「ペンタゴンチャート」は「五角形チャート」とも呼ばれているインジケーターで、正五角形に星型のラインを表示するものです。使ったことがないという投資家は多いのではないでしょうか。「ペンタゴンチャート」はフィボナッチやギャンのように描画機能を有したインジケーターなので、挿入する箇所によって効果が変わってきます。
あまり知られていないインジケーターですが、各自の投資スタイルや手法によっては非常に使えるインジケーターかもしれません。高く評価する投資家も少なくありません。まずは、試してみないことにはわからないですよね。
FXテクニカル ペンタゴンチャート
「ペンタゴンチャート」は、メインチャートに直接挿入するインジケーターで、多くのインジケーターと違って自分で起点となるポイントを設定する必要があります。設定場所によって見方や分析結果が変わってくるのが大きな特徴です。
ペンタゴンチャートとは
ペンタゴンチャートとは、
ペンタゴンと聞くと、米国の国防総省の庁舎ペンタゴンをイメージしてしまいますよね。ペンタゴンとは英語でPentagon、正五角形のことを意味しています。米国の国防総省の庁舎も正五角形で構成されているためペンタゴンと呼ばれているのです。
ペンタゴンという語源は古代ギリシャ語の「ペンタゴーノン/正五角形」からきていて、正五角形には黄金比など神秘的な法則がたくさん隠れていることから、古代から多くの理数学者を魅了してきた図形なのです。
自然界のあらゆる事物が黄金比に基づいていることが発見されており、相場の動きも黄金比に沿って推移していくとの考えからペンタゴンが分析方法として使われるようになったのです。
ペンタゴンチャートの開発者
ペンタゴンチャートは海外では見かけないインジケータで、国内で近年になって使われるようになったようです。日本人金融ジャーナリストの川口一晃(かわぐち・かずあき)氏によって考案され、国内FXにて導入されるようになりました。
川口氏は、三菱UFJなどの大手銀行系の投資顧問を経て、Bloombergでも活躍、2004年に独立してオフィスKAZを設立しました。現在は、金融・投資関連のラジオやテレビ、オンラインを介してセミナーや情報レポートなどで積極的に活躍している人物です。
川口一晃氏のオフィシャルサイトでもペンタゴンチャートの活用方法や解説を見ることができます。
「川口一晃オフィシャルサイト/コレモナニカノ円」はこちらから
「ペンタゴンチャート入門」という本も出版していて、外為オンラインやアイネット証券などでも定期的にセミナーを開催しています。
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ペンタゴンチャートの基礎知識
ペンタゴンチャートの基盤となっている黄金比とは何?と疑問に思う方もいるでしょう。
ペンタゴンの黄金比
ペンタゴン/正五角形には、黄金比が隠されています。古代ギリシャ時代に正五角形の黄金比が発見され、その後建築や芸術など様々な分野にて正五角形の神秘的な法則が重視されてきました。
上図のように、正五角形には角がA、B、C、D、Eと5つあります。各角を線で結んだ対角線と正五角形の各ラインは黄金比の関係にあります。
- 対角線AB:底辺AB = 1:0.618
- 対角線BE:ラインBJ = 1:0.618
- ラインBJ:ラインBF = 1:0.618
というように、正五角形は黄金比に満ちあふれた神秘的な図形なのです。
黄金長方形
黄金比の長方形をサイズを変えて並べていくと、どこまでも黄金比の長方形が形成される仕組みになっています。この黄金比の長方形の法則を「黄金長方形」といいます。
国旗や名刺、建築・絵画・デザインなどでも黄金長方形が採用されています。
黄金螺旋
黄金螺旋とは、黄金長方形のすべての角を線で結んでいくと黄金比率による渦巻きができることをいいます。
黄金螺旋はオウムガイの殻やヒマワリの種、人の頭のつむじ、台風の雲の渦など自然界で多く確認されている比率となります。
代表的な黄金比
最も代表的な黄金比の例は、古代ギリシャのパルテノン神殿です。ピラミッドやパリの凱旋門など多くの歴史的建造物には黄金比が使われています。
バラの花びらやヒマワリの種、松ぼっくりやオウム貝など、生物や植物にも黄金比が確認されています。
古代ギリシャのミロのヴィーナス、モナリザ、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロの絵画や彫刻も黄金比で構成されています。
さらに、宇宙の星の並び、ミルキーウェイ(天の川)や、台風の雲にも黄金比が見られるのです。
そして、人口マップなどのデータからも黄金比率が見られることが確認されています。
チャートの動きも視覚的な情報であるかぎり、自然界の法則・黄金比に従って美しい形状に近づいていくだろうと考えられています。ペンタゴンチャートは、自然界の法則に基づいた信頼性が高いインジケーターだといえます。
ペンタゴンチャートの基本的な仕組み
ペンタゴンチャートの基本的な仕組みは、
- 価格はペンタゴンチャートの五角形の中を動いていく
- 五角形の底辺や対角線など各ラインに沿って価格が推移する傾向にある
- 各ラインはレジスタンス・サポートラインの機能を持つ
- 各ラインはトレンド・チャネルラインの機能を持つ
- 価格は各ラインの接点に近づく傾向にある
- 各ラインの接点を節目にトレンドの方向性が変わりやすい
などの特徴があります。
ペンタゴンチャートは起点となる場所に1つの正五角形を設定して、隣接して次の正五角形を順番に並べていきます。相場は、並べた正五角形の中で推移していくので、上昇・下降のポイントやトレンドの転換ポイントが読めるというわけなのです。
ペンタゴンチャートの挿入方法
ペンタゴンチャートは自分で起点を決めて、正五角形を並べていきます。
ペンタゴンチャートを挿入する手順
ペンタゴンチャートを挿入する手順は、
1.スタート地点・起点を決める
ペンタゴンチャートの起点とは、最初の正五角形を設置する場所です。起点はトレンド転換があった場所や大きな上昇・下降があった場所が設定しやすくなります。
ペンタゴンチャートのカーソルが出てきますので、カーソルを起点の目安となるローソク足の上でクリックします。そうすると最初の正五角形が出てきますので、サイズや傾きをローソク足の動きにマッチするように調整します。
2.サイズや傾きを調整する
サイズや傾きを調整するコツは、底辺や対角線のラインをトレンドラインのようにローソク足の上値や高値の動きに合わせながら調整します。
マッチするサイズや傾きが決まったら、2つ目の正五角形をローソク足の方向にずらして設定します。3つ目、4つ目と続けてチャートの動きに合わせて並べていきます。
3.チャートの動きに合わせて正五角形を並べていく
あとは、チャートの動きに合わせて正五角形を縦・横・斜めにどんどん増やしていきます。最初の起点さえしっかりラインとマッチしていれば不思議とチャートの動きと正五角形のラインがマッチしていきます。
ペンタゴンチャートの見方
ペンタゴンの各ライン
まず、ペンタゴンチャートで重要となるのが正五角形と対角線が描く星型の各ラインです。
相場は、1つの正五角形の中で動いていき、1つの正五角形から価格が抜けると次の正五角形の中で動いていきます。ペンタゴンの各ラインはレジスタンス・サポート、トレンド、チャネルラインの機能を果たしています。
- レジスタンス・サポートライン
- チャネルライン
- トレンドライン
上図のチャートのように、ペンダゴンの各ラインが機能します。
ペンタゴンの各接点
次に重要なのが、ペンタゴンの各接点です。
相場は黄金比の法則に基づいて、各接点に近づこうとする傾向にあります。各接点が上昇・下降のポイントとなったり、トレンド転換のポイントとなったり、急上昇や急落が起こりやすい場所となります。
上図のチャートのように、
- 上昇トレンドから下降トレンドに切り替わるポイント
- 下降トレンドから上昇途r年度に切り替わるポイント
- 価格が大きく上昇・下降するポイント
と各接点では変化が起きやすいのです。
各ライン・各接点での見極め方
各ライン・各接点にてローソク足がどのように動くかによって、相場を読んでいきます。
各ライン・各接点で反転するか、ブレイクするかを見る
- ローソク足の上にあるラインをレジスタンスのポイントとして見ます。ここを抜けるとさらに上昇の可能性がありますが、上図のように反転した場合は1つ下のラインまで下がる可能性があります。
- サポートの役割を果たしているラインを下に抜けています。ここからさらに下降する可能性があります。もしここで反転していれば上の対角線に向けて上昇すると見ます。
- この接点にて価格は反転しています。ここから上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。もしこの接点の下に価格が抜ければ、さらに下降トレンドが継続すると見ます。
次のペンタゴンに移行する方向を見る
ペンタゴンの一番外側のラインをローソク足が抜けると、次の隣にあるペンタゴンの中で相場は動いていきます。どちらの方向に価格が抜けるかによって、対象となるペンタゴンも変わってきます。
想定できる範囲で上下・斜めにペンタゴンを並べておけば、次の動きを読むことが可能となります。次のペンタゴンに相場が移行すれば、次のペンタゴンの各ライン・各接点が目安となり上昇・下降のターゲット価格も変わっていきます。
ペンタゴンチャートの使い方
各ライン・各接点でエントリー・エグジット
- 下降トレンドにあった相場は、ペンタゴンの接点で反発。対角線に沿って上昇し始めています。上昇トレンドが始まると想定し、ここで「買い」エントリーします。
- 上昇に向かった相場は、ペンタゴンが描くトレンドラインの少し上で推移しています。上昇の勢いが強い状態と見ることができます。②のポイントでは価格が大きくジャンプして次のペンタゴンに移りました。上昇トレンドが継続すると判断します。
- ペンタゴンのトレンドライン前後で相場は推移していましたが、価格は上にあるペンタゴンまで上がりきれずに下がり始めています。下ののペンタゴンに移行する可能性があるので、ここで手堅く「売り」エグジットで利確です。
勝つためのペンタゴンチャートトレード手法
ペンタゴンチャートは古代から使われている黄金比に基づいた信頼性が高いインジケーターです。しかし、どんなインジケーターでも100%完璧ではありません。
そこで、最後に勝つためのペンタゴントレード手法としてRSIを組み合わせた手法をご紹介しておきたいと思います。
RSIを組み合わせてエントリー・エグジット
- 相場は緩やかな下降トレンド。RSIは最下部にきて「売られすぎ」の状態を表し、上に向かい始めています。上昇トレンドに切り替わるサインです。ペンタゴンの接点で上昇に向かうタイミングで「買い」エントリーです。
- 相場はペンタゴンの各ライン・各接点をいくつか突き抜け大きくジャンプしました。RSIは最上部にきて「買われすぎ」のサインを出しています。ここで賢く「売り」エグジットで利確を決めます。ショートの場合はここから「売り」エントリーします。
- ショートのエグジットポイント1は、RSIが「買いシグナル」を出した時ですが、ペンタゴンでは微妙な位置にあります。ここで様子を見ることもできます。
- 再びRSIは最下部にきて「買いシグナル」、ペンタゴンもラインに触れて大きく上昇しています。上のラインを抜けて上昇に向かう可能性があるので、ここがショートのエグジットポイント2となります。
まとめ
ペンタゴンチャートは正五角形の黄金比を応用したインジケーターです。
ペンタゴンチャートの特徴は、
- 価格はペンタゴンチャートの五角形の中を動いていく
- 五角形の底辺や対角線など各ラインに沿って価格が推移する傾向にある
- 各ラインはレジスタンス・サポートラインの機能を持つ
- 各ラインはトレンド・チャネルラインの機能を持つ
- 価格は各ラインの接点に近づく傾向にある
- 各ラインの接点を節目にトレンドの方向性が変わりやすい
などです。