上がり率を期待する通貨ペア
将来的に大きな経済成長が期待できる通貨ペアに長期投資を行う方法もあります。人民元、トルコリラ、メキシコペソなどのいわゆる高金利通貨です。
高金利通貨は、スワップポイントも高めなので長期投資でも注目されていますが、主要国通貨に比べると経済面で不安定なのがデメリットです。高金利通貨には確かに将来性が高いものもありますが、安値をどこまでも更新している通貨もあるので注意が必要です。
3.長期的なスパンで安値・高値を把握しておく
長期投資は、長期的なスパンで安値になった時に購入、長期的なスパンで高値になった時に売却して大きな利益を狙います。長期で投資したい通貨ペアか決まったら、その通貨ペアの安値・高値はいくらぐらいなのが長期的なスパンで確認しておくことが大切です。
長期投資ではいくらなら「買い時」なのか、いくらあたりが「売り時」なのかを月足・週足チャートをメインで確認しておきます。
週足チャートで見る安値・高値
上記は、米ドル/円の週足チャートです。週足チャートでは約5年程度のスパンで安値・高値を確認することができます。
安値
ここ5年間で見た場合のドル円の安値圏は、99.60円~104.60円あたりです。この価格帯に、何かのきっかけで下落したときが、絶好の買い時だといえます。
安値であればあるほど、損失のリスクは低くなり上昇へと向かう可能性が高くなります。微妙なのが105円~106円台前半あたり。107円~108円を超えてしまうと上昇の余地が少なくなり、万が一の時に大きく下落する危険性があるといえます。
高値
5年間で見る高値圏は118円~123円です。2017年以降は米中貿易戦争の影響から円安が進み切っていないようでドルの上昇率が限られているのが特徴です。とはいえ、月足で見ると144円まで上昇したこともあるため120円あたりの高値は視野に入れておきたいところです。
早めの利益を狙うなら114~118円あたりが売り時です。がっつりと長期保有で大きく稼ぐなら、状況次第では120円を超えるまで待ってみるのもよいかもしれません。
4.いつでも注文できる状態にしておく
概ねで「買い時」がいくらなのか確認したら、後は資金をFX口座に入金しておいて安値になるタイミングを待ちます。長期投資の場合は、エントリーのタイミングが非常に重要となるので、そう度々投資の機会があるわけではないのです。
ただ、先のことは誰にもわからないもので、いつどんな理由で一時的に価格が急落するかは予測ができません。相場が下がり始めたな、と思ったらこまめにニュースやチャートをチェックして買い時を探ります。
5.トレンドが切り替わるサインを見つける
相場が下降し始めた時に悩むのが、どこが底値になるかです。底値とは、安値の中でも最安値の価格のことで底値に相場が振れると、今度は反発して上昇に向かう可能性が高いとされている位置のことです。
相場は、上昇トレンドと下降トレンドを繰り返して動いています。下降トレンドは、どこかのタイミングで上昇トレンドへと切り替わります。
チャート分析にて、トレンドが切り替わるサインを見つけることができます。トレンドの切り替わりを探方法の1つに、チャネルラインを引いておく方法があります。
チャネルラインで底値を探る
チャネルラインは、1つのトレンドの高値と安値の位置を2本の線で結んだものです。レジスタンスライン、サポートラインを上昇や下降に合わせて斜めに引いたものです。
上記のように下降トレンドがしばらく継続した後、相場がレジスタンスラインを超えてブレイクした場合、上昇トレンドへと切り替わる可能性が高いです。
レジスタンスラインを完全に超えたのを確認したら「買い」です。もし、レジスタンスラインを超えずに折り返してきたら、またサポートラインまで価格が下がる可能性があります。
ローソク足のヒントを探す
ローソク足でもヒントを探すことができます。
モーニングスター
下降トレンド続いた後、大陰線、T字型、大陽線とローソク足が続いた場合、上昇へ切り替わるサインだといわれています。この組み合わせをモーニングスターといいます。
ブーリッシュサイン
ブーリッシュサインは「売り」が落ち着いてきたことを表すサインです。売りの勢いが強いことを意味する大陰線がだんだん小さくなってきて、大陰線よりも2倍近くの大陽線が出てきたら、「買い」が増えていることを意味しています。
シューティングスター
一方、上昇が継続した後で上記のように上影が長いローソクが出てきたら、下降トレンドへと切り替わるサインです。これをシューティングスターといいます。
6.経済ニュースで上昇に向かう気配を探る
一旦、下降トレンドへと相場が進む始めた場合は、「買い時」を待ち構えておく必要がありますが、価格がどこまで落ち込むのか誰にもわかりません。とくに精神的ダメージが大きい事象が起きた時には、パニック売りが止まらないこともあります。
今、購入してももっと下がり続けるかもしれないと不安になるものです。例えば、5年間のドル円相場では100円は安値ですが、2012年には75円まで下がったこともあります。
何かの理由で相場が下がり続けている時は、上昇へのきっかけになりそうなニュースがないかをこまめにチェックするようにしましょう。最近だと、新型コロナウイルスで相場が下がりきった後、米国の経済政策の発表にて一気に上昇へと向かい始めました。
7.安値で購入したら、後は気長に待つだけ
選んだ通貨ペアの価格が下がり始めて、満足がいく安値圏で購入できたら後は上昇に向かい、値上がりするのを気長に待つだけです。
底値に近い価格で購入しておけば、余程のことがない限り含み損を抱えるリスクは極めて低いです。長期投資は長い期間で保有していくため、多少の値動きは気にしない方が良いです。半ば放置しておくようなつもりで利益が出るのを待ちましょう。
勝てない理由と注意点
最後に、FX長期投資の勝てない理由と注意するポイントをいくつかご紹介しておきます。
- レバレッジ10倍以上は危険 → 長期投資は値幅が大きいのでレバッレジに余裕を
- レバレッジ25倍はNG → 25倍にすると2円程度の値動きでロスカット
- 安値以外でのエントリー → 下値の余地が大きすぎて損失を出す恐れ大
- マイナススワップの通貨ペア → 保有している間スワップポイントが引かれる
- スワップポイントのみを重視 → スワップポイントで稼いでも為替差益で損するリスク
- 損切りはなるべく控える → 多少の値動きには動じない覚悟で通貨ペアを選ぶ
- 上昇の見込みがあるか見極める → 通貨ペアによっては上昇が見込めないケースもある
など・・・
まとめ
今回はFX長期投資とは難しい投資方法なのか、勝ためのコツは何なのかを解説いたしました。長期投資で勝つイメージが大まかに理解できたのではないでしょうか。
長期投資は、いかに安値で購入しておくか、いかに将来性・安定性が高い通貨を選んでおくかがポイントとなります。長期的なスパンで相場が安値にくる機会はそう頻繁には訪れません。過去のチャートを確認してもわかるように、平均して1年に1回か2回程度です。
ぜひ、この機会にまずは資金をいつでも動かせる状態にして、FX長期投資の準備をしておきましょう!