FX口座を開設する時には審査があります。一般的な銀行口座開設や証券会社の口座開設とは異なり、申し込めば誰でも口座開設できるというわけではないのです。無職や専業主婦、学生でも口座開設は可能ですが、状況によっては審査に落ちてしまうことも考えられます。
FX取引は基本的にレバッレッジを活用する取引なので、一定の信用度や投資経験などが審査されます。審査基準はそこまで厳しいとはいえないまでも、FX会社から不適格だと判断されると審査落ちになります。FXの口座開設で審査が心配な方は、審査に落ちの理由を調べておくことで申し込む際の対策を考えることができます。
FX口座の審査に落ちることはある!?
FX口座開設は、申し込めば誰でも必ず口座が開設できるわけではないのです。そこまで厳しい審査ではないものの審査にて落ちる場合もあります。
というのも、FXが「証拠金取引」と呼ばれるレバレッジ式の取引方法になるからなのです。
証拠金取引とは
FXは外貨預金や株式の現物取引とは異なり、基本的にリバレッジをかけて取引を行います。このようにリバレッジをかけて取引する商品のことを「証拠金取引」といいます。
証拠金とは
FXでいう「証拠金」とは口座に預け入れたお金のことです。
国内のFXでは最大25倍のレバレッジがかけれます。100万円の取引であっても証拠金が最低4万円あればレバレッジにて取引できるのがFXの最大の魅力です。しかし、このレバレッジには落とし穴があって、預け入れた資金以上の取引をするということは、損失が大きくなると最悪の場合は残高がマイナスになる可能性があるということです。
レバレッジの危険性
FXではFX会社が強制ロスカットを行いますので、一定の水準まで含み損が拡大すると強制的に決済される仕組みになっています。基本的にロスカット制度によって残高がマイナスになることを避けることができますが、急激な為替変動があった際にはシステムが間に合わないこともあり得るのです。
もしロスカットのシステムが間に合わず残高がマイナスになった場合、ほんの数秒間の暴落であったとしても投資家はFX会社に負債を抱えることになるのです。それは借金として、FX会社に返済しなければなりません。このようなケースは稀ですが、絶対にないとはいいきれないのです。
FX口座開設の審査とは
FX口座開設で審査をするのは、単に本人の経済状況を確認するためだけではなく犯罪を防ぐためでもあります。
FX口座開設で審査がある理由
- ロスカットが間に合わずに借金が生じる可能性があるため
- 第三者による成りすましを防ぐため
- 犯罪にFX口座が悪用されるのを防ぐため
- トレーダーが収入や投資経験に釣り合わない取引するのを防ぐため
以上のような理由から、FX会社では口座開設前に審査を行っています。
FX口座の審査基準
FX会社が実際にどのような基準で審査を行っているのかは公開されていませんので、あくまでも可能性という範囲にとどまりますが、概ねのところでFX口座開設の審査の情報をまとめてみました。
審査の概要
FX会社はクレジットカード会社やローン会社のように融資を行うわけではありませんので、信用情報機関にて個人の情報を調べるといったことはないようです。従って、借入状況やカードの利用履歴・返済履歴等はあまり関係ないといえます。ただ、実際にどこまで調べているのかは不明で、もしかするとブラックリストに載るような履歴があると審査に落ちるケースもあるかもしれません。
原則として国内FXの審査は自己申告制となっていて、どれくらいの収入・金融資産があるのか、またどれくらいの投資経験があるのかなど質問の欄が設けてあります。それらの質問の答えによって、不適格と判断されれば審査に落ちる、といわれています。
例えば
- 無職なのに100万円の資金を投資資金を使おうとしている
- 収入が20万円以下で預金も少ないのに預金額のすべてを使おうとしている
- FXで元本保証がないことを理解していない
など、それぞれの回答項目から無茶なトレードをしそうだなと判断されることがあるようです。一方では、無職の場合でも200万円以上の金融資産があり、20万円を投資資金に使う計画だとすれば問題なく口座開設できているようです。
審査の重要ポイント
FXの審査の重要ポイントは、
- それぞれの収入や金融資産に応じた投資計画を持っている
- FX取引は損失のリスクがあることを理解している(元本保証はない)
まずこの3つの項目をクリアしておくことです。
1.それぞれの収入や金融資産に応じた投資計画を持っている
例えば、GMO証券クリックや楽天証券では「100万円以上の金融資産」があることが「外国為替証拠取引」の開始条件としています。
GMOクリック証券 FX取引開始基準
楽天証券 FX取引開始基準
金融資産や年収の金額
他のFX会社でも30万円以上、100万円以上と基準を設けている場合があります。金融資産の基準は、あくまでも基準として設定してあるだけです。実際には自己申告制となっているので、保有している金融資産を細かく調べるわけではありません。
仮に金融資産を保有していなかったとしても、安定した収入があることがわかれば審査には通るケースがほとんどです。収入や勤務状況に関しても、選択制で質問があります。勤務先に電話をして在籍を調べるといったことはまずありませんので、自分で回答した内容をもとに判断されることになります。
投資可能金額
そして、審査にて最も重要だといえるのが各自の金融資産や収入に対して、どれくらいの金額で投資を行おうとしているかです。つまり、無理のない投資計画を持っているかどうかが審査の決め手になるといえます。
投資金額も選択制となっていて、この項目はあくまでも計画ですから極力無理のない金額を選択しておくことが大切です。
例えば、年収500万円の方であれば「投資金額250万円以下」を選択するのが無難です。年収200万円以下の方であれば「投資金額100万円以下」を選択することで、安全性が高い投資計画を持っているとFX会社から判断されます。
2.FX取引の損失リスクを理解している
次に重要な審査のポイントとして挙げておきたいのが、FX取引の損失リスクを理解しているかどうかという点です。
FXの口座開設をする際には、かならずリスクに関する承諾・同意することが必須となっています。承諾や同意に漏れがあると審査には通りません。
申し込む際には必ずFX取引における約款・規定などへの同意・承諾が必要です。ダウンロードしないと申し込みができない場合もあります。すべてを読まないまでも、大まかな内容は把握しておく必要があります。
抑えておきたいその他のポイント
他にも、申し込む際に抑えておきたい審査のポイントがいくつかありますので見ていきましょう。
- 18歳以上80歳未満であること(18歳~または80歳以上は特定のFX会社)
- 投資金額が余裕資金であること
- 申請した個人情報と本人確認書類が一致していること
- 本人名義の銀行口座を利用すること
- 本人や親族が銀行や証券会社の関係者ではないこと
- 日本国内の居住者であること
などが審査に通るポイントとなります。
審査に落ちる理由
審査に落ちる理由はFX会社から教えてもらえるわけではないので、正確なところは不明ですが、考えられるのは以下の通りです。
- 20歳以下、若しくは80歳以上の方(20歳以下、80歳以上は特定のFX会社)
- 金融資産もゼロで無職の場合
- 金融資産や年収よりもはるかに高い投資金額を選択している
- 生活資金で投資をしようとしている
- 申請した個人情報と本人確認書類の内容が不一致
- 本人名義の銀行口座がない
- 本人や親族が銀行・証券会社の関係者である
- 日本国内に居住していない
などが審査に落ちる理由となるようです。
FX口座の審査に落ちない対策5選
対策1.18歳~20歳の方は世界のFX会社を選ぶ
ほとんどのFX業者の年齢制限は20歳以上で、18歳~20歳の方は申し込み可能なFX業者を選ぶ必要があります。
18歳~20歳の方で申し込み可能なFX会社は
必要書類
- 本人の本人確認証明書
- マイナンバー
- 法定代理人(親・保護者)の本人確認証明書・同意書
対策2.金融資産があれば無職でも可能性がある
金融資産がゼロ円で無職の場合はFXの審査に受かるのは難しいですのですが、無職の方でも金融資産が一定額以上あれば審査に受かる可能性があります。
金融資産が100万円以上の方はほぼ大丈夫
金融資産が100万円以上あれば、無職の方でもほぼ審査には受かるといえます。100%確実ではないものの、口座開設できる可能性は高いです。申し込む際には金融資産の項目にて「100万円以上」を選択するよう気をつけて下さい。さらに、投資金額を最小限の金額で申請しておくことが大切です。
金融資産が20~30万円程度でも大丈夫かもしれない
少額投資が可能なFX会社であれば、少額投資を前提に2,30万程度の貯金しかない場合でも無職の方で口座開設が可能かもしれません。
少額投資が可能なFX会社
- SBI FXトレード(1通貨から取引可能)
- マネーパートナーズ(100通貨から取引可能)
- 外為オンライン(1,000通貨から取引可能)
- YJFX!(1,000通貨から取引可能)
- 外為どっとコム(1,000通貨から取引可能)
対策3.常識的な範囲で投資金額を選択する
また、審査に受かるための対策として、常識的な範囲で無理のない投資金額を選択しておくことが大切です。
先に解説しましたように、
金融資産の50%以下、年収の50%以下の投資金額であるかを確認しておくようにしましょう。申し込みの際に選択する投資金額はあくまでもFX取引を開始する上での顧客情報で、その金額以上取引してはいけない、というわけではありません。FXで勝てるようになって資産が増えたり、本人の収入自体に変化があったりすれば、もちろん最初に予定した投資金額よりも多くの取引を行うことが可能です。
対策4.複数のFX会社に申し込んでみる
金融資産や収入の審査基準がFX会社によって異なります。
例えば、GMOクリック証券や楽天証券はFX取引開始の基準として金融資産100万円以上、ゴールデンウェイ・ジャパンでは30万円以上との記載がありますが、ほとんどのFX会社にて具体的な金額は公開されていません。審査基準や重視する項目がFX会社によって若干異なるのが現状で、全く同じ条件であっても申し込むFX会社によって審査に落ちる場合と受かる場合があることが報告されています。
金融資産や収入の金額に不安がある方は、複数のFX会社に申し込んでみることをおすすめします。
対策5.審査に落ちた時は原因を考える
もし、審査に落ちた場合は何が原因だったのかを考えることで、次の対策が見つかります。
- 無職だったから → 金融資産や収入額を増やす(仕事を見つけて貯金をしましょう)
- 金融資産や収入が低かった → 投資金額を少額にする(少額取引可能なFX会社に申し込む)
- 個人情報に誤りがあった → 情報の不一致が原因となる場合もある
- もともと審査がきびしいFX会社だった → 申し込むFX会社を変えてみる
- 生活資金を投資資金にしていた → 余裕資金で投資をすることは必須!
まとめ
今回は、FX口座開設の審査とは何なのか、審査落ちの理由や対策を解説していきました。
FXの審査で重要なポイントは
- 金融資産や収入の金額に見合った投資金額であること
- FX取引では損失のリスクがあることを理解していること
上記2つの項目をクリアしておくことです。
なぜ、外貨預金や株式の現物取引のように簡単に口座開設ができないのかというと、FXがレバレッジを使った証拠金取引だからなのです。レバレッジによって預け入れた資金以上の取引をするということは、資金以上の損失が出るかもしれないリスクを抱えています。
収入や金融資産の状況に不安がある方は、まずは少額取引が可能なFX会社で少額の投資金額にて申し込み、少額から始めていくと良いでしょう。