数あるテクニカルインジケーターの中から、自分の投資スタイル・手法に合ったインジケーターを探すためには、まずは使ってみるのが一番。試しに使ってみることで、意外な発見があって、思いがけないトレード戦略を見つけるきっかけにもなり得ます。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「RCI」です。
それでは、これから「RCI」の見方や基礎知識、使い方や勝つためのトレード手法などをじっくりと解説していきます。ぜひ、早速使ってみて下さい。
FXテクニカル RCI
「RCI」は、オシレータ系のインジケーターで「売られすぎ」「買われすぎ」を判断するために使われています。RSIほど一般的に知られているインジケーターではないので、今回初めて聞く方も多いかもしれません。
まずは、大まかなRCIの概要を見ていきましょう。
RCIとは
RCIとは、
RCIは統計学「スピアマンの順位相関係数」という理論に基づいています。
- 相場が高値にある時は、時間の経過とともに価格が上昇する傾向にある
- 相場が安値にある時は、時間の経過とともに価格が下降する傾向にある
RCIがプラスゾーンにある時は価格は時間とともに上昇し、RCIがマイナスゾーンにある時は価格は時間とともに減少するとしています。さらに、一定の数値にRCIが達すると動きが反転する傾向にあることから「売られすぎ」「買われすぎ」のポイントがわかり、効果的なエントリー・エグジットのタイミングがわかるとのことです。
- プラスゾーンの+100%に近づくと、上昇から下降に転換
- マイナスソーンの−100%に近づくと、下降から上昇に転換
と大まかに2つのポイントを知るために活用できるインジケーターです。
RCIの開発者は不明
RCIはおそらく日本人が開発したと思われるインジケーターで、海外ではあまり知られていません。ある日誰かがこのインジケーターを発見して使い始め、性能が良かったことから、投資家の間で普及し始めたようです。
RCIの基礎知識
RCIは、相場の時間と価格の相関性を数値で表したインジケーターですが、時間と価格の相関性と聞いてもちょっとイメージしづらいですよね。
そこで、RCIの基盤になっている「スピアマンの順位相関係数」とは何なのか、詳しく解説していきましょう。
スピアマンの順位相関係数とは
スピアマンの順位相関係数とは、
順位相関係数の例
例えば・・・
- スーパーの売り上げが時間帯と関係あるのかどうか
- 年齢と酵素の含有率は関係あるのかどうか
- 免許取得年数と交通事故数は関係あるのかどうか
などを計算して、順位相関係数が高ければ、
- スーパーの売り上げと時間帯は相関している → 〇時頃が最も売り上げが伸びやすい
- 年齢と酵素の含有率は相関している → 年齢が高くなるほど酵素の含有率は低くなる
- 免許所得年数と交通事故数は相関している → 免許取得年数が長いほど交通事故を起こす確率は低い
といった法則が導きだせるわけです。
RCIの計算方法
RCIの計算方法は、
日付と価格
RCIでいうところの時間とは日付(時刻)、価格はその日(その時刻)の高値のことです。
- 当日:1
- 前日:2
- 前々日:3
- 3日前:4
- 4日前:5
というように、一定期間の日付を新しい順に順位をつけます。
- 115.20円:1
- 115.15円:2
- 115.10円:3
- 115.05円:4
- 115.00円:5
一定期間内で最も高い値から順に順位がつけられます。
RCIの数値
RCIは「+100%」「−100%」の間で数値で表示されます。
- 「+100」→ 日付と価格の相関性が最も高い → 価格が上昇のピーク(買われすぎ)
- 「−100」 → 日付と価格の相関性が最も低い → 価格が下降のピーク(売られすぎ)
RCIの3つのライン
RCIは1本のラインで表示されるものもありますが、基本的に3本のラインを使って表示されます。
- RCI短期線
- RCI中期線
- RCI長期線
RCIの見方
RCIはメインチャートの下部に挿入されるオシレーター系のインジケーターです。
それでは、RCIのチャートの見方を解説していきます。
RCIチャートの解説
RCIチャートは、上図のチャートのように短期線、長期線、中期線の3本のラインで表示されます。それぞれの期間・ラインの色は各自で好きなように設定できます。
デフォルトの設定では、
- 赤線 → 短期線:9(日足:9日間、1分足:9分)
- 青線 → 中期線:26(日足:26日間、1分足:26分)
- 緑線 → 長期線:52(日足:52日間、1分足:52分)
となっています。
数値・ラインの見方
「中央値0」を基準に上下に「+100」「−100」と表示されます。利用するインジケーターの種類によっては「±100以上」の数値が表示される場合もあります。
RCIチャートの中央に引いてある線が「中央値0」、最上部が「+100」、最下部が「−100」となります。
「中央値0」
RCIのラインが「中央値0」から上に向かう時は上昇サイン、「中央値0」から下に向かう時は下降サインと見ることができます。
「±80%」を超える
RCIのラインが「+80%」を超える時は強い上昇トレンドのサイン、「−80%」を超える時は強い下降トレンドのサインです。
「±100%」に近づく・達する
- 「+100」に近づく、あるいは達した時は上昇のピークで「買われすぎ」のサインです。
- 「−100」に近づく、あるいは達した時は下降のピークで「売られすぎ」のサインです。
どのラインを優先すべきか
RCIは、「中央値」「+100」「−100」の数値を目安に相場分析できるのですが、3本もラインがあるとどのラインを重視すべきなのか悩みますよね。
トレードする時にどのラインを重視すべきかは、それぞれのトレード期間によります。
- スキャルピング・デイトレードなどの短期 → 短期線
- スイングなどの中期 → 中期線
- 長期トレード → 長期線
短期・中期・長期の相場動向を見る
FXトレードをする際に、複数の時間足で相場動向をチェックする投資家は多いと思います。同時に複数のチャート開きながら、さらに複数の時間足チャートを確認するのは大変ですよね。
RCIパターン例
同じ地点で、3本のラインの位置を確認することで「短期では買われすぎ」でも「中期ではニュートラルな状態」「長期では売られすぎ」の状態だということがわかりますよね。
短期なら「ショート」だけど長期なら「ロング」かな、中期で見るなら「今様子見かな」などと短期・中期・長期の相場動向を確認することで、それぞれのトレード手法に合わせた戦略を立てることができます。
RCI トレンドが切り替わるサイン
3本のラインが上に向かう
短期、中期、長期と3本のラインがマイナスゾーンから中央値を超えて同時に上に向かう時は、下降トレンドから上昇トレンドに切り替わるサインです。総合的に「売られすぎ」の状態から「買い」が入り始めたことを表しています。
3本のラインが「−100」から上に向かう
3本のラインが同時に「−100」あたりから上に向かい始めた時は、これから上昇トレンドに切り替わる強いサインです。このサインが出た時は価格が大きくジャンプすることが多いです。
3本のラインが下に向かう
短期、中期、長期と3本のラインが同時にプラスゾーンから中央値を超えて下に向かう時は、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるサインです。短期、中期、長期と総合的に「買われすぎ」の状態から「売り」が入り始めたことを表しています。
3本のラインが「+100」から下に向かう
3本のラインが「+100」あたりから同時に下に向かい始めた時は、これから下降トレンドに切り替わる強いサインです。このサインが出た時は価格が急落する可能性があります。
ゴールデンクロス
移動平均線では短期線が中期線と長期線の上に抜けることを「ゴールデンクロス」といいます。RCIでも「ゴールデンクロス」を上昇のサインとして使うことができます。RCIの短期線が中期・長期線を下から上に抜けて「ゴールデンクロス」が形成された時は大きく上昇するサインです。
デッドクロス
「デッドクロス」もRCIのサインとして使えます。短期線が中期線と長期線を上から下に抜ける時に「デッドクロス」が形成されます。「デッドクロス」が形成されると大きく下降するサインです。
RCIの使い方
では、実際にRCIを使ってトレードする方法を解説していきます。
RCIでエントリー・エグジット
上図のチャートのRCIの最初の部分に「ゴールデンクロス」が出ています。上昇のサインですね。ここでエントリーすることもできますが、もう少し強いサインが出てくるのを待ちます。すぐ後に3本のラインが上に向かい始めるポイントがあります。
3本のラインが並行に上に向かい始めたら上昇トレンドに切り替わるサインです。ここで「買いエントリー」します。3本のラインが「+100」付近で推移して上昇トレンドがしばらく継続します。
中期線と長期線は「+100」あたりにとどまっていて、これは大きい上昇トレンドの流れが変わっていないことを表しています。短期線は激しく上下する局面もありますが、基盤は上昇トレンド内で値動きしているのがわかります。トレンドが下降に切り替わるサインが出てくるのを待ちます。
3本のラインが同時に上から下に向かい始めました。トレンドが下降トレンドに切り替わるサインです。ここで「売りエントリー」で利確です。
短期線が大きく「中央値」を超えて「ゴールデンクロス」を形成したので、大きく上昇する可能性があります。最初の「ゴールデンクロス」で「買いエントリー」します。
しばらく上昇トレンドが続いた後、RCIでは「デッドクロス」を兼ねて3本のラインが同時に下がり始めました。下降トレンドに切り替わる強いサインです。「売りエグジット」で利確します。あるいは、この時点で大きく下がる可能性があるので「売りエントリー」です。この後大きくて長い下降トレンドが継続します。上昇のサインが出るのを待ちます。
「−100」の地点で3本のラインが同時に上に向かい始めました。強い上昇トレンドのサインです。相場が上昇に向かった時点で強気の「買いエントリー」です。価格が大きく上昇しましたので、下降のサインが出るのを待ちます。RCIで短期線が大きく中央値を超える「デッドクロス」を形成しました。ここで「売りエグジット」で利確です。
- 中央値を超える動きが見られるか
- 上に向かっているか下に向かっているか
- 3本のラインが同じ方向に向かっているか
- 「±100」に達しているか
などが、RCIを使ってエントリー・エグジットを判断する重要なポイントになります。
勝つためのRCIトレード手法
テクニカルインジケーターを使ったトレードでは、複数のインジケーターを併用することが勝率を上げるコツです。1つのインジケーターだけでは、サインが多くなりすぎたり、サインにダマシがあったりと、100%完全に相場予想できるものは存在しません。
それでは最後にRCIと相性のいいおすすめのインジケーターをご紹介しておきたいと思います。
ボリンジャーバンドとRCI
ボリンジャーバンドは、トレンドの動きを教えてくれるシンプルでわかりやすいインジケーターの1つです。初心者から上級者まで幅広い投資家層に使われています。ボリンジャーバンドとRCIと両方使うことで、相互にトレンドが切り替わるサインを補強し合うことができます。
ボリンジャーバンドでは、上線に触れたら下降トレンド、下線に触れたら上昇トレンド、中央線の上に向かったら上昇・下に向かったら下降など、いくつか強力なサインがあります。概ねのところでボリンジャーバンドのサインとRCIのサインにチェックを入れて見ました。
- RCIの3本のラインが下に向かっている → ボリンジャーバンドの上線に相場が振れて下降し始めている(売りのサイン)
- RCIの短期線が「−100」から「ゴールデンクロス」を形成 → ボリンジャーバンドの下線に相場が振れて反発(買いのサイン)
- RCIの短期戦が「+100」から「デッドクロス」を形成 → ボリンジャーバンドの上線に相場が振れて下降(売りのサイン)
ボリンジャーバンドのサインが先行している部分もあれば、RCIのサインが先行している部分もあります。相互のサインを確認する参考にして下さい。
まとめ
RCIの特徴をまとめると、
- 中央値0から上に向かうと上昇、下に向かうと下降
- 「±100」に達すると反転する確率が高い
- 短期、中期、長期の相場動向が確認できる
- 3本が同時に上に向かう時は強い上昇トレンド
- 3本が同時に下に向かう時は強い下降トレンド
- 「ゴールデンクロス」が形成されると上昇
- 「デッドクロス」が形成される上昇
以上のようになります。
さらに、インジケーターが示すサインを裏付けるために、他にもトレンドラインやチャネルライン、ローソク足分析なども取り入れながら、勝率が高いFXトレードを実現していきましょう!