FXチャート分析に使えるインジケーターは色々とありますが、どれを使うべきか悩みますよね。どのインジケーターがいいのかは、それぞれの投資スタイルや手法、通貨ペアや時間足などによって変わってきます。まだ使ったことがないインジケーターの中には、時に、思いがけず優れものが隠れていることもあります。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
今回は、まだあまりよく知られていないインジケーター「サイコロジカルライン」をご紹介したいと思います。
FXテクニカル サイコロジカルライン
「サイコロジカルライン」は、今市場ではどのような投資家心理が見られているのかを計るためのインジケーターで、投資家心理を知ることで買いなのか売りなのかを判断することができます。
まずは「サイコロジカルライン」の概要を簡単に見ていきましょう。
サイコロジカルラインとは
サイコロジカルラインとは、
実はこの投資家心理が、まさに市場を動かしているといっても過言ではなく、様々な理由から市場はリスクオンが優勢になったり、リスクオフが支配したりと一定の方向性が決まってきます。
- 「これから上がる!」といった強気の状態をリスクオン
- 「これから下がる!」と守りに入る状態をリスクオフ
といい、リスクオンが優勢になれば「買い」が多く入り、相場は上昇に向かいます。反面、リスクオフが強い時には「売り」が入るため、相場は下降に向かい始めます。
自分の心理状態はわかったとしても、その他多くの投資家はどうなのか、総体的な市場の投資家心理を知ることは、なかなか難しいですよね。サイコロジカルラインを使うことで概ねの投資家心理が見えてくるのです。
サイコロジカルラインの開発者
サイコロジカルラインの開発者は不明。おそらく英語からきていることから、海外で開発されたインジケーターだと思われます。
サイコロジカルラインの基礎知識
市場の投資家心理を数値で表すと聞いても、そんなことができるのかと疑問に思いますよね。実は、サイコロジカルラインは、非常にシンプルに計算された数値です。
ここでは、サイコロジカルラインの計算方法や基本的な仕組みを見ていきます。
サイコロジカルラインの計算方法
サイコロジカルラインでは、相場の価格は一切考慮されません。一定期間内で上昇した回数(日数)からサイコロジカルラインの数値が計算されています。
例えば、12日中で上昇した日数が3日だったとすれば、
(3 ÷ 12)× 100% = 25%
となります。
サイコロジカルラインの基本的な仕組み
サイコロジカルラインでは、
- 数値が高いほど → リスクオンの状態 → 上昇モード
- 数値が低いほど → リスクオフの状態 → 下降モード
と見ることができます。
そして、相場はいつまでも上昇し続ける・下降し続ける、といったことはあり得ません。
- 上昇が一定以上続くと → 売りが入り始める → 下降に切り替わる
- 下降が一定以上続くと → 買いが入り始める → 上昇に切り替わる
というように、しばらく上昇が続いた後は「そろそろ下がり始めるかもしれない」と思う投資家が増えてきて、利確が入り始めます。その流れから、「売り」が優勢となり相場は下降トレンドへと切り替わる傾向にあります。
同様に、しばらく下降が続いた後は「ここまで下がったら、そろろそ上がるだろう」と底値を狙う動きが見られ始めます。その流れから「買い」が入り始めて相場は上昇トレンドへ切り替わる傾向にあります。
目安となる数値
その時の相場の動きによって、表示される数値は若干異なってくるのですが、25%、50%、75%が判断の目安とされています。
- 25%以下に触れる → 売られすぎの状態(下降のサイン)
- 50% → ニュートラル
- 75%以上に触れる → 買われすぎの状態(上昇のサイン)
ただし、常にサイコロジカルラインの数値が25%~75%あたりで推移するわけではありません。期間設定によっては50%~70%あたりで推移したり、40%~60%あたりで推移すしたりすることもあります。
サイコロジカルラインの位置・高さで判断
状況によっては、サイコロジカルラインの位置・高さから判断する方法もあります。
- 天井近くにきている → 買われすぎの状態(下降のサイン)
- 中央 → ニュートラル
- 底近くにきている → 売られすぎの状態(上昇のサイン)
と見ていくことができます。
サイコロジカルラインの見方
それでは、サイコロジカルラインの見方をチャートを見ながら解説していきます。
売られすぎラインと買われすぎライン
通常はサイコロジカルラインのチャートには、75と25、そして中央の50にラインが引いてあります。
- 75 → 買われすぎライン
- 50 → 中央ライン
- 25 → 売られすぎライン
買われすぎライン
強い上昇トレンドの時は、75以上でしばらく動くこともあります。また、65あたりで下降トレンドに切り替わることもあるので注意が必要です。
中央ライン
中央ラインより上に動いたら上昇、中央ラインより下に動いたら下降と見ていきます。
売られすぎライン
強い下降トレンドの時は、25以下でしばらく動くこともあります。35あたりでも反発して上昇に向かうことがあるので臨機応変に判断する必要があります。
ラインの動きを読む
75や25の数値にこだわらずに、サイコロジカルラインの動きから相場を読んでいく方法もあります。
- ラインが上に向かう → 上昇
- ラインが下に向かう → 下降
- ラインが横に推移 → もみ合い
中央ラインを目安にする
下降トレンド・上昇トレンドがどれくらい継続するのか、中央ラインを超えるかどうかを1つの目安になります。
上昇トレンドが継続
50から75の間をしばらく推移する場合は、上昇トレンドが継続していることを意味しています。
判断の目安として、50付近で反発するかどうかを確認します。反発するということは、まだ上昇トレンドが終わっていないと見ることができます。
下降トレンドが継続
下降トレンドが継続する場合は、25から50の間をしばらく推移します。50を抜けきらないうちは下降トレンドが継続していると見なすことができます。
50付近にラインが来た時に上に抜けるか、また反転して下がるかどうかが判断の目安となります。
ダイバージェンス
基本的にサイコロジカルラインは相場の動きに連動しますが、時に全く反対の動きを見せることがあります。
上昇ダイバージェンス
メインチャートでは下降トレンドが継続していますが、サイコロジカルラインは上向きで上昇に向かっています。これは下降にありながらも、上昇の勢いが見られていることを表していています。
「上昇ダイバージェンス」は、上昇トレンドに切り替わるサインです。
下降ダイバージェンス
メインチャートでは上昇トレンドが継続していますが、サイコロジカルラインは下向きで下降に向かっています。これは上昇にありながらも、下降の勢いが見られていることを表していています。
「下降ダイバージェンス」は、下降トレンドに切り替わるサインです。
サイコロジカルラインの使い方
25と75を目安にエントリー・エグジット
- 25以下にサイコロジカルラインが下がりました。「売られすぎ = 上昇のサイン」です。まずここで「買い」エントリーするのが1つの方法ですが、この後価格が下がってますね。慌てて損切りする局面なのですが、サイコロジカルラインは25以上で推移してます。上昇に変わる可能性が高いを判断します。
- 確実なエントリーポイントは、25以下に下がった後で確実に上に向かった時です。ここで手堅く「買い」エントリーします。
- 一旦50以下に下がる局面があったものの25には近づいていないので、上昇トレンドの継続を期待して保有。そして、75以上にサイコロジカルラインが達した時に「売り」エグジットで利確を決めます。
- まだ上がるかもしれないと思った時は、75以下にラインが下がってから反発するかどうかを見ます。しばらく75付近で推移、上昇トレンドが継続。75以上に抜けた後で確実に下がり始めた時に「売り」エグジットでたっぷり利確する方法もあります。
中央ラインを活用してエントリー・エグジット
25を目安に「買い」エントリーしたとしても、75にたどり着く前に価格が下がり始める局面もあります。この場合は中央線でどうなるかを見極めて、中央線で反発したら保有、下に抜けたら「売り」エグジットで利確しておきます。
そして、もし、サイコロジカルラインが中央ラインを下回ったけれどまた上に向かい始めた時は、また上昇に向かう可能性が高いです。ここで再度「買い」エントリーします。その後50以上で推移しているので、次に75に触れた時点で「売り」エグジットで利確です。
ダイバージェンスでエントリー
下降トレンドがある程度継続したら、上昇のサインを待ちます。下降トレンドの後半に「ダイバージェンス」が出てきました。そろそろ、上昇トレンドに切り替わるサインです。
このチャートの場合では、すでに50の中央ラインに触れているので、中央ラインを上に抜けたところで「買い」エントリー、そして75を抜けたら「売り」エグジットで利確です。
ダイバージェンスでエグジット
25辺りで「買い」エントリーした後、上昇が継続して75以上で推移することがあります。どこまで上がるのか、下降のサインを待ちます。価格は大きく上昇しているにもかかわらず、サイコロジーラインは下降、「ダイバージェンス」が出てきました。そろそろ下降トレンドに切り替わるサインです。
このチャートの場合では、上昇の局面でも50に近づいてきています。50の中央ラインに触れた辺りで「売り」エグジットで利確です。
勝つためのサイコロジカルライントレード手法
サイコロジカルラインに限ったことではありませんが、インジケータを使ったチャート分析では余計なサインが出すぎたり、判断が微妙だったり、サインが的確でなかったりすることが度々あります。
ボリンジャーバンドとサイコロジカルライン
- サイコロジカルラインは25以下になり、相場は上昇の気配を見せています。ここでボリンジャーバインドが中央ラインを抜ければ、上昇トレンドに切り替わる可能性がかなり高くなります。ボリンジャーバンドは中央線を抜け、サイコロジカルラインも50から上に向かっています。ここで迷いなく「買い」エントリーです。
- サイコロジカルラインは75を大きく超えています。利確するかどうかボリンジャーバンドを確認します。ボリンジャーバンドは中央ラインで反発、まだ上昇が続くサインです。このまま保有します。
- 今度はボリンジャーバンドの中央線を下回りました。下降に向かう可能性があります。しかしサイコロジカルラインは50で反発、上に向かっています。利確はまだだなと判断します。
- サイコロジカルラインは順調に50~75で推移、ボリンジャーバンドも上値バンドで推移、利益も大きくなったので下降のサインを待ちます。ボリンジャーバンドの上値バンドで下に反転し始めました。サイコロジカルも75を超えた後大きく下に下がり始めています。そろそろだなと、ここで「売り」エグジットで利確を決めます。
まとめ
サイコロジカルラインは市場における投資家心理を数値で表したものです。サイコロジカルラインを使うことでトレンドの切り替わり、上昇・下降のタイミングを計ることができます。
サイコロジカルラインを見るポイントは、
- 売られすぎラインと買われすぎライン
- 中央ラインを上に抜けるか、下に抜けるか
- ラインの位置や動き
- ダーバージェンス
と大きく4つあります。