FXスイングトレードのレバレッジはどれくらいにすればよいのか、これからトレードを始めるにあたって疑問に思う方もいるでしょう。FXではレバレッジがかけれることが最大の魅力ですが、利益が数倍にできるかわりに損益も数倍に増えてしまうことを忘れてはいけません。
スイングトレードは基本的にポジションを保有する期間も長くなるため、ある程度の含み損に耐えられるように低めのレバレッジにて設定していく必要があります。スイングトレードは中期的な視野で利益を狙います。頻繁にチャートをチェックするわけではないので、レバレッジを高くすることで知らない間に急激な相場変動によってロスカットに合う危険性があります。
リスクを抑えつつも、レバレッジを上手に活用してスイングトレードで成功していきたいものです。
FXのレバレッジ
FXではレバレッジをかけて、手持ちの資金の最大25倍まで取引することが可能です。
まずは最初にFXのレバレッジの仕組みについてに解説しておきましょう。
レバレッジとは
レバレッジとは
例えば1万円の資金を口座に入金したとすれば、25万円分の取引が可能となるのです。
25倍のレバレッジをかけた場合
25倍のレバレッジをかけた場合、どれくらいの資金でどれくらいの取引が可能なのか見ておきましょう。
- 1万円 → 25万円
- 2万円 → 50万円
- 3万円 → 75万円
- 4万円 → 100万円
- 5万円 → 125万円
- 10万円 → 250万円
- 100万円 → 2,500万円
レバレッジのメリット・デメリット
手持ちの資金以上の取引が可能となるレバレッジは多くの投資家にとって魅力となってますが、レバレッジは最強の武器ともなれば、最悪の落とし穴ともなり得るのです。
利益を数倍に増やせる
数倍の資金が使えるということは、利益も数倍に増やすことが可能です。本来なら3,000円の利益でも、レバレッジで取引量を増やしていけるので利益も3倍、5倍、10倍にできます。
損益も数倍に増える
しかし、利益が数倍に増やせると同時に、損益も当然ながら数倍に増えていくのです。本来なら3,000円の損益でも3倍、5倍、10倍に増えてしまうわけです。
レバレッジの危険性
レバレッジのデメリットは単に損失が拡大するだけでなく、ロスカットされる危険性が高まる点にもあります。
ロスカットとは
ロスカットは、もともと金融法によって投資家を守るために定められている制度なのですが、場合によっては一時的な為替変動でも強制的に決済されてしまうというデメリットがあるのです。
ロスカットの基準
FX会社によってロスカットの基準は異なり、証拠金維持率が100%~50%達した時に強制的にロスカットされてしまいます。ロスカットされると、含み損を抱えたポジションは否応なしに決済されますので、もうこれ以上価格が戻るのを待つことができません。
レバレッジを高くすると、証拠金維持率はわずかな値動きでも大きく低下しますのでロスカット基準となる100%~50%以下になる確率が高くなってしまうのです。
証拠金維持率とは
証拠金維持率とは
現在保有しているポジションの価格が、取引口座の残高に対してどれくらいの比率になっているかを示す数字です。
有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 = 証拠金維持率
で計算することができます。
レバレッジ | 証拠金維持率 |
---|---|
1倍 | 2500% |
2倍 | 1250% |
5倍 | 500% |
10倍 | 250% |
25倍 | 100% |
レバレッジが1倍だと証拠金維持率は2500%で、よほど天変地異的な価格変動がない限りは100%以下に低下することはあり得ないといえます。レバレッジが25倍だとすでに100%です。ここからわずかな値動きにて一気に証拠金維持率が低下してしまいます。
レバレッジは何倍なら安全?
では実際に、何倍のレバレッジなら安全性が確保できるのかを調べてみたいと思います。どれくらいの値幅でロスカットになってしまうのかを、1倍、3倍、10倍で比べてみます。
レバレッジ1倍
わかりやすいように米ドル/円を100円、ロスカット基準が50%で想定して計算していきます。
証拠金が10万円で計算
レバレッジ1倍、証拠金10万円で買える米ドルは1,000通貨(1,000ドル)です。
10万円 × 50% = 5万円
5万円 ÷ 1000通貨 = 50円
レバレッジ1倍の場合、米ドルが50円下がるまではロスカットにはなりません。米ドル/円が50円も下がる確率は非常に低いため、ほぼロスカットの危険性はないといえます。
※証拠金1万円、100万円と金額を問わず同じです。
レバレッジ3倍
次に3倍ではどうなるでしょうか。
証拠金が10万円で計算
レバレッジ3倍、証拠金10万円で購入できる米ドルは3,000通貨(3,000ドル)です。
30万円 × 50% = 15万円
15万円 ÷ 3,000通貨 = 16.666円
レバレッジ3倍だと、約16円の値幅までロスカットに耐えることができます。値幅が16円も動くには一般的に数か月~1年以上はかかるといえます。3倍でも安全性は高いといえます。
※証拠金1万円、100万円でも約16円の値幅に対応できます。
レバレッジ10倍
では、レバレッジが10倍の場合はどうなるでしょうか。
証拠金10万円で計算
レバレッジ10倍、証拠金10万円で購入できる米ドルは10,000通貨です。
100万円 × 50% = 50万円
50万円 ÷ 10,000通貨 = 5円
レバレッジ10倍だと、ロスカットにならない値幅の許容範囲は一気に狭くなります。一般的に数日間で5円も動くことはありませんが、何か突発的な重大な出来事があった時にはあり得ないとはいえないところです。
短期での保有ならぎりぎりOKかなという気もしますが、初心者の方にはやはりリスクが高いといえるでしょう。
※証拠金1万円、100万円でも許容範囲は5円です。
初心者は低レバレッジから始める
少額でも取引量が増やせるレバレッジは魅力的ですが、高いレバレッジは損失が数倍になるだけでなく、ロスカットによって大きな損失が確定してしまうリスクが生じます。初心者の方は、トレード手法を問わず、最初は低めのレバレッジから始めた方が安全なのです。
FXスイングトレードの特徴
レバレッジは長期のトレードになるほど低めに設定して方が無難です。スイングトレードは中期でポジションを保有していきますので、レバレッジは5倍以下で設定するのが無難です。
ポジションを保有する期間が長くなるほど、為替変動のリスクも高くなっていきます。FXスイングトレードでそれぞれにとって最適なレバレッジを決めていくために、スイングトレードの特徴を改めて解説していきます。
スイングトレードの期間
スイングトレードは数日~数週間で取引をする中期のトレード手法となります。
スイングトレードは長期トレードよりは短めで、デイトレードよりは長めにポジションを保有します。中期のトレードといっても、大まかには短期のスイングトレードと長期のスイングトレードと2つのタイプに分けることができます。
どれくらいの期間で取引していきたいのかによって、どれくらいのレバレッジならロスカットの危険性が回避できるか判断していけるでしょう。
2,3日~1週間程度の短期スイングトレード
デイトレードのように毎日は取引できないけれど、2,3日~1週間程度のペースで取引をしていきたい方は、狙う値幅もやや小さめになります。
2,3日~1週間程度で動く値幅は、その時期や選ぶ通貨ペアにもよりますが、概ねで50pips~200pips程度です。
チャートで見る短期スイングトレード
上記のチャートは米ドル/円の1時間足チャートです。
4月2日には107.25円、4日後の4月6日には109.28円で約200pips動いています。
勝つための最適なレバレッジ
短めにポジションを保有するのであれば5倍程度のレバレッジが最適なレバッレジです。せっかくレバレッジが使えるのに、利用しないのは勿体ないですから3倍以上はかけたいところです。もし、こまめにチャートをチェックして証拠金維持率を管理していけるのであれば、10倍でも何とか大丈夫なのかなとも思えますが、取引に馴れてからの方がよいと思います。
数週間~数か月の長期スイングトレード
時間に余裕をもって、長めの期間で取引していきたい方は、値動きの幅にも余裕を持たせておくことが大切です。数週間~1,2か月以上の期間になると価格の変動幅も大きくなり、200pips~500pips程度は動くことが予想されます。
チャートで見る長期スイングトレード
上記のチャートは米ドル/円の4時間足チャートです。
4月24日には112.33円だった米ドルは約3週間で300pips動いています。
勝つための最適なレバレッジ
スイングトレードでも長めに保有するのであれば3倍程度にレバレッジは抑えておきたいところです。スイングトレードは半ば放置状態であっても取引していける点が魅力となっていますので、頻繁に為替レートのチェックや相場予想ができない方は証拠金維持率にも余裕を持たせておくことが重要なポイントになります。
もし、取引にもある程度慣れてきてこまめにチャートの確認ができるのであれば、5倍あたりでも、ある程度の安全性は確保できるでしょう。
レバレッジのリスク対策
レバレッジによるリスクを回避する対策を考えていけます。
- 新型コロナなど不安材料が大きすぎる時は取引を控える
- 為替相場の乱高下が激しすぎる時は取引を控える
- 損切・利確をこまめに行う
- チャートや為替レートをこまめにチェックする
- 逆指値注文を必ず入れておく
レバレッジの仕組みと設定方法
レバレッジの損失リスクや、レバレッジによるロスカットのリスクについて理解できたところで、具体的にレバレッジを設定するにはどうすればよいのか気になりますよね。口座を解説する時に「レバレッジ〇倍」と設定しておけばいいのでしょうか。それとも取引する度に「この取引はレバレッジ〇倍」と設定できるのでしょうか。
実はレバレッジの設定は、各自で自由に設定できると誤解してしまう方も多いのですが、ほとんどのFX会社ではレバレッジを設定する機能はないのが現状です。
レバレッジが決まる仕組み
FXのレバレッジは、多くの場合「預け入れた証拠金」の金額と注文条件に応じて自動的に設定されています。通常は、2倍がいい、3倍にしたいなどと自分で決めることはできません。
預け入れた証拠金(資産残高)と、実際に取引する通貨ペアの為替レートと取引量とのバランスにてレバレッジを調整する仕組みになっています。従って、注文する時に必要な金額がいくらなのか、希望するレバレッジは何倍か、証拠金はいくら必要かなど、各自でバランスを考えて調整していきます。
レバレッジを調整する例
レバレッジを各自で調整する方法は、まず証拠金から概ねで希望するレバレッジをかけた時の金額はいくらなのかを概ねで把握しておきます。証拠金に希望レバレッジをかけて算出した金額が取引に使える金額になります。
証拠金 × 希望するレバレッジ
- 10万円(証拠金) × 3倍 = 30万円
- 10万円(証拠金) × 5倍 = 50万円
- 10万円(証拠金)× 10倍 = 100万円
例えば、証拠金が10万円でレバレッジを3倍程度に抑えたい場合は、ポジションの注文にかかる総金額は30万円程度が目安となります。注文内容は30万円以下に抑える必要があるということです。米ドル/円が100円であれば3,000通貨の注文にて、実効レバレッジ3倍が適用となります。
3倍で抑えたい場合、5000通貨を取引するなら実効レバレッジが5倍となりますので予定よりもオーバーしてしまうわけです。
- 100万円(証拠金) × 3倍 = 300万円
- 100万円(証拠金) × 5倍 = 500万円
- 100万円(証拠金) × 10倍 = 1,000万円
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はFXスイングトレードで勝つための最適なレバレッジ設定について解説していきました。スイングトレードはそれぞれの投資目的やライフスタイルに合わせて、数日程度の短期スイングトレード、数週間程度の長期スイングトレードとに分けることができます。どれくらいの期間でどれくらいの値幅を狙うのかによって、最低なレバレッジも変わってきます。
短めの期間で取引するならば5倍程度。長めのスイングならば3倍程度のレバレッジが理想です。多少のリスクを承知の上で効率よく稼ぎたい方は5倍以上のレバレッジもありですが、こまめにチャートをチェックするなどの対策が欠かせません。
レバレッジは基本的に自分で事前に設定しておくことはできません。証拠金と注文内容によって自動的にレバレッジが設定される仕組みになっています。最初に証拠金の金額に応じて希望するレバレッジで注文できる金額はいくらまでなのか、大まかにでも確認しておくことが大切です。