国債の入札結果の見方|応札倍率と落札利回りを財務省の公表値で確認する
国債の入札は、日程が財務省の入札カレンダー、結果が回号ごとの入札結果ページに出ます。2026年10月6日の10年債は応募額7兆4,011億円、募入平均利回り3.101%。報道の応札倍率が何の割り算かまで、確認の手順をまとめました。
国債の入札は、日程と結果の両方が財務省のサイトに出ています。日程は月ごとの「入札カレンダー」、結果は回号ごとの「入札結果」のページです。2026年10月6日に入札された10年利付国債(第384回)は、応募額が7兆4,011億円、そのうち落札になった募入決定額が1兆9,661億円、募入平均利回りが3.101%でした。
先に1つ区別しておきます。ニュースでよく見る「応札倍率」は、財務省が公表している項目ではありません。上の応募額を募入決定額で割った値で、割り算をしたのは報じた側です。この記事でも計算して載せますが、公表されている数字と、こちらで計算した数字は分けて書きます。
扱うのは公表ページの場所と、そこに並ぶ項目の読み方だけです。入札の結果から相場の方向を導くことはしません。読み終えると、次の入札がいつあるかを自分で調べ、結果の表から落札の利回りと価格のばらつきを読み、報道に出てくる派生的な数値を自分で再現できるようになります。国債の利回りそのものの水準を日米で比べる手順は、日米の10年国債利回りとは?金利差を公式データで確認する手順にまとめてあります。
入札の日程は、月ごとのカレンダーに出ています
財務省の「入札情報」のページに置かれているのは2つだけです。月別の入札カレンダーと、過去の国債の入札情報です。カレンダーは1か月で1ページになっていて、令和8年(2026年)10月分は(1)国債及び国庫短期証券、(2)買入消却、(3)借入金の3つに分かれています。
次の表は、このうち利付国債と流動性供給入札だけを抜き出したものです。国庫短期証券(3か月・6か月・1年)も同じ表に並んでいますが、満期が1年以内のため、長期金利の話で参照されるのはおもに下の7本です。
| 入札予定日 | 対象 | 2026年10月16日時点 |
|---|---|---|
| 10月6日(火) | 10年利付国債(第384回) | 入札結果が公表済み |
| 10月8日(木) | 30年利付国債(第92回) | 入札結果が公表済み |
| 10月14日(水) | 5年利付国債(第188回) | 入札結果が公表済み |
| 10月20日(火) | 20年利付国債 | 予定 |
| 10月22日(木) | 流動性供給入札(残存期間5年超11年以下) | 予定 |
| 10月27日(火) | 流動性供給入札(残存期間11年超39年未満) | 予定 |
| 10月29日(木) | 2年利付国債 | 予定 |
同じページには、10月7日の10年物価連動国債の買入消却と、特別会計の借入金の入札も載っています。10月20日の20年債と10月29日の2年債には、カレンダーの表に回号が載っていません。実施済みの3本には回号と、入札発行・入札結果のページへのリンクが付いています。
この表を未来の確定事項として扱わないでください。カレンダーには「今後の状況の変化により、入札予定が変更又は追加されることがあり得ます」という注記が添えられています。日程を控えるときは、月のページを直接開いて確かめるのが確実です。
入札当日の流れは、午前11時50分の締切から始まります
各回の案内は「入札発行」という名前のページで、日付ごとにURLが分かれています。10年利付国債(第384回)の案内に書かれていたのは、発行予定額が額面金額で2兆6,000億円程度、申込締切日時が令和8年10月6日 午前11時50分、入札の方法が「価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・第Ⅰ非価格競争入札」であることです。発行日は翌日の10月7日で、表面利率は年3.1パーセント、利子支払期は毎年3月20日及び9月20日と記載されています。
募入決定の方法として、価格競争入札は「コンベンショナル方式」、非競争入札は「案分による割り当て」と書かれており、非競争入札の応募限度額は各応募者につき10億円とされています。方式の名前だけでは中身が分かりませんが、公表された数字を見ると性質が読み取れます。この回は募入最低価格99円97銭と募入平均価格99円99銭の2つが別々に公表されていて、落札した価格が1つに揃っていないことが分かります。さらに「募入最低価格における案分比率」として71.1197%が公表されており、最低価格ちょうどの応募は全額が落札になったわけではないことも読み取れます。
午後2時からは第Ⅱ非価格競争入札が実施されます。参加できるのは国債市場特別参加者です。財務省の国債市場特別参加者制度のページには、この資格を持つ会社が「第Ⅰ非価格競争入札及び第Ⅱ非価格競争入札に参加できます」と書かれています。あわせて、すべての国債の入札で発行予定額に応札責任割合(100をnで割った値、nは特別参加者の数)を乗じた額以上を応札する応札責任と、直近2四半期中の入札で各ゾーンの発行予定額の一定割合(原則として短期ゾーン0.5%、短期以外のゾーンは1%)以上を落札する落札責任が課されることも書かれています。入札に応じる義務を負った参加者がいるという点は、応募額を読むときの前提になります。
結果のページは、価格と利回りを両方の形で載せています
入札結果のページは、価格と利回りを並べた短い表です。10月に実施済みの3本を同じ形に並べると、項目の意味がつかみやすくなります。
| 項目 | 5年(第188回) | 10年(第384回) | 30年(第92回) |
|---|---|---|---|
| 入札日 | 10月14日 | 10月6日 | 10月8日 |
| 表面利率 | 年2.4% | 年3.1% | 年4.2% |
| 発行予定額 | 2兆5,000億円程度 | 2兆6,000億円程度 | 6,000億円程度 |
| 応募額 | 6兆8,182億円 | 7兆4,011億円 | 1兆7,472億円 |
| 募入決定額 | 1兆9,151億円 | 1兆9,661億円 | 4,507億円 |
| 募入最低価格 | 100円07銭 | 99円97銭 | 101円05銭 |
| 募入最高利回り | 2.384% | 3.103% | 4.121% |
| 募入平均価格 | 100円09銭 | 99円99銭 | 101円21銭 |
| 募入平均利回り | 2.379% | 3.101% | 4.109% |
| 案分比率 | 40.4279% | 71.1197% | 40.5023% |
| 応札倍率(編集部の割り算) | 約3.56倍 | 約3.76倍 | 約3.88倍 |
表面利率の公表表記は「年2.4パーセント」のように書かれています。価格は額面100円あたりの金額で、利回りは年率の%です。注目したいのは最低価格と最高利回り、平均価格と平均利回りが対になっていることです。価格が低いほど利回りは高くなるため、いちばん安く落札された価格が、いちばん高い利回りに対応します。価格と利回りが反対に動く仕組みは日米の10年国債利回りとは?金利差を公式データで確認する手順で扱いました。
10年債の結果ページには、参考として個人向け国債(変動10年)の基準金利複利利回り3.10%も載っています。入札の結果が、個人が窓口で買う国債の条件にもつながっていることが分かる項目です。
30年債の表には非競争入札の行がありません。入札発行のページでも、方法が「価格競争入札及び国債市場特別参加者・第Ⅰ非価格競争入札」と書かれていて、非競争入札が含まれていませんでした。年限によって、用意されている入札の種類が違います。結果の表に行が無いことと、応募が無かったことは別の意味になるため、入札発行のページとあわせて見てください。
「応札倍率」は公表値ではなく、2つの公表値の割り算です
報道で「入札は堅調だった」「低調だった」と説明されるときに引かれる数字が応札倍率です。計算は単純で、応募額を募入決定額で割ります。10年債なら7兆4,011億円÷1兆9,661億円で、約3.76倍です。
この数字を扱うときに気をつけたい点が3つあります。第一に、割る相手は発行予定額ではなく募入決定額です。上の表のとおり両者は一致しません。第二に、分子も分母も価格競争入札の分だけで、第Ⅰ・第Ⅱ非価格競争入札と非競争入札は含まれていません。第三に、年限ごとに発行予定額の規模も参加者の事情も違うため、5年の3.56倍と30年の3.88倍を並べて優劣を論じることはできません。同じ年限の過去の回と比べるのが、意味のある使い方です。
価格のばらつきも公表値から出せます。募入最低価格と募入平均価格の差は、5年が2銭、10年が2銭、30年が16銭でした。利回りに置き換えると、順に0.005ポイント、0.002ポイント、0.012ポイントです。超長期の30年で差が大きいという形がこの3本では出ていますが、1か月の3本だけで一般的な傾向だと言うことはできません。当サイトは、入札1回の結果から相場の方向や次の入札の結果を予想しない方針で運用しています。
発行予定額と、実際に発行された額は一致しません
もう1つ読み落としやすいのが、発行予定額と実際の発行額の関係です。10年債の案内には発行予定額が2兆6,000億円程度と書かれていました。これに対応するのは、価格競争入札の1兆9,661億円、第Ⅰ非価格競争入札の6,315億円、非競争入札の18億5,400万円を足した約2兆5,995億円です。ここまでは予定額のとおりです。
このあと、午後2時の第Ⅱ非価格競争入札で1,551億円が決まりました。発行価格は99円99銭で、価格競争入札の募入平均価格と同じ値です。5年債の第Ⅱ非価格競争入札結果のページには、発行価格について「本日行われた当該国庫債券の価格競争入札における募入平均価格」という説明が添えられています。足し合わせると10年債の発行額は約2兆7,546億円で、当初の予定額より約1,546億円多くなりました。
3本を並べると、上積みの大きさがそろっていないことも分かります。5年債は第Ⅱ非価格競争入札が2,188億円で合計は約2兆7,182億円、30年債は24億円で合計は6,020億円でした。予定額に対して、5年は約2,182億円、10年は約1,546億円、30年は20億円の上積みです。「発行予定額」は上限ではありません。国債の発行額をニュースの見出しだけで追うと、この差が抜け落ちます。
第Ⅰ非価格競争入札の額も3本で並べてみると、6,315億円(10年)、5,837億円(5年)、1,489億円(30年)で、それぞれの発行予定額の約23〜25%にあたります。ただし、この割合に上限が定められているかどうかは、今回確認したページには書かれていませんでした。割合は公表値を割っただけの観測で、制度上の限度ではありません。
FXの材料として扱うときの線引き
国債の利回りは、入札のある日だけ決まるものではありません。発行された国債はその後も市場で売買され、利回りは毎営業日動きます。入札結果は、その流れの中にある1日分の記録です。
入札の申込締切は日本時間の午前で、結果も同じ日のうちに公表されます。日本の長期金利が動いたと報じられる時間帯と重なるため、材料として話題にはなります。ただし当サイトでは、入札の結果と為替レートの方向を結び付けて書きません。確認できるのは公表値とその並びだけで、どちらへ動くかを示す根拠は公表値の中にありません。
混同を避けるために、確認先が違う3つの数字を押さえておいてください。中央銀行が会合で決める政策金利は政策金利を中央銀行の公式ページで確認する手順、売買で毎営業日動く国債の利回りは本記事と日米の金利差を公式データで確認する記事、そして受け払いの金額を決めているのは取引するFX会社です。スワップポイントとは何かで扱ったとおり、金利差がそのまま受け取れる仕組みではありません。
日程の扱い方も分けて考えると楽になります。入札は月ごとのカレンダーに沿って毎月行われ、年限ごとに回号が増えていきます。これに対して政策を決める会合は回数が限られ、FOMCの結果が日本時間の何時に出るかのように開催日ごとの確認が要ります。発表の前に取引するかどうかの考え方は経済指標の発表前に取引していいかにまとめました。この記事に広告リンクは置いていません。
確認できなかった項目と、次に見直す日
今回確認できなかったことを残します。第一に、令和8年度のカレンダーベース市中発行額はPDFで提供されており、年限別の1回当たり発行額と年間の発行額を読み取れませんでした。年度の計画と1回ごとの入札を突き合わせるには、この表が必要です。第二に、コンベンショナル方式、非競争入札、第Ⅰ・第Ⅱ非価格競争入札、案分比率の制度上の定義は債務管理リポートなどのPDFにありますが、本文を読み取れていません。この記事では、各入札発行・入札結果のページに書かれた記載と、公表値から読み取れる範囲にとどめました。第三に、入札結果の公表時刻についての記載は、入札発行・入札結果のどちらのページにも見つかりませんでした。第四に、第Ⅰ非価格競争入札の発行限度額の割合と、国債市場特別参加者の指定社数は確認できていません(後者はPDFで提供されています)。第五に、10月20日の20年債、10月22日と27日の流動性供給入札、10月29日の2年債は、2026年10月16日の時点で入札前です。いずれも推測で埋めず、空欄のまま残しました。
この記事の数値は2026年10月16日に確認しました。入札は毎月あり、結果は回号ごとに増えていきます。当サイトは30日を目安に見直しており、次回の確認予定は2026年11月15日です。読むときは、この記事の数字より各公表ページの表示を優先してください。
出典と確認日の一覧
- 財務省「入札情報」入札カレンダーと過去の国債の入札情報が置かれていること(2026年10月16日確認)
- 財務省「入札カレンダー:令和8年10月」10月6日 10年、10月8日 30年、10月14日 5年、10月20日 20年、10月22日 流動性供給(残存期間5年超11年以下)、10月27日 流動性供給(残存期間11年超39年未満)、10月29日 2年の各入札予定、10月7日の10年物価連動国債の買入消却、「今後の状況の変化により、入札予定が変更又は追加されることがあり得ます」の注記(2026年10月16日確認)
- 財務省「10年利付国債(第384回)の入札発行」発行予定額 額面金額で2兆6,000億円程度、申込締切日時 令和8年10月6日 午前11時50分、価格競争入札はコンベンショナル方式、非競争入札は案分による割り当てで応募限度額は各応募者につき10億円、第Ⅱ非価格競争入札は午後2時より実施予定、発行日 令和8年10月7日、表面利率 年3.1パーセント、利子支払期 毎年3月20日及び9月20日(2026年10月16日確認)
- 財務省「10年利付国債(第384回)の入札結果」応募額 7兆4,011億円、募入決定額 1兆9,661億円、募入最低価格 99円97銭、募入最高利回り 3.103%、募入平均価格 99円99銭、募入平均利回り 3.101%、募入最低価格における案分比率 71.1197%、非競争入札 18億5,400万円、第Ⅰ非価格競争入札 6,315億円、参考として個人向け国債(変動10年)基準金利複利利回り 3.10%(2026年10月16日確認)
- 財務省「10年利付国債(第384回)の第Ⅱ非価格競争入札結果」募入決定額 1,551億円、発行価格 99円99銭(2026年10月16日確認)
- 財務省「5年利付国債(第188回)の入札発行・入札結果・第Ⅱ非価格競争入札結果」発行予定額 2兆5,000億円程度、表面利率 年2.4パーセント、応募額 6兆8,182億円、募入決定額 1兆9,151億円、募入最低価格 100円07銭、募入最高利回り 2.384%、募入平均価格 100円09銭、募入平均利回り 2.379%、案分比率 40.4279%、非競争入札 5億6,000万円、第Ⅰ非価格競争入札 5,837億円、第Ⅱ非価格競争入札 2,188億円と発行価格の説明「本日行われた当該国庫債券の価格競争入札における募入平均価格」(2026年10月16日確認)
- 財務省「30年利付国債(第92回)の入札発行・入札結果・第Ⅱ非価格競争入札結果」発行予定額 6,000億円程度、入札の方法は価格競争入札及び国債市場特別参加者・第Ⅰ非価格競争入札、表面利率 年4.2パーセント、応募額 1兆7,472億円、募入決定額 4,507億円、募入最低価格 101円05銭、募入最高利回り 4.121%、募入平均価格 101円21銭、募入平均利回り 4.109%、案分比率 40.5023%、第Ⅰ非価格競争入札 1,489億円、第Ⅱ非価格競争入札 24億円(2026年10月16日確認)
- 財務省「国債市場特別参加者制度」第Ⅰ・第Ⅱ非価格競争入札への参加資格、応札責任(応札責任割合は100をnで割った値)、落札責任(原則として短期ゾーン0.5%、短期以外のゾーンは1%)(2026年10月16日確認)
- 財務省「令和8年度国債発行計画」カレンダーベース市中発行額は令和7年12月26日公表のPDFで提供されており、金額を読み取れていないこと(2026年10月16日確認)
この記事の更新・確認情報
- 情報の基準日
- 編集部による確認日
- 情報の変動性
- 高(相場・条件が変わりやすい情報)
- 次回確認予定
- 一次情報の件数
- 14件(本文末の参考資料に記載)
金融庁は、外国為替証拠金取引について相場変動、金利変動、流動性、信用、システムなど複数のリスクを挙げています。 ロスカットは損失の拡大を抑える仕組みですが、急変時に証拠金を上回る損失が生じる可能性まで消すものではありません。 「ロスカットがあるから安全」と考えず、取引数量と損切りを先に決めてください。 出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
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