ハーモニックパターンを応用した有名な売買シグナルにスリードライブスがあります。スリードライブスとは、相場がチャネルラインの高値と安値を3回繰り返すことをいいます。スリードライブスはトレンド転換のサインで、上昇か下降に大きく値が動く可能性が高くなります。
スリードライブスがチャートに出現したら、稼ぐチャンスです。せっかくの機会を見逃さないようにしっかりトレードしていきましょう。
今回のFXプロのチャート分析実践講座では、ハーモニックパターンを極めたい投資家のために、極めつけの売買シグナル・スリードライブスを解説していきます。ぜひ、トレードにお役立て下さい。
FXテクニカル スリードライブス
ハーモニックパターンは、フィボナッチ・リトレースメントを活用したトレード手法で、的中率の高さから一部の投資家に愛用されています。
ハーモニックパターンの基本パターンには、
- ABCD
- ガートレー
- バット
- バタフライ
- クラブ
などがありますが、ハーモニックパターンを見極めるにはいくつか条件をクリアしなければならないため、分析に手間がかかるのが特徴です。チャート分析に慣れていないとちょっと使いづらいな、と思われる方もいるかもしれません。
しかし、スリードライブスは若干難解なハーモニックパターンの中でも、見極めが比較的に容易で初心者から上級者まで幅広く使うことができます。
最初に軽くスリードライブスの概要を、かいつまんでいきます。
スリードライブスとは
スリードライブスとは、
3回目の山や谷ができた後では、トレンドが転換する可能性が高くなります。
上昇スリードライブス
下降トレンドがチャネルラインを3回上下するパターンを「上昇スリードライブス」といいます。
「上昇スリードライブス」が出現した後は、上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
下降スリードライブス
上昇トレンドがチャネルラインを3回上下するパターンを「下降スリードライブス」といいます。
「下降スリードライブス」が出現した後は、下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。
ハーモニックパターンとスリードライブスの開発者
ABCDパターン、ハーモニックパターンを発見したのは、H.M.ガートレー。1935年に「Profits in the Stock Market」という本を出版して売買シグナルとして使えるチャートパターンを紹介しました。
スリードライブスはハーモニックパターンをベースにした応用編で、ロバート.R.プレクターによって紹介されました。
ガートレーが発表したハーモニックパターンは、ガートレーパターンやABCDパターンとも呼ばれています。相場は、黄金比率に沿って動いていくというのがガートレーの理念です。
プレクター氏はもともとエリオット波動の熱狂的な研究者で、本もいくつか出版しています。日本語版でも探すことができます。
スリードライブスの基礎知識
スリードライブスは、ハーモニックパターンを応用した売買シグナルで、ハーモニックパターンと同様にフィボナッチ・リトレースメントの数値が基盤となっています。
- 上昇スリードライブス → 買いシグナル
- 下降スリードライブス → 売りシグナル
ABCDパターンの基本
ABCDパターンは、逆N字型のような形状が上昇パターンで、N字型の形状が下降パターンとなります。
- 上昇ABCDパターン → 買いシグナル
- 下降ABCDパターン → 売りシグナル
ハーモニックパターンが通常のチャートパターンと大きく異なるのは、シグナルとして使うためにはフィボナッチの条件を満たす必要があることです。
もし、フィボナッチの条件に沿っていない場合はハーモニックパターンに該当しないと判断します。
上昇ABCDパターン
上昇ABCDパターンではAを起点にして、
と推移していきます。
- Cの価格はABのフィボナッチ61.8%
- Dの価格はBCのフォボナッチ127.2%
- Aが最高値、Dが最安値
との条件を満たした場合に、Dから上昇トレンドへと切り替わるサインと見なします。
下降ABCDパターン
下降ABCDパターンではAを起点にして、
と推移していきます。
- Cの価格はABのフィボナッチ61.8%
- Dの価格はBCのフォボナッチ127.2%
- Aが最安値、Dが最高値
との条件を満たした場合に、Dから下降トレンドへと切り替わるサインと見なします。
上昇スリードライブス
下降トレンドが平行のチャネルラインで推移していく時に、上昇スリードライブスが出現します。下降トレンドが継続した後で、底に近づいた時に現れやすいパターンです。
上昇スリードライブスは、高値から下降に向かう1つの小トレンドを1つのドライブとして計上します。
ドライブ1、ドライブ2、ドライブ3と3つ目のドライブが形成されて、価格が上に向かい出したら上昇トレンドへと切り替わる可能性が高くなります。上昇スリードライブを見極めるポイントは、下降トレンドがほぼ平行の(平行に近い)チャネルラインに沿って相場が推移しているかどうかです。
上昇スリードライブスの条件
- Aの価格はドライブ1のフィボナッチ61.8%
- Bの価格はドラブ2のフィボナッチ61.8%
- ドライブ2は1-Aのフィボナッチ127.2~161.8%
- ドライブ3は2-Bのフォボナッチ127.2~161.8%
- ドライブ1の起点が最高値
- ドライブ3の終点が最安値
と上記の条件を満たした場合に、上昇スリードライブスと判定することが可能です。
下降スリードライブス
上昇トレンドが平行のチャネルラインで推移していく時に、下降スリードライブスが出現します。上昇トレンドがある程度継続して、天井に近づいた時に現れることが多いです。
上昇スリードライブスは、安値から上昇に向かう1つの小トレンドを1つのドライブとして計上します。
ドライブ1、ドライブ2、ドライブ3と3つ目のドライブが形成されて、価格が下に向かい出したら下降トレンドへと切り替わる可能性が高くなります。下降スリードライブを見極めるポイントは、上昇トレンドがほぼ平行の(平行に近い)チャネルラインに沿って相場が推移しているかどうかです。
上昇スリードライブスの条件
- Aの価格はドライブ1のフィボナッチ61.8%
- Bの価格はドラブ2のフィボナッチ61.8%
- ドライブ2は1-Aのフィボナッチ127.2~161.8%
- ドライブ3は2-Bのフォボナッチ127.2~161.8%
- ドライブ1の起点が最安値
- ドライブ3の終点が最高値
と上記の条件を満たした場合に、下降スリードライブスと判定することが可能です。
スリードライブスの見方・使い方
それでは、実際にチャートを見ながらスリードライブスの使い方・トレード方法を解説していきます。
上昇スリードライブスでトレードする方法
ドライブ3の位置が確定する前にフィボナッチを挿入して、条件にマッチするかどうかを確認します。
- ドライブ1
- ドライブ2
- ドライブ3
A、Bの条件がクリアしたら、次にドライブ2とドライブ3のフィボナッチを確認します。
ドライブ2の見方
1-Aのトレンドにフィボナッチ0-100を合わせて、ドライブ2の安値の数値を見ます。ドライブ2の安値はフィボナッチ127.2~161.8%の範囲内にありますね。ドライブ2は条件クリアです。
A、B、ドライブ2の条件がクリアしたら、ドライブ3が確定するのを注意して待ちます。
ドライブ3の見方
2-Bのトレンドにフィボナッチ0-100を合わせます。そして、ドライブ3の安値がフィボナッチのどこに来るかを見ます。127.2~161.8%の範囲内であれば、ドライブ3も条件クリアです。
- Aの価格
- Bの価格
- ドライブ2の価格
- ドライブ3の価格
がすべて条件にクリアすれば、上昇スリードライブです。
もし価格が下がり始めたら
下降スリードライブでトレードする方法
下降スリードライブスの場合も同様に、ドライブ3の位置が確定する前にフィボナッチを挿入します。
- ドライブ1
- ドライブ2
- ドライブ3
A、Bの条件がクリアしたら、次にドライブ2とドライブ3のフィボナッチを確認します。
ドライブ2の見方
1-Aのトレンドにフィボナッチ0-100を合わせて、ドライブ2の高値の数値を見ます。ドライブ2の高値はフィボナッチ127.2~161.8%の範囲内にありますので、ドライブ2は条件クリアです。
A、B、ドライブ2の条件がクリアしたら、ドライブ3が確定するのを注意して待ちます。
ドライブ3の見方
2-Bのトレンドにフィボナッチ0-100を合わせます。そして、ドライブ3の高値がフィボナッチのどこに来るかを見ます。127.2~161.8%の範囲内であれば、ドライブ3も条件クリアです。
- Aの価格
- Bの価格
- ドライブ2の価格
- ドライブ3の価格
がすべて条件にクリアすれば、下降スリードライブです。
もし価格が上がり始めたら
勝つためのスリードライブストレード手法
それでは最後に、スリードライブスで勝つためのトレード手法をご紹介しておきましょう。
スリードライブスは、ここまで見てきたようにフィボナッチの条件が定められていて、見極めに手間がかかると同時に、そう頻繁に出てくるパターンではありません。
そこで、覚えておきたいのが、スリードライブスの類似パターンです。類似パターンを知ることで、スリードライブス分析も有効に活用していけます。
ハーモニック・サイファー
サイファーはハーモニックパターンの1つで、ABCDやスリードライブスとかなり似ているのですがは全く反対の意味合いを持つので覚えておきたいパターンです。サイファーもフィボナッチを挿入して分析します。
B、C、Dのフィボナッチの数値がABCDやスリードライブスとは大きく異なります。
- 上昇サイファー → 上昇トレンド・買いシグナル
- 下降サイファー → 下降トレンド・売りシグナル
上昇サイファーは、一見すると下降スリードライブスを形成するかのように見えるのですが、Dの位置(下降スリードライブスのBの位置)がB(下降スリードライブスのA)よりも下がる点に注目です。「売り」ではなくて「買い」のサインなので注意する必要があります。
下降サイファーは、上昇スリードライブスに向かいそうに見えます。しかし、Dの位置(上昇スリードライブスのBの位置)がB(上昇スリードライブスのA)よりも高い位置にきます。下降サイファーは「売り」のサインです。
ハーモニック・ガートレー
ガートレーもハーモニックパターンの1つで、起点となるXの位置や、B、C、Dのフィボナッチの数がスリードライブスとは全く異なります。
- 上昇ガートレー → 上昇トレンド・買いシグナル
- 下降ガートレー → 下降トレンド・売りシグナル
上昇ガートレーでは、起点Xが最安値にありAが最高値の位置にきます。Dから上に反発するタイミングで「買い」です。
下降ガートレーでは、起点Xが最高値にありAが最安値の位置にきます。Dから下に反転するタイミングで「売り」です。
まとめ
スリードライブスやその他ハーモニックパターンは、すべてフィボナッチ・リトレースメントを使う売買シグナルです。
ご存知の方も多いように、フィボナッチは古代から使われている黄金比率が基盤となっています。黄金比率に基づいたハーモニックパターンは信頼性があり、的中率が高いと評価されている分析手法です。
スリードライブスやハーモニックパターンを覚えることで、おそらく確実に勝率を上げていけるでしょう。