プロのFXチャート分析実践講座「デマーカーの見方と勝つための活用法」

FXチャート分析にはインジケーターの利用が欠かせませんが、まだ使ったことがないインジケーターも多いのではないでしょうか。意外と使ったことがないインジケーターの中に、有効で使えるインジケーターが潜んでいることも多々あります。

普段使っているものと組み合わせて使うこともできますので、あまりよく知られていないものも試してみましょう。

「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。

今回ご紹介するのは「デマーカー」です。

「デマーカー」はRSIやストキャスティクスのように、「買われすぎ」や「売られすぎ」を見ることができるオシレーター系のインジケーターです。オシレーター系には似たようなものも多いですが、それぞれ微妙に異なり、投資手法や通貨ペアとの相性もあります。

「デマーカー」の基礎知識見方や使い方勝つためのトレード手法をわかりやすいく解説していきますので、ぜひ、試しに使ってみて下さい。

FXテクニカル デマーカー

FXテクニカル デマーカー

「デマーカー」というインジケーターの名前を初めて聞く方も多いですよね。

まずは「デマーカー」の概要を簡単に見ていきましょう。

デマーカーとは

デマーカーとは

デマーカーとは

英語ではDemarker、DeMark、DeMなどと呼ばれているオシレーター系インジケーターで、一定期間の最高値・最安値から現在の価格がどれくらいの位置にあるのかを示したものです。

現在の価格の位置づけを行うことで、上昇・下降の余地がまだあるのかそろそろトレンドが切り替わる局面だなどと、売買を判断する材料になります。一定の数値を超えると「買われすぎ」、一定の数値を下回ると「売られすぎ」となり、最適な売買タイミングが計れます。

他にも、デマーカーのラインの動きからトレンドの強弱や方向性、上昇・下降のタイミングを見ることができます。

「買われすぎ」「売られすぎ」の目安を表示してくれる点で、RSIやストキャスティクスなどと使い方は似ています。

デマーカーがRSIと異なるのは、終値を考慮しない点です。シンプルに高値・安値に集中して計算されていくので、ダイレクトに価格変動の推移が反映されるインジケーターだといえます。

デマーカーの開発者

デマーカーは、米国の著名な分析アナリストのトーマス・デマーク/Thomas Demarkが開発したもので、彼の名前がインジケーターの名称に使われています。

1992年にインベストメント会社を設立、もともと金融業界では著名な人物で1994年に“The New Science of Technical Analysis”という本で、デマーカーを始めとするトーマス・デマークの分析手法が紹介され一躍有名になりました。

現在は、投資コンサルタントやマーケットリサーチを行うDeMARK ANALYTICS, LLCの代表で、CNBCやBloombergなど大手メディアや大手投資機関を顧客に持っているほどの人物です。公式サイトでもデマークや各種分析ツールが紹介されています。

英語版でいくつか本が出版されていて、日本語版でもデマークの分析本が入手できます。

デマーカーの基礎知識

デマーカーの基礎知識

デマーカーは一定期間における、最高値と最安値を目安に現在の価格がどの位置にあるのかを算出していきます。数値は0~1.0を目安に、「買われすぎ」「売られすぎ」の状態かどうかを見ることができます。

ここでは、デマーカーの計算方法や基本的な仕組みを解説していきます。

デマーカーの計算方法

デマーカーは、まずDeMaxとDeminの数値が求められます。

  • DeMax → 当日高値 > 前日高値(当日高値 - 前日高値)→ これに該当しない場合は0
  • Demin → 当日安値 < 前日安値(前日安値 - 前日安値)→ これに該当しない場合は0

DeMaxとDeminの数値が出たら、次にDeMarkerの数値が算出されます。

DeMarker = SMA(DeMax、N)÷ { SMA(Demax、N)+ SMA(Demin、N)}

SMA = 単純移動平均線、N = 任意の期間

期間はデフォルトでは10~20あたりになっています。チャートに挿入してみて、相場の動きマッチするように調整します。どれくらいの期間がよいか迷う時はデフォルトで使うといいでしょう。

デマーカーの基本的な仕組み

デマーカーの基本的な仕組みは、

  • 数値0~1.0の間で表示される
  • 0.7以上にラインが超えると買われすぎのサイン → 「売りシグナル」
  • 0.3以下にラインが下回ると売られすぎのサイン → 「買いシグナル」
  • ラインが下から上に向かうと上昇
  • ラインが上から下に向かうと下降
  • 0.5(中央)より上に向かうと強い上昇
  • 0.5(中央)より下に向かうと強い下降

0.7と0.3が重要な売買の目安となる数値です。中央の数値は表示されませんので概ねで中央あたりから上にあるか下にあるかを見ていきます。

あとは、ラインの方向性や角度、動きなどからもトレンドの強弱や方向性、上昇・下降のタイミングを計ることができます。

デマーカーの見方

デマーカーの見方
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それでは、デマーカーの見方をチャートを見ながらわかりやすく解説していきます。

数値の見方

数値の見方

デマーカーは0~1.0の範囲で算出され、チャートには一定期間の最小値と最大値が表示されます。最大値に関しては1.0を超えることもあれば、最小値が0.1以上で表示されることもあります。

最小値と最大値は、その時の相場動向によって異なりまずが、0.7と0.3はつねに表示されています。デマーカーでは0.7と0.3が最も重要な数値となります。

  • 0.7以上のエリアが買われすぎエリア → このタイミングで「売り」
  • 0.3以下のエリアが売られすぎエリア → このタイミングで「買い」

となります。

相場が上昇トレンドで推移したあと、0.7を超えるということは一定期間内での最高値に近づいていることを意味しています。そろそろ利確などで「売り」が入り始めて下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。

同様に下降トレンドで推移したあと、0.3以下になるということは期間内での最安値に近づいていることを意味しています。そろそろ割安感などから「買い」が入り始めて上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。

ラインの上下を見る

ラインの上下を見る

0.7と0.3を考慮しつつも、デマーカーのラインの動きから上昇・下降のタイミングを見ることができます。

基本的にデマーカーは相場の価格変動に連動して動きますので、単純にラインが上に向けば上昇、ラインが下に向けば下降と見ることができます。

また、ラインの傾き具合からも、上昇・下降の勢いを見ることができます。角度が90度に近くなるほど相場に勢いがあると判断できます。

上に向かうタイミングで「買い」、下に向かうタイミングで「売り」、というように売買の判断材料になります。比較的に細かい値動きで売買していきたい場合に有効な方法です。

トレンドの方向性を見る

トレンドの方向性を見る
デマーカーのライン流れからトレンドの方向性を読むことができます。

デマーカーが一定の方向に向かったら上値か下値(引きやすい方に)トレンドラインを引いて、トレンドの方向性が確認できます。トレンドラインを引いておくことで、上昇トレンドから下降トレンドにブレイクするポイントがわかりやすくなります。

0.7と0.3を目安にしたとしても判断が微妙なことも多々あります。トレンドラインが維持されているか流れが変わってきているかによって、トレンドが切り替わるかどうかの判断材料になります。

ダイバージェンス

相場と連動するはずのデマーカーのラインが、稀に反対の動きを見せる時があります。

本来、相場に連動するインジケーターが相反する動きを見せることをダイバージェンスといいます。
  • 相場は上昇 → デマーカーは下降
  • 相場は下降 → デマーカーは上昇
  • 相場は横ばい → デマーカーは上昇か下降

などの動きが見られた場合は、ダイバージェンスが見られる方向に相場が切り替わる可能性があります。

ダイバージェンスは滅多に出現しませんので、出てきた時はトレンドが切り替わる強いサインと判断することができます。

上昇ダイバージェンス

上昇ダイバージェンス

相場は下降トレンドにあり、上値の位置はどんどん低くなっていますね。ところが、デマーカーの方は上値が上がっていてダイバージョンが出現しています。

これは、相場が下降にありながらも、買いの勢いが徐々に見られ始めていることを意味しています。下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる前触れと見ることができます。

上昇ダイバージェンスが見られた時は、上昇トレンドに切り替わる強いサインです。

ダイバージェンスが見られてから、上昇し始めた時が「買い」のタイミングです。

下降ダイバージェンス

下降ダイバージェンス

相場は上昇トレンドの天井にあり、上値の位置は横ばいになっています。一方では、デマーカーの上値は大きく下がっていてダイバージョンが出現しています。

これは、相場が上昇・横ばいにありながらも、売りの勢いが徐々に見られ始めていることを意味しています。上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる前触れと見ることができます。

下降ダイバージェンスが見られた時は、下降トレンドに切り替わる強いサインです。

ダイバージェンスが見られてから、下降し始めた時が「買い」のタイミングです。

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というように、デマーカーは0.7と0.3を目安にしながらも、ラインが上下する動きや、ラインの方向性、そしてダイバージェンスなど色々な活用方法にてトレード戦略を計ることが可能なのです。

デマーカーの使い方

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それでは、実際にデマーカーを使ってFXトレードする方法を解説していきます。

0.3と0.7を目安にエントリー・エグジット

まず、最もベーシックな手法は0.3と0.7を目安にエントリー・エグジットを計ります。
0.3と0.7を目安にエントリー・エグジット
  1. 相場は下降トレンドにあり、上昇ローソク足が3本続いて上昇の気配があります。デマーカーは0.3以下に大きく切り込んだ後上に向かおうとしています。上昇トレンドに切り替わるサインです。ここで「買い」エントリーを決めます。
  2. 上昇に向かった相場は横ばい状態になり、天井かなと思える局面です。デマーカーは大きく0.7を上回り買われすぎエリアで推移しています。最大値に近づき下に向かった時点で「売り」エグジットで利確です。
  3. 上昇トレンドの後、相場は横ばい、上か下かにブレイクするタイミングを待ちます。デマーカーは0.7に向かおうとしたところで上がりきれずに下がり始めています。下降トレンドが始まるサインです。ここで「売り」エントリーします。
  4. 激しく下降した後、やや上昇の気配が見られています。デマーカーは0.3以下でしばらく推移した後、上に向かおうとしています。ここで「買い」エグジットして利確です。
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相場に勢いがある時は、0.7以上、0.3以下でデマーカーが推移する局面もあります。0.7、0.3を割り込んだ時点ですぐに判断せずに、ちょっと様子を見ることも大切です。また、0.3と0.7のサインがあっても予想どおりにトレンドが切り替わらないケースもあるので、損切りなどで早急に対応しましょう。

トレンドラインでエントリー・エグジット

チャートとデマーカーにトレンドラインを引いておくことで、的確なエントリー・エグジットが計れます。
トレンドラインでエントリー・エグジット
  1. 上昇トレンドが天井で横ばいで推移しています。デマーカーを見るとダイバージェンスが出ています。下降トレンドに切り替わる強いサインです。トレンドラインを引いておけば下にブレイクするポイントがわかります。下にブレイクした時点で「売り」エントリーから入ります。
  2. 下降トレンドが継続した後、トレンドラインを引いてブレイクするのを待ちます。メインチャートもデマークも下降トレンドの上値ラインをブレイクしました。ここで「買い」エグジットで利確ですね。

「買い」から入る場合でも全く同じように、トレンドラインを引いておいてブレイクのタイミングでエントリーできます。

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ローソク足が数本以上出てくると、概ねのトレンドラインが引けますよね。しばらくトレンドが続いたら、チャートとデマーカーと両方にトレンドラインを引いておきます。そうすれば上か下かに「ブレイクするタイミング = トレンドが切り替わるタイミング」がわかります。

同時にダイバージェンスも探しやすくなります。

勝つためのデマーカートレード手法

FXトレードでは、1つのインジケーターのみに依存しないことが勝つためのコツです。

どんなインジケーターでも、サインが多すぎたり、相場の動きに一歩遅れたり、的確なところでサインをくれなかったりと、判断に悩むこともしばしばです。

FXチャート分析を行う時には、必ずファンダメンタルズを考慮しながら複数のインジケーター・投資手法を組み合わせることが大切です。

そこで、最後にデマーカーを使って勝つためのトレード手法を、シンプルでわかりやすいカオスアリゲーターと組み合わせてご紹介します。

カオスアリゲーターと組み合わせたトレード手法

カオスアリゲーターは

トレンド系インジケーターで3本のラインをワニの口に見立てて上昇・下降のタイミングが計れるインジケーターです。

カオスアリゲーターは短期・中期・長期の3本の移動平均線を使って分析します。

  • 短期線 → ワニの上唇
  • 中期線 → ワニの歯
  • 長期線 → ワニの顎
ワニが口を開けた時にエントリー
ワニが口を開けた時にエントリー

3本の移動平均線をワニの口として、ワニが口を開けた時にエントリーです。短期線が上にきて上向きに口を開けた時は「買い」エントリー、短期線が下にきて下向きに口を開けた時は「売り」エントリーです。

ワニが口を閉じたらエグジット
ワニが口を閉じたらエグジット

そして、ワニが口を閉じて3本のラインが収束してきたらエグジットします。

アリゲーターは敏感に相場に反応するインジケーターで、仕組みがシンプルで使いやすいのでおすすめです。微妙なデマーカーのサインも、アリゲーターを使うことで最適なエントリー・エグジットを逃すことがありません。

トレード例と分析例

トレード例と分析例
  1. デマーカーは0.3以下に割り込み、上に向かい始めました。上昇トレンドに切り替わるサインです。しかし相場はまだ下降トレンドの最中にあります。デマーカーのサインを確証するためにアリゲーターを確認します。ワニが口を閉じています。まだちょっと様子を見て、ワニが口を開けたところで、確実な「買い」エントリーを決めます。
  2. デマーカーは一旦0.7以上になりましたが、アリゲーターは口を開けたままなので、欲を出して保有することにします。デマーカーは下に降りてきて焦る局面ですね。しかし、アリゲーターはまだ上に向かっているので様子を見ることにします。その後デマーカーは0.7を超えて強い上昇トレンドとなりました。十分に利益が出てますので、大きく値が上がった時点でインジケーターは気にせず「売り」エグジットでたっぷり利確です。
  3. デマーカーは0.7以上、アリゲーターも口を開けています。まだ上昇を期待して、保有するケースもあるでしょう。その場合は、デマーカーが0.7以下で下がり始めた時、そして、アリゲーターが一旦収束した時点で、取りこぼさないように駆け込み「売り」エグジットですね。
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というように、デマーカー、アリゲーターと双方のサインからどうすべきか吟味していくことができます。両方に強いサインが出ていれば、強気でいけます。ただし、重要なのは負けないことなので、ほどほどの利益で利確するようにしましょう。

ちなみに、カオスアリゲーターについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧下さい。

teacher
また、こちらの記事ではボリンジャーバンドについて解説しています。合わせて参考にして下さい。

まとめ

デマーカーは、一定期間の最高値・最安値に対して現在の価格がどれくらいの比率にあるのかを表した数値です。「買われすぎ」「売られすぎ」のタイミングを見るとともに、ラインの動きや流れからトレンドの強弱・方向性、上昇・下降のタイミングを見ることができます。

0~1.0の数値で表示され、

  • 0.7以上は買われすぎ → 下降トレンドのサイン
  • 0.3以下は売られすぎ → 下降トレンドのサイン

を目安に分析します。

teacher
デマーカーを使ってFXトレードで勝つためには、その他のインジケーターや分析手法との組み合わせが欠かせません。ローソク足や移動平均線、ボリンジャーバンドなどと、それぞれ得意なものと組み合わせて使うようにしましょう。

今回ご紹介したアリゲーターは、シンプルで使いやすいインジケーターなので、ぜひデマーカーと一緒に使ってみて下さい。

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