FXトレードでインジケーターを使いながら、ダマシが多すぎてわかりづらかったり、相場の動きに一歩遅れてサインが出て流れに乗りそびれてしまったりと、もっと最適なインジケーターを探していますか?確かにどんなインジケーターでも、ある程度は相場の動きに連動したサインを発するもので、後からチャートを見て確認すると納得できるのですが、より正確に相場の動きに先行してサインをくれると助かりますよね。
そこで試してみたいのが「ギャン」です。
「FXプロのFXチャート分析実践講座」では基礎的なインジケーターから上級者向けのインジケーターまで幅広い種類をシリーズでご紹介しています。
FXテクニカル ギャン
「ギャン」は、「フィボナッチ」のように各自でチャートに挿入する描画ツールとして使うインジケーターです。ダマシが多かったり、相場に出遅れたりするインジケーターもある中、「ギャン」の正確さや先行性が一部の投資家から高く評価されています。
まずは、「ギャン」の概要や特徴を簡単に見ていきましょう。
ギャンとは
ギャンとは、
ギャンには複数のラインパターンがあって、トレード手法に合わせて使い分けることができます。
ギャンの種類
- ギャンライン
- ギャンファン
- ギャングリッド
- ギャンスクエア
などが代表的なギャンの種類です。
ギャンをチャートに挿入することで、トレンドの転換ポイントや上昇・下降のタイミングを計ることができます。
W.D.ギャン
「ギャン」を開発したのは、ウイリアム・ディルベルト・ギャン/William Delbert Gann(1878年生まれ)で、インジケーター「ギャン」の名称は開発者の名前がつけられています。
旅行者と接する機会が多かった彼は投資について独学で学び、夜間ビジネススクールに通い始め、地元のストック・ブローカーで働くようになりました。その後、成功した彼はNYに移住して投資の世界に本格的に足を踏み入れました。生涯を投資家・分析アナリストとして活躍し、彼の生涯における投資の勝率は80%を超えるといわれています。彼の生涯は謎につつまれている部分も多く、世界一ミステリアスな投資家とも称されています。
インジケーター「ギャン」は、W.Dギャンが自らの経験から築き上げたギャン理論が基盤となっています。インジケーター「ギャン」やW.D.ギャン、さらにギャン理論に関する本が日本語でも多数出版されています。本人の著作物の翻訳版や、影響を受けた投資家の解説版など多彩な種類から探すことができます。
ギャンの基礎知識
ギャンは、古代ギリシャの哲学や幾何学、占星術や数学に基づいて導き出された奥が深いインジケーターです。
ギャンの基本原則と価格パターン
相場を予想していくうえでギャンの基本原則なっているのはトレンドラインの角度です。W.D.ギャンによると、市場の価格パターンは一定の法則のもとで動いていくとしています。
ギャンには、ギャンライン、ギャンファン、ギャングリッド、ギャンスクエアとありますが、ギャンのインジケーターはすべて45度のトレンドラインが基本原則として使われています。
- 1×1/45度
- 1×2/63.75度
- 2×1/26.25度
- 3×1/18.75度
- 4×1/15度
- 8×1/7.5度
- 1×3/71.25度
- 1×4/75度
などの角度があり、他にも様々な角度が1×1/45度を基盤に算出されています。
ギャンに沿って相場は動く
ギャンで表示されるトレンドラインに沿って相場は動く傾向にあり、1つのギャンのトレンドラインから相場がブレイクすると、次のギャンのトレンドラインの流れにかわることを意味しています。
ギャン理論
次に、投資手法としてW.D.ギャンがあみだしたギャン理論をご紹介します。ギャン理論は、ギャン自身が実際に取引に使っていた「28の取引ルール」のことです。
”The Mathematical Geometric mechanics of Financial Markets”という彼の著書で紹介されているルールです。
28の取引ルール
- 資金の10分1以上の損失リスクは絶対に避ける
- ストップロスを設定する
- 過剰なトレードは避ける
- 利益を損失に変えないこと
- トレンドの流れに逆らわない
- 迷いがある時はトレードしない
- アクティブなトレードのみ狙う
- リスクを多方面に分散せよ
- 指値注文ではなく成行注文で執行せよ
- 納得のいく理由がなければ決済するな
- トレードで得た利益は取引とは別で管理せよ
- スキャルピングではトレードしない
- 損失額を平均化したいための買い増しはするな
- 焦りや不安から待てなくなったからと決済するな
- 小さな利益と大きな損失にならないように
- 一度設定したストップロスは変更しない
- 頻繁に売買するのは避ける
- ショートも使いこなしてトレンドの波に乗る
- 安からと買うな、高いからと売るな
- pyramiding (ポジションを段階的に増やすこと)はレジスタンスを超えたら買い、サポートを下回ったら売りで追加するなど注意せよ
- 強いトレンドが見られた時のみpyramidingに臨む
- 決してヘッジで両建てするな
- 理由もなくポジションを変えるな
- 長期トレードで利益を得た後は取引量を増やすな
- 相場の天井や底を予想しない
- 他人の意見に左右されない
- 損失が出たら取引量を減らすこと
- 間違った場所でエントリー・エグジットしない
というルールに沿るべきだというのがギャン理論です。
ギャンの見方・引き方
代表的なギャンは以下の4種類があります。
- ギャンライン
- ギャンファン
- ギャングリッド
- ギャンスクエア
ギャンライン
ギャンラインとは、 1本づつ自由自在に線が引けるトレンドラインのことです。ギャンラインは、一般的な描画ツールのトレンドラインとほとんど使い方は変わらないのが特徴です。
通常のトレンドラインと何が違うかというと、
ギャンラインの引き方
トレンドラインを引きたい起点にギャンラインをあてて、マウス操作でラインを引き延ばしていけます。角度を確認・設定したい場合はパラメータの設定で確認・変更することができます。
トレンドラインを引くコツは、高値か安値が段階的に上がっている・下がっている箇所を見つけることです。高値または安値のラインを1本の線でつなげるイメージです。多少ははみ出たり足りなかったりする部分もありますので、きっちり合わなくても気にしなくてよいです。概ねの流れを掴むようにラインを引きます。
ギャンラインの修正・移動
ギャンラインを修正・移動する時は、ラインを右クリックします。そうすると3か所に小さな丸が出てきますので、この3つの丸を使って操作します。
- ラインの起点の移動・延長
- ライン全体を移動・高さの調整
- ラインの延長・角度の調整
ギャンラインの見方
- レジスタンスのポイント → このラインに触れると価格が下がり始める
- サポートのポイント → このラインに触れると価格が上がり始める
- ブレイクポイント → 上と下に引いたギャンラインを相場が抜けるとトレンドが転換
ギャンファン
ギャンファンはトレンドの通り道を同時に8本表示できるラインです。どれか1本を相場の流れにマッチさせると、自然とその他の場所もある程度のトレンドの流れがマッチしてくるという機能に優れたツールです。わかりやすくいうと、「複数のトレンドライン同時表示ツール」といったところです。
ギャンファンの引き方
ギャンファンの引き方は、ギャンラインと同じです。まず、起点となる部分にギャンファンを挿入すると8本のトレンドラインが表示されます。このままの状態では相場の動きにマッチしませんので、マウス操作で各自で調整します。
- ギャンファンが始まる地点
- 全体をこのままの形状で移動させる
- 角度や長さを調整する
ギャンファンの見方
8本のギャンファンのラインから、1つ1つのトレンドエリアにおけるレジスタンス・サポートのポイントがわかります。例えば、エリア②で動いていた相場がブレイクしたエリア④にきたとすれば、しばらくはエリア④の流れで推移する可能性があります。2つ3つのエリアをまたがって価格が動くこともあります。
ギャングリッド
ギャングリッドはトレンドの切り替わりや上昇・下降のポイントを細かくエリア分けして分析できるツールです。
ギャングリッドの引き方
ギャングリッドを1つのトレンドの起点に合わせて挿入します。あとはマウス操作で相場の動きとグリッドのラインがマッチするように調整します。
- ギャングリッドの起点となる場所を調整
- グリッド全体をそのままの形状で移動
- グリッドの高さや幅を調整
ギャングリッドの見方
1つのグリッドエリアに相場が突入したら、そのエリアのラインがレジスタンス・サポートのポイントで高値・安値の目安になります。1つのエリアのレジスタンスラインを抜けると次のエリアのレジスタンスラインまで上昇する可能性があります。
もしレジスタンスラインを抜けたなら、次のエリアのレジスタンスラインまで上昇する可能性があります。もし、次のエリアのレジスタンスラインでブレイクせずに下がり始めた場合は、そのエリアのサポートラインでまた反発するかどうかを見ます。
もし、サポートラインを下回った場合は、一段下のエリアまで相場が下がる可能性があります。
ギャンスクエア
ギャンスクエアは、ギャンファンやギャングリッドの応用編で、トレンドラインをベースにエリアを放射型に細分化していくツールです。
ギャンスクエアの引き方
トレンドの起点にギャンスクエアを挿入して右上の角を引き上げて、適用したい範囲まで拡大していきます。相場の動きとスクエアのエリアがマッチするように調整していきます。
- ギャンスクエアの起点を調整
- ギャンスクエアの範囲・高さや幅を調整
ギャンスクエアの見方
複数のトレンドラインはトレンドの方向性を計るのに使います。色が変わる部分の2重ラインの箇所でトレンドが切り替わるサインが見られることが多いです。
ちょうど2重ラインのところで、放射線で描かれたレジスタンスを超えるかどうかが上昇のポイントとなります。もし超えた場合は、次のレベルの上昇トレンドへと進みます。
もし、色が変わる前に2重ラインのことろで価格が下回った場合は、下降トレンドに切り替わると判断することができます。
勝つためのギャントレード手法
それでは最後に勝つためのギャントレンド手法を解説していきます。
ギャンファンでエントリー・エグジット
相場が下がり始めたら、下向きのギャンファンを挿入します。
ギャンファンの8本のラインを、1つ1つのトレンドのレジスタンス・サポートラインとして使います。エリアごとに、どのラインがレジスタンス・サポートラインとなるのかが変わってきます。サポートラインで反発したら「買い」エントリー、次のレジスタンスラインで下がり始めたら「売り」エグジットで利確です。
あるいは、レジスタンスラインで下降し始めた時に「売り」エントリー、そして、サポートラインで上がり始めたら「買い」エグジットで利確です。
ギャングリッドでエントリー・エグジット
ギャングリッドは、細かくエリア分けされていて、上昇・下降のポイントが分かりやすいため、短時間の取引を繰り返したい時におすすめです。
細分化された各エリアの四方にあるラインが、レジスタンス・サポートラインの役割を果たしています。エリアごとに、サポートラインを反発したら「買い」エントリー、次のレジスタスラインで下がり始めたら「売り」エグジットで利確です。
まとめ
ギャンは、一見複雑に見えるので、使い方が難しそうだと思われがちですが、相場の動きにラインをマッチさせるコツさえ掴めば、あとはラインに沿って判断できるので意外と簡単です。相場の流れにマッチした的確なギャンを使うことで、上昇・下降のポイントやトレンドが切り替わるポイントを、より正確にかつ早めに掴むことができます。
最初は1本のギャンラインをトレンドラインとして使うことから始めてみるとよいでしょう。使いこなせるようになったら、複数のギャンを組み合わせたりして、独自の手法を開拓していけます。