フィボナッチは黄金比率を駆使した的中率の高さや信頼性で名高い分析手法です。フィボナッチを覚えたい、使ってみたいと考えているトレーダーはきっと多いはず。
しかし、若干わかりづらいのがフィボナッチの特徴でもあり、いざフィボナッチを使ってみようと思っても、挿入方法や分析の仕方がわからずに戸惑ってしまうものです。
FXテクニカル フェイバリット・フィボ
テクニカル分析では有名なフィボナッチには、いくつか種類があります。まずは何から使えばよいのか、どうやって使えばよいのか、戸惑っているトレーダーは多いのではないでしょうか。
代表的なフィボナッチには、
- フィボナッチ・リトレースメント
- フィボナッチ・ファン
- フィボナッチ・アーク
- フィボナッチ・タイムゾーン
- フィボナッチ・エクスパンション
と5つの手法があります。
すべてのフィボナッチ手法は、黄金比率と呼ばれるフィボナッチ比率が基盤となっています。
まずは、そもそも黄金比率やフィボナッチ数列とは一体何なのかを見ていきましょう。
黄金比率とは
黄金比率を数式であらわすと、
となります。この数式を計算すると、実は1 : 1.6180339887… と永遠に続くのです。
そこで、一般的に黄金比率は「1:1.618」と見なされています。
この黄金比率は、古代ギリシアのミロのヴィーナスや古代エジプトのピラミッドに始まり、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画やミケランジェロの彫刻、現代のApple社のロゴ、国旗や名刺のサイズなど、あらゆるものに使われています。
フィボナッチ比率とは
黄金比率とは別で、物理学的に発見された比率がフィボナッチ比率です。
フィボナッチが発見した比率とは
フィボナッチ比率は、フィボナッチ数列が基盤となっている比率です。
フィボナッチ数列とは、「1+1から始めて2つの数を順番に足し算していくと、一定の比率で数値が増えていく」という数学の法則です。
1+1=2、1+2=3、2+3=5、3+5=8・・・・
「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・・」という一定の法則をフィボナッチ数列といいます。
フィボナッチ数列の図形
フィボナッチ数列を1、3、5と正方形にして図形で見ると、
不思議と、一定の比率にて長方形が延々と形成されていくのです。これらの長方形のサイズはいずれの場合でも「1:168」となります。
黄金比率・フィボナッチ比率が見られる例
フィボナッチ数列の正方形に半円を描いていくと、渦巻きができる仕組みになっています。
巻貝やカタツムリの殻などはフォボナッチ比率に沿って渦を巻いているのが見られます。
ひまわりの種、アロエの葉など多くの植物もフィボナッチ比率に沿って渦を巻いています。
銀河を渡るミルキーウェイ(天の川)や、台風の雲にもフォボナッチ比率で構成されています。
葛飾北斎の名画や、レオナルドダヴィンチのモナリザ、タマゴの殻にもフォボナッチ比率が見られています。
さらには、人口マップなどのデータにもフォボナッチ比率が確認されているのです。
5つのフィボナッチ手法
フィボナッチ手法は、大まかに5つ手法があります。
- フィボナッチ・リトレースメント
- フィボナッチ・ファン
- フィボナッチ・アーク
- フィボナッチ・タイムゾーン
- フィボナッチ・エクスパンション
それぞれの概要を簡単に見ておきましょう。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントは、フィボナッチ比率を基盤にチャートに6本の水平ラインを挿入する描画ツールです。数あるフィボナッチの中で最もスタンダードな手法で、多くのトレーダーに使われています。
起点にした価格から、23.6%~100%のフィボナッチ比率が水平に挿入されます。各ラインをサポート・レジスタンスラインやターゲット価格の想定に使うことができます。サポート・レジスタンスラインを引くような感覚で手軽に使えるのが特徴です。
フィボナッチ・ファン
フィボナッチ・ファンは斜めのトレンドラインを引いてくれる描画ツールです。フィボナッチ・リトレースメントでは図れないトレンドの動きを見ることができます。
起点にした価格から、23.6%~100%のフィボナッチ比率が斜めに挿入されます。トレンドライン、チャネルラインの上値・下値を探るのに使うことができます。
フィボナッチ・アーク
フィボナッチ・アークはチャートに弧を描いて分析する描画ツールです。離れた位置にある価格との関連性から相場を分析するのに使われています。
起点の価格から、23.6%~100%のフィボナッチ比率が離れた場所の価格を結ぶように弧を描いていきます。上昇・下降、トレンド転換のタイミングを計ることができます。
フィボナッチ・タイムゾーン
フィボナッチ・タイムゾーンは相場の動きを時間軸で区切って分析する描画ツールです。新たなトレンドの発生や、トレンド・値幅が変化する期間を目安にして見ていけます。
起点価格から、23.6%~100%のフィボナッチ比率が縦のラインで挿入されます。トレンドが転換するとすればいつなのかを想定することができます。
フィボナッチ・エクステンション
フィボナッチ・エクスパンションは、フィボナッチ・リトレースメントをさらに延長したもので、長い期間でのトレンドの動きや変化を見ることができます。
通常は100%までを基準とするフィボナッチに、127.2%、161.8%など100%以上の数値が挿入されます。トレンドが一定方向に長く続いた時や、過去のトレンドからの動きを見るのに使われています。
すべての手法でフィボナッチ比率が基盤
何を起点にして分析するかの違いはあれど、すべてのフィボナッチ手法は黄金比率・フィボナッチ比例が基盤となっています。
起点にした価格から、
- 0.0%
- 23.6%
- 38.2%
- 50.0%
- 61.8%
- 100.0%
の比率でラインが挿入されます。
フェイバリット・フィボの基礎知識
大まかに、フィボナッチ手法の特徴を掴んだところで、フェイバリット・フィボについて詳しく見ていきましょう。
フェイバリット・フィボとは、
フィボナッチ・エクステンションとは
フェイバリット・フィボとも呼ばれているフィボナッチ・エクステンションとは、100%以上のフィボナッチ比率が表示できる描画ツールのことです。
1つのトレンドだけでなく、2つ目、3つ目と起点からの大きな流れを見ることができます。
フェイバリット・フィボは、要はフィボナッチ・リトレースメントの拡張版と思って頂ければわかりやすいかと思います。
表示できるフィボナッチ比率
エクステンションで表示できるフィボナッチ比率は、利用する取引ツールにもよります。
基本的に、
- 61.8%
- 100.0%
- 168.8%
の3つの比率は表示できるようになっています。さらに、200%、261.8%、中には400%以上までかなり広範囲で表示できるものもあります。
リトレースメントで表示できる数値
リトレースメントで表示できる数値は、
- 0.0%
- 23.6%
- 38.2%
- 50.0%
- 61.8%
- 100.0%
となりますので、100%以上を使いたい時に便利なのです。
例えば・・・
リトレースメントの範囲
リトレースメントは、100%までが基本的に表示されますので、トレンドが継続した場合にはまたリトレースメントを置き換えなければなりませんよね。
しかし、エクステンションを使えば100%から引き続いて、161.8%、261.8%など起点を変えずに延長していけるのです。
上昇トレンド、下降トレンドと繰り返す相場の流れを、1つの流れとして捉えていきたい時に大いに役に立つのです。フィボナッチ比率をもっと細かく表示させたい時は、パラーメーターの設定から選択することができます。
エクステンションを簡単に使う方法
もし、各自で利用している取引ツールでエクステンションが表示できない場合は、MT5の無料アカウントを作成して分析用に使うことができます。
MT5は業者を介さなくても、誰でも無料で簡単にインストールできます。チャートを使う分は全く無料なので、フィボナッチ・エクステンションを便利に使いたい方におすすめです。
エクステンションの設定方法
では、MT5を使った場合でのエクステンションのパラーメータの設定方法を解説しておきます。
- MT5のメニュー「挿入」から「オブジェクト」を選択
- 「オブジェクト」の一覧から「フィボナッチ係数」を選択
- 「フィボナッチリトレースメント」を選択します。
そうすると、フィボナッチがチャートに挿入されますので、自分でチャートの動きに合わせて移動させたり幅を拡げたりと調整します。
- ラインの幅を調整
- 全体を移動
- 長さを調整
フェイバリット・フィボのトレード方法
それでは、実際にチャートを見ながら、フェイバリット・フィボでトレードする方法を解説していきます。
例えば、以下のように上昇トレンドが継続していて、この先を分析したいとします。
1.高値を起点にフィボナッチを挿入する
高値の位置を起点0に合わせて、ちょうど反発した場所にフィボナッチのキーポイント61.8を合わせます。
2.ラインをサポート・レジスタンスとして使う
フィボナッチを設定したら、あとは各ラインをサポート・レジスタンスとして使うことができます。
3.各ラインでエントリー・エグジット
上図チャートの場合、最初の部分では「100 → サポート」「61.8 → レジスタンス」になっていますね。サポートで反発したら「買い」レジスタンスを超えたら「保有」または「買い」で、レジスタンスで下に反転したら「売り」です。
サポートラインを下に抜けるほどに下降トレンドが継続すると見ることができます。
最終的にこのチャートの場合は、
ことごとくサポートを下に抜け、高値0の起点から261.8まで下がっています。
勝つためのフェイバリット・フィボトレード手法
それでは、最後にフェイバリット・フィボを使って勝つためのトレード手法をご紹介したいと思います。
フェイバリット・フィボ(エクステンション)を使うなら、ぜひ活用したいのがガートレーパターンです。ガートレーパターンは、売買シグナルとして使われているチャートパターンで、フィボナッチ・エクステンションの数値をもとに分析を行います。
フィボナッチを使うガートレーパターンとは
ガートレーパターンとは、
ガートレーパターンには「買いパターン」と「売りパターン」の2種類があり、フィボナッチ・エクステンションの数値が条件として決められています。
- ガートレー買いパターン → 上昇シグナル
- ガートレー売りパターン → 下降シグナル
ガートレー買いパターン
フィボナッチ・エクステンションをXA、ABに基準を合わせて2か所に挿入します。フィボナッチの数値が条件にマッチした場合にシグナルとして使うことができます。
ガートレー買いパターンの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2~88.6%
- Dの価格はXAのフィボナッチ78.6%、ABの113%~161.8%
- Aの価格が最高値となる
- Xの価格が最安値となる
以上の条件にマッチした場合は、Dから反発するタイミングで「買い」です。
ガートレー売りパターン
フィボナッチ・エクステンションを、XA、ABを基準に2か所挿入します。挿入したフィボナッチの数値をチェックしながら、ガートレーにマッチするかどうかを見ます。
ガートレー買いパターンの条件
- Bの価格はXAのフィボナッチ61.8%
- Cの価格はABのフィボナッチ38.2~88.6%
- Dの価格はXAのフィボナッチ78.6%、ABの113%~161.8%
- Aの価格が最安値となる
- Xの価格が最高値となる
以上の条件にマッチした場合は、Dから下に反転するタイミングで「売り」です。
以下の記事で、ガートレーパターンとABCDパターンについて詳しく解説しています。ぜひ、この機会に参考にしてみて下さい。
まとめ
フェイバリット・フィボは、フィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクステンションを合わせた分析手法で、取引ツールによっては普通にフィボナッチ・リトレースメントを挿入することで表示が可能です。
エクステンションの機能がない場合は、MT5をダウンロードすれば無料で簡単に使うことができます。
多彩な種類のインジケーターや分析手法がある中、フィボナッチは黄金比率が基盤となっているため、より説得力がある分析手法だといえます。さすがに的中率は高く、使いこなせるようになると強力な武器になるでしょう。