【FX予想】豪ドルの2020年の為替相場見通しとFXトレードの攻略ポイントを解説

豪ドルは米ドル、ユーロなどに次ぐ主要通貨の1つで、FXでもよく取引される通貨です。2020年の豪ドル相場はどう動いていくでしょうか。1月はイランと米国の対立、そしてシドニーでは森林火災に見舞われ、やや波乱含みの為替相場となる兆しも無きにしもあらずです。

豪ドルに限らず、為替相場は米国市場の動きを中心にその他様々な要因を受けて変動していきます。2020年豪ドル為替相場は今後上昇していくでしょうか。それとも下落するのでしょうか。

今回は2020年豪ドル為替相場の見通しと注目ポイントを解説していきます。FXトレードにおける豪ドルの攻略ポイントも最後にまとめていきます。

【2020年】豪ドルの価値はどうなる?

【2020年】豪ドルの価値はどうなる?

2020年の豪ドル相場が上昇するのかどうかを読むにあたって、まずは豪ドル単体での通貨の価値はどう動いているのかを見ていきます。

1つの通貨は対ドル、対円などで価格が変わります。様々な通貨がある中で、豪ドルの価値がその他通貨に対して比較的に上昇しているのか、下降しているのかを見ることで豪ドルの強さや弱さがわかります。

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豪ドルの相対的な価値を見るには通貨インデックスが役に立ちます。

通貨インデックスとは

1つの通貨をその他の主要通貨の為替動向と比較して、通貨全体の中でどれくらいの価値があるのかを表したものです。特定の通貨の全体的な価格変動がわかり、売買する際の目安にすることができます。

豪ドルの通貨インデックス

為替取引市場における豪ドルインデックスの価格は、2019年は9月あたりまでは激しく変動しながら下落しています。

豪ドルの価値は9月には0.67ドルまで下落していますが、その後の回復には勢いがあります。米中貿易交渉が前向きに展開し始めたことや、イギリスBrexitが具体化し始めたことからオーストラリア経済の回復が期待され始めたようです。

12月30日の豪ドル相場は0.70ドルの高値をつけ、米国とイランの対立から一旦は下落しているものの上昇基調を維持しています。

対ドル・対円での豪ドル相場の動き

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次に豪ドルの対円・対ドルでの動きを見ていきましょう。

対ドル・対円での豪ドル相場の動きは、ほぼ連動しているといえますが、2018年度は対円に対して豪ドルは強く、対ドルで下がりきっている場面でも上昇を見せています。2019年後半からも、対円では豪ドルの回復力が強いのが特徴です。

一方、対ドルでは豪ドルの上昇率はやや弱いようです。おそらく米経済への期待から米ドル買いが進んでいるためだと見れるでしょう。

【2020年】豪ドル相場の注目トピック

【2020年】豪ドル相場の注目トピック

それでは2020年の豪ドル相場を予測するにあたって、注目トピック・チェックしておきたいテーマをファンダメンタル分析にて解説していきます。

ファンダメンタル分析

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まずは、オーストラリアの経済状況の概要から見ていきます。

オーストラリア経済の概要

オーストラリの名目GDPは約1兆4200億ドル、世界で14位にランクインしています。実質GDP成長率は2019年には急激に低下してきていますが、世界最長の28年間に渡って一定の成長を維持している点が注目されています。

実質GDPの推移

4半期ごとの実質GDPでは2017年~2018年代前半にかけて3.5~4.0%と高く、それ以降の落ち込みが目立ちます。オーストラリアは主要産業は農業や鉄鉱石などの輸出産業で、主要貿易国が中国であったことから、米中貿易摩擦の影響を強烈に受たことが要因だと考えられます。

2019年は個人消費の低下や住宅関連の投資の悪化から、国の資本形成はマイナスだったものの東アジア地域にて鉄鉱石の輸出が大幅に増加したことから回復に向かうとの見方です。

雇用と失業、物価

2019年の雇用者数は25万人~30万人と比較的高い水準を保持。失業率は6.0%~5.5%以下へと低下しています。消費者物価指数は2017年~2018年には2.0%以上を記録し、その後2019年は成長率が低下しつつも、1.7%のインフレ率をキープしています。

豪ドル相場の主要経済指標

豪ドル相場を左右している主要経済指標は、

  • 名目GDP・実質GDP
  • 雇用者・失業率統計
  • 消費者物価指数
  • 貿易・経常収支
  • 住宅建築許可件数
  • 小売り売上高
  • RBAの政策金利

などがチェックしておきたい項目です。

オーストラリアの雇用の約5分の1が主に輸出関連の貿易から派生しているとのことです。従って、輸出貿易の拡大によってより多くの雇用が生まれ高い経済成長の促進が期待、豪ドル相場の上昇につながるでしょう。

オーストラリアの輸出産業

豪ドルはオーストラリアの輸出貿易に大きく左右されています。実際のGDPの内訳では観光をはじめ金融・住宅・保険、貿易関連などのサービス業が全体の約70%以上を占めています。

オーストラリアのサービス業は堅調に上向きですが、輸出産業による貿易収支の充実度によって、国内の消費が低下する傾向にあり、輸出産業がプラスであることが豪ドル上昇のポイントとなります。

ここで、オーストラリアの輸出産業について解説していきます。

天然資源が豊富なオーストラリア

オーストラリアには鉱物、原油、天然ガスなどの天然資源が豊富にあることが大きな強みです。

  • 鉱物 → 金、鉛、鉄鉱石、亜鉛、ニッケル、ダイヤモンドなど
  • 燃料資源 → 石炭、原油、天然ガス、ウランなど
  • 農業 → 大麦・小麦、畜産、林業など

石炭や金属は、やや需要が低下しており2019年4~6月期から7~9月期にかけて-10%以上の落ち込みを見せています。反面、鉄鉱石や鉱物は7.0%以上昇し、輸出産業に大きく寄与しています。とくに原子力発電に欠かせないウランの埋蔵量は世界で1,2位を争う規模にあります。(しかしオーストラリアには原子力発電はありません)

オーストラリアのエネルギー自給率は約300%と非常に高く、自国の資源にて国内のエネルギーの大半を賄っています。他国に依存せずとも十分なエネルギー資源があることで、比較的有利な貿易ができる立場にあり、貿易黒字を維持している国の1つです。

世界的な低炭素時代に向けた今後の石炭の需要低下に反して、その他鉱物や天然ガス、ウラン、畜産などがどこまで伸びていくのかが成長のポイントになるでしょう。とくに中国は最大の市場となっているため米中貿易交渉による影響が強くなります。

同時に、オーストラリアの恵まれた天候・資源を活用した再生エネルギー開発を進めている点も注目しておきたいトピックです。

住宅・不動産・金融業

オーストラリア経済の成長率が緩慢になった理由として、住宅・不動産市場の低迷を挙げることができます。

2011年から2017年にかけて、オーストラリアは不動産のバブル期にありました。2011年を100とした居住用不動産価格指数はピーク時には177を記録した後、価格は低下し続けています。

不動産価格が低下した要因は、銀行のローン審査の厳格化、政府の不動産投資規制の強化、中国の資本流出御制策など。

2019年の後半から、不動産価格市場が上向きに回復していることがBloombergでは報告されています。急速な回復は見られないとの見解ですが、利下げや住宅ローンの規制緩和が功をなし下落トレンドは終了、回復に向かっているとの見解です。

不動産価格の低迷から、消費者心理の悪化を招き家計支出を御制していました。シドニー、メルボンヌなどの商業拠点以外ではまだ、回復の兆しが見られておらず、今後の動きが気になるところです。

イギリスとの関係

そしてもう1つ豪ドル相場を左右する要素とは、オーストラリアとイギリスの関係です。もともと、オーストラリアは18世紀にイギリスの領土として開拓されてきた国で、1986年にオーストラリア連邦として独立しました。

オーストラリアの国旗

オーストラリアの国旗にはイギリスのユニオンジャックが含まれています。オーストラリア連邦として独立していますが、憲法上の国家元首はイギリスのエリザベス2世女王陛下(イギリス国王)です。

オーストラリアの国旗

両国は以前から政治・文化・経済において深く関わっており現在でもイギリス連邦の同盟国の1つとして、友好的な信頼関係にあります。

イギリスのEU加盟による影響

しかし、1973年にイギリスがEU加盟国となったことから、オーストラリアとイギリスの友好関係には限界が生じ、やや弱まる傾向にありました。

なぜなら、イギリスはイギリス国家の法律ではなく、EUの規範に従い他国との貿易・安全保障条約を進めていく義務があったからです。

イギリスのEU離脱による期待

イギリスがEU離脱を実現することによって、オーストラリアとの友好関係が以前のように密接に深まることが期待されています。

2018年度の8月に、イギリス政府はインドやオーストラリアなどの連邦国との貿易関係を強化していく方針を表明しました。2020年までに約75兆円の規模で連邦国のインフラ整備などへ投資を行い、経済の拡大を狙っています。

イギリスのEU離脱にて、イギリス連邦の経済強化が推進されることから、オーストラリア経済の拡大が期待されています。2020年はイギリスBrexitの過程からも豪ドル相場が左右されるでしょう。

オーストラリアの政策金利

オーストラリアの政策金利は米ドルよりも低い0.75%です。2019年に入ってから国内の個人消費の落ち込みに応じて、6月、7月、10月と3回の利下げが行われました。

RBA(オーストラリア準備銀行/中央銀行)の利下げは雇用と所得の伸びを下支えするものとの指摘があり、2020年はさらなる利下げが市場で予測されています。

オーストラリアの政策金利

金利の低さはいわゆる安定した経済の象徴でもあります。約12年間で金利は5.0%以上も下がっていることからオーストラリアの経済成長が目ざましかったことを表しています。

さらに今後は、0.25%の利下げが行われるとの見方が優勢です。利下げによるオーストラリアの経済効果が期待できます。

ただ、成長率や消費力の低下への処置としての利下げが急速に進むのは危険信号でもあります。むしろ、利下げが一旦様子見姿勢に入った頃が豪ドル上昇の転機となる可能性もあります。

【2020年】豪ドル相場の見通し

【2020年】豪ドル相場の見通し
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それでは、豪ドル相場はこれから上昇するでしょうか、下落するでしょうか。2020年の豪ドル為替相場見通しを予想していきます。

上昇する場合のシナリオと、下落する場合のシナリオをそれぞれ対円と対ドルで検証していきます。

2020年豪ドル相場は上昇する?

日本円は世界経済へのリスク回避先として買われる通貨。一方で米ドルは世界経済の拡大が期待される時に買われる通貨です。それぞれの通貨に対してどのような局面で豪ドルが強くなるのでしょうか。

対円での豪ドル相場

日本円は世界で最も安全だと言われる通貨で、成長を期待してというよりはドルなどの主要通貨からの逃避先として買われる傾向にあります。

つまり、まず豪ドルが対円で上昇するためには、米経済が堅調に成長を見せていることが条件になります。従って、米国経済を左右するイラン問題、米中貿易交渉、大統領選が好調に展開することが豪ドルの上昇につながります。

近年の豪ドルの高値は2017年8月の89.11円。当時はドル円でも113円台後半まで円安が進んでおり、円の価値が下がっていました。そして、ちょうど天然ガスの価格が上昇に向かう局面にありました。

対ドルでの円安が115円台に向けて進み、鉱物の価格の上昇、天然ガスなどの燃料資源の価格が上昇、中国市場の回復と続くならば、豪ドルは輸出産業の回復によって76円~80円台後半に向けて手堅く上昇する見込みです。

さらに米経済への期待と円安が進み、イギリスBrexitが良好な状態で展開するならば、90円台の突破も視野に入れておきたいところです。

対ドルでの豪ドル相場

豪ドル相場の上昇には米経済や中国市場が堅調なことが条件にはなりますが、2019年度後半からは英ポンドの上昇と連動する場面も多く見られています。

12月は米中貿易交渉の展開から米ドルが買われ始めました。それを機に豪ドルへの期待も高まり豪ドル相場も伸長し、12月は対ドルで上昇トレンドにて展開しています。そこで注目したいのが12月30日と31日の豪ドルの動きです。

12月30日には、イギリス国会やBrexitの展開が良好な状態で進みドルが売られ英ポンドが買われました。その局面において豪ドルも対ドル0.686~0.701ドルへとで大きく上昇しています。

米中貿易交渉が円滑に合意へと進み、米経済の成長、そして資源価格の上昇、イギリスBrexitの前向きな展開と重なるならば、豪ドル相場は対ドルにて0.700~0.715あたりで推移していくと見ます。

2020年豪ドル相場は下落?

どんなに状況においても、世界経済に明るい見通しを持つのは大切なことですが、ネガティブな要因が重なれば世界中で将来に対する不安が渦巻き、消費を停滞させてしまいます。

最も影響力が大きいと思われるのがやはり米国経済の低迷です。では、2020年に豪ドル相場が下落する局面とはどのようなシナリオになるのかを対円・対ドルで見ていきましょう。

対円で豪ドル相場が下落する局面

米経済にネガティブ要因が上がった時に、一番に買われるのが円です。そうなると、円は基本的に豪ドルよりも取引量が多いため、必然的に対円での豪ドルは下落するケースが多くなります。

現時点で考えられる米経済のネガティブ要因とは、まずイランとの対立です。中東との軋轢は定期的に悪化する傾向にあり、その都度米国は制裁を与えてきました。一旦、緩和を見せているイラン問題も油断はできない状況にあります。

また、米中貿易交渉が難航、あるいは悪化した際にもドルが売られ円高が生じてしまいます。

イラン問題が再発、米中貿易交渉が難航、トランプ大統領落選による米政権への不確実性が高まると、各国の貿易輸入の規模が低下、豪ドルはもとの下値圏へと下落していくでしょう。

米経済の波及からオーストラリア国内での消費の低下が進み、71~73円あたりまで落ち込む可能性があります。ここで注意しておきたいのが、この局面にて利下げが実施されればマイナス要因となりさらに豪ドルが売られることになります。

対ドルで豪ドルが下落する局面

仮に、米経済や米中貿易交渉により世界経済の見通しが明るいとしても、オーストラリア国内での消費力が回復しない可能性があります。その要因となるのが、石炭の需要低下と資源価格の低下、不動産市場の低迷などです。この場合、米ドルがますます力をつける中、両国の経済力の差が拡大し豪ドルが0.676ドルあたりまで下がりきってしまう可能性があります。

そして、最悪のパターンは米経済とともにオーストラリア経済が共倒れになって低迷していく場合です。このシナリオにて大きな要因となるのが中国市場の低迷です。中国市場の低迷は多くの輸出産業にとって致命的となり、米中貿易交渉がこれ以上難航すれば世界経済の深刻な低迷へと展開しかねません。

対ドルでの豪ドル相場は下落局面では0.667~0.678ドルのレンジで推移していくと予測します。

【2020年】豪ドルの攻略ポイント

【2020年】豪ドルの攻略ポイント
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最後に、FXトレードにおける豪ドル相場の攻略ポイントをまとめておきます。

豪ドル相場が上昇するか下落するかを見極めるポイントは、

  • オーストラリア経済の成長率
  • オーストラリア国内の消費動向
  • 輸出産業の回復と拡大
  • 不動産市場の回復
  • 加速しない利下げ
  • 中国市場の回復
  • 鉱物・燃料資源の価格動向
  • 米経済の成長と展望
  • イギリスBrexitの影響

などの項目をチェックしておくようにしましょう。

まとめ

オーストラリアは積極的に海外からの移民を受け入れています。1970年代に人口問題を解決する手段として政府は移民政策を推進してきました。オーストラリア国民の約半数が移民または移民の系統です。

28年間という世界最長の規模で成長が進んでいるのは移民政策によるものと高く評価されています。労働需要の充足、雇用者数の上昇、生産性の向上、若年層の増加による高齢化の御制などに高く貢献しているとのことです。

先進国にて人口が増加しているのは、米国、カナダ、英国、フランス、そしてオーストラリアです。ともに共通しているのは移民の増加が大きく寄与している点です。とくにオーストラリアの人口は100年で5倍に増加しており、まだまだ今後も増え続ける見込みです。

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経済成長を期待するためには、それに見合う労働人口が必要です。労働人口の上昇率と実質GDP成長率は比例するケースも多く、そのような観点で見てもオーストラリアはまだこれから成長する余地が高い国の1つだといえます。

合わせて広大な国土、恵まれた気候と農地、そして豊富な天然資源によって豪ドルの価値は高く向上する可能性を秘めているのです。

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