ほとんどのFX会社ではメジャーな通貨ペアを中心に20~25種類前後を取り扱っています。FX初心者は、いざトレードを始めるにあたってどの通貨ペアを選べばよいのか悩む方も多いでしょう。
通貨によって特徴があり、あまり動かない通貨や特定の時間帯に取引すべき通貨、経済情勢が不安定な通貨など色々あります。FX初心者はできるだけリスクが少ない通貨を選ぶことが大切です。
今回は、通貨ペアの選び方、おすすめの各通貨ペアの特徴やメリットデメリットをご紹介していきます。
FX通貨ペアの種類
などと、FXの初心者であれば通貨ペアに関して様々な疑問があるものです。まずは、通常取り扱われているFX通貨ペアにはどのような組み合わせがあるのかを見ていきましょう。
取り扱いが多い通貨ペア
円と組み合わせた通貨ペア
FX会社を問わず、国内で最も取り扱いが多いのが自国の通貨である日本円と組み合わせた通貨ペアです。
日本語表記 | 英語表記 |
---|---|
米ドル/円 | USD/JPY |
ユーロ/円 | EUR/JPY |
英ポンド/円 | GBP/JPY |
豪ドル/円 | AUD/JPY |
NZランド/円 | NZD/JPY |
カナダドル/円 | CAD/JPY |
スイスフラン/円 | CHF/JPY |
トルコリラ/円 | TRY/JPY |
南アフリカランド/円 | ZAR/JPY |
メキシコペソ/円 | MXN/JPY |
米ドルと組み合わせた通貨ペア
次に取り扱いが多いのが世界で最も取引されている通貨、米ドルの通貨ペアです。
日本語表記 | 英語表記 |
---|---|
ユーロ/米ドル | EUR/USD |
英ポンド/米ドル | GBP/USD |
豪ドル/米ドル | AUD/USD |
NZドル/米ドル | NZD/USD |
カナダドル/米ドル | CAD/USD |
スイスフラン/米ドル | CHF/USD |
トルコリラ/米ドル | TRY/USD |
英ポンド・ユーロと組み合わせた通貨ペア
英ポンドとユーロも取引量が多い通貨で、たいてい何種類かの通貨ペアの取り扱いがあります。
日本語表記 | 英語表記 |
---|---|
英ポンド/ユーロ | GBP/EUR |
豪ドル/ユーロ | AUD/EUR |
カナダドル/ユーロ | CAD/EUR |
NZドル/ユーロ | NZD/EUR |
豪ドル/英ポンド | AUD/GBP |
スイスフラン/英ポンド | CHF/GBP |
NZドル/英ポンド | NZD/GBP |
カナダドル/英ポンド | CAC/GBP |
以上のような通貨ペアが国内のFX会社では一般的です。
ややマイナーな通貨ペア
ややマイナーに属する通貨ペアを取り扱うFX会社もあります。一部のトレーダーに人気がある通貨ペアもいくつか見ておきましょう。
日本語表記 | 英語表記 |
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香港ドル/円 | HKD/JPY |
人民元/円 | CNY/JPY |
ブラジルレアル/円 | BRL/JPY |
ロシアループル/円 | RUB/JPY |
トルコリラ/ユーロ | TRY/EUR |
スウェーデンクローナ/ユーロ | SEK/EUR |
南アフリカランド/米ドル | ZAR/USD |
香港ドル/米ドル | HKD/USD |
シンガポールドル/米ドル | SGD/USD |
など、取り扱いの通貨ペア数が多いFX会社ではよく見かける通貨ペアです。
FX初心者におすすめの通貨ペア
大まかにどんな通貨ペアがあるのかを確認しました。そこで、気になるのが初心者におすすめの通貨ペアは何なのかです。
それぞれの通貨ペアには特徴やクセがあります。値動きが激しいものもあれば、比較的に動きが緩やかな通貨ペアもあります。また、トレードする時期によって急上昇の可能性が高い通貨ペアもあれば、暴落の可能性を秘めているものもあります。それぞれの通貨ペアのリスクや上昇の可能性を各自で判断していかねばなりません。
さらには、トレードスタイルとの相性もあり、中長期に向いている通貨ペア、短期やデイトレに向いているものなど、スタイルに合ったものを考慮する必要があります。
上級、ベテランのトレーダーでさえも通貨ペアの選択には悩み、判断を誤ることもあります。とくに初心者は安全性の高い通貨を選ぶことが大切です。
FX初心者でも失敗しない通貨ペアの選び方
1.取引量が多い通貨ペアを選ぶ
取引量が多い通貨は、安全性が高いという意味でもあります。世界中のトレーダー、各国の投資機関や中央銀行などから頻繁に売買されているため、価格が安定する傾向にあります。
まず各通貨の取引量を概ねのところで確認しておきましょう。
通貨単体での取引量ランキング
2019年4月の調査では、1日のFX取引量の平均は6.6兆ドルでした。そのうち最も取引量が多かったのが米ドルで全体の88.6%です。(全体を200%とした場合のシェア率)
- 1位:米ドル 88.6%
- 2位:ユーロ 32.3%
- 3位:EME(新興国通貨全体) 24.5%
- 4位:日本円 16.8%
- 5位:英ポンド12.8%
続いて、豪ドル、カナダドル、スイスフラン、人民元の順で取引されています。これらの上位にある通貨の組み合わせであれば、比較的に安全性は高いと見ることができます。
通貨ペアの取引量ランキング
通貨ペアのランキングの1位は、やはり通貨単体で1位、2位にランクインしている米ドル/ユーロのペアがトップです。
- 1位:米ドル/ユーロ 24%
- 2位:米ドル/EME(新興国通貨全体) 20.2%
- 3位:米ドル/日本円 13.2%
- 4位:米ドル/英ポンド 9.6%
- 5位:米ドル/豪ドル 5.4%
続いて、米ドル/カナダドル、米ドル/人民元、米ドル/スイスフラン という順番に取引が多くなっています。
2.馴染みのある通貨を選ぶ
FXの初心者にとって、外国の経済ニュースを見たり、それぞれの国の諸事情を把握したり、通貨の価値を日本円で換算したりすることは容易ではありません。
最初は取り扱いに馴れている通貨ペアを選ぶ方が無難です。まずは日本円の通貨ペアから始めてみるといいでしょう。海外旅行でよく滞在する国など、取り扱いに馴れている通貨を選ぶのがコツです。
3.情報入手が容易な国の通貨を選ぶ
日本にいる限り、国内で入手できる海外の情報には限界があります。
為替は様々な投資商品がある中でも、様々な要因に非常に左右されやすい敏感な商品です。従って、いかに経済関連ニュースを素早くゲットするかで勝負が変わってきます。
米国やユーロ圏など情報入手が容易な国の通貨を選ぶ方が、売買タイミングの判断もしやすくなります。
例えば、初心者であっても外国語での情報入手が可能な方は、必ずしも日本円だけにこだわる必要はないかもしれません。
おすすめできない通貨ペアは?
1.暴落の可能性がある通貨はタイミングを見る
FX取引を始める時期によっては、暴落の可能性を秘めている通貨があります。不安要素が大きい通貨は極力避けるようにしましょう。
FXの経験を積んでくれば、あえてそのような危険な情勢を利用して一稼ぎすることも可能ですが、最初は安全圏で勝負をした方がいいです。
最近の出来事を例に挙げてみましょう。
米中の貿易戦争で緊迫した状態
→ ひとまず米ドルと人民元は避けておいて、情勢がやや好転するまで様子を見てタイミングを待つ。
イギリス国会がBrexitで激しく対立している
→ ひとまず英ポンドは避けておいて、Brexitの先行きを見極めてから判断する。
など・・・何かその通貨の将来に不安を生じさせるニュースがあった時には、注意する必要があります。時期によっては安全性が高いメジャーな通貨でも暴落の可能性を秘めているのです。
2.取引量が少ない通貨は避ける
取引量が少ない通貨は、通貨の需要も低く国の経済・政治が不安定な傾向にあります。常に、通貨の価値が大きく減少するリスクを秘めているものが多いので注意しましょう。
仮に、経済的な不安が感じられない通貨だとしても、取引量が少ない通貨は値動きが非常に緩やかです。いつまでたっても、価格が動かないため収益につながりにくい特徴があります。
3.高金利通貨を避ける
低金利の代名詞のような日本円から見れば、トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨は非常に魅力があります。しかし、金利が高い=国の情勢が不安定、だと理解しておく必要があります。
FX取引では、為替差益だけでなくスワップ金利にて稼ぐトレーダーもたくさんいます。
しかし、高金利通貨はそれだけにリスクも高くなりますので注意する必要があります。FX初心者は、最初はほどほどの金利にて満足した方がいいでしょう。
4.興味のない通貨はやめておきましょう
もともと興味のない通貨ペアを選ぶのはやめておきましょう。
その国の通貨を購入するということは、投資家的な視点でみれば、その国の経済を支援しているのと同じことです。投資したからには、その国のことを積極的に知りたいと思うのが自然で、通貨の購入をきっかけに他国の経済情勢を学ぶきっかけになります。
しかし、もともと興味がなければ、その国の情報にも関心が持てず勉強する気にならないものです。FX取引のモチベーションを保つことが難しく、勉強不足から誤った判断を犯してしまう可能性があります。
おすすめの通貨ペアの特徴
国内のFX会社・FX口座ではほとんどの場合20~30種類程度の通貨ペアを取り扱っています。取引量の多い通貨や馴染みのある通貨を選ぶことが初心者にとって大切なポイントになります。
通貨ペア:米ドル/円
FX王道の通貨ペアといえば初心者・上級者を問わず、やはり米ドル/円です。
米ドルは世界経済の指標として最も重要な通貨なので、国内でも米ドルに関する情報は豊富です。米ドルの動きは多種多様な金融市場への影響も大きいため、最初に米ドルと円の関係を理解しておくと今後のトレードにも大きく役に立ちます。
特徴
- 米ドルはあらゆる金融市場の基軸となる通貨
- 日本円は安全な通貨として評価が高い
- 米ドル/円は国内外で取引量が多い通貨ペア
- 東京、ロンドン、NY市場のオープン時に活発になりやすい
- 景気がよい時ドル高、景気がわるい時は円高に向かう傾向にある
- 米国の政策金利や雇用統計に左右されやすい
メリット
- 円高円安に向かう要因がわかりやすく動きが読みやすい
- 流動性が高いので利益を狙いやすい
- 情報入手が容易なので学びやすい
- スプレッドが低い傾向にある
- 米ドル/円の関係がわかればその他の投資にも役に立つ
デメリット
- 米国の政策金利や雇用統計に左右されやすい
- トランプ発言によって急激に変動するリスクがある
- スワップ金利による収益はあまり期待できない
- 流動性は高いが値幅がある程度限られている
米ドルの指標はあらゆる投資の基軸、あらゆる国の経済の基軸となる大切な数値です。FX初心者がまず一番にマスターしておきたい通貨ペアです。米国のニュースは頻繁に報道されているので、どんな情報があった時に円高円安になるのか、価格変動のポイントがつかみやすいといえます。
とくに、現在は米中貿易交渉の1つ1つの過程が米ドル/円高を大きく揺り動かしていますので、米ドル/円の勉強をするには絶好の機会になるでしょう。
ユーロ/円
米ドル/円に比べると一気に難易度が高くなりますが、それでも米ドルの次におすすめなのがユーロ/円の通貨ペアです。
ユーロは米ドルの次に世界で取引されている通貨です。EU諸国の経済は縮小ぎみにありながらも安定性は高く、日本人にとって馴染みやすい通貨でもあります。
特徴
- ユーロは米ドルの次に取引量が多く安定性が高い
- 米ドル/円と似たような動きをすることも多い
- 米ドル/円よりも動きがやや激しい
- 米ドルからの資金流入が期待できる
- EU市場の時間帯にて活発化しやすい
メリット
- 米ドルが弱い時に上昇の可能性がある
- 米ドル/円とユーロ/ドルの動きから予測がつきやすい
- 値動きによる利益が期待できる
- スプレッドが低いケースが多い
- 情報入手が容易で勉強しやすい
デメリット
- 大きなスワップ金利は狙えない
- 同盟国が19か国もあるので状況を判断しづらい
- 米国経済の影響を受けやすい
- Brexit・EU経済の弱体化によるリスクがある
ユーロ/円は最近は123円前後で推移しています。ここ5年間では130~140円あたりが高値圏で、2007年には160円を越えたこともあります。ただ、近年ではドイツ・イタリアの経済力の低下や、イギリスのEU離脱によるEU経済の縮小が懸念されているのが気になる通貨ではあります。
それでも、世界中の多くの国にとってヨーロッパは魅力のある国々であり需要が高い通貨です。今後の上昇が期待できる通貨ペアだといえるでしょう。
英ポンド/円
かつては、米ドルよりも強かった時代もあった英ポンドが気に方もいるでしょう。イギリスは日本同様に比較的に小さな国でありながらも、強大な経済力を有する主要国の1つです。
英ポンドは米ドルとともに経済の基軸通貨として、時にはユーロよりも重視されることがあります。通貨単体、通貨ペアと双方において取引量が多く安定した通貨です。1ポンドの価値は米ドルやユーロよりも遥かに高いため、現在でも商取引に英ポンドが好まれるケースもあります。
特徴
- 動く値幅が非常に大きい
- 取引量が多く安定した通貨の組み合わせ
- イギリスは金融立国としての歴史が長く安心できる
- ロンドンは世界の為替取引の80%を占めている
- ロンドン市場の時間帯で活発化しやすい
メリット
- 短期間でも収益を得やすい
- Brexitによる経済強化・急騰の可能性を秘めている
- 中長期でも手堅く稼ぐことが可能
- 情報入手が容易で勉強しやすい
- 米ドル/円の動きと似ているのでわかりやすい
デメリット
- Brexitが難航で政治が不安定
- Brexitによる経済懸念・暴落の可能性を秘めている
- 米経済の影響を真っ先に受けやすい
- スプレッドはやや高めになるケースが多い
短期間で一定の収益を得たいなら、英ポンド/円がおすすめです。現在は1ポンド138~145円辺りで動いていますが、かつては160~170円だった時代もあります。中長期で保有するとしても手堅い利益が期待できる通貨ぺアです。
イギリスのEU離脱がどうなるのかが世界中で今注目されています。EU離脱の混乱から英ポンドが暴落する可能性も秘めていますが、イギリスは金融立国として独自に発展してきた歴史ある国です。タイミングを見て購入しておきたい通貨ペアだといえるでしょう。
まとめ
FXだけに限らず、あらゆる金融市場において米ドルの動きは何よりも重要な指標となります。まずは、米ドル/円の通貨ペアにて円高円安の仕組みや米ドルが動く要因を掴んでいくことをおすすめ致します。
米ドル/円の次におすすめの通貨ペアとしてユーロ/円、英ポンド/円を挙げておきました。徐々にその他の通貨ペアにもチャレンジしてみるといいでしょう。米ドル、ユーロ、英ポンド、円はいずれも世界中で頻繁に取引されている通貨です。この機会に、米ドルを始めとするFXの主要通貨について学ぶ機会になれば幸いです。