FX長期投資で見るべき時間足は、まずは月足、週足、日足で安値と高値を確認しておきます。対象にする期間が長くなるほど、より確実で安全なエントリーポイントが見えてきます。ただ、期間が何十年と長すぎてしまうと近況の為替レートからかけ離れすぎてしまいますし、短すぎても損失リスクが高いエントリーとなってしまいます。
どれくらいの値幅を狙うか、どれくらいのリスクがとれるか、どれくらいの期間で保有していくかなど、それぞれの投資の目的によって重視すべき時間足も異なってきます。
まずは、FX長期投資の特徴や勝つためのポイントを抑えておくことで、自分ならどの時間足が最適なのか決まってくるでしょう。
FX長期投資の特徴
投資家それぞれで、同じ長期投資であっても適切だといえる時間足は若干異なってきます。FX長期投資では、基本的に月足、週足、日足すべてを確認しておいてからメインで使う時間足を決めていきます。いざ売買するときには4時間足や1時間足で有利なタイミングを見る方法もあります。
どの時間足を重視していくかを決めるためには、まずはFX長期投資の特徴や勝つためのポイントを抑えておく必要があります。最初にFX長期投資とはどのような投資方法なのか、勝つためにはどうすればよいのかを確認していきましょう。
FX長期投資の特徴
長期投資は
長期でポジションを保有していくには、大きな為替変動の影響を受ける確率が高くなるため、極力安い価格で購入しておくことが最も重要なポイントとなります。長期投資は「安く買って高く売る」の代表的な投資法で、米中貿易戦争や新型コロナウイルスなどで相場が下がりきった時を狙って購入しておきます。
いったん安値で購入しておけば、後は値上がりするまで時間が経つのを待つだけです。スイングトレードやデイトレードなどその他の手法のように、頻繁にチャートや経済ニュースをチェックする必要がないため、時間に余裕を持って取引していけます。
大きな為替差益が期待できる
長期投資では、長期的なスパンで安値にきた時にエントリーして大きな為替差益を狙います。チャートで長期投資のイメージを掴んでおきましょう。
チャートで見る長期投資のイメージ
米ドル/円 週足チャート
上記のチャートは米ドル/円の週足チャートです。例えば、ドル円が100円に下がった時に「買い」でエントリーします。しばらく保有して値上がりするのを待ちます。約5か月後には118円に上がりました。そこで「売り」エグジットで利益を確定します。
18円も値上がりすれば、1,000通貨でも18,000円、1万通貨なら18万円、10万通貨だと180万円もの利益になります。
スワップポイントでも稼げる
さらに、長期投資の場合は為替差益だけでなくスワップポイントでも稼ぐことができます。
https://www.gaitame.com/products/nextneo/swap_cal.html
米ドル/円のスワップポイントが1万通貨で仮に1日5円だとすれば、長期保有にて結構な金額に増えていきます。
30日で150円、60日で300円、1年間保有すれば2,000円近くになります。トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨だと、金利差が大きくなりますのでスワップポイントが10万通貨で1日60円~100円ぐらいつきます。1年間で保有するだけでも2,3万円の利益になるのです。
長期投資の好機は頻繁にはこない
長期投資は為替差益とスワップポイントで大きな利益が狙える反面、そう頻繁には投資のチャンスがないことがデメリットだといえます。最近でいえば、新型コロナウイルスによってドル円が一気にさがりました。まさに、このような時が長期投資を始める絶好の機会です。
従って、いつでも長期投資の好機となるわけではなく、最適なエントリーのタイミングを待たねばならない点がデメリットだといえます。長期投資で勝つためにには、いつ訪れるともわからない下落のタイミングに備えて、長期投資用の資金をつねに動かせる状態にしておくことがポイントです。
いくらなら安値なのか
長期投資は極力価格が下がりきった時に「買い」エントリーしておくことが勝つために最も重要なポイントとなるのですが、あらかじめ「いくらに下がったら買う」と目安をつけておくことが大切です。
FX長期投資で見るべき時間足
いくらなら安値といえるのか、それはどれくらいの期間で価格動向を見るのかによって異なってきます。1週間でみれば安値でも1年でみれば高値、その1年で見た安値でも3年間で見れば高値だったということもあり得るわけです。長期的な視野でいくらなら安値なのか、いくらなら高値なのかを把握しておくことが、FX長期投資では非常に重要なポイントとなります。
しかし、10年20年以上とあまりにも視野が広くなりすぎると現実味に欠けてしまう可能性もあるため、半年や1年など少し短めの期間でも見ていく必要があります。
長期投資では、
この3つの時間足を使って、売買のタイミングを検討していくのが最も安全で現実的な分析方法だといえます。
月足で見れる期間
月足チャートの場合、1本のローソクは一か月間の価格動向を表しています。
月足で見れる期間は、約10年~20年程度です。超長期に渡って相場の流れを確認することができます。チャートソフトによってはマックスで30年以上表示できるものもあります。徹底的にその通貨ペアを研究するのであれば、できるだけ長い期間の相場動向を確認しておいた方が、より厳密な分析ができるでしょう。
そして、現在の価格は長期的には安値なのか高値なのかを知ることができます。現在の価格が大きな流れの中で高値なのか安値なのかがわかれば、上昇の余地がどれくらいあって、下降のリスクがどれくらい高いのか判断することができます。
長期間における現在の位置、安値、高値を今後の可能性として調べておきます。
週足で見れる期間
次に見ておきたいのが週足です。週足チャートの場合、1本のローソクは1週間の価格動向を表しています。
週足で見れる期間は2,3年程度です。中期的な視野で現在はどのような位置にあるのかを見ておきます。ここ2,3年ではより具体的に安値、高値はいくらぐらいなのかを確認しておきます。
週足チャートで安値、高値を確認したら概ねいくらぐらいなら買い時、いくらぐらいで売れる可能性があるのか、ターゲット価格を想定しておきます。
日足で見れる期間
日足チャートの場合、1本のローソクは1日で動いた価格を表しています。
日足で見れる期間は半年~1年程度です。月足、週足にて長期での安値、高値、現在の位置を確認にして買値のターゲット価格が決まったら、実際に日足チャートを見てタイミングを図ります。まだ、ターゲット価格にはきていないな、今はまだ上昇中なのでしばらく待つ必要があるな、などと買い時が近づいていないか定期的に日足チャートでチェックしておきます。
「買い」エントリーをした後は、一気に10円以上1日で上昇することは余程のことがない限りあり得ませんので、数か月は待つつもりで気長に取り組んでいきます。待っている間にチャート分析を勉強しながら週足、月足にて売値を検討していくこともできます。
FX長期投資のチャート分析例
それぞれの時間足で見るべきポイントや注意点、ターゲット価格の決め方など、勝つためのコツを解説していきます。ここでは、FX長期投資で最も代表的な通貨ペア、米ドル/円のチャートを見ていきます。
月足で見るドル円チャート
月足で見るドル円は、一旦上昇トレンドにあった相場が下がり始めてはいるものの長期的には高値のよりの位置にあることがわかります。
2007年~2012年にかけてはリーマンショックによる経済の低迷期にあり、ドル円は急激に落ち込み76円の安値をつけています。75円台にまで下がる局面もありました。この安値の位置にサポートラインを引いておくと、今後のチャート分析で役に立ちます。
一方、2002年、リーマンショック前の2007年、リーマンショック後の2015年にはドル円は124円の高値をつけています。この高値の位置にもレジスタンスラインを引いておきます。
高値:124円
安値:76円
相場分析例
ドルが76円の安値をつけたのは、16年間では1度きりです。このことから、リーマンショック並みの経済恐慌が起きない限り76円まで下がることはないだろうと考えられます。
新型コロナウイルスの感染拡大など、リーマンショック並みのダメージが出始めるとすれば76円あたりに下がること可能性もあるということです。今のところは、コロナから回復に向かっているようなので、76円はあくまでも可能性の範囲にとどめておきます。
124円の高値をつけたのは約16年の間に3回あります。ということは、経済が良好に向かえば124円あたりに上昇する可能性はあるのかなと見ることができます。ただ、5年に1回ぐらいのペースなのかなと考慮しておきます。
現在は上昇トレンド?下降トレンド?
では、次に現在の相場は上昇に向かっているのか、下降に向かっているのかを月足で見ておきます。
2015年に124円の高値をつけて以来、ドル円の高値の位置はどんどん下がってきています。しかし、安値の位置はさほど変わっていません。124円を起点に見れば現在は下降トレンドにあるといえますし、76円を起点にみれば上昇トレンドの過程にあるといえます。
最近の相場は値幅がどんどん狭くなっていてあまり値動きが見られていません。横ばいのレンジ相場でしばらく推移するのか、様子を見たいところです。
見るべきポイントと注意点
- 安値と高値 → 頻度や要因など
- 現在の位置 → 安値よりか高値よりか
- 現在のトレンド →上昇中か下降中か
週足で見るドル円チャート
週足で見るドル円は、2017年に118円の高値をつけて以来は114円あたりが上昇の限界だと見ることができます。114円にくると価格が下がり始める場面が多いのでこの位置にレジスタンスラインを引きます。ここ数年の高値は114円~118円と見ておきます。
2016円後半に100円~101円の安値をつけていますが約3年間は104円あたりで反発しているのがわかります。ここ数年の安値は101円~104円あたりだといえるでしょう。
高値:114円~118円
安値:101円~104円
相場分析例
2016年は中国経済の鈍化や原油安、日本の対米貿易黒字やマイナス金利などが原因で円高が進んだ年でした。その流れから2016年後半に101円の安値をつけています。それから約3年後の2020年3月には新型コロナイルスから101円までドルが下がっています。ここ数年の尺度で見れば、ネガティブな要因が重なれば101円あたりまで下がる可能性があることは注意しておきたい点です。
2016年12月、2017年1月には、トランプ大統領の就任によるインフラ設備計画への期待から一気にドルは上昇しています。ただ、2017年以降は値幅が縮小ぎみで、下値はかろうじて104円にとどまっていますが、上に伸び悩んでいるのがわかります。
2017年以降から値幅が縮小している大きな理由の1つが米中貿易戦争です。さらに2020年に入ってから新型コロナウイルスの影響により、下降気味のレンジ相場が続いています。米中問題と新型コロナ、この2つが今のところは相場を左右する要因だといえそうです。
ターゲット価格
月足、週足から想定できるターゲット価格は
買値
理想は101円~104円あたり。ネガティブな要因がそこまで大きくないようであれば105円~106円前半でもぎりぎりOKかなといったところでしょう。107円を超えてしまうと確実に長期投資としてはリスクが高すぎるといえます。
売値
理想は118円以上。経済への期待が加速すれば反動から一気に122円あたりに進む可能性も残しておきたいところ。ただ、ネガティブな要因が改善されないかぎりは114円あたりが限界かもしれません。
見るべきポイント・注意点
- 安値・高値 → 頻度や要因など
- 最近の動き → ネガティブ要因、ポジティブ要因など
- 買値・売値のターゲット価格 → 概ねのところで
日足で見るドル円チャート
では、最後に日足で買値をもっと細かく検討してみましょう。
現在のドル円は107円前半。買値のターゲット価格をオーバーしている状態です。長期投資としてはリスクが高いため、あまりおすすめできません。次の機会を待って確実に安値でエントリーした方が勝率は高くなります。
相場は106円~109円の間を横ばいで推移しています。理想のターゲット価格を狙うのであれば、何らかのネガティブな要因が発生するのを待って104円あたりまで下がるのを待たねばなりません。ただ、この横ばいの状態が続くならば、106円前後に触れる局面はありそうだといえます。
ここで、3つの選択肢があります。
- 104円あたりまで下がる次の機会を待つ
- 上昇を期待して106円あたりでエントリーする
- しばらく様子を見てタイミングを検討する
見るべきポイントと注意点
エントリーのタイミングを見る方法として、106円のサポートラインが1つの目安となります。まず、106円に触れた時点で購入するのが1つの方法です。ただし、106円は安値というには微妙なため含み損が出るリスクは避けられないでしょう。
もし、価格が下がり始めた場合は、106円のサポートラインを下に抜けるかどうか確認します。サポートラインを完全に下回った場合は、再び101円に向けて下がる可能性があるので、もう少し下がるのを待った方がいいかもしれません。
まとめ
今回はFX長期投資で見るべき時間足について解説していきました。
長期投資は数か月~数年程度の長い期間に渡ってポジションを保有します。買値はできるだけ安いに越したことはありません。買値が安ければ安いほど、損失を出すリスクが低くなり、大きな値幅を狙うことができます。
いくらが安値になるのかは、どれくらいの期間でチャートを見るかによって異なります。日足では安値であっても、月足でみれば高値だったというケースも少なくないのです。月足、週足にていくらなら安値なのか、いくらなら高値なのかをじっくりと吟味していくことが大切です。