FXでは使えるインジケーターは多いほど有利。複数のインジケーターからサインが得られれば、より勝率が高いエントリー・エグジットが実現します。インジケーターには色んなタイプがあって、どれを使うべきか悩みますよね。
それぞれの取引スタイルに合ったインジケーターを選ぶためには、まずは使ってみることが一番です。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「VLDMI」です。
FXテクニカル VLDMI
「VLDMI」は、FXではよく使われている「RSI」に似ているオシレーター系インジケーターです。ラインも1本で使いやすいので、インジケーターを使い慣れていない初心者の方や、補足で使いたい上級者まで幅広くおすすめです。
「VLDMI」を使ったことがない方は多いと思いますので、まずは「VLDMI」概要を簡単に見ていきましょう。
VLDMIとは
VLDMIとは、
Variable Lengthは、日本語に訳すと「可変長」と呼ばれるデータ用語で、長さ(数字・データ)が一定でないことを表しています。
Dynamic Momentum Indexは、「DMI」とも呼ばれているインジケーターのことで、「上昇トレンドの強さ」と「下降トレンドの強さ」を2つのラインで表します。
「VLDMI」をわかりやすくいうと、ばらばらに変動する相場の価格からトレンドの強さや勢いを測るインジケーターとなります。
- VLDMIの数値が高い → 上昇トレンド
- VLDMIの数値が低い → 下降トレンド
- VLDMIが上に向かう → 上昇
- VODMIが下に向かう → 下降
と、見ることができます。相場はつねに上下していますので、「VLDMI」の上下の波に沿って取引することができます。
さらに、
- VLDMIが一定の数値を超えると「買われすぎ」
- VLDMIが一定の数値以下になると「売られすぎ」
のサインとなりますので、トレンドの切り替わりを察知して効率よい売買を行いやすくなります。
VLDMIの開発者
VLDMIは、主に日本で使われているインジケーターのようで、海外サイトでは情報がありませんでした。おそらく日本人投資家がDMIかRSIをもとに独自で開発したインジケーターではないかと思われます。
MT4でも使えるVLDMIのリンクが一般配布されていますので、海外でも普及し始めるかもしれません。
意外と無名のインジケーターでも(例えばRCIとか)、抜群な性能を有しているものもありますので、開発者だけで判断できない部分もあります。まずは使ってみてどうなのか判断してみて下さいね。
VLDMIの基礎知識
VLDMIは基本的にRSIと似たような解釈で使うことができます。
数値は0~100の間で表示されます。ラインも1本だけなのでシンプルでわかりやすいのが特徴です。ここでは、RSIの計算方法など基礎的な仕組みを解説していきます。
VLDMIの計算方法
インジケータは、チャートに挿入すれば自動で計算してくれますので、別に計算方法を知らなくても誰でも使えますのでご安心下さい。ただ、投資家の中には、自分でエクセルを使って計算したり、インジケーターの計算方法か戦略を立てたりと活用する方もいます。
あくまでも参考までに大まかな流れを軽く見ておいて下さい。
VLを計算
VL/Variable Lengthをまず計算します。
終値N日標準偏差のM日単純平均とは
数学的用語に慣れない方は、とても取っつきにくいイメージがありますよね。標準偏差という価格のばらつきを1日あたりで平均化するという意味になります。
VLでは最終的に、求めた標準偏差平均が基準期間の中でどれくらいの比率を占めているのかを算出します。
VLDMIを計算
VLの数値が出たら、次にVLDMIを計算します。
VLDMI =
VL期間内の前日比プラスの合計 ÷(VL期間内の前日比プラスの合計 + VL期間内の前日比マイナスの合計)
VLDMIの数値
VLDMIの数値は0~100で算出されます。
- 70~80以上 → 買われすぎの状態
- 20~30以下 → 売られすぎの状態
「買われすぎ」「売られすぎ」
「買われすぎ」ということは、上昇トレンドがピークに達していることを意味しています。上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
「売られすぎ」ということは、下降トレンドがピークを迎えているということです。下降トレンドから、今後は上昇トレンドへと切り替わる可能性が高くなります。
VLDMIの方向性
VLDMIは相場の動きに敏感に反応するインジケーターです。
- VLDMIが上に向かう → 上昇
- VLDMIが下に向かう → 下降
基本的にVLDIはRSIよりも先行して動くといわれていますので、価格が上下するタイミングを早めにキャッチすることができます。
VLDMIの見方
それでは、VLDMIの基礎的な仕組みがわかったところでチャートの見方を解説していきます。
VLDMIはメインチャートの下にサブチャートが挿入されるオシレーター系です。数値は0~100の範囲内で1本のラインチャートにて表示されます。
VLDMIを見る上でまず抑えておきたいのが「買われすぎゾーン」と「売られすぎゾーン」です。
「買われすぎゾーン」と「売られすぎゾーン」
VLDMIチャートには、30と70にラインが引いてあります。
- 70~100のエリアを → 買われすぎゾーン
- 30~0のエリアを → 売られすぎゾーン
といって、このエリアにVLDMがくるとトレンドが切り替わる傾向にあります。
VLDMが「買われすぎゾーン」にくる
VLDMIが「買われすぎゾーン」にくるということは、上昇トレンドがピークに達して買われすぎている状態にあることを意味しています。これから、利確などで売りが入り始め、下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
VLDMが「売られすぎゾーン」にくる
VLDMIが「売られすぎゾーン」にくるということは、下降トレンドがピークに達して売られすぎている状態にあることを意味しています。これから、割安感などで買いが入り始め、上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
上昇と下降
1つの大きなトレンドの流れの中で、つねに価格は上下しながら動いていきます。VLDMIは相場の動きに敏感に反応しますので、VLDMIラインの方向性を見ることで相場の細かい値動きを読む目安にすることができます。
VLDMIラインが上下する波に沿って売買を繰り返していけます。
トレンドライン
下降トレンドに引いたトレンドラインを相場が上にブレイクしたら、価格が上にジャンプするサインです。
下降トレンドに引いたトレンドラインを相場が下にブレイクしたら、価格が下に急落するサインです。
ダイバージョン
VLDMIで、もう1つ補足として抑えておきたいのが「ダイバージョン」です。
「ダイバージョン」とは、
これは、滅多にないのですが、「ダイバージョン」が見られた時は、トレンドが切り替わるサインと見ることができます。ただし、微妙なケースも多いので、正確なダイバージョンを見るためにはメインチャートとインジケーターチャートの両方にトレンドラインを引いてみると判断しやすいです。
ダイバージョン 上昇例
の
相場はチャートで見ると急下降のトレンドとなって底値をつけています。本来ならそれがVLDMIに反映されるはずなのですが、VLDMIでは緩やかに上昇しています。
相場は下降しているのに、VLDMIは上昇している場合、これは上昇トレンドが始まるサインです。
ダイバージョン 下降例
相場は上昇トレンドを維持していますが、VLDMIを見ると明らかに下降トレンドに入ってますね。このタイプは上昇トレンドがある程度継続して、下降トレンドに切り替わるタイミングの時に現れることが多いです。
相場はまだ上昇の過程にあるようでも、VLDMIが下降トレンドを見せている時は、下降トレンドに切り替わるサインと見ることができます。
VLDMIの使い方
それでは、実際にVLDIを使ってFXでトレードする方法を解説していきます。
70と30を目安にエントリー・エグジット
ただ、微妙なのが「買い」が2回続いている箇所がありますよね。ここは最初の「売り」でエントリーしたとすれば、最初のVLDMIが「買いサイン」を見せたところで「買い」で利確です。ただ、もしこの最初の「買いサイン」でエントリーしたとすれば、慌てて損切りすることになりますね。
2回目のVLDMIの「買いサイン」にて「買い」エントリーすれば間違えなく上昇トレンドの波に乗ることができます。上昇トレンドの波に乗ったら、あとはVLDMIの「売りサイン」が出てくるまで待つだけです。VLDMIで「売りサイン」が出てきたら「売り」で利確できます。
VLDMIの波に沿ってエントリー・エグジット
VLDMIが上に向かい始めたら「買い」エントリー、VLDMIが下に向かい始めたら「売り」エグジットで利確です。
売りから入る場合は、VLDMIが下に向かい始めたら「売り」エントリー、VLDMIが上に向かい始めたら「買い」エグジットで利確ですね。
この方法は、1つの大きなトレンドの流れに沿って取引するというよりは、トレンドの中で相場が上下する動きに沿ってトレードするやり方です。
トレンドラインでエントリー・エグジット
VLDMIがトレンドラインを形成し始めたら、ラインを引いてブレイクするのを待ちます。
下降トレンドにひいたトレンドラインを上にブレイクしたら上昇トレンドに切り替わるサインです。ここで「買い」エントリーします。予想どおりに上昇トレンドが継続したら今度は上昇トレンドにトレンドラインを引きます。
上昇トレンドに引いたトレンドラインを下にブレイクしたら下降トレンドに切り替わるサインです。「売り」エグジットで利確します。
ダイバージョンでエントリー・エグジット
下降トレンドがずっと続いているのに、VLDMIでは上昇の動きを見せています。そしてちょうど、そのポイントが30を下回る場所にあります。これは強い上昇のサインです。ここで「買い」エントリーします。
エントリー後は次のサインを待ち、最初に70近くまでVLDMIが行った時にエグジットすることもできますね。あるいは確実に70に触れるのを確認してから「売り」エグジットで利確です。
勝つためのVLDMIトレード手法
VLDMIに限ったことではありませんが、使ってみるとわかるように、どのインジケーターもサインが出たとしても100%確実ではありません。
VLDMIも例にもれず、確実なエントリー・エグジットを狙うには限界があり、読みが微妙な局面も多々あるのが特徴です。
RSIの使い方はVLDMIと全く同じです。トレンドラインとRSIがVLDMIの欠点をカバーしてくれます。
トレンドラインとRSI
まず相場が下降トレンドにある時に、あらかじめトレンドラインを引いておいて上昇に切り替わるタイミングを待ちたいと思います。
- RSIとVLDMIは30に達していますが、まだトレンドラインをブレイクする気配がないので待つことにします。
- RSIとVLDMIが一旦上に向かっています。相場はまだ上昇していないのに、明らかに、元の位置よりも高いところにきていますよね。これは、相場が勢いをつけ始めたサインと見ることができるでしょう。トレンドラインを相場がブレイクしました。RSIとVLDMIも上に向かい始めています。強い上昇のサインと見ることができます。ここで「買い」エントリーです。
- その後すぐにVLDMIとRSIも70を大きく超えています。本来ならここで一旦「売り」エグジットもできますが、この部分のRSIを見るとまだ若干上に向かってますね。上昇が続く可能性が高いので保有することにします。その後で相場は下がり始め、VLDMIもRSIも下がってきています。ちょっと焦る局面ではありますが、VLDMIもRSIも30に達する前に反発していますね。まだ上昇に向かう可能性があると見ます。
- サポートポイントができたのでここでトレンドラインを引いておきます。相場は上昇に向かいVLDMIもRSIも70に触れて下がり始めていますが、トレンドラインを見るとまだ下降の気配はありません。もう少し上がるかなと様子を見ます。
- VLDMIもRSIも確実に70を超えました。そろそろ収穫時かなと「売り」エグジットで利確です。
まとめ
VLDMIは「トレンドの方向性や強さ」「買われすぎ」「売られすぎ」のタイミング知るために活用できるオシレーター系のインジケーターです。
VLDMIを見るポイントは、
- 70~80以上 → 買われすぎ → 上昇サイン
- 20~30以下 → 売られすぎ → 下降サイン
- 上に向かう → 上昇サイン
- 下に向かう → 下降サイン
となり、基本的に相場の価格と連動して動く傾向にあります。
相場に先行して動くメリットがあるものの、読みが微妙となる局面も多いことがデメリットで、その他の分析手法との併用が欠かせません。