FXで勝つためにはインジケーターの利用が欠かせません。最適な売買タイミングを教えてくれるインジケーターは色々とある中、どれが正確なのか、どれを使うべきなのか悩みますよね。最適なインジケーターはそれぞれの投資スタイルや手法によって異なり、使い勝手や見た目などの相性もあります。
一度試してみたいインジケーターの1つに「ケルトナーチャネル」があります。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
FXテクニカル ケルトナーチャネル
「ケルトナーチャネル」は、メインチャートに直接挿入されるトレンド系のインジケーターです。見方や使い方は「ボリンジャーバンド」と似ているので、コツさえ掴めば初心者の方でも簡単に使いこなすことができます。中級者以上の投資家にも、補足で追加するインジケーターとして使いやすいのでおすすめです。
まずは、最初に「ケルトナーチャネル」の概要を簡単に見ておきましょう。
ケルトナーチャネルとは
ケルトナーチャネルとは、
ボリンジャーバンドと似たようなラインでほとんど同じような使い方をするのですが、高値と安値の位置は、ボリンジャーバンドでは標準偏差、ケルトナーチャネルでは平均値幅を使っています。チャネルの幅はケルトナーチャネルの方が狭めになるため、判断の仕方が若干変わってきます。
大まかな特徴は、
- 上のラインを抜けると上昇トレンド
- 下のラインを抜けると下降トレンド
- 3本のラインがレジスタンス・サポートの役割を果たす
となり、上昇や下降のタイミングや、トレンドの方向性・転換ポイントを計ることができます。
ケルトナーチャネルの開発者
ケルトナーチャネルを開発したチェスター・ケルトナー/Chester W. Keltner(1909年生まれ)は、シカゴのコモデティトレーダー・分析アナリスト。1960年に”How to make money in commodities”という本を出版し、分析手法としてケルトナーチャネルを紹介しました。
もともとは、「ten-day movinag average trading rule」として紹介されていたものが、近年になってから「ケルトナーチャネル」という名称で呼ばれるようになりました。
この本の第3版がAmazonでは6,7万円程度の価格がついています。日本語版は今のところ出版されておらず、単独でケルトナーチャネルを解説する本もあまり見かけないようです。日本ではあまり知られていないケルトナーチャネルですが、意外と高い評価を受けていて、使えるFX会社も結構多いです。
ケルトナーチャネルの基礎知識
ケルトナーチャネルは、移動平均線と高値と安値の平均値幅と3本のラインが表示されるインジケーターです。中央のラインとなる移動平均線は、発表された当初はSMA/単純移動平均線が使われていたのですが、後年になってから、より敏感に反応するEMA/指数移動平均線へと改良されています。
ケルトナーチャネルの計算方法
中央線の計算
ケルトナーチャネルのオリジナル版では、中央線にはSMA/単純移動平均線が使われています。
これが、後にリンダ・ラシュキ/Linda RaschkeによってEMA/指数平滑移動平均線へと改良されました。
EMA = 1日目の計算はSMAと同じ
EMA = 前日のEMA + K × (当日終値 - 前日のEMA)、K = 2 ÷ (一定期間 + 1)
高値ライン/Upper Band
安値ライン/LOWER BAND
ATRとは
高値ラインと安値ラインの算出には、ATR/アベレージ・トゥルー・レンジと呼ばれる方法で一定期間における平均値が算出されます。ATRでは、(当日高値 - 当日安値)(当日高値 - 前日終値)(前日終値 - 当日安値)の中で一番大きい数値が適用されます。
ケルトナーチャネルの基本的な仕組み
ケルトナーチャネルの基本的な仕組みは、相場が3本のラインに対してどう動いているのかを見ていきます。ラインと相場の関係から上昇・下降のタイミングやトレンドの方向性を掴んでいきます。
- ケルトナーチャネルの高値ラインを相場が超える → 強い上昇トレンドのサイン
- ケルトナーチャネルの安値ラインを相場が超える → 強い下降トレンドのサイン
- レジスタンスラインとして使う → 高値ライン・中央ライン・安値ラインで相場が下がり始める傾向にある
- サポートラインとして使う → 高値ライン・中央ライン・安値ラインで相場は反転する傾向にある
- 高値ライン・中央ライン・安値ラインを目安に分析 → ブレイクするかどうかで相場の動きが読める
以上の5つのポイントから、相場動向のサインを得ることができます。
ケルトナーチャネルの見方
ケルトナーチャネルでトレンドを読む
上昇トレンド
3本のラインが上に向かっている時は基本的に上昇トレンドを意味していて、中央ラインを抜けて、中央ラインと高値ラインの間で価格が動いていきます。中央ラインと安値ラインの間で価格が動く時は、相場は上昇トレンドにあると見ることができます。
この時は、中央ラインがサポートライン、高値ラインがレジスタンスラインの役割を果たしていて、中央ライン・高値ラインに価格が触れると反転し始める傾向にあります。もし、中央ラインを下に抜けた場合は、安値ラインまで価格が下がり始める可能性があります。
下降トレンド
3本のラインが下に向かっている時は基本的に下降トレンドを意味していて、中央ラインを抜けて、中央ラインと安値ラインの間で価格が動いていきます。中央ラインを下に抜けて、中央ラインと安値ラインの間で価格が動く時は、相場が下降トレンドにあると見ることができます。
この時は、中央ラインがレジスタンスライン、安値ラインがサポートラインの役割を果たしていて、中央ライン・高値ラインに価格が触れると反転し始める傾向にあります。もし、中央ラインを上に抜けた場合は、高値ラインまで価格が下がり始める可能性があります。
横ばいトレンド
ケルトナーチャネルが細くなって横に動く時は、中央ライン辺りからあまり動かない横ばいトレンドを意味しています。
この時は、上か下かにいずれはブレイクする可能性があるので、エントリーの準備をしておきます。高値ラインを上に抜ければ上昇トレンド、安値ラインを下に抜ければ下降トレンドへと切り替わる可能性が高いです。
トレンドの転換を読む
上昇トレンドに切り替わるサイン
下降トレンドに向かっていた相場が、中央ラインを上に抜けて、さらに高値ラインを上に抜けた時には、上昇トレンドに切り替わる強いサインです。
中央ラインの下で価格が動いていたものが、中央ラインを上に抜けてきたらトレンドが切り替わる前触れです。急上昇し始める可能性があるので、高値ラインをさらに抜けるかどうかをチェックする必要があります。もし、高値ラインで反転し始めた時はまた下降に向かう可能性もあります。
下降トレンドに切り替わるサイン
上昇トレンドに向かっていた相場が、中央ラインを下に抜けて、さらに安値ラインを下に抜けた時には、下降トレンドに切り替わる強いサインです。
中央ラインの上で価格が動いていたものが、中央ラインを下に抜けてきたら注意が必要です。急落し始める可能性があるので、安値ラインをさらに抜けるかどうかをチェックする必要があります。もし、安値ラインで反転し始めた時はまた上昇に向かう可能性もあります。
上昇・下降のタイミングを読む
高値ライン、中央ライン、安値ラインはそれぞれ、相場のレジスタンス・サポートラインとして使うことができます。
パターンは3つあって、
- 高値ラインと中央ライン → 高値ライン(レジスタンス)、中央ライン(サポート)
- 中央ラインと安値ライン → 中央ライン(レジスタンス)、安値ライン(サポート)
- 高値ラインと安値ライン → 高値ライン(レジスタンス)、安値ライン(サポート)
として上昇・下降のタイミングが計れます。
ケルトナーチャネルの使い方
では、実際にケルトナーチャネルを使ってFXでトレードする方法を解説していきます。
高値ラインと安値ラインでエントリー・エグジット
安値ラインで反発し始めたら、まずは一旦相場が上昇に向かうサインです。ここで、「買い」エントリーして様子を見ます。
中央ラインを超えるかどうかが1つの判断の目安となりますので、中央ラインを無事に超えて上に向かえばそのまま保有です。中央ラインで反転して下に向かうようであれば、また価格が下がる可能性がありますので、ここで小さく「売り」エグジットしておくなど注意が必要です。
中央ラインを無事に超えたら、後は高値ラインに達するのを待ちます。高値ラインに触れたら次の動きを見ます。そのまま高値ラインを下回らずに上に向かえば上昇が継続するサインです。高値ラインから大きく下に向かい始めた時点で「売り」エグジットで利確です。
あるいは、高値ラインで下に反転するタイミングで「売り」エントリー、安値ラインで上に反転するタイミングで「買い」エグジットを狙う方法もあります。
中央ラインでエントリー・エグジット
安値ラインで上に反転した相場は、もしかすると中央ラインでまたすぐに下にも戻ってくるかもしれません。手堅く利益をゲットしたい場合は、中央ラインを目安にエントリー・エグジットを決めていけます。
安値ラインから上昇し始めた相場が、中央ラインを確実に超えたら「買い」エントリーです。予想どおりに上に向かい高値ラインで反転、中央ラインでまた上昇と上昇トレンドの動きを継続していきました。どこまで上昇トレンドが継続するのかがエグジットの最大の疑問です。中央ラインで上に反発する間は上昇が続くと見ていけます。
しばらく上昇トレンドが継続したあと、価格は中央ラインよりも下がり始めました。一旦下降に向かうサインです。安値ラインまで下がったあとで上昇する可能性もありますが、まずは利益をこの時点で確定したいところです。中央ラインを確実に下に抜けたタイミングで「売り」エントリーで利確しておきます。
中央ラインを下に抜けたら「売り」エントリー、下降トレンドがある程度続いて中央ラインを上に抜けえたタイミングで「買い」エグジットで利確することもできます。
勝つためのケルトナーチャネルトレード手法
ケルトナーチャネルを使うことで、最適なエントリー・エグジットのタイミングを計ることが可能です。
そこで、最後にケルトナーチャネルのトレード手法として、おすすめのオシレーター系インジケーターをご紹介したいと思います。
RSIと組み合わせたトレード手法
ケルトナーチャネルはメインチャートに直接挿入される、トレンド系のインジケーターなので、組み合わせて使うインジケーターは、サブチャートで表示されるオシレーター系が使いやすいでしょう。とくにRSIのようにシンプルなインジケーターがおすすめ。
エグジット・エントリー、分析例
- 下降していた相場はケルトナーチャネルの安値ラインで反発、上昇のサインです。少し前のRSIでは30以下に触れて上昇を示唆しています。ここで迷わず「買い」エントリーを決めます。
- 大きく上昇したあと相場は高値ラインを超え、下に向かう気配が見れます。ここで利確したいと思う方も多いでしょうが、ちょっと欲を出して様子を見ます。すると中央ラインで価格は反発、RSIも70に向かって上昇しつつあります。まだ上がるな、と判断して待ちます。
- 相場はまた大きく上昇し高値ライン下回ります。中央ラインあたりで利確しても利益は出るので、再度、中央ラインで反発するかどうかを見ます。中央ラインで反発、RSIはまだ70以下で上に向かってます。もうちょっと上がるかな、と最大の利益幅を狙います。
- 高値ラインに下がってきました。RSIでは70を上回り下がり始める気配があります。そろそろ天井なのかな、と中央ラインに降りる前に「売り」エグジットでたっぷり利確します。
ちなみに、RSIの見方や使い方を詳しく知りたい方は以下の記事で紹介しています。合わせて参考にしてみて下さい。
まとめ
ケルトナーチャネルは、ボリンジャーバンドのように中央に移動平均線、上部に高値ライン、下部に安値ラインと3本のラインが表示されるトレンド系インジケーターです。
トレンド系インジケーターはメインチャートに挿入されるため、他のラインを挿入するとローソク足やケルトナーチャネルのラインが見づらくなるので、オシレーター系と合わせて使うのがおすすめです。