現在の相場が売られすぎか買われすぎかを判断するインジケーターは数多くあります。「篠原レシオ」も売られすぎ・買われすぎが判断できるインジケーターの1つ。インジケーターの名称からも分かるように日本人の篠原氏が開発したインジケーターで、強弱レシオ、ABレシオとも呼ばれていて海外でも使われています。
使ったことがないインジケーターには、意外な優れものが潜んでいることもあるので、まずは使ってみないと分からないですよね。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
FXテクニカル 篠原レシオ
「篠原レシオ」はメインチャートの下にサブチャートで挿入されるオシレーター系のインジケーターです。
まずは、「篠原レシオ」の概要を簡単に見ていきましょう。
篠原レシオとは
篠原レシオとは、
篠原レシオには、
- Aレシオ → 強気・弱気と強弱を計る
- Bレシオ → 売買の集中度・人気度を計る
- Cレシオ → 値動きの方向性を計る
上記の3つの指標があります。
Cレシオは、ABレシオの補足情報として追加で使うことができますが、ここではABレシオの2本の指標を重点的に解説していきます。
ABレシオ
ABレシオは100を中心に50~200程度の数値で表示されます。
- ABレシオの2本のラインが上に向かうほど → 買いの勢いが強い・上昇
- ABレシオの2本のラインが下に向かうほど → 売りの勢いが強い・下降
と見ることができます。
- ABレシオが150以上に割り込むと → 買われすぎ
- ABレシオが70以下に割り込むと → 売られすぎ
と上昇・下降のタイミングを計ることができます。
篠原レシオの開発者
篠原レシオは、篠原正治氏によって開発されました。篠原氏によると「価格変動の要因は、強弱エネルギーと強弱人気の変化に起因している」「強弱エネルギーと人気度を計ることで、客観的に相場を見ることが可能だ」としています。
もともとは株価の分析のために開発されたインジケーターなのですが、現在ではFXやその他幅広い商品の分析に使われています。
篠原レシオの基礎知識
篠原レシオは、相場の「強弱エネルギーと人気度を2本のラインで表した」インジケーターです。強弱エネルギーや人気度とは何を意味しているのでしょうか。どのように計算されているのでしょうか。
篠原レシオの基本的な仕組み・考え方
Aレシオ
「Aレシオ」とは、
「Aレシオ」は、AR(A Ratio)と表記されることもあります。
強エネルギーと弱エネルギーの比率が「1:1」となる場合を「100」で表します。数値「100」は強エネルギーと弱エネルギーが全く同じ強さであることを意味していて、ニュートラルな状態だと判断します。
- 数値が100以上 → 強エネルギーが優勢/上昇
- 数値が100以下 → 弱エネルギーが優勢/下降
と見ることができます。
数値100以下の状態は「エネルギーの蓄積期間」となり、弱エネルギーが蓄積されていくことで相場は下降に向かうとされています。
Bレシオ
「Bレシオ」とは、
「Bレシオ」は、BR(B Ratio)と表記されることもあります。
上げ幅と下げ幅の比率が「1:1」となる場合を「100」で表します。数値「100」は上げ幅と下げ幅が全く同じであることを意味していて、ニュートラルな状態だと判断します。
- 数値が100以上 → 上げ幅の方が大きい・人気が高い
- 数値が100以下 → 下げ幅の方が大きい・人気が低い
と見ることができます。
下げ幅が大きくなるほど、人気がなくなり「売り相場・下降相場」に向かいます。
篠原レシオの計算方法
「Aレシオ」「Bレシオ」の計算方法は以下のとおりです。
Aレシオの計算方法
Aレシオ =
「当日高値 - 当日始値のN日間の合計」÷「当日始値 - 当日安値のN日間の合計」× 100
「当日高値 - 当日始値」は強エネルギーの数値です。これを任意の期間で合計を出すことで、一定期間におけるエネルギーの強さがわかるということです。
「当日始値 - 当日安値」は弱エネルギーの数値です。任意の期間で合計を出して、一定期間におけるエネルギーの弱さを算出します。
Bレシオの計算方法
Bレシオ =
「当日高値 - 前日終値のN日間の合計」÷「前日終値 - 当日安値のN日間の合計」× 100
「当日高値 - 前日終値」は上げ幅の数値です。一定期間における上げ幅の合計から人気の高さを算出します。
「当日終値 - 当日安値」は下げ幅の数値です。一定期間の合計を出すことで人気の低さがわかる仕組みになっています。
期間の設定
篠原レシオの期間の設定は、デフォルトでは26になっています。それぞれの投資スタイルに合わせて、期間の調整は可能です。チャートの時間足によって算出対象となる期間は変わってきます。
期間26の場合、
- 1分足 → 26分
- 1時間足 → 26時間
- 日足 → 26日
- 週足 → 26週間
- 月足 → 26か月
となります。
短期トレードは短めに、長期トレードでは長めの設定にすると効果的です。
篠原レシオの見方
数値の見方
篠原レシオはサブチャート画面に2本のラインで表示されます。
数値は上から、
- 最大値: 一定期間内の最大値(上昇の強さを表す数値)
- 基準値: 100 (ニュートラルな状態を表す数値)
- 最小値: 一定期間内の最小値(下降の強さを表す数値)
となります。
上昇の勢いが強い時は100以上の画面の比率が上図のように大きくなり、下降の勢いが強い時は100以下の画面の比率が大きくなります。
150と70の売買シグナル
- 篠原レシオが150以上に達する → 買われすぎ/下降トレンドに切り替わるサイン
- 篠原レシオが70以下に達する → 売られすぎシグナル/上昇トレンドに切り替わるサイン
150と70は概ねの目安であって、その時の相場動向によっては200以上まで数値が高くなることもあれば、30あたりまで数値が低くなることもあります。
ラインの位置・方向を見る
ラインの位置から相場を読む
篠原レシオは、100を基準に2本のラインが上にあるのか下にあるのかで、上昇トレンド・下降トレンドと大まかな相場動向が掴めます。
- 基準値100より上で推移 → 上昇トレンド(買いエネルギーが強い)
- 基準値100より下で推移 → 下降トレンド(売りエネルギーが強い)
基準値100はニュートラルな状態となりますので、基準値100に触れた時にトレンドが切り替わる可能性があります。まずは、2本のラインの位置を見て買いエネルギーが強いのか売りエネルギーが強いのかを判断します。
ラインの方向性から相場を読む
- ラインが上に向かう → 上昇
- ラインが下に向かう → 下降
上昇トレンド・下降トレンドにあっても、相場は常に上下して推移していきます。比較的に細かい値動きで売買を繰り返していきたい時には、基準値100を考慮しつつも、ラインが上下する方向に沿ってトレードする方法があります。
AレシオとBレシオとそれぞれのラインを見る
Bレシオが100付近で大きく上に向かう
接近して推移していた2本のラインに大きな間隔でできる局面があります。
Bレシオが100付近で大きく上に向かう時は、人気が急激に高まっていることを意味していいます。Aレシオが下降している場合でも、上昇トレンドに切り替わる可能性があります。
Aレシオが100付近でBレシオに近づく
Bレシオが上にくる状態は人気が高まっている状態で、価格が上昇する傾向にあります。
さらに、間隔があったAレシオがBレシオに上に向かって近づくと、人気・エネルギーともに高まっていることを表しています。上昇トレンドが強い勢いで進み、急上昇する可能性があります。
AレシオがBレシオの最大値から大きく下がる
Aレシオが最大値に向かって上昇している時に、間隔をあけてBレシオが下がる時は、価格が下降し始めるサインです。
買いエネルギーが強い状態であっても、人気が落ちていることを意味します。これから下降トレンドに切り替わる可能性があります。
Bレシオが100付近でAレシオに近づく
間隔をあけて上にあったBレシオが100付近でAレシオに近づく時は、人気が低下している状態を意味しています。
一時的な過熱感から価格が下がり始める時に見られる現象です。一旦価格が大きく上昇した後で急落する可能性が高くなります。
篠原レシオの使い方
篠原レシオのエントリー・エグジット、分析例
上図チャートの始まりでは、相場は下降トレンドにあり篠原レシオも下がっています。買いエネルギーが弱まっている状態で、さらにBレシオが間隔をあけて下がってきています。価格が大きく急落するサインです。
- 間隔をあけていた2本のラインが収束し、ともに最小値付近から上に向かい始めました。これから上昇トレンドに切り替わるサインです。ここで、「買い」エントリーを決めます。
- 篠原ラインは緩やかに100に向かい上昇トレンドが継続していますが、エネルギーは上昇でも人気度が大きく下がっています。急落のサインです。ここで一旦「売り」エグジットにて利確しておきます。
- 価格は大きく急落。人気度は100以下、エネルギーは100以上で推移しています。再び上昇に向かう可能性があるので様子を見ます。大きく下がっていたBレシオが100を超えてAレシオに近づきました。上昇トレンドが始めるサインです。ここで2度目の「買い」エントリーです。
- 収束した2本のラインは順調に上に向かい、上昇トレンドが予想どおりに継続しました。下降のサインを待ちます。最大値まで上がりきってはいませんが、急角度で2本のラインが下がり始めたので、この辺で「売り」エグジットにて上手く利益を抑えておきます。
勝つための篠原レシオトレード手法
篠原レシオを使うことで、売買エネルギーの強さ・人気度の高さを計りながら最適なエントリー・エグジットのタイミングを掴むことが可能です。
ただし、1つのインジケーターのみに依存するのは危険です。篠原レシオに限らず、どんなに優れたインジケーターでもそれぞれ一長一短があり、完璧ではありません。判断に戸惑うことも多々あります。
ボリンジャーバンドと組み合わせた手法
- 下降していた相場はボリンジャーバンドの下値ラインで反発、篠原レシオは100に向かっています。上昇トレンドを期待して「買い」エントリーです。
- 上昇に向かった相場は一旦下降していますが、篠原レシオは人気度が高まっています。ボリンジャーバンドの中央ラインで反発するかどうかを見ます。反発したのでそのまま保有です。
- 上昇幅が大きくなってきたのでそろそろ利確を考えます。相場はボリンジャーバンドの上値ラインで反転、篠原レシオは最大値付近で下降、ここで「売り」エグジットで利確しておきます。
- 相場はボリンジャーバンドの上値ラインに沿って上昇しているものの、篠原レシオは2本とも大きく下がっています。エネルギー・人気が弱まっているサインです。篠原レシオが100に向けて下降するタイミングで「売り」エントリーします。
- 相場はボリンジャーバンドの下値ラインで推移、篠原レシオの100以下で推移、強い下降トレンドのサインです。双方のインジケーターで上昇のサインが出たら「買い」エグジットで利確。またはここで「買い」エントリーできますね。
- 上昇に向かった相場が、ボリンジャーバンドの上値ラインに触れ、篠原レシオが0に触れて下がり始めるタイミングで「売り」エグジットで再度利益をゲットできます。
まとめ
篠原レシオは、
- 相場の強弱エネルギーを計るAレシオ
- 銘柄の人気度を計るBレシオ
と2本のラインで構成されたオシレーター系インジケーターです。(追加で補足インジケーターCレシオを使う方法もあります)
ラインの位置(最大値・最小値)や方向性、エネルギーや人気度の高さ(低さ)から、上昇・下降のタイミング、トレンドの切り替わりを読むことができます。
今回ご紹介したように、ボリンジャーバンドを使うことで微妙なサインも的確に判断することが可能です。早速、試しに使ってみて下さい。