【FX予想】豪ドルの2021年の為替相場見通しとFXトレードの攻略ポイントを解説

2021年の豪ドル相場はどのように動くでしょうか。豪ドルは米ドルやユーロを並んで、FXでは人気の通貨です。豪ドルがらみの通貨ペアで取引している方も多いですよね。

2020年の豪ドルは円やドルに対して強い動きを見せ、コロナ勃発後も上昇トレンドを手堅くキープしてきました。豪州はコロナウイルスの感染御制に成功している数少ない国の1つで、2020年の7月~あたりから景気も回復を見せています。

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今回は豪ドルファンのために、2021年の豪ドル為替相場見通しと注目トピック、トレードの攻略ポイントを解説していきます。

【2021年】豪ドルの価値はどうなる?

【2021年】豪ドルの価値はどうなる?

2021年の豪ドルの価値は上がる?下がる?対円ではどうなる?対ドルでは?

2020年の豪ドルは2年ぶりの高値を記録。その他の主要通貨に比べると堅調に上昇トレンドに向かった豪ドルの今後の動きはどうなるでしょうか。

豪ドル相場の先行きを予想していくにあたって、まずは豪ドル単体での価値がどのように動いているのかを確認したいと思います。

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1つの通貨は対円、対ドルなど対象となる通貨ごとに価格が異なります。通貨単体での価値を見るうえで役に立つのが通貨インデックスです。

通貨インデックスとは

1つの通貨をその他の主要通貨の為替動向と比較して、通貨全体の中でどれくらいの価値があるのかを表したものです。通貨単体での価値が上がっているのか下がっているのかがわかります。

2020年の豪ドルインデックス

上記は2019年1月から現在(2020年1月)にかけての豪ドルインデックスのチャートです。

豪ドルの単体での価値はコロナショック後に一旦落ち込んだものの、プレコロナレベルまで早々と回復。その後下降に向かう局面はあたものの2年ぶりの高値を記録しています。1豪ドルの現在の価格は63.70ドル。豪州はコロナウイルス感染者数・死者数が比較的に低めで、感染拡大の御制に成功していて着実な回復を見せていることが豪ドルに寄与しているようです。

コロナショック後の豪ドルは勢いを持ち強い通貨であることがわかります。

対円・対ドルでの豪ドルの動き

対円・対ドルでの豪ドルの動き

次に、対円・対ドルでの豪ドルの動きを米ドル円と比較してみました。

米ドル円は緩やかな下降基調にある中、豪ドル円・豪ドル米ドルは、プレコロナのレベルを超えて上昇に向かっています。1年間の豪ドルは、対円で約8.0%、対ドルで約12.0%の上昇となります。米ドルの弱さから、とくに対米ドルでの上昇率が高くなっています。対円・対ドルでの豪ドルはほぼ平行して推移しており、似たような動きをすることが推測されます。

豪ドルの動きを予想するにあたって、米ドル円がどう動いているのかが1つの目安になりそうです。

【2021年】豪ドル相場の注目トピック

【2021年】豪ドル相場の注目トピック
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それでは、2021年豪ドル相場の注目トピックを見ていきましょう。

2021年豪ドル相場の注目トピックは、

  1. コロナウイルス
  2. 貿易収支
  3. 中国との関係
  4. 金融政策
  5. 米経済の回復

以上5つの項目に絞ってみました。

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それぞれの注目トピックを詳しく解説していきます。

1.コロナウイルス

豪州を問わず、各国の経済情勢を大きく左右するのがコロナウイルスです。豪州でもコロナウイルスの脅威にさらされましたが、比較的に早くから回復が見られているのが特徴です。

豪州のコロナウイルス感染者数・死者数

2020年1月22日時点の豪州の感染者数は2万8751人、死者数は909人となっています。8月にピークを迎えて以来、ほとんど数字は増加していません。

世界保健機構(WHO)によると、豪州の人口100万人あたりの感染者数は約1100人、日本が約1700人、米国が最も多く約5万人、次いで英国が約3万人というように、先進国では感染者率をかなり低いレベルで御制しています。

豪州のコロナ対策

豪州が感染御制で成功した理由は、

  • 3月からの厳格な出入国制限(豪州国民でも帰国できなかった時期がある)
  • 帰国後は2週間の強制隔離
  • 国内でも州をまたぐ移動を制限
  • 徹底した無料の検査体制
  • 生活排水のウイルス検出
  • QRコードによる感染分析

など。

豪州の感染者数・死者数の低さが、豪ドルの強さにつながった理由の1つとなっています。豪州政府の的確なコロナ対策が高く評価され、豪州経済・信用性の向上へとつながっています。今後のワクチン導入の動きとコロナウイルス制御の維持が、引き続き2021年の豪ドル上昇の要素となります。

2.貿易収支

豪ドルの強さを大きく左右するのが豪州の貿易収支です。豪州は資源輸出国として2016年以降は貿易収支で黒字をキープしています。とくに鉱物資源の輸出では世界で1位にランクイン。2020年度も予想を上回る輸出額を記録しており、資源輸出、貿易収支の景況が豪州経済の重要なポイントとなります。

豪州の貿易収支
世界の鉱物輸出ランキング

世界経済がコロナで落ち込む中、2020年度6月は約82憶円の貿易黒字、鉱物の輸出は41%増。10月の貿易収支は約74憶円の黒字、市場予想の58憶ドルを大きく上回っています。加えて2020年の第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前期比で3.3%増など、異例の回復力を見せたことが一気に豪ドルの価値を押し上げました。

豪州の輸出産業

豪州は地理的環境に恵まれ、石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源、ウラン、金、亜鉛、ニッケル、鉄鋼石などの鉱物資源が非常に豊富な国です。エネルギー自給率は100%を超え、新時代のクリーンエネルギーにも有利な環境を有していることが豪州の強みです。

豪州の主要輸出項目

  1. 鉄鋼石 → 19.5%
  2. 石炭 → 13.0%
  3. 天然ガス → 9.9%

豪州ではエネルギー資源、鉱物資源が輸出の大半を占めることから、豪ドルはCRB指数に連動して動く傾向にあります。

CRB指数

CRB指数とは

Commodity Research Bureauを略したもので、欧米の商品取引所に上場している代表的な商品先物指数のことです。

原油や金、アルミニウム、トウモロコシ、など19商品で構成されています。商品先物指数が上昇すると、資源輸出国である豪州に有利になります。CRB指数の上昇は豪ドルの上昇につながり、CRB指数の下降は豪ドルのネガティブ要因となるわけですね。

バイデン氏の大統領就任によって、ゼロエミッションへの各国の取り組みが加速することが予想されます。クリーンエネルギー設備やEV車の電池に欠かせない鉄鋼石、銅、アルミ、ニッケルなどの輸出が今後増加することが見込めます。

また、石油・石炭の火力発電からCO₂排出がなく安定した供給源となる原子力発電へとシフトする国も増えることが予想されます。他国へのエネルギー依存がゼロの豪州にとって、世界的なエネルギー改革は有利な貿易を実現させるでしょう。

石炭の需要は確実に低下する

ここで考慮しておきたいのが、現在、豪州の輸出品目で2位にランクインしている石炭は、クリーンエネルギー・ゼロエミッションへの世界的な取り組みから、確実に需要が低下するということです。このことが、豪ドルのネガティブ要因になるかもしれませんが、おそらく、資源が豊富な豪州は石炭にとってかわる、クリーンエネルギー関連の資源で代替え可能かと思われます。

3.中国との関係

豪州の主な輸出国は、

  1. 中国 34.2%
  2. 日本 9.5%
  3. 米国 8.8%

というように、中国への輸出が圧倒的な比率を占めています。

従って、豪ドルは中国経済や中国の輸入動向の影響を受けやすい状況にあります。

豪州の2020年6月の対中国の輸出総額は約146憶豪ドル(約1兆1,000億円)となり、過去最高を記録しています。輸出品目の6割が鉄鋼石で、中国向け輸出額が全体の60%を占めていました。2019年度は鉄鋼石輸出の87%が中国向けだったとのことです。

豪州と中国の関係が緊迫

豪州と中国は最強の貿易コンビだったのですが、2020年9月あたりから関係が緊迫状態に陥ります。というのも、豪州は中国の最大のライバル米国へ協調する動きが強まり、それに対して中国は報復体制に入ったからです。

11月に中国政府は、石炭、大麦、銅鉱石、ワインなどの豪州からの数品目の輸入停止を命じました。その後、輸入は開始されたものの、輸入条件として大麦の関税80%などの厳格な措置を取り始めたのです。

バイデン氏就任が決まったことから、国際派のバイデン氏と豪州の同盟強化を懸念した中国は豪中への腹いせに、豪州を非難するような動画をツイートしたりと関係が悪化していきました。それに対し豪州モリソン首相は、コロナウイルスの発祥地としてWTOに中国を提訴し、両者の緊迫関係は一段と悪化している状態です。

豪州輸出の約34%が対中国となる以上、中国との関係悪化は豪経済にとって多大なネガティブ要因となり得ます。2021年に、この豪中の関係が回復するのかどうかによって、豪ドルの動きも変わってくるでしょう。

4.RBAの金融政策

次に注目しておきたいのがRBA(豪州準備銀行)の金融政策です。

3月のコロナショック時に、RBAは政策金利を0.75%から0.50%、最終的に0.25%まで一気に引き下げました。当時はRBAのかつてない超低金利政策から、豪ドルは50円台まで落ち込みました。しかし、60円割れが継続したのも束の間で、すぐに切り返しに転じます。
単純に値ごろ感から豪ドル買いが進んだことも否めませんが、豪ドルの急速なV字切り返しには、RBAの迅速で思い切った金融政策への評価も要因となっています。
11月にはさらに0.10%に利下げが行われました。
RBAは短期国債の金利も同じ水準に下げていて、一時はマイナス金利導入が懸念されたものの、「利上げもなければ」「利下げも打ち止め」と解釈する見方も多かったようです。これ以上の利下げはないとの観測や、思った以上に速い豪経済の回復から安堵感が拡がり、豪ドル高を加速させたようです。
RBAの政策金利と国債利回り

RBAの政策金利は、短期3年国司の利回りが目安にすることができます。
短期3年国債の利回りは、RBAの政策金利よりも若干先行しています。

先行きの金融政策に関して、RBAは少なくとも今後3年は引き上げは見込んでいないと表明しています。加えてマイナス金利も否定しているため、当面は政策金利の安定感や透明度の高さから、低金利によるマイナス効果は限定されそうです。むしろ、RBAの利下げ打ち止め感が豪ドルに好感を与えている感もあります。

低金利導入によって、豪州REITが再評価されるなど低金利のプラス面を注視する見解も多いようです。今後のRBAの金融政策への透明感・健全性が豪ドルの強さにつながるでしょう。

5.米経済の回復

豪ドルが2020年に上昇の勢いをつけたのは、米経済が弱まった点が寄与するところも大きいです。

米国の感染者数は2021年1月20日時点で約2400万人、死者数は約40万人を記録しています。世界全体で、感染者数は4分の1、死者数は5分の1を米国が占めています。米ドル安から米国株式市場は最新高値を記録するなどの過熱感があるものの、バイデン氏就任にともなう金融緩和観測からも米ドルは下降トレンドを抜けれずにいる状態です。

米国の感染者数・死者数の改善が見られない限り、利上げへの期待も乏しく、ドル安は当面続くと見方が優勢です。

現在の米国は新大統領バイデン氏の追加経済対策とワクチン接種の拡大が急がれており、徐々にドルにも回復が見られようとしています。また、各国のコロナ打撃がひどかっただけに、豪ドルに方向転換する動きが強まりましたが、米国をはじめとする主要国にて確実に回復の兆しが見られるならば、豪ドルの材料出尽くし感は否めないでしょう。

今後、米経済の回復が遅々とするならば、豪ドルが今のレンジを抜けて上昇する可能性はあります。しかし、一方ではすでにワクチン接種が各国で開始されています。余程のマイナイ要因が持ち上がらない限り、落ち込んだ通貨への買い戻しが緩やかに始まる可能性は高いです。

豪ドル売りが始まった場合でも、堅調な豪経済の事実があることから下値は限られてくるでしょう。

【2021年】豪ドル相場の見通し

【2021年】豪ドル相場の見通し
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2021年の豪ドル相場の見通しを2つの方向から予想していきたいと思います。

豪ドル相場は上昇?

豪ドル相場が上昇するシナリオは

  • 豪州の確実なコロナ感染御制が継続
  • 豪州のワクチン導入
  • 貿易収支の黒字維持
  • 世界の資源需要の向上
  • 資源価格の上昇
  • 中国との関係改善
  • 透明性が高く安定した政策金利
  • 米経済の回復が緩やか

などが背景にある場合です。

豪州の他を抜き出でたコロナ御制が豪ドルの魅力となっていて、脱コロナの状態であることが豪ドル上昇の基調となります。そして、予想を上回る貿易収支・輸出総額のデータがさらに豪ドル買いを促すことになります。

貿易収支にて結果を出すためには、資源価格の上昇、中国との関係改善が必須となるでしょう。透明性が高く健全な豪州の財政も豪ドル高の要因で、安定した金利にて安心できることも重要ポイント。さらに、米経済の緩やかな回復が豪ドルの魅力を引き立てる結果となり得ます。

豪ドル相場は下落?

豪ドル相場が下落するシナリオは

  • 思いがけないコロナ再発
  • 貿易収支が赤字
  • 資源価格の低下
  • 中国との関係悪化
  • 不安定で先が読めない政策金利
  • 米経済の急速な回復

などの要因が持ち上がった場合です。

豪州はコロナ御制に成功していることから、ワクチン導入を急いでいません。ちょっとした油断から、コロナ再発がないとは言い切れません。その場合、幻滅からも豪ドルは急下降する可能性があるでしょう。

資源輸出が財政の大半を占める豪州では、貿易収支の赤字や資源価格の低下、中国との関係悪化は致命的です。資源輸出額の低下は豪ドル売りを促す要因となります。

そして、市場予想を裏切って金利の引き下げが行われた場合も豪ドルに打撃を与えるでしょう。さらに米経済が急速な回復を見せた場合も豪ドルから米ドルに資金が流れる要因となり得ます。

対円での豪ドル相場

対円での豪ドル相場は、対米ドルの動きに左右されやすいといえます。

なぜなら、コロナ以来、米ドルから円ではなくユーロや豪ドルに資金が動く傾向にあり、ドル売りが進むと最近ではインパクトに欠ける円も売られるからです。ただし、日本のコロナ感染状況は米国ほどの打撃は受けていないため、従来の円の強さが残っていることも否めません。

従って、対円での豪ドル相場は上昇シナリオにて下値76.50円あたりから上値84.90円あたりに向けて、月足の上昇トレンドを崩さずに動いていくと予想します。ネガティブ要因が持ち上がった場合には、そこから下降トレンドへと転換、70.50円あたりまで下がる場面もあるでしょう。

対ドルでの豪ドル相場

米国のコロナ打撃が大きすぎるため、回復にはある程度の時間がかかるかと思われます。対ドルでは上昇シナリオに沿った場合に、上値を伸ばしていくことが予想されます。ただし、徐々にドルの買い戻しも始まるため、一旦、上昇した後はレンジ相場で動く可能性が高いです。

対ドルでの豪ドル相場は、下値0.76ドル、上値0.85ドルの上昇トレンドで推移すると予想します。米経済の急回復が見られた場合でも、豪州のファンダメンタルズが良好なら0.70ドルを下回ることはないでしょう。米経済の急回復に加えて輸出関連に悪化が見られれば、0.67ドル~0.70あたりまで下がる可能性もあり。

今回の為替予想には、東京オリンピックの先行きは考慮していません。各国のワクチン接種の予定・状況がまだ現時点では何ともいえないからです。日本では2月あたりから接種が開始される予定です。春頃には「中止か実施」か正確に公表される予定です。

仮に東京オリンピックが中止になったとすれば、経済効果が大きいだけに円がらみの通貨ペアはネガティブな影響を与えると思われます。

【2021年】豪ドルの攻略ポイント

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最後に豪ドルの攻略ポイントをまとめておきました。
  • コロナ御制は維持できているか
  • ウイルスワクチンの導入状況
  • 貿易収支は黒字か赤字か
  • 資源価格は上昇か下降か
  • 中国との関係は改善の見込みがあるか
  • 政策金利の見通しはどうか
  • 米経済の回復状況はどうなのか

まとめ

まとめ

豪経済の強みは豊富な資源。

資源輸出にて財政を支えている豪州は、資源価格や世界の資源需要に大きく左右されます。輸出産業の安定が雇用を促し国内の消費力の向上につながっています。エネルギー資源や鉱物資源の需要・価格は、世界の景気に非常に敏感です。豪ドルは「景気敏感通貨」とも呼ばれていて、世界経済の景気の良しあしを即反映しやすい傾向にあります。

景気に左右されやすい豪ドルですが、コロナウイルスにて景気が低迷する中でも、貿易黒字が実現できたのは、中国への輸出高からもわかるように資源への需要がなくなることはないからです。価格が下がることはあっても、エネルギーや鉱物は、快適で安定した生活を維持するために欠かすことができません。しかも、産出できる国が限られています。
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今後は、コロナウイルスからの回復とともに、パリ協定に基づいたクリーンエネルギーの拡大普及が見込まれています。クリーンエネルギーに必要な資源が豊富な豪州は、2021年以降はマクロ的な視野で見ると、基盤は上昇基調で動いていく見込みが強いといえるでしょう。

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