プロのFXチャート分析実践講座「新値足の見方と勝つための活用法」

「新値足」はチャートの表示方法の1つで、ローソク足から派生した時間軸がない特殊なインジケーターです。日本で古くから使われている分析手法で新値足チャートとも呼ばれています。

「新値足」では、値動きのみを重視して高値・安値が更新された時に新たにローソク足が追加されます。相場の値動きのみに集中してチャート分析が行えることがメリットです。

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「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。

今回は「新値足」の基礎知識見方や使い方勝つためのトレード手法をわかりやすく解説していきます。ぜひ、試してみて下さい。

FXテクニカル 新値足

FXテクニカル 新値足

「新値足」はローソク足のフルボディの陰線・陽線を使ってチャートを表示するインジケータです。

まずは、「新値足」の概要を簡単に見ていきましょう。

新値足とは

新値足とは

新値足とは

昔から日本で使われている分析手法の1つで、相場の値動きのみをチャートで表示するインジケーターです。通常のチャートとは異なり、時間軸がないことが大きな特徴です。

新値足は、

  • 価格が直近の高値を超えた時
  • 価格が直近の安値を下回った時

にローソク足の陰線・陽線が追加されていく仕組みになっています。

時間軸がない非時系列チャートなので右側に価格軸のみが表示されます。

  • 価格変動の推移が一目でわかる
  • 値動きにのみ集中してチャート分析できる

ことが新値足の大きなメリットで、どれくらいの期間でいつ頃価格が動いたのかは見れないことがデメリットだといえます。

新値足は、どちらかというと大まかなトレンドの方向性や大きな価格変動の動きを掴むのに適したインジケーターです。スイングや長期トレードにおすすめです。

基本的に細かい値動きは表示されないので、スキャルピングなどの超短期トレードには不向きです。

ちなみに、新値足と似たような非時系列チャートには、ポイント&フィギュアカギ足などがあります。

新値足の由来・起源

新値足の由来・起源は定かではありませんが、おそらくローソク足よりも後になって開発されたインジケーターだといわれています。名称からも分かるように、「新しい値のローソク足 = 新値足」として、ローソク足のフルボディの陰線・陽線が使われています。新値足の見方は、基本的にローソク足と同じです。

ちなみにローソク足は、江戸時代に米商人である本田宗久氏によって開発されました。江戸時代以降、商取引・市場の分析手法としてローソク足を基盤に様々なタイプのインジケーターが開発されています。新値足も本多宗久氏が開発したという説もあるようです。

新値足の基礎知識

新値足は、高値・安値を更新すると新たに次の陰線・陽線が加えられていきます。

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ここでは、新値足の基礎知識・基本的な仕組みを解説していきます。

新値足の陰線・陽線

新値足の陰線・陽線

新値足では、ローソク足の陰線・陽線が使われます。

  • 陰線: 始値が高値で終値が安値(下降)
  • 陽線: 始値が安値で終値が高値(上昇)

ローソク足では、高値・安値・始値・終値の4本値が表示されますが、新値足は始値・終値のみが表示され、途中経過でつける高値・安値は考慮されません。

上図では陰線に緑色、陽線に青色を使っていますが、2本の陰線・陽線は各自で設定可能です。

一定以上の価格変動があった時に、

  • 価格が直近の高値を抜いたら → 陽線
  • 価格が直近の安値を下回ったら → 陰線

が新たに加えられていく仕組みになっています。

基本的に、陽線に転換すれば「買い」、陰線に転換すれば「売り」と見ていきます。
  • 新値足が陰線から陽線に切り替わる → 陽転
  • 新値足が陽線から陰線に切り替わる → 陰転

新値足の用語では、陰線から陽線にローソク足が切り替わることを「陽転」といい、陽線から陰線に切り替わることを「陰転」といいます。

  • 「陽転」は買いシグナル
  • 「陰転」は売りシグナル
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通常のローソク足は、時間足によって1時間ごと・1日ごとにチャートが更新されていきますよね。

新値足の場合は、一定以上の値動きがなければチャートは動かないことになりますので、時間軸は全く関係ないチャート・インジケータとなるのです。値動きのみを集中して見たい時に役に立ちます。

新値足の種類

新値足はいくつか種類があります。

  • 新値3本足
  • 新値5本足
  • 新値10本足

などが代表的な新値足で、一般的によく使われているのが「新値3本足」です。

新値3本足は、直近3本の高値・安値より価格が動いた時に新しい新値足が付け加えられていく方法です。
新値足の種類
現在の終値が、直近3本における高値を超えた時は陽線が加えられ、直近3本における安値を下回ると陰線が加えられます。例えば、現在の終値が直近3本の高値・安値内で動いたとすれば、ローソク足は追加されないことになります。

同様に、新値5本足は5本、新値10本足は10本の高値・安値が対象となります。

新値足で何本のローソク足を対象にするかは、期間設定によって変わってきます。デフォルトでは、新値3本足を意味する「期間 3」の設定となっています。期間を5にすれば新値5本足でローソク足が加えられていきます。
1年間のローソク足の数

1年間のローソク足の数は、

  • 日足チャート: 250本程度
  • 新値足: 50~100本程度

と新値足のローソク足の数は著しく少なくなるのが特徴です。期間を長くするほど、ローソク足の数は少なくなります。

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各自の投資スタイルに合わせて、期間を長めにしたり短くしたりと調整可能です。中期トレードでは期間5、長期トレードでは期間10あたりが目安です。

ただし、期間を長くしすぎるとチャートがなかなか更新されないので注意しましょう。

新値足の見方

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それでは、新値足の見方を具体的にチャートを見ながら解説していきます。

陰線と陽線でトレンドを見る

陰線と陽線でトレンドを見る
陰線と陽線の比率・動きからトレンドを読むことができます。

陽線がメインで上に向かっている時は、相場は上昇トレンドにあることを意味しています。

陰線がメインで下に向かっている時は、相場は下降トレンドにあることを意味しています。

上昇・下降のタイミングを見る

陰線から陽線、陽線から陰線、陰転・陽転を目安に上昇・下降のタイミングを見ることができます。

陰転と陽転

陰転と陽転

陽線が続いた後で、陰線に切り替わることを陰転といいます。陰転が見られた時は、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる可能性が高くなります。陰転する前の陽線の数が多い(長い)ほど、下降トレンドに切り替わる強いサインと見ることができます。

陰転は「売りシグナル」です。1本のみでまた陽線に戻ることもあるので、2本目が出た時に「売り」と判断するのが手堅い方法です。

陰線が続いた後で、陽線切り替わることを陽転といいます。陽転したタイミングで下降トレンドから上昇トレンドに切り替わる可能性が高くなります。陽転する前の陰線の数が多い(長い)ほど、上昇トレンドに切り替わる強いサインと見ることができます。

陽転は「買いシグナル」です。陽転の場合も1本のみでまた陰線に戻る可能性もあります。2本目を確認してからのエントリー・エグジットが成功のコツです。
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一般的には、新値足が反転して2本目が小さい時にトレンドが切り替わる確率が高いといわれています。

トレンドの転換を見極める方法

陰転・陽転が見られた時に、トレンドの転換を見極める方法として、3本の高値・安値を目安にする方法があります。

上昇サイン

上昇サイン

下降トレンドにあり陰線が継続した後で陽転しました。この時に陽線が直近3本の高値を超えた時は、上昇トレンドに転換する可能性が強まります。

直近3本の高値を超えなかった場合は、また陰線メインの下降トレンドに戻ることもあります。まずは、陽転した1本目が超えるかどうかを確認します。1本目が高値を超えなかった場合は、2本目の陽線が超えるかどうかを確認する必要があります。

下降サイン

下降サイン

上昇トレンドにあり陽線が続いた後で陰転しました。陰転直後にすぐに「売り」に走らないように気をつけて下さい。陰転したと思っても、すぐに陽線が出てきて上昇トレンドに戻る可能性があります。

陰転した後で、陰線が直近3本の安値を下回った時は、下降トレンドに転換する可能性が強まります。まずは、陰転直後の1本目が直近3本の安値を下回るかどうかを確認します。1本目が下回らなかった場合は、2本目が下回るのを確認してから「売り」のタイミングを計ります。

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陰転・陽転後の1本目が、直近3本の高値・安値を大きく超えるほどにトレンドが切り替わる強いサインと見ることができます。

新値足の使い方

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それでは、実際に新値足を使ってFXトレードする方法を解説していきます。

シンプルに陰転と陽転でエントリー・エグジット

新値足では、単純に陰転すると価格が下がり、陽転すると価格が上昇することを表しています。新値足を使ったFXトレードで一番シンプルな方法は、陰転・陽転のタイミングでエントリー・エグジットを計る方法です。
シンプルに陰転と陽転でエントリー・エグジット
ロングの場合
  • 陰線が陽線に陽転したタイミングで「買い」エントリー
  • 陽線が陰線に陰転したタイミングで「売り」エグジット
ショートの場合
  • 陽線が陰線に陰転したタイミングで「売り」エントリー
  • 陰線が陽線に陽転したタイミングで「買い」エグジット
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この方法はシンプルでわかりやすいのが特徴です。1つのトレンドの流れの中で、価格が上下していくタイミングを狙っていけます。ただし、早めのエントリー・エグジットが重要なポイントとなり、比較的に小さな値動き・トレンドで売買を繰り返すことが稼ぐコツです。

すぐに陽線が陰線に、陰線が陽線にもどるリスクもありますので、早めに損切りするなど決断力を要する方法です。

陰線・陽線が続いた時を狙ってエントリー・エグジット

新値足トレードで成功率を上げるために、あえて陰線・陽線が長く続いた時を狙う方法があります。
陰線・陽線が続いた時を狙ってエントリー・エグジット

陰線が連続で続いた後の陽転は強い上昇トレンドのサイン、連続で陽線が続いた後の陰線は強い下降トレンドのサインとなり、転換後のトレンドも連続して陰線・陽線が出てくる可能性が高くなります。

陰線・陽線が連続する数の目安として、5~10以上だといわれています。

ロングの場合
  • 陰線が5~10以上連続した後の陽転で「買い」エントリー
  • 陽線が5~10以上連続した後の陰転で「売り」エグジット
ショートの場合
  • 陽線が5~10以上連続した後の陰転で「売り」エントリー
  • 陽線が5~10以上連続した後の陽転で「買い」エグジット
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陰線・陽線が連続して表示されたら、陽転・陰転するタイミングを構えて待ちます。この方法だと成功率が高くなりますが、陰線・陽線が連続する局面はそう多くはないので、トレード機会は少なくなる傾向にあります。

直近3本の高値・安値を目安にエントリー・エグジット

直近3本の高値・安値を目安にエントリー・エグジット
新値足で、より正確にエントリー・エグジットを計る方法は、陰転・陽転した時に直近3本の高値・安値を超えるかどうかを目安にすることです。
ロングの場合
  • 陽転した時に、直近3本の高値を確実に超えたら「買い」エントリー
  • 陰転した時に、直近3本の安値を確実に下回ったら「売り」エグジット
ショートの場合
  • 陰転した時に、直近3本の安値を確実に下回ったら「売り」エグジット
  • 陽転した時に、直近3本の高値を確実に超えたら「買い」エグジット
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新値足のチャートを見てみるとわかると思いますが、的中率が高いのはこの方法です。ほとんどの場合、直近3本の高値・安値ラインをクリアした時にはトレンドが転換しています。

勝つための新値足トレード手法

FXトレードで勝つために、どんな分析手法がよいのか試行錯誤している投資家は多いですよね。どのインジケータなら確実なサインが得られるのか、その答えは無きに等しく、「どのインジケーターも確実ではない」というのが本当のところです。

どんなに優れたインジケーターであっても、100%確実ではありません。

FXトレードで勝つためには、ファンダメンタルズを考慮しながら複数のインジケーター・分析手法にて裏付けを取ることが大切です。1つのインジケーターだけに依存しないように注意しましょう。

新値足は、トレンドの方向性や値動きの大きさ・傾向を探るために有効なインジケーターで、値動きのみに集中できることが大きなメリットです。

しかし、非時系列チャートとなるため通常のローソク足やその他インジケーターとの併用が難しくなってしまいます。なぜなら、新値足は時間の要素がないため過去のデータがマッチしないからです。

並行してローソク足チャートやその他インジケーターを利用する場合は、つねに「今どうなのか」を見ていくことが上手に使うコツです。
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新値足をより確実に使いこなしていくために、最後にトレンドライン・チャネルラインを組み合わせたトレード手法をご紹介しておきたいと思います。

トレンドラインを組み合わせた手法

新値足の流れにトレンドラインを引くことで、トレンドが切り替わるタイミングをより正確に計ることができます。
トレンドラインを組み合わせた手法

新値足で陰線が継続して下降トレンドに向かった場合は、高値の位置にトレンドラインを引いておきます。陽線が継続して上昇トレンドに向かった場合は安値の位置にトレンドラインを引いておきます。

ロングの場合
  • 陽線が出てきて陰線のトレンドラインを上にブレイクしたら「買い」エントリー
  • 陰線が出てきて陽線のトレンドラインを下にブレイクしたら「売り」エグジット
ショートの場合
  • 陰線が出てきて陽線のトレンドラインを下にブレイクしたら「売り」エントリー
  • 陽線が出てきて陰線のトレンドラインを上にブレイクしたら「買い」エグジット
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トレンドラインの見方や使い方を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。

チャネルラインを組み合わせた手法

チャネルラインを引いておけば、トレンドの転換だけでなくトレンドの継続、上昇・下降のタイミングを計ることができます。
チャネルラインを組み合わせた手法

新値足でトレンドが形成されてきたら、チャネルラインを引いて上にブレイクするか下にブレイクするか、あるいはそこで反発するかを確認します。

エントリー例
  • チャネルライン(上値ライン)を陽線が上にブレイクしたら「買い」エントリー
  • チャネルライン(下値ライン)で陰線が陽転して上に反発したら「買い」エントリー
エグジット例
  • チャネルライン(上値ライン)で陽線が陰転したら「売り」エグジット
  • チェネルライン(下値ライン)を陰線が下にブレイクしたら「売り」エグジット
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チャネルラインの見方や使い方はこちらで詳しく解説しています。合わせて参考にして下さい。

まとめ

新値足は、価格変動・値幅のみに重点をおいたインジケーター・チャートの表示方法です。時間軸がない非時系列チャートとなり、値動きのみに集中してチャート分析を行うことができます。

基本的な見方は、

  • 陽線が陰線に転換 → 陰転したら「売り」
  • 陰線が陽線に転換 → 陽転したら「買い」

となります。

他にも、陰線・陽線が連続しているかどうか、直近3本の安値・高値を超えたかどうかなどを目安に売買タイミングを計ることができます。

最近では、新値足の時系列チャートもありますが、もともとローソク足が基盤になっているため時系列の新値足はあまり意味がありません。普通どおりにローソク足チャートを使った方がよいです。
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時間にとらわれずに、値動きやトレンドの方向性に集中して分析したい場合におすすめの方法です。

今回ご紹介したように、トレンドラインやチャネルラインと組み合わせることで、より正確な相場分析が実現します。ぜひ、試しに使ってみて下さい。

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