プロのFXチャート分析実践講座「エンベロープの見方と勝つための活用法」

あまり知られていないインジケーターの中には、思いがけず各自のトレード手法に合ったものが存在します。使ってみないと、チャートに挿入してみないと、そのインジケーターの効力がわからないものです。まずは、色々なインジケーターを試してみるのがおすすめ。

「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。

今回のFXプロでご紹介したいインジケーターは「エンベロープ」です。

「エンベロープ」はメインチャートに直接挿入されるトレンド系インジケーターで、ボリンジャーバンドのように相場のレンジ幅を目安に相場分析が行えるものです。

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「エンベロープ」というインジケーターを初めて聞く方も多いでしょう。これから、「エンベロープ」の見方や基礎知識使い方や勝つためのトレード手法などをわかりやすく解説していきます。ぜひ、使ってみて下さい。

FXテクニカル エンベロープ

FXテクニカル エンベロープ

「エンベロープ」は、ボリンジャーバンドのように相場のレンジ幅に2本のラインを引いて、トレンドの方向性や上昇・下降のタイミングを計るインジケーターです。

最初に、「エンベロープ」の概要を簡単に見ていきましょう。

エンベロープとは

エンベロープとは

エンベロープとは

英語のEnvelope(エンベロープ)からきているインジケーター名です。現在の相場がどれくらい移動平均線から乖離しているのかを2本のラインで表したものです。基本的に相場は移動平均線から離れすぎることはないとの考えから、エンベロープを使うことで概ねの値動きを予想していくことができます。

Envelopeを日本語に訳すと、封筒、包み、枠、限界などの意味になり、相場のレンジ幅をラインで包み込んだようなイメージです。

  • 相場は基本的にエンベロープの枠内で推移
  • 相場はエンベロープからはみ出ると、エンベロープ内に戻る傾向にある

この2つの理論から、

上昇や下降のタイミング、トレンドの方向性や切り替わるタイミングなどを読むことができます。エンベロープの考え方や使い方は、ボリンジャーバンドと似ています。

エンベロープの開発者

エンベロープは、実はボリンジャーバンドの開発者でもあるジョン・ボリンジャーによって発表されたインジケーターです。

ボリンジャーバンドは、エンベロープを基盤に算出されています。エンベロープはボリンジャーバンドのシンプル版と見なすことができるでしょう。ジョン・ボリンジャーは移動平均線の分析には限界があり、誤ったサインも多いとのことで移動平均線からの乖離率に注目した分析アナリストです。

とくにボリンジャーバンドは超有名で、おそらくFX初心者でも知らない方はほとんどいないでしょう。

インジケーターで人気があるということは、それだけ使いやすくて的を得ているからだと判断できます。エンベロープもそれなりに期待できるインジケーターだといえます。

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エンベロープを含めたジョン・ボリンジャーの書籍も日本語版で多数出版されています。Amazonからも探すことができますので、興味ある方は見てみて下さい。

エンベロープの基礎知識

エンベロープの基礎知識

エンベロープは移動平均線からの乖離率を基に計算されています。相場は、基本的に移動平均線に沿って動く性質にあり、乖離率を見ることで相場の変動幅やトレンドの動きなどを読むことが可能だといわれています。

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では、エンベロープの計算方法や基本的な仕組みを見ていきましょう。

エンベロープの計算方法

エンベロープは上値ライン(上値バンド)と下値ライン(下値バンド)の2本のラインを、移動平均線(SMA)からの距離によって算出されます。
上値ライン
エンベロープ上値ライン = SMA × (1 + n ÷ 100)

n = 任意の期間(デフォルトでは14が多い)

下値ライン
エンベロープ下値ライン = SMA × (1 - n ÷ 100 )

n = 任意の期間 (デフォルトでは14が多い)

期間の設定

インジケーターの反応は、通貨ペアや相場動向、時間足などによって変わってきます。より効果的なサインを得るためには、各自でチャートに挿入してみて、マッチする期間を選択するのが理想的です。

どれくらいの期間がいいのかわからない場合は、まずはデフォルト設定で使ってみるといいでしょう。

エンベロープとボリンジャーバンドの違い

ちなみに、ボリンジャーバンドとの違いは、エンベロープでは単に移動平均線からの乖離率で計算されますが、ボリンジャーバンドは乖離率に加えて標準偏差値が考慮されている点が異なります。

どちらの方が効果的なのかは、トレード手法や戦略によるといえます。両方試してみて、しっくりくる方を使ってみるのがおすすめです。

エンベロープの基本的な仕組み

エンベロープはボリンジャーバンドを使ったことがある方なら、簡単に使いこなすことができます。考え方や使い方はボリンジャーバンドと全く同じです。

  • 上値ラインに相場が達すると下降し始める傾向にある
  • 相場が上値ラインを完全に超えると大きく上昇の可能性
  • 下値ラインに相場達すると上昇し始める傾向にある
  • 相場が下値ラインを完全に超えると大きく下降の可能性

など

基本的にエンベロープのバンド内で相場は推移していくとの見方です。完全にラインを抜けきった場合はトレンドが切り替わったり、新たなレベルのトレンドが継続されるサインと見ることができます。

エンベロープが数本設定できる場合もある

ベーシックなエンベロープは上値と下値の2本のラインで構成されています。取引ツール・チャートソフトによっては複数のエンベロープや中央線が挿入できるものもあります。

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ここでは、ベーシックな2本のラインを使ったエンベロープを解説していきます。

エンベロープの見方

エンベロープの見方
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それでは次に、エンベロープの見方を解説していきます。

上昇と下降のタイミングを見る

エンベロープの最もベーシックな見方は、上値ラインと下値ラインを使って、ベーシックに上昇と下降のタイミングを見る方法です。

相場が上値ラインに触れると下降に向かう、相場が下値ラインに触れると上昇に向かうサインです。トレンドの切り替わるタイミングを計ることができます。
上昇と下降のタイミングを見る

エンベロープの上値ラインに触れると、相場はそこから価格が下がり始める傾向にあります。上値ラインで価格が下がり始めたら「売りのサイン」です。

同様に、下値ラインに相場が触れると、そこから価格が上がり始める傾向にあります。下値ラインで価格が反発し始めたら「買いのサイン」です。

トレンドの継続を読む

エンベロープを見るもう1つのポイントは、トレンドの継続を読む方法です。

上値ラインで価格が下がらなかった場合、下値ラインで価格が上がらなかった場合は、トレンドがそのまま継続するサインと見ることができます。

上昇トレンド

上昇トレンド

相場が上値ラインに触れた後価格が下がらずに、上値ラインに沿って推移する時は上昇トレンドがそのまま継続するサインと見ることができます。下がらずに、上値ラインに沿って動き始めたら「買いのサイン」です。

下降トレンド

下降トレンド

相場が下値ラインに達しても、価格が上昇に変わらずに下降する時は下降トレンドが継続するサインです。下値ラインに沿って価格が推移し始めたら「売りのサイン」です。

横ばいトレンド

横ばいトレンド

相場が上値ラインにも下値ラインにも向かわずに、2本のラインの中央で推移する時は、横ばいトレンドが継続するサインです。横ばいトレンドでも価格の上下に沿って売買することが可能ですが、基本的には「様子見のサイン」で、横ばいからブレイクするタイミングを狙います。

相場の急騰・急落を読む

エンベロープの2本のラインを相場が完璧に抜けきった時は、価格が大きく急騰・急落する可能性があります。

上値ラインと下値ラインを完全に抜けきった時は、価格が急騰・急落するサインと見ることができます。

価格が急騰

価格が急騰

相場が上値ラインの方向に向かった後、上値ラインに触れても価格が下がらずに完全に上に抜けきった時は、大きく上昇する可能性があります。

完全に上値ラインを抜けきったのを確認できたら、「買いのサイン」です。

価格が急落

価格が急落

相場が下値ラインに向かった後、下値ラインに触れても価格が上昇し始めずに、完全に抜けきった時は価格が大きく下降する可能性があります。

完全に下値ラインを抜けきったのを確認できたら、「売りのサイン」です。

中央を抜けるかどうか

下値ラインから上昇、上値ラインから下降に向かった場合に、中央を抜けるかどうかが1つの判断基準となります。

これは、ボリンジャーバンドと同じ考え方で、ボリンジャーバンドには中央線(移動平均線SMA)が表示されますが、エンベロープでは中央線の表示はないので、概ねで中央の位置を見なければなりません。

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中央に移動平均線を挿入する方法は最後にご紹介しますので、まずは、概ねで中央の位置を見る例を見ておきましょう。

中央から上昇に向かう

中央から上昇に向かう

上値ラインから下に向かい始めて、中央を抜けきらずに反転し始めた場合は、上昇に向かう可能性が高いです。中央を抜けずに上に向かい始めたら「買いのサイン」です。

中央から下降に向かう

中央から下降に向かう

下値ラインから反転した後で、中央を抜けきらずに下に向かい始めた場合は、下降に向かう可能性が高くなります。中央を抜けずに下に向かい始めたら「売りのサイン」です。

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以上が大まかなエンベロープの見方です。次に、エンベロープの使い方を解説していきます。

エンベロープの使い方

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それでは、実際にエンベロープを使ってエントリー・エグジットする方法を見ていきましょう。

上値ラインと下値ラインでエントリー・エグジット

上値ラインと下値ラインでエントリー・エグジット
エンベロープを使って、上値ラインと下値ラインに触れたタイミングでエントリー・エグジットを計ることができます。
  • 相場が上値ラインに触れて、下がり始めるタイミングで「売り」
  • 相場が下値ラインに触れて、上がり始めるタイミングで「買い」

触れた瞬間にエントリー・エグジットすると、読み間違えることもあるので、反転を確認した後でエントリー・エグジットするようにしましょう。

サインを見ながらエントリー・エグジット

サインを見ながらエントリー・エグジット
上値ラインと下値ラインを目安にしながらも、抜けきった時や中央で反発した時など、サインを見ながらエントリー・エグジットしていきます。
  1. 下値ラインを反発し始めたので「買い」エントリーです。次に上値ラインで下がり始めたので「売り」エグジットします。
  2. 中央を下に抜けきらずに反転し始めたので上昇です。ここで「買い」エントリーです。そして上値ラインを抜けきって上昇し続けました。上値ラインに向けて下がり始めた時点、または上値ラインに触れた時点で「買い」エグジットで利確です。
  3. 下値ラインで反発「買い」エントリー、上値ラインを大きく抜けましたのでここで再度「買い」、またはそのまま保有です。上がりきって下がり始めた時に「売り」エグジットでたっぷり利確です。
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というように、臨機応変にエンベロープを使って、利益の状況を見ながらエントリー・エグジットのタイミングが計れます。

勝つためのエンベロープトレード手法

どんなインジケーターでもそうですが、1つだけのサインでは判断に悩むことも多く、サインが誤っていることも多々あります。

より正確なチャート分析を実現するためには、必ず複数のインジケーターや分析手法を併用することが大切です。

同じタイミングで、複数のサインが得られた場合は、上昇・下降の可能性が高まります。

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そこで、エンベロープのトレード手法として、最後に移動平均線とRSIを組み合わせて使う方法をご紹介したいと思います。

移動平均線と複数のエンベロープ

エンベロープは基本的に2本のラインなので、中央に移動平均線、追加でオシレーター系インジケーターのRSIを挿入します。大抵のチャート・取引ツールでは移動平均線とRSIは搭載されています。

では、挿入する方法を解説していきます。

移動平均線を中央線として挿入

エンベロープの中央線として使う移動平均線は、

  • Expotential(Simpleではなくて)
  • エンベロープと同じ期間

と設定して下さい。

そうすると、エンベロープの2本のラインのほぼ中央に移動平均線が挿入されます。

移動平均線はエンベロープで見る相場の上昇トレンド・下降トレンドを見極めるうえで使います。移動平均線を抜けずに、下に下がったら下降トレンド、上に反発したら上昇トレンドです。

RSIを挿入する

RSIを挿入する方法は、

  • デフォルトよりも短めの期間の方がサインが見やすい(9~11あたり)
  • 通貨ペアや時間足によっても異なる

のでマッチする期間設定にして挿入して下さい。そうすると有効なサインが得られます。

RSIは70付近あるいは70以上で売りサイン、30付近あるいは30以下で買いサインです。

エグジット・エントリー例

エグジット・エントリー例
  1. 下に下がりきった相場がエンベロープの下値ラインに戻ってきました。下値ラインから上に向かう可能性が高くなります。下値ラインから確実に上に向かい始めた時点でRSIを確認すると買いサインです。ここで手堅く「買い」エントリーします。
  2. 相場は中央線を抜けて上に向かいました。上昇トレンドの継続です。RSIでもとくに売買サインはなしで、ややラインは上向き、次のサインを待ちます。
  3. 上昇トレンドが継続する中、一旦相場は中央線まで下がり始めました。しかし中央線を抜けきらずに上にまた反転しています。上昇トレンドが継続するサインです。RSIでは中央よりやや上の部分でゆるやかに浄書うに向かおうとしています。とくに売買サインはなしなので、しばらく様子を見ます。
  4. 大きく上値ラインを上に抜けた後、相場は上値ラインに戻ってきました。RSIは70を超えています。そろそろ下降トレンドに切り替わる可能性が高いといえます。ここで、取り逃さないように「売り」エグジットで確実に利益を得ます。
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以上のように、エンベロープだけでは判断が微妙な時や、サインを裏付ける意味でも、移動平均線やRSIが役に立つのです。
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移動平均線について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。
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RSIの見方や使い方はこちらからご覧になれます。合わせて参考にして下さい。

まとめ

エンベロープは、相場のレンジ幅を2本のラインで表示したインジケーターです。基本的に相場は移動平均線から大きくそれることはないとの考え方から、エンベロープの範囲内で価格は推移していくと考えられています。

  • 上値ラインに触れると → 下降
  • 下値ラインに触れると → 上昇

この2つを基盤にして、さらに、

  • 上値ラインに沿って動く → 上昇トレンド
  • 下値ラインに沿って動く → 下降トレンド
  • ラインを大きく超える → 急騰・急落
  • 中央線を抜けない → トレンドの継続

などと数々のサインを得ることが可能です。

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エンベロープ1つだけでは、誤ったサインが出たり、判断が難しかったりと限界があります。今回ご紹介したように、中央線に移動平均線、売買サインを補強するRSIを併用することで、勝率が高いトレードが実現できます。ぜひ、この機会に試してみて下さい。

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