陰陽足は日本で使われているインジケーターで、ローソク足のようにメインチャートの表示方法の1つです。陰陽足チャート、増田足チャートとも呼ばれていて、独特のルールに基づいて3種類のチャートが表示されます。
陰陽足が使えるチャートツールは、そんなに多くないようなので、初めて聞く方や使い方を知らない方も多いと思います。実は、陰陽足はローソク足と移動平均線から派生したインジケーターで、一部の投資家からは高く評価されているのです。
FXテクニカル 陰陽足
「陰陽足」はあまり知られていないインジケーターですが、日本では古くから使われているチャート表示方法で、ローソク足から派生したインジケーターです。
まずは「陰陽足」の概要を簡単に見ていきましょう。
陰陽足とは
陰陽足とは、
ローソク足と陰陽足が異なるのは、
- 始値・終値を表すローソク足
- 高値・安値は表示されない
- ボディーのみのローソク足
- 短期・中期・長期線と3本のラインが表示される
などです。
陰線と陽線のローソク足と3本のラインの動きや位置から相場を読むことができます。
陰陽足の起源
陰陽足は、ローソク足の陰線・陽線を使ったチャートの表示方法で、ローソク足のことを昔は陰陽足と呼んでいました。ローソク足は、米商人の本間宗久氏によって江戸時代に開発されたものです。おそらく、陰陽足の歴史も江戸時代あたりまで遡るのではないかと思われます。
ここで解説している3本のラインを使ったインジケーター陰陽足は、1993年に増田徳太郎氏が開発したもので、増田足とも呼ばれています。
インジケーター陰陽足は、ローソク足と移動平均線を組み合わせたものです。双方の利点を生かしたチャート分析が実現できるとされています。
増田徳太郎氏の「増田足」は本も出版されています。Amazonなどで入手可能です。
陰陽足の基礎知識
陰陽足はローソク足の陰線・陽線、3本の移動平均線を組み合わせたインジケーターです。
陰線と陽線
まず、陰陽線は陰線と陽線の2つのローソク足が使われています。
- 陰線: 始値が高値で終値が安値(下降)
- 陽線: 始値が安値で終値が高値(上昇)
陰線と陽線は、通常のローソク足と同じように使います。ただし、高値・安値は確認できません。
陰線は下降を表すローソク足なので陰線が多いということは、下降トレンド・売り相場にあることを意味しています。
陽線は上昇を表すローソク足なので陽線が多いということは、上昇トレンド・買い相場にあることを意味しています。
3本の陰陽足
陰線と陽線で、短期・中期・長期と3本の移動平均線が表示されます。
移動平均線の期間は、
- 短期: 3
- 中期: 25
- 長期: 75
がデフォルトの設定になっています。
時間足による陰陽足の期間
チャートの時間足によって、3本の移動平均線の期間も異なってきます。
例えば、
1時間足の場合
- 短期: 3 → 3時間
- 中期: 25 → 25時間
- 長期: 75 → 75時間
日足の場合
- 短期: 3 → 3日
- 中期: 25 → 25日
- 長期: 75 → 75日
となります。
3本のラインの特徴
短期・中期・長期の陰陽足は、
- 短期線: 直近の上昇・下降、トレンドの切り替わりを見る
- 中期線: 相場動向を中期的な視野で見る
- 長期線: 相場動向を長期的な視野で見る
と3つの視点から見ていくことができます。
移動平均線の計算方法
ちなみに移動平均線の平均値は、
で算出されています。
移動平均線について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。
陰陽足の基本的な仕組み
陰陽足の基本的な仕組みは、
- 陰線と陽線から相場読む
- 3本のラインから相場を読む
と大きく2つのポイントから相場分析を行います。
陰転と陽転
- 陽線から陰線に転換する → 陰転
- 陰線から陽線に転換する → 陽転
売買シグナル
- 陰転 → 売り
- 陽転 → 買い
- すべてのラインが陰転 → 売り
- すべてのラインが陽転 → 買い
陰陽足の見方
3本の陰陽足の見方
3本のラインは、ラインの大きさ(または色)で短期・中期・長期と判断できます。
- 一番細いライン → 長期線
- 中ぐらいのライン → 中期線
- 一番太いライン → 短期線
となります。
短期線の陰線と陽線
- 陰線が陽線に転換 → 陽転:下降から上昇
- 陽線が陰線に転換 → 陰転:上昇から下降
短期線の陰線と陽線は短期的な視野で、価格が上下する波に沿って取引したい時に有効です。
短期線の陽転と陰転を活用することで、1つの大きなトレンドの流れの中で、売買を繰り返していくことができます。
中期線の陰線と陽線
- 陰線が陽線に転換 → 陽転:下降トレンドから上昇トレンド
- 陽線が陰線に転換 → 陰転:上昇トレンドから下降トレンド
中期線の陰線と陽線は、相場を1つのトレンドの流れで捉えたい時に有効です。
中期線の陽転と陰転を活用することで、中期的なトレンドの流れ、トレンドの転換ポイントを知ることができます。トレンドの流れに乗ったり、トレンドの切り替わりを狙った取引が可能です。
長期線の陰線と陽線
- 陰線が陽線に転換 → 陽転:下降トレンドから上昇トレンド
- 陽線が陰線に転換 → 陰転:上昇トレンドから下降トレンド
長期線の陰線と陽線は、相場の大きなトレンドの流れを見る時に有効です。
長期線の陽転と陰転を活用することで、長期的な視野でトレンドの方向性や転換ポイントを知ることができます。長期トレードにおける戦略を立てる時や、中期・短期トレードにおいても判断材料になります。
陰陽足の売買シグナル
陰陽足の売買シグナルは、
- 陽転: 買いシグナル
- 陰転: 売りシグナル
この2つを基本に3本のラインから得ることができます。
3本のラインが同時に陽転 = 売りシグナル
3本のラインが下降トレンドで陰線で推移した後で、短期・中期・長期と同時に陽線に陽転した時はこのタイミングで上昇トレンドに切り替わる可能性が高いです。3本のラインが同時に陽転した時は「買いシグナル」と見ることができます。
3本のラインが同時に陰転 = 売りシグナル
3本のラインが上昇トレンド・陽線で推移した後で、短期・中期・長期と同時に陰線に陰転した時はこのタイミングで下降トレンドに切り替わる可能性が高いです。3本のラインが同時に陰転した時は「買いシグナル」と見ることができます。
ゴールデンクロス・デッドクロス
ゴールデンクロス
下降トレンドにある中、短期線が中期・長期線を下から上に抜けることを「ゴールデンクロス」といいます。「ゴールデンクロス」が形成されると、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
「ゴールデンクロス」は買いシグナルと見ることができます。
デッドクロス
上昇トレンドにある中、短期線が中期・長期線を上から下に抜けることを「デッドクロス」といいます。「デッドクロス」が形成されると、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
「デッドクロス」は売りシグナルと見ることができます。
陰陽足の使い方
陰転・陽転を目安にエントリー・エグジット
- 3本のラインが陽線に転換しました。陽転は上昇トレンドが始まるサインです。ここで「買い」エントリーします。予想どおりに相場は上昇トレンドに向かいました。しばらく様子を見て下降のサインを待ちます。
- 一番上で推移していた短期線が中期線を割り込んできました。上昇の勢いが弱まっているサインです。短期線が大きく陰線に転換したタイミングで「売り」エグジットで利確しておきます。
- 相場は下降トレンドに向かう気配があります。短期線が長期線に触れた時に反発するかどうかを確認します。短期線は長期線に触れた後で、大きな陽線を出して陽転しました。上昇に向かうサインです。このタイミングで2度目の「買い」エントリーですね。
- ボディがしっかりした陽線が連続で出て強い上昇を表しています。どこまで上がるか様子を見ます。価格が上昇しきった後で陰陽線は、陽線から陰線に陰転しました。利益は十分に出ていますので、2、3本程度陰線が出た時点で「売り」エグジットで利確です。
ゴールデンクロス・デッドクロスでエントリーエグジット
- 下降していた短期線が陽転して中期線に向かい始めました。ゴールデンクロスが形成される前触れです。このチャートの場合は中期線と長期線の距離が狭いので、短期線が長期線を完全に抜けきったのを確認してから「買い」エントリーします。
- 一番上にあった短期線が下に向かい始めました。ここでもし、短期戦が中期線を抜けきって長期線に近づくなら下降のサインです。ここでは、中期線で反発していますので、上昇トレンドが継続すると判断します。
- 再度、利確を迷う場面が出てきました。ここで一旦「売り」エグジットしておく方法もあります。中期線の下に抜けた短期線は反発して上に向かい始めています。上昇トレンドが継続するサインですね。
- 予想どおりに上昇トレンドが継続。価格が上昇しきってから下降のサインが出てくるのを待ちます。短期線が中期線に向けて大きく下がり始めました。デッドクロスが形成されようとしています。ここで早めの「売り」エグジットで利確を決めます。
勝つための陰陽足トレード手法
陰陽足チャートは、ローソク足と3本の移動平均線で分析できることが大きなメリットです。ただし、陰陽足だけに依存したトレードは危険です。
陰陽足だけに限らず、どんなインジケーターも100%正確に答えをくれるものはありません。
トレンドライン・チャネルラインを1、2本引いていおくだけで、エントリー・エグジットを判断するのに大きく役に立ちます。
トレンド・チャネルラインを組み合わせた手法
- 下降トレンドに引いたトレンドラインをブレイクして、短期線が中期線に向かいました。大きくブレイクしてますので上昇トレンドへの可能性が高まります。ゴールデンクロスを待たなくとも、短期線が中期線を抜けた時点での「買い」エグジットも可能です。
- 上昇に向かったあと、下がり始めた短期線が気になるところです。ただ、チャネルラインのサポートで反発すれば上昇トレンドが継続と判断できます。ちょうど中期線の位置でもあるのでダブルで裏付けがとれます。
- 再度下がり始めた短期線で判断に悩むところです。これもチャネルラインで反発するかどうかを待つことができます。反発したら上昇継続ですね。
- そして相場は大きく上昇トレンドを継続していきますが、チャネルラインのレジスタンスはブレイクできませんでした。ということは、今度はサポートレベルまで下がりきる可能性があるわけです。
- 下降の可能性が強まった以上は、早めに利確するのが理想的です。短期線が中期線を抜ける前に「売り」エグジットで、しっかりと勝ち逃げ利確です。
まとめ
陰陽足は、ローソク足の陰線・陽線と移動平均線を組み合わせたインジケーターで、チャートの表示方法の1つです。
陰陽足の売買シグナルは、
- 陰転 → 売り
- 陽転 → 買い
- すべてのラインが陰転 → 売り
- すべてのラインが陽転 → 買い
さらに、
- ゴールデンクロス
- デッドクロス
も活用することができます。
今回は「陰陽足」の基礎知識、見方や使い方、勝つためのトレード手法をわかりやすく解説していきます。ぜひ、試しに使ってみて下さい。