FXのトレード手法の1つにデイトレードがあります。デイトレードは1日で売買を完結させる短期のトレード手法です。FX初心者の方は、いくつかFXのトレード手法がある中、どの方法が良いのか戸惑う方も多いでしょう。
どれくらいの期間でトレードしていきたいのかによって、売買すべきタイミングや分析の視点が変わってきます。FXデイトレードは短時間で稼げるなどのメリットもありますが、日にちを置いて価格が戻るのを待てないなどデメリットもあります。
デイトレードは、FXの初心者にはややリスクが高いトレード手法ではありますが、コツを掴んで無茶をしなければ、毎日コツコツと利益を狙っていくことが可能です。
FXデイトレードとは?
FXのトレード手法はどれくらいの期間で売買するのかによって大まかに4つのタイプに分類できます。基本的に期間が長くなればそれだけ、分析や判断に時間がかけれるため難易度は低いといえます。 中長期トレードは数週間、数か月、あるいは数年間ポジションを保有することで大きな利益を狙っていく手法です。 長期間保有することで、為替差益・スワップポイントを両方の利益が期待できます。多少の価格変動は気にせずに長い目で投資を行っていきます。含み損を利益に変えることができるかわりに、タイミングを逃すとまた長い期間待つことになるリスクがあります。 スイングトレードは、数日から数週間単位でトレードを行う方法です。上昇トレンド、下降トレンドと一定のトレンドの波に乗って、トレンドが切り替わるごとに売買を繰り返す方法です。 常に、今稼ぎ時にある旬の通貨ペアを狙って転々とポジションを移していきます。一定期間で効率よく稼げるトレード手法ですが、相場を読み間違えると売買しそびれて損失を出すリスクがあります。 デイトレードはスイングトレードの1日版です。1日の中で変わっていくトレンドの流れを狙って売買していきます。 1日の高値圏、安値圏を予想して短時間で利益を得る方法です。基本的にその日のうちに決済するため、毎日の利益が期待できます。次の日の価格変動に気を揉む必要がないかわりに、じっくり待てないというデメリットもあります。 スキャルピングは、デイトレードがさらに短縮されて高速になったトレード手法です。数秒から分単位でのトレンドの動きを狙って売買していきます。小さな利益を重ねて1日にまとまった収益を出すことが可能です。 難易度は最も高くなり、ある程度の経験とスキルが必要になりますが、瞬時に損切りしていくので損失のリスクは極めて低くなるトレード手法です。FX 4つのトレード手法
中長期トレード
スイングトレード
デイトレード
スキャルピング
デイトレードの仕組み・勝つ方法
デイトレードは1日のうちで、1回~数回の取引をして利益を出す方法です。ポジションを保有する時間は、数分、数十分、数時間とその時の相場の流れやタイミングによって異なります。
それでは、実際にデイトレードとはどのような仕組みなのかを詳しく解説していきます。
デイトレードの仕組み
デイトレードは、1日(数時間後)の安値圏・高値圏を読むことから始まります。大まかな相場の流れを前日・早朝、取引を始める前に目安をつけておきます。
例えば・・・取引を始める前にチャート分析・ファンダメンタル分析にて、今日は上がるな、今日は下がるなと予想しておきます。
では、上がるとすれば価格はどれくらいまで上がるのか、もし下がるとすれば価格はどれくらいまで下がりそうか、など目安をつけておくことで売買タイミングを想定することができます。
チャートで見るデイトレードの例1
2,3日はネガティブなニュースによって、米ドル/円は難航しており円高傾向・レンジ相場にありました。ところが朝起きてみると、米国のFRBの発表によって米ドル/円は上昇に向かい始めるサインを見せていました。
「今日は米ドル/円は、勢いをつけて上がるな」と予測して、朝9時に米ドル/円を108.46円で購入しておきます。
昼間に109円を切ったので売ろうかなと悩みますが、日経平均もダウ先物も上昇しているようなので保有することにします。
夕方5時には、米ドル/円は109.36円まで上昇しました。1日で1ドル近くも上がることはそうそうないので、ここで売却して利益を確定します。
チャートで見るデイトレの例2
深夜のうちに一旦レジスタンスラインを超えたドル円相場は、朝起きるとレジスタンスラインを下にブレイクしようとしていました。
「今日は利益確定売りも出るだろうから下がるな」と判断して、朝9時に109.15円で売りから入ります。午前11時過ぎには108.72円まで下がり、反発しそうだったので買いで決済します。
さらに下がってきたドル円相場は、今度は強い反発を見せましたので上昇に切り替わるかなと買っておきます。そして再度レジスタンスラインにきたので一旦売りで利益確定をします。その後はブレイクせずに下に下がり始めたので売りから入り、サポートラインで買い決済します。
上記のように、レジスタンスラインとサポートラインを目安に1日で数回の取引をすることも可能です。
デイトレードで勝つ方法
デイトレードは短時間でも利益が期待できるトレード手法なので、簡単な取引方法のようなイメージを与えてしまいがちです。しかし、何となく「上がるだろう、下がるだろう」で取引しても成果は出しづらいといえます。
1.取引量が多い通貨・変動が激しい通貨を選ぶ
為替レートが1日で動く幅には特別な場合を除いて限界があります。米ドル・ユーロ・日本円などの主要通貨の場合で、平均に1日で動く為替レートは約1%だといわれています。
限られた1日の値動きの中で、効率よく稼いでいくためには取引量が多い通貨かつ変動が激しい通貨を選ぶ必要があります。
取引量が多い通貨ペア
取引量が多い通貨ペアのトップ5は、国際決済銀行(BIS)の統計によると以下のようになります。
- 米ドル/ユーロ
- 米ドル/日本円
- 米ドル/英ポンド
- 米ドル/豪ドル
- 米ドル/カナダドル
変動が激しい通貨ペア
変動が激しい通貨ペアは、ニュースなどで注目されている国の通貨ペアで、時期によって異なります。SBIFXトレードでは定期的に変動率ランキングを公開していますので参考にしてみて下さい。
- ユーロ/豪ドル
- 英ポンド/豪ドル
- 米ドル/人民元
- 英ポンド/日本円
- 英ポンド/米ドル
2.取引量が多い時間帯を選ぶ
取引量が多い時間帯を選ぶと、流動性が高く活発な値動きが期待できます。おすすめの時間帯は以下の通りです。
ロンドン市場のオープン時
夏時間(4月頃~10月頃)→ 日本時間16時~翌0時まで
冬時間(11月頃~3月頃)→ 日本時間17時~翌1時まで
NY市場のオープン時
夏時間(4月頃~10月頃)→ 日本時間22時30分~翌5時まで
冬時間(11月頃~3月頃)→ 日本時間23時30分~翌6時まで
月曜日の早朝
ニュージーランドのウェリントン市場がオープンする時 早朝6時~7時ぐらい
東京市場のオープン時
午前8時~午後15時まで (円がらみの通貨ペア)
3.普段からこまめにチャート分析を
いざFXでデイトレードを始めようと思っても、その日にいきなりチャートを開いてから即時で判断するのは難しいことです。中長期での相場の流れを把握した上で、その日の相場が安値圏にあるのか高値圏にあるのか把握しておくことが大切です。
例えば・・・
- 3年来の高値圏にある時に、その日の高値圏にて「買い」でエントリーするのは、いつ利確売りが集中するかわからないため非常にリスクが高くなります。
- 5年来の安値圏にある時は、その日の高値圏で購入して万が一損切りしそびれたとしても、価格が戻ることが期待できるので、最悪の場合は中長期に転換できます。
その日の分足チャートだけでなく月足、週足、1時間足などでなど、大まかな相場の流れを普段からこまめにチェックしておきましょう。
15分足と30分足のチャートで取引
取引する時には15分足か30分足を使うのがおすすめです。1分、5分だと1日の全体像が見極めづらいですし、1時間以上のチャートだと大まかすぎて売買タイミングがつかみづらいです。ちょうど良いのが15分か30分です。
おすすめのテクニカル分析は?
最低でも以下の分析方法は理解しておいた方が良いです。
- レジスタンスライン・サポートライン
- トレンド・チャネルライン
- ローソク足
他にも、インジケーターをいくつか使うことで、より正確な相場予想が実現できます。
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- RSI
- 一目均衡表
- MACD
など、それぞれで相性のよいインジケータを1つか2つぐらい使いこなしたいですね。
4.経済ニュースをチェック
為替相場は基本的にテクニカルとファンダメンタルと双方の要因から動いていきます。上級トレーダーの中には、どちらか1つに徹底する方もいます。初心者の場合は、まだ分析手法が確立されていませんので、両方の要素をバランスよく使っていく方法が良いです。
情報配信サービスを無料で提供しているFX会社も多いです。各自で情報サイトやアプリを用意する方法もあります。
5.損切り・利確ルールを徹底する
そして、デイトレードで勝つために最も重要で、最も難しいことは損切り・利確ルールを徹底することです。この2つのルールを徹底させるにはある程度の経験が必要になってきます。
欲を出しすぎると売り時を逃し、希望を持ちすぎると損切りしそびれて、思ったようにデイトレードで稼いでいくことができません。
とくに損切りはタイミングを逃すと含み損が大きくなりすぎて、切るに切られず塩漬け状態に陥ってしまいます。最悪の場合はロスカットを心配するレベルにまで価格が下がりきってしまう可能性もあり得ます。
損切り・利確ルールを守ることを誰もが口をそろえて注意するのは、ルールを守ることが極めて難しいからなのです。初心者の方は、オーバーすることを前提に狭めの損切り・利確ルールを設定しておきましょう。
6.少額取引で小さな利益を狙う
最後に、初心者がデイトレードで勝つために気をつけることは、少額取引、低レバレッジにて小さな利益を狙っていくことです。
最初はほんの数百円の利益でも構いません。デイトレードのコツを覚えるまでは、練習だと思って小さな利益をコツコツと積み重ねていきましょう。「勝つ」というよりは「負けない」トレードの回数を増やしていくことが大切です。
デイトレードのメリット
- トレード時以外は為替変動を気にせずに済む
- 短時間でも利益が狙える
- 毎日いくらかの収益が期待できる
- 隙間時間を利用した取引が可能
- 少額取引なら初心者でもリスクを抑えられる
- 毎日トレード経験を積むことができる
- スワップポイントを気にしなくてよい
- ONとOFFの切り替えが容易になる
など・・・
デイトレードのデメリット
他にもデイトレードのデメリットを見ておきましょう。
- 時間をかけて価格が戻るのを待つことができない
- 損切りが重なると損失額も大きくなる
- トレード時以外の値動きの恩恵が受けれない
- 毎日チャート分析・相場予想をしなければならない
- 分析や情報収集に追われる可能性がある
- 1日の値動きはある程度限界がある
- 少額取引ではまとまった利益が得られない
デイトレードは初心者におすすめ?
デイトレードは、1日、1日の相場分析を行っていかねばならず、難易度はやや高めのトレード手法となります。中長期やスイングなどでチャート分析、ファンダメンタル分析をある程度学んでから取り組むようにして下さい。
少額から実践で練習してみよう!
チャート分析、ファンダメンタル分析の方法がある程度わかってきたら、少額からデイトレードを練習で始めてみましょう。中長期やスイングトレードとは別で、デイトレード専用のFX口座を作っておけば資金管理や損益状況の確認が容易になります。
小さな値動きでも、確実に利益が出せるようになれば、資金を増やして大きめのロット、高めのレバレッジで毎日の収益につなげることが可能です。すぐに結果を出そうとは思わないことが成功のコツです。
FX初心者でも頑張って勉強して、スキルを磨いていけば、デイトレードが副業として成り立つことも夢ではありません。
まとめ
今回はFXのデイトレードとは何なのか、初心者におすすめできるFXデイトレードの手法、仕組み・メリットデメリットについて解説していきました。
デイトレードを始める前には、中長期やスイングなどでFX取引の基本的なことを学んでおくことが大切です。毎日利益・損益を確定するということは、毎日損失を拡大させる恐れがあることを理解しておかねばなりません。
ただ、慎重にしすぎていてもトレードを学ぶことができないのも事実です。少額から小さな利益が出せるよう練習していきましょう。仮に100円の利益でも利益は利益です。100円の利益が10回なら1,000円、100回なら10,000円になります。