FXの利益にかかる住民税|所得割5%の内訳と翌年6月からの納め方
FXの利益にかかる住民税は所得割5%です。市町村民税と道府県民税への配分は自治体で違い、合計は変わりません。所得税の確定申告をすれば住民税の申告は要らず、しない年は市区町村へ申告します。納めるのは翌年6月からです。
FXの利益にかかる住民税は、所得割5%です。国税庁のタックスアンサーNo.1521は、FXの差益を他の所得と区分して「先物取引に係る雑所得等」とし、「所得税15パーセント(他に地方税5パーセント)の税率で課税されます(申告分離課税)」と説明しています。この「他に地方税5パーセント」が住民税の部分で、給与などにかかる住民税とは分けて計算されます。
ただ、5%と分かっただけでは手続きが決まりません。つまずくのは3か所です。5%の内訳(市町村民税と道府県民税の配分)が自治体によって違うこと。所得税の確定申告をしない年でも、市区町村への住民税の申告が必要になる場合があること。そして納めるのは取引をした年ではなく、翌年の6月からだということです。
この記事では、住民税の税率の内訳、誰がいつまでにどこへ申告するのか、税額が決まって通知が届く時期、納め方の選び方までを、国税庁と市区町村の公表資料で順に確かめます。税率全体(20.315%)の内訳と何が課税の対象になるかはFXの税金の仕組み、所得税の申告手続きはFXの確定申告のやり方で扱っているので、ここでは住民税の側に絞ります。
住民税のうち、FXの利益で動くのは「所得割」
広島市は、個人市民税を、前年中に所得のあった人に課されるもので、その人の前年1年間の所得に応じて課される「所得割」と、所得の多少にかかわらず広く均等に一定の税額で課される「均等割」とがある、と説明しています。均等割は所得の多少にかかわらず定額とされているので、FXの利益が増えたときに動くのは所得割のほうです。
次に、その所得割の税率です。船橋市は、個人市民税(所得割)は6%の比例税率、個人県民税(所得割)は4%の比例税率で、所得税は5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階の超過累進税率であると説明しています。給与や事業の所得にかかる住民税の所得割は、この合計10%です。
いっぽうFXの利益は、ほかの所得と分離して税率をかけます。柏市は「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」として、対象になる取引(商品先物取引、有価証券先物取引等または金融先物取引による事業所得または雑所得で一定のもの)に、所得税15パーセント、住民税5パーセント(市民税3パーセント・県民税2パーセント)の税率が適用されると示しています。
| 何の所得か | 住民税の所得割の税率 | 税額の計算のしかた |
|---|---|---|
| 給与・事業などの所得 | 市民税6%・県民税4%(合計10%) | ほかの所得と合算して課税所得を出す |
| 先物取引に係る雑所得等(FXを含む) | 合計5% | ほかの所得と分離して計算する |
表の6%・4%は船橋市、5%は柏市の記載で、2026年10月28日に確認しました。6%・4%は標準の税率で、自治体が条例で独自の税率や上乗せを定めている場合があります。
分かれているのは税率の計算だけではありません。No.1521は、FXで差損が出た場合、ほかの「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益通算は可能だが、それ以外の所得の金額との損益通算はできないとしています。給与の多い人も少ない人も、FXの利益にかかる住民税の率は同じ5%で、FXで損が出ても給与にかかる住民税は減りません。通算できる範囲はFXの税金の仕組みで整理しています。
所得が少ない人には、均等割や所得割がかからない基準が自治体ごとに定められています。当サイトでは自治体別の基準額を確認していないため、この記事には載せていません(2026年10月28日確認)。自分が当たるかどうかは住所地の案内で確かめてください。
5%の内訳は自治体で違う。合計は変わらない
5%という合計は同じでも、市町村民税と道府県民税への配分は自治体の公表資料で違います。3つの市の記載を並べます。
| 市(都道府県) | 市町村民税 | 道府県民税・都民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 柏市(千葉県) | 3% | 2% | 5% |
| 武蔵村山市(東京都) | 3% | 2% | 5% |
| 堺市(大阪府・政令指定都市) | 4% | 1% | 5% |
表の数値は各市の公表資料の記載で、2026年10月28日に確認しました。政令指定都市である堺市だけ、市への配分が多くなっています。ほかの自治体の配分は、住所地の市区町村の案内で確かめてください。
配分の違いが金額としてどう出るかを、仮定の数字で見ます。課税される所得(所得控除を引いたあと)が35万円だったとして計算すると、次のようになります。
| 自治体の区分 | 市町村民税 | 道府県民税・都民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 3%・2%の市 | 10,500円 | 7,000円 | 17,500円 |
| 4%・1%の市 | 14,000円 | 3,500円 | 17,500円 |
この金額は、上の税率を35万円に掛けて当サイトで計算した仮定の例です。実際の税額には課税所得や税額の端数処理が入り、自治体の計算によって上の金額と一致しないことがあります。
図のとおり、内訳が違っても納める合計額は変わりません。この内訳が意味を持つのは、翌年に届く納税通知書で市町村民税と道府県民税が別の行に書かれているときです。2つの行を足して所得割を読むために知っておくと、金額の確かめが早くなります。
住民税が決まるのは翌年。納めるのは6月から
住民税でいちばん見落としやすいのは、課税される年がずれることです。船橋市は、個人市民税・県民税は前年の所得に対して課税されるが、所得税はその年に課税されると、違いを明記しています。広島市も、個人市民税を前年中に所得のあった人に課されるものと説明しています。
誰に課すかの基準日も決まっています。横浜市は、1月1日に住所のある人が住所地の市町村に納税義務を負うとしています。年の途中で引っ越しても、その年度の住民税を課すのは1月1日の住所地の市区町村です。
税額が本人に伝わるのは6月です。横浜市は、普通徴収について、区役所から6月初旬に送られる税額決定・納税通知書によって本人が6月、8月、10月、翌年の1月の4回の納期に分けて納めると案内しています。給与からの特別徴収は、毎年6月から翌年5月まで年12回に分けて、毎月の給与の支払の際に差し引いて納める形です。長野市の案内も、普通徴収の納期限を6月、8月、10月、翌年1月の末日、特別徴収を6月から翌年5月までの給与からの差し引きとしています。
図の形から分かるのは、利益が出た年には住民税の請求が来ないことです。所得税は確定申告の期限(原則として翌年3月15日)までに納めますが、住民税はその後の6月から始まります。利益を出した年のうちに資金をすべて次の取引へ回してしまうと、半年後に納期が来てから足りないことに気づきます。
所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は要らない
住民税の申告が必要かどうかは、所得税の確定申告をするかどうかで決まります。横浜市は、市民税・県民税の申告が不要な人として「税務署へ所得税の確定申告書を提出された人」を挙げています。税務署へ出した申告書の内容が市区町村へ伝わるため、同じ内容を二重に申告する必要はありません。
問題は、所得税の確定申告をしない年です。横浜市は、申告が必要な人として、所得税の確定申告をしていない場合で「給与所得以外の所得(配当、不動産、雑所得など)の金額の合計額が20万円以下の人」を挙げています。国税庁のNo.1900が示す「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」という条件は所得税の話で、住民税にこの20万円の線はありません。そのため、20万円以下で所得税の確定申告をしない人は、市区町村へ住民税の申告をすることになります。
期限と提出先も住民税の側で決まっています。横浜市は、申告期限を毎年3月15日(3月15日が土曜日または日曜日に当たるときは、これらの翌開庁日が期限)とし、提出先を賦課期日(1月1日)現在における住所地の区役所の税務課としています。申告書の名前や窓口の呼び方は自治体で違うため、住所地の案内で確かめてください。
納め方は、給与から引くか自分で納めるか
所得税の確定申告をする場合、申告書には住民税に関する事項を書く欄があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーは、給与・公的年金等に係る所得以外の所得に対する住民税について、徴収方法を選択することができるとし、給与から差し引くことを希望する場合は「特別徴収(給与から天引き)」、給与から差し引かないで別に窓口等に自分で納付することを希望する場合は「自分で納付」を選ぶと案内しています。給与・公的年金等に係る所得のみの人は、原則として特別徴収で、徴収方法は選べません。
選び方によって、前の節で見た納期のどちらが使われるかが変わります。
| 選んだ方法 | いつ納めるか | 税額の伝わり方 |
|---|---|---|
| 特別徴収(給与から天引き) | 6月から翌年5月まで、毎月の給与から年12回 | 勤務先が給与から差し引いて納める |
| 自分で納付(普通徴収) | 6月、8月、10月、翌年1月の4回 | 6月初旬の税額決定・納税通知書が本人へ届く |
表の納期は横浜市と長野市の案内によるもので、2026年10月28日に確認しました。どちらを選んでも税額は変わりません。変わるのは納める回数と、勤務先の給与計算を経由するかどうかです。確定申告書のこの欄の書き方はFXの確定申告のやり方でも触れています。
損失の年と、所得控除の違いに注意する
利益が出ていない年にも、住民税側の手続きが関係します。堺市は、先物取引の差金等決済に係る損失の金額について、翌年以後3年間にわたり申告により先物取引に係る雑所得等の金額から繰越控除できるとし、適用の要件として、損失が生じた年と翌年以降の各年度について、確定申告書または市民税・府民税申告書を納税通知書が送達される時までに提出することを挙げています。
所得税側の要件は国税庁のNo.1521・No.1523にあり、損失が出た年に付表と計算明細書を付けた確定申告書を出し、その後も続けて提出することが条件です。制度の中身と3年の数え方はFXの損失は3年繰り越せるにまとめています。住民税の側には「納税通知書が送達される時まで」という別の期限があることを、あわせて覚えておくと取りこぼしません。
もう1つの注意点は、所得税の課税所得をそのまま使えないことです。船橋市は、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除・扶養控除などの人的控除について、所得税と個人市民税・県民税で控除額が異なるとし、一般の扶養親族の場合は所得税38万円、住民税33万円と示しています。所得控除の額が違えば課税される所得も変わるため、所得税の課税所得に5%を掛けた金額が、そのまま住民税の所得割になるとは限りません。正確な金額は6月に届く通知で確かめます。
自分の住民税を確かめる4つの点
- 内訳:住所地の市区町村の公表資料で、市町村民税と道府県民税の配分を確かめる。合計は5%で、配分は自治体で違う
- 申告:所得税の確定申告をするかどうか。しない年は、3月15日までに1月1日の住所地の市区町村へ住民税の申告をする
- 納め方:確定申告書の住民税に関する事項で、特別徴収と自分で納付のどちらかを選ぶ。税額は同じで、納める回数が変わる
- 資金:住民税の納期は翌年6月からで、所得税より後に来る。利益のうち住民税にあたる分を残しておく
課税される利益の範囲や、スワップポイントがどの年の所得になるかという手前の判断はFXの税金の仕組みにあります。住民税は、そこで出した所得の金額をもとに自治体が計算する後工程です。
よくある質問
住民税の内訳が自治体で違うなら、引っ越すと納める額も変わるのですか
今回確認した3市では、市町村民税と道府県民税の配分が違っても、合計はいずれも所得割5%でした。どの市区町村が課税するかは賦課期日で決まり、横浜市は1月1日に住所のある人が住所地の市町村に納税義務を負うと案内しています。年の途中で引っ越しても、その年度の住民税は1月1日の住所地の市区町村が課します。ただし、自治体が条例で独自の税率や上乗せを定めている場合があるため、金額そのものは住所地の案内と納税通知書で確かめてください。
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 高(相場・条件が変わりやすい情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 13件(本文末の参考資料に記載)
金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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